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大空に月と日が姿を現してこのかた 紅の美酒にまさるものは無かった
腑に落ちないのは酒を売る人々のこと このよきものを売って何に替えようとか
Omar Khayyam

 2010.0430(金) 安い買い物

「旅行はネットが安い、は早とちり」というような記事が数日前の新聞に載った。航空券やホテルなどの価格は、旅行代理店に足を運ぶよりインターネット上で購入した方が安いとは限らないと、紙面にはいくつかの例が挙げてあった。

「25.5センチのテニスシューズを買って送ってくれ、今までのものは小さくなったので下級生に譲ってしまった」と先日、次男より連絡があったので「今までのテニスシューズは26センチだから、もっと大きなものを買う必要がある、そして靴は自分が靴屋に行って、自分の足に合わせて買うべきだ」と葉書を送ったら「靴屋へ行く時間がない」と、またまた連絡があった。

そこで"amazon"に店を出しているスポーツ用品屋に、次男のいる寮へ直送する形ででテニスシューズを注文したら、その26時間後に「在庫確認中」のメイルが入り、更にその5時間後に「在庫切れ」の詫び状が届いた。

よって「こんなトロくせぇ店はダメだ」と、ウチの近所の大黒屋さんを訪ね、先ほどインターネット経由で注文したと同じテニスシューズの名を出したら幸い在庫はあった。しかもこちらの方が15パーセントも安い。この品は連休に帰宅した次男が寮に持って帰るから送料もかからない。

そして「旅行以外のものにおいても、ネットが安いは早とちり」ということに改めて気づく。


朝飯 トマトとスクランブルドエッグとレタスのサラダ、納豆、すぐき、メシ、きのうの腐乳鍋の残り

昼飯 焼きうどん

晩飯 キンキの味噌漬け、白菜の炒め煮浸し、すぐき、島豆腐とシメジとニラの腐乳炒め、メシ、"KIRIN FREE"


 2010.0429(木) 腐乳鍋

2010年5月版のパンフレットはきのう、無事に納品された。制作会社からは15時の配達と聞いていたが、トラックは13時30分に着いた。だから運転手に「ずいぶん早かったですね」と言ったら「東京が土砂降りでなければ、もっと早かったんですが」とのことだった。

そういえばきのうの朝は"Computer Lib"のマヒマヒ社長も「神保町、靴の中までぬれるほどの雨です」と"twitter"でつぶやいていた。そして我が日光には本日昼ごろに一度、夕立のような雨があった。しかし以降はしごく穏やかな天候である。

鍋ひとつに一升瓶の酒というような、まるで冬の山の中で野宿をしているときのような晩飯が好きだったりする。きのう香港から調味料の唐来物があったため、今夜はそのうちの腐乳で鍋を作ってもらう。

この腐乳鍋がまぁ「釈迦がスジャータ村で食わせてもらった乳粥って、こんなんじゃなかったの?」と思われるほどに美味い。腐乳はビンのフタを開けたときこそ強烈に匂うが料理になってしまえば先ほどの発酵臭はもはやどこにも無く、ただマッタリとした美味さが残るばかりなのだ。

そして「発酵調味料ってのは不思議で優れたもんだよなぁ」と、つくづく感心をする。


朝飯 筍と飛竜頭の薄味炊き、ソーセージとピーマンの油炒め、納豆、すぐき、メシ、徳用湯波の味噌汁

昼飯 納豆、豚肉のすき焼き風、厚焼き玉子、徳用湯波の味噌汁、メシ

晩飯 腐乳鍋芋焼酎「甚七」(生)、"Chez Akabane"の杏仁豆腐


 2010.0428(水) "morille"

朝、店の駐車場の掃除をしていて、その北側の植え込みにモリーユを発見する。おなじ場所にこれを初めて見たのは一昨年のことだった。今年は更に数を増やしている。フランスでこそ珍重されるモリーユだが日本料理には使われない。国内では生えても放置される例がほとんどと思われる。

ところで一昨年、僕はこれを採取して食べた。図鑑によればモリーユには毒があり、その毒は十分に茹でて汁を捨て、更に熱を加えることによって消えるとあった。よってその通りにして鶏のブルゴーニュ風に合わせた。採ってから乾燥させたことが悪かったのか、あるいは茹ですぎたのか、キノコの香りはどこにもなかった。

昨年は見えなかったモリーユがことしはたくさん出ている。しかし一昨年の経験から今回は放っておくことにする。見た目も良くないから引き抜いてしまおうか、とも考えている。

夜は「第203回本酒会」のため隠居の門を開ける。窓の外には満開を過ぎたしだれ桜が、しかしいまだ多くの花を残して闇に浮かんでいた。


朝飯 ほうれん草の油炒め、飛竜頭の薄味炊き、厚焼き玉子、納豆、メシ、筍とワカメと万能葱の味噌汁

昼飯 豚丼、カキ菜のたまり浅漬け

晩飯 カキ菜のたまり浅漬け筍と飛竜頭の薄味炊き、「金長」の仕出し弁当、6種の日本酒(冷や)


 2010.0427(火) 凄げぇ店

6/02(水) JO717/NRT11:00発 BKK15:35着 PG907/BKK17:00発 REP18:10着
6/05(土) PG924/REP09:45発 BKK10:55着
6/06(日) JO708/BKK08:15発 NRT16:00着

の予定を決める。ちなみに"REP"とはシェムリアップ国際空港のレターコードだ。バンコクの争乱がどうあってもキャンセルされることは避けたい、というのが旅行社の意向のようだ。そしてそれは当方の希望とも一致する。

昨夏にバンコクで泊まった宿は現在、タイ国軍と赤シャツ組が対峙している場所の至近にある。6月5日に宿泊予定のホテルはスクムビットsoi26の奧だからまぁ、今のところは安全だろう。おなじスクムビットのsoi31まで足を伸ばしてアピシット首相の私邸を見物に行くようなことは、僕はしない。

夕刻より「存じやす極」に入る。

「むかしよく来てくださった方は、えぇっと」とオヤジさんが言うのでよくよく聞けば、それは僕のおじいちゃんのことだった。オヤジさんはみずから山へ入り農家を訪ねて優れた食材を探すことを趣味にしている。若主人は料理と酒のオタクだ。当方は「おまかせ」で、ただオープンキッチンのカウンターに座っているだけである

「いや、ホンットに美味いっすね」「あぁ、また香りが変わってきた、さっきは桃だったけど、今はプラムだ」と、次々と出てくるものを食べ、次々と注がれるワインを飲んでいるうち「ここは凄げぇ店だ」という実感がふつふつと湧いてくる。

そして満腹で帰宅して即、ばったりとソファに倒れ込む。


朝飯 3種のおむすび、具だくさんの味噌汁

昼飯 「ふじや」の味噌ラーメン

晩飯 「存じやす極」のあれこれ、ワインあれこれ


 2010.0426(月) しっかりしろよ

日本経済新聞の朝刊第5面に「英語を選択科目に」という見出しを見つけたから本文も読んでみる。

「中学から8年間も勉強していて、平均的な日本人は道案内もほとんどできません。経済学でいうコストベネフィットの問題で、ものすごいコストをかけているのに、ベネフィットがない」と、関志雄という人がインタビューに答えている。

何ヶ月か前、冗談まじりで長男に「日本人がこれだけ英語をしゃべれねぇのは"DNA"の問題だよ。やったってしょうがねぇんだから、いっそ英語なんて、やんなきゃ良いんだ」と言った。

そうしたところ長男は「日本人が英語をしゃべれないのは、ひとえに教育の問題だよ。ちゃんとした教師の下で1週間に何十時間も英語漬けにすれば、誰でもしゃべれるようになる」と反論をした。

長男のこの説に従えば、日本の英語教育は「コストのかけ方を間違えている」ということになる。僕は、日本人がこれだけ英語を話せないのは「ちょとしたところ」だと思う。

何年か前のことだが東京のある"STARBUCKS COFFEE"にいたところ、ひとりの白人男が入ってきて"Regular coffee?"と訊いた。するとカウンターのオネーサンはひと言"No"と答えた、というか叫んだ。「レギュラーコーヒーというものはメニュにありません」ではなく「私に英語なんかで話しかけないでよ」と逆上しているかのように、その"No"は僕には聞こえた。

「相手が英語を話したら、とりあえず聴け。分からなかったら更に聴け。自分の耳の解像度が低ければ紙に書いてもらえ。そうすればすこしは分かってくるから」という「ちょとしたところ」を日本人に植え付けることができれば、平均的な日本人でも英語で道案内ができるようになるのではないか。

日本人の英語アレルギーは、すこしばかり異常である。そしてそういうアレルギーを日本人の中に作りだしたのは、やはり現行の教育なのだろう。

それはさておきこの関志雄、反論必至の極論をとぼけた顔して言うあたりが面白くて「いいっすねぇ」と僕などは思う


朝飯 山菜の天ぷらとほうれん草の雑炊

昼飯 2種のロールケーキ、コーヒー

晩飯 「和光」の野蒜の浅漬け、茹でた蛍烏賊、シーフードサラダ、麦焼酎「吉四六」(お湯割り)


 2010.0425(日) 桜ふたたび

事務室と店舗の間を忙しく行き来しているところに家内が来て「何、やってるの」と言う。何のことか理解できなかったが次の瞬間「あ、そうだった」と思い出す。当番町朝日町の傘抜きに呼ばれていたことを忘れていたのだ。約束の時間は正午。そして現在の時刻も正午だ。

取り急ぎ黒いスーツを着て自転車に乗り、国道121号線を下る。そして朝日町の広場に着いた途端、マイクを渡され挨拶を求められる

人前で話すことを不得意とするわけではないが「このたびの○○、まことにおめでとうございます」とか「○○会長様はじめここにお集まりの、、、」とか「はなはだ簡単ではございますが」というような、挨拶における慣用句を僕は知らない。そしてマイクを司会の手へと戻し、来賓のテントに入る。

春の例大祭の渡御行列は、金棒を持った子どもが先導をする。この金棒引きは花笠を背負っている。そしてこの傘を取り去る「傘抜き」を以て例大祭は完了する。

ところで今回の儀式については「傘脱ぎ」と書く人もあれば「傘抜き」と言う人もいる。ウチのあたりでは「脱ぐ」を「ヌク」と発音する例がある。方言は通常、耳から覚えて文字は見ない。よって「傘脱ぎ」と「傘抜き」のどちらが正しいかの判断は、僕にはつかない。

余興というには適切でないかも知れないが、本日の出し物の最後を飾ったのは朝日町の花屋台の、油圧ジャッキではなく轆轤台によるのの字まわしだった。青い空を背にして揺れる造花を見上げながら「桜の造花の美しさを詩にしたのは白石かずこだったっけなぁ」というようなことを考える

夜、新婚のお嫁さんとふたりで販売係のハセガワタツヤ君が結婚式の招待状を届けに来てくれる。そして彼らと簡単な夕食を共にする。2時間後、ふたりを店舗駐車場に見送って「ハセガワの嫁は当たりだよ」と家内に言う。


朝飯 塩鮭、昆布の甘辛煮、明太子、じゃこ、大根のたまり漬によるお茶漬け

昼飯 当番町朝日町の方々によるあれこれ、日本酒(燗)

晩飯 「みとや」のにぎり鮨、コゴミとタラの芽の天ぷら、蛤とお麩のお吸い物、"Chez Akabane"の杏仁豆腐


 2010.0424(土) 蕪

朝、洗面所の窓を開けると、家々の屋根の上には桜の花があちら、こちらにと見える。そのうちのひときわ巨木と思われるのは東武日光線上今市駅ちかくの数本で、その丈はひときわ高い。そしてそういう景色にはまことに春風駘蕩たるものがあるが、気温は依然として低い。

スーパーマーケットに行くと根の部分の大きな蕪がある。ところが地野菜を「たまり」で浅漬けにする新商品「たまり浅漬け」のため毎朝野菜を買いつけに行く農業協同組合の直売所には、それほど大きな蕪は出ていない。

このことについて「でかい蕪は鬼怒川沿いとかの、土の豊かなところじゃなくちゃできねぇんだよ」と語った人もいたが、また「まだ寒くてダメなんだよ」と言う人もいる。いずれにしても、春らしい気温の待たれるところである。

夜はおよそ2週間ぶりの芋焼酎を飲んで早々に寝る。


朝飯 焼きソーセージ、冷や奴、納豆、ほうれん草の油炒め、メシ、シジミと万能葱の味噌汁

昼飯 つけ麺

晩飯 ほうれん草の胡麻和え、長芋の薄味炊き、豚の味噌漬けと九条葱の油炒め、キンキの煮つけ、芋焼酎「甚七」(お湯割り)


 2010.0423(金) メシも食いたい酒も飲みたい

かかってきた電話を保留にして「グーグルの正規代理店から重要なお知らせ、だそうです」と事務係のカワタユキさんが僕の方を振り向いた。話してみればその電話は案の定、ちっとも重要なものではなかった。

そして「今みてぇな電話とか、封筒に『重要なお知らせです』なんて書いてあるものは大抵、重要なもんじゃねぇんだよ」と言ったらカワタさんは笑った。

仕事を終えて自宅の廊下に足を踏み入れると、豚の味噌漬けを焼く匂いがしたから「焼酎かなぁ、しかし米のメシも食いたいよなぁ」と考えつつ今夜の飲み物は"KIRIN FREE"にすることを決めた。

アルコール分0パーセントのこの疑似ビールは、本物のビールに比べれば美味くない。しかしその美味くなさ加減は、我慢できないほどのものでもない。あるいはむしろ、慣れればまた飲みたくなるくらいの水準は保っている。

"KIRIN FREE"は、アルコールを制限しようとしている者への福音になるかも知れない。少なくとも、先日のγGTPが70だった僕の役には立っている。


朝飯 雑炊、白菜漬け、塩鮭、明太子、梅干

昼飯 鍋焼きうどん

晩飯 島豆腐と九条葱のチャンプルー、レタスのサラダ、カキ菜のおひたし、豚肉の味噌漬け焼き、メシ、"KIRIN FREE"


 2010.0422(木) 夏と雪

今週前半の東京の天気予報は、火曜日は何とか持ちこたえて水曜日の午後から雨、ということだった。それが外れて火曜日は終日雨、そしてきのうの水曜日は気温25℃を超える夏日になった。僕は長袖Tシャツの上に着る、ウェールズの牧童の上着を用意していたが、それは遂にザックに収められたままだった。

そして本日は急転直下の寒さになる。東北道を北上しつつあるのだろうか、「那須塩原は雪」「郡山は雪」と"Twitter"上に刻々とつぶやき続けている人がいる。

夜は小雨の中を社員一同が「とんかつあづま」に集まり、新入社員歓迎会を行う。この席はまた永年勤続表彰の場も兼ねる。今年は、入社から10年間を勤めた製造係のイトーカズナリ君を表彰した。「学生服を着たイトー君がウチに来てから、もう10年か」と感慨を深くしつつ、イトー君の、更なる奮起を期待する


朝飯 納豆、厚焼き玉子、ほうれん草の油炒め、明太子、メシ、徳用湯波とほうれん草の味噌汁

昼飯 「大貫屋」の湯麺

晩飯 「とんかつあづま」の野菜サラダ、串かつ、メシ、豆腐とワカメと長葱の味噌汁、「真露」(お湯割り)


 2010.0421(水) 最初に来た電車

着の身着のままよりも始末に負えない、スカーフまで巻いたままの格好で目を覚ます。ダイニングキッチンというのだろうか、隣の部屋に来て時計を見ると午前4時だったから「良かったー、0時とか1時じゃなくて」と胸をなで下ろす。早すぎる目覚めは時間をもてあます点において有り難くない。

シャワーを浴びて新しいシャツを身につけ、きのうの日記を書くことと、本日すべき仕事の点検とを同時進行させる。

正午前、千葉県市川市で本日の仕事のすべて終える。京成線を降りた日暮里から西日暮里へ移動しようとして跨線橋を歩いて行く。しかし種々の理由から、常磐線で北千住へ行くことを決める。

ところで僕には行き先を確かめず、来た電車にとにかく乗ってしまう悪癖がある。そしてその、最初に来た下りの電車は快速だか急行だったのだろう、松戸まで一気に連れて行かれてしまった。

その松戸で、最初に来た上りの電車に折り返し乗って「まさかこれも北千住に停まらず日暮里に逆戻りじゃねぇだろうな」と考える。そして今度の電車は無事、北千住に到着した。

きのう今日の仕事に集中したせいだろう、夕刻に帰社したときには随分と疲れていた。そういうわけで晩飯の前に入浴し、早々に就寝する。


朝飯 「小諸蕎麦」のかき揚げ蕎麦、ライス

昼飯 「栄寿司」の鮨14カン

晩飯 飛竜頭の薄味炊き、芥子菜のおひたし、ポテトサラダ、ハンバーグステーキ、白菜漬け、メシ、"KIRIN FREE"


 2010.0420(火) 雨中歩行

ウチのウェブショップのトップには「社長のtwitter」「社長の仕事日記」「社長のごはん日記」と、3つのボタンが並んでいる。そのうちもっとも自分の意見をまっすぐに書いているのがこの「ごはん日記」だ。ウェブショップには「ごはん日記」とあるが、これを始めたときには「清閑日記」と自分では思っていた。「清閑」は僕の号である。

僕が新商品を開発するにあたっての力の元は「怒り」である。しかしここから先は、いくら自分の意見を直截に出す傾向のあるここにも書けない。そういうことを話せるのはオフのときだけだ。

それはさておき、そうして開発した商品のうちの「青森県田子町産のにんにくです。」と「宮崎県都城産のしょうがです。」がいよいよ蔵出しの時期を迎えた。昨年のいまごろ作ったパンフレットも底をついてきたので、本日は新商品の撮影をすべく、自由学園でひとつ上のキノシタケンジ君のスタジオに朝9時前に入った。

昨年の暮だったか、ウチの商品も掲載していただいている、自由学園の「逸品カタログ」の撮影がキノシタ君のスタジオで行われた。それに立ち会ってキノシタ君の、妥協を廃した偏執的ともいえる仕事ぶりに一驚を喫した。そして「もしウチで商品撮影の必要が生じたら、そのときにはこのスタジオに頼もう」と決めた。

商品撮影の立ち会いでは、カメラマンや盛りつけのコーディネイターにしばしば意見を求められる。本日のその第一発目は「にんにくのスライスの方向は水平か、あるいは垂直か」というもので、ここで「まぁ、適当にやってください」と答えては先に進まない。そして水平方向にスライスしたにんにくの撮影だけで午前の90分を費消した。「妥協を廃した偏執的な仕事」が気に入ってこのスタジオを選んだのだから文句は言えない。

すべての撮影は、しかし予定を30分超過しただけで無事に完了した。僕はスタッフの方の運転するクルマで雑司が谷から次の目的地である南長崎まで送ってもらった。そして南長崎での用事は30分ほどで完了した。

東池袋で焼酎を飲み、酔っていたから時計は見なかったが、随分と早い時間に甘木庵に帰着する。


朝飯 「権米衛」の2種のおむすび、豚汁

昼飯 「大村庵」の開化丼

晩飯 「豊屯」の子袋の鹵味キクラゲ長葱豚肉炒めおやじさんが「これ、食べますか?」と出してくれたキャベツの漬物湯麺、麦焼酎(生)


 2010.0419(月) ひとり飲み

3日続けて東京あるいはその近郊に仕事がある。何度も出張をするのは面倒だから、3件の用事を3日連続に固めたのだ。

その3件のうちの1件を夕刻に済ませ、甘木庵に入る。一昨日はウンザリするような雪の日だったが今日は暑い。長袖のTシャツ1枚にガーゼのスカーフを巻いて外へ出る。そして、ちょっとした調べものもあって高田馬場へ移動をする

夕刻に酒を飲もうとして歩いているとき、昔であればジーンズの尻ポケットには文庫本と財布のあるばかりだった。今ではそこに遠近両用メガネとデジタルカメラと携帯電話が加わって、これらは当然ズボンのポケットには入らないから勢い、物入れを携行することになる。携行する物の数は果たすべき義務の数に比例する。厄介なことである。

それでもひとり飲みの愉しさだけは若いころと変わりがない。

「美を味わえる子どもに育てる」 岩城宏之著著 知恵の森文庫 \600

を読みながら焼酎のお湯割りを飲み、引き続いて生ビールを飲む。はしごはせず21時すぎに甘木庵へ戻る。


朝飯 きのうのポトフのぶっかけメシ

昼飯 「玄蕎麦河童」の十割蕎麦春の山菜の天ぷら

晩飯 「鳥やす」の焼き鳥あれこれ、モヤシナムル、麦焼酎(お湯割り)、生ビール


 2010.0418(日) 平ヶ崎菜

何年か前に「閉鎖ですか」と電話で問い合わせたら「いえ、とりあえず今年は休業です」と返事のあった霧降スキー場は多分、今後も営業することはないのだろう。その、ウチからもっとも近いところにあったスキー場の斜面が、きのうの雪で真っ白になっている

午前、店の前に飾るゼラニウムの鉢をユミテマサミさんが持ってきてくれる。そしてしばらくお茶を飲みながら話をする。

「ことしほど寒い春はほとんど経験がない。5月の上旬に遅霜があるのではないか。米の出来も心配だ」
「ゼラニウムはむかしは匂いの強い植物だった。しかし人があれこれ改造するうち、その匂いはほとんど消えた」
「日光原産の野菜は野口で採れる野口菜と平ヶ崎で採れる平ヶ崎菜。平ヶ崎菜の原種は多分、もうどこにもない」
「いま売っている胡瓜の99パーセントは根っこが南瓜。むかしの胡瓜とは味がぜんぜん違う。経済効率を優先して野菜作りをした結果、本当の味を知る人は年寄りだけになってしまった」

などなど。専門家とする話は楽しいし為になる。それにしても、今年の米が外れるのは困る。ウチの「日光味噌・梅太郎」は大豆も米も日光産で作っているのだ。


朝飯 納豆、マヨネーズ入りスクランブルドエッグ、飛竜頭の薄味炊き、メシ、ワカメと椎茸と玉葱と万能葱の味噌汁

昼飯 ざる担々麺

晩飯 ペンネとグリーンアスパラガスのパンチェッタのせポトフ"Chez Akabane"の杏仁豆腐チーズタルト、"Domaine Vocoret et Fils Chablis Vieilles Vignes 2008"


 2010.0417(土) ソンクラン

朝、定時の45分前に店の灯りを点けシャッターを上げる。なぜ雪の積もった朝に限って社員の出勤する前からそのようなことをするか、それは店の前をすこしでも明るくしようとしてのことだ。

外へ出て横断歩道を渡り、国道121号線の向かい側から店を見て「これがまあ卯月の景色か雪二寸」と詠む。しかし本日が旧暦3月4日と考えればまぁ、雪が降っても不思議はないのだろう

用があって8時すぎに三菱シャリオで例幣使街道を走ると、杉の黒々とした並木を背景にして、牡丹雪がすごい勢いで降ってきた。その風景が、まるで雪岱の絵のように美しい。

そして今バンコクでは、赤シャツ組と軍とが一時休戦をしてソンクランの真っ最中である。(画像は1991年4月にスラウォン通りで水をぶっかけられている僕)


朝飯 「しろたえ」の3種の焼き菓子、ホットミルク

晩飯 トマトのオリーヴオイル和えパンチェッタのフランスパンのせジャガイモと玉子のグラタン茹でたソーセージチーズタルト"Domaine Vocoret et Fils Chablis Vieilles Vignes 2008"


 2010.0416(金) 衆議一決

人口が縮小し、だから戸数も縮小し、よって予算も縮小する。町内会は国の現状を映す鏡である。いつまでも過去と同じお金の使い方はできない。

今年の春の例大祭はきのう無事に終わった。そして今朝、町内に張り巡らされたしめ縄を役員たちは6時前から外し、また会所つまり公民館の飾り付けも片付けた。昨年まではこの日の直会を、ささやかながら街なかの食堂や飲み屋で開いてきた。しかし前述の理由により今年からはそれができない。

初更7時に春日町1丁目公民館へ行き、副会計シバザキトシカズさんが買ってきた野菜をザザッと洗い、ブツブツと切る。油揚げは半分に切って良しとする。鶏肉はあらじめ一口台に切ってあったものを鍋にドコドコと投入する。

ホースを引き抜いたガスレンジをシバザキさんが台所から座敷へ運ぶ。そしてホースをガスストーブ用のコネクタにつなぎ直す。卓上にはこれまたシバザキさんの買ってきた餃子や鮨がある。御神酒を降ろしてヤカンに満たし、これを寄せ鍋の隣でお燗する。

ザザッと洗ってブツブツと切った材料による寄せ鍋は存外に美味い。そして7月の八坂祭の直会は、おなじく公民館にてキムチ鍋を食べることに衆議一決する


朝飯 菜の花のおひたし、葱味噌入り油揚げ焼き、卵焼き、納豆、梅干し、メシ、シジミと万能葱の味噌汁

昼飯 「ふじや」のタンメンバター

晩飯 「元気寿司」の盛り合わせ「正嗣」の焼き餃子寄せ鍋、"KIRIN FREE"


 2010.0415(木) 会計監査

夜のうちに雪が降ったらしい。道路の雪こそ融けたものの屋根の上はいまだ白い。そして仏壇に水、お茶、花、線香を調えて後に振り向けば、南西の山にはかなりの降雪が認められた。梅に鶯、藤にホトトギスとくれば花札だが本日の「桜に雪」も、なかなか風情のあるものである。

町内の会計係をつとめる者にとって、3月と4月は悩ましい期間だ。一例を挙げれば、3月の自治会費がすべて集まりきらないうちに4月のお祭りのための買い物が始まる。3月と4月の金銭出納帳には前年度と今年度の入金と出金が入り交じり、当方はその2冊の金銭出納帳、否、この仕事はコンピュータでしているから2冊ではなくふたつのファイルのあいだを行き来して金の出入りを記録しなくてはならない。

ところで町内会や子どもの属する部活動などにおいて、あまり時間を割くことのできない人が役を振られると「じゃぁ、会計監査なら」となることが多い。「会計監査とは1年に1回めくら判を押せば済む係」と広く認識されているためと思われる。

会計監査の仕事とは本来、前期繰越金から今期のすべての入出金を自分でプラスマイナスし、それが次期繰越金と一致するか、そしてその帳面上の金額は現金残高と一致するかを自分の手と目で確かめることだと僕は思う。「じゃぁ、会計監査なら」というような甘いものではないのだ。


朝飯 納豆、葱味噌入り油揚げ焼き、豆腐の玉子とじ、こんにゃくの白和え、メシ、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 「糸屋」の野菜天ぷら蕎麦

晩飯 レタスとトマトのサラダ2種のキノコのオリーヴオイル焼きパンチェッタのスパゲティアイスバイン、イチゴ、"Domaine Vocoret et Fils Chablis Vieilles Vignes 2008"


 2010.0414(水) さくら祭り

空は晴れた。風はすこし強い

朝8時45分、春の例大祭の開かれる瀧尾神社へ黒いスーツを着て行く。神社の役員として経験する年間のお祭りのうち、もっとも長い神事の行われるのがこの例大祭だ。9時に昇殿して10時前に外へ出る。そして猿田彦を先頭とした行列は10時の打ち上げ花火が鳴ると同時に神社を出発した。

昨年までの僕は旧市街の巡行に出かける渡御行列を参道にて見送り、以降は社務所にて来賓たちと直会の席に連なった。ところが今回は役員もこの行列に加わって歩くのだという。

我が春日町1丁目が当番町のとき実際にクルマで走って調べたところ、渡御の全行程は8キロを超えた。途中、宮司はすべての町内の会所で祝詞を奏上する。昼食を挟んでふたたび神社へ戻るのは午後3時になるだろう。しかし本日の僕は会社を留守にできない。 よって行列が春日町の交差点に差しかかったところで列を離れ、会社に戻る

10時30分から初更にかけては通常の仕事をし、夜は白ワインを飲んで早めに寝る。


朝飯 3種のおむすび、豆腐とワカメの味噌汁

昼飯 「大貫屋」のチャーハン(大盛り)

晩飯 "Wurst Hause KawaKami"のパンチェッタのフランスパンのせ同ザワークラウト同コンビーフ同アイスバイン、"A.Lecomte"の2種のエクレア"Domaine Vocoret et Fils Chablis Vieilles Vignes 2008"


 2010.0413(火) 蜘蛛印のテキーラ

お祭りの赤柱に「奉祝」の提灯を提げることは日曜日にもした。しかし同日の夕刻より小雨があったため、濡れて破れることを恐れて屋内に取り込んだ。そして朝から雨模様だったきのうは、提灯は初めから仕舞い込んだままとした。今朝は首尾良く晴れ間が見え、よって開店の前よりこの、白地に日の丸をあしらった提灯を出す

午前、ふと気づくと事務室の流しに、店舗の生け花をしてくれているカワムラコーセン先生が置いていってくれたらしい白百合とアルストロメリアがあった。流しの下の扉を開くと、僕の好きな鉄の花瓶は見当たらない。事務机の引き出し最下段から「清閑」名入りの剪定ばさみを取り出し、花の茎を短めに切って素焼きのジョッキに生ける

夕刻、お囃子の音が聞こえて外へ出る。当番町朝日町の屋台が国道121号線を、折しも鬼怒川方面から上がってきたところだった。朝日町の区長と役員に挨拶をすると「神社の役員はあした、行列にくっつかって歩くんだって」とフクシマヨシミツさんが言うので「ホントですか」と答えながら困惑をする。

そんなことをすればほとんど丸一日がつぶれてしまう。明日のウチの人員は、東京出張組がいまだ帰社していない上に片付け要員まで投入されていているからごく少ないのだ。「直会あたりで何とか帰って来られねぇかな」と考えるが、首尾良く事が運ぶかどうかは分からない

昼飯が遅かったので夜になっても腹が減らない。「晩飯はドライマーティニか」と考えたが"BEEFEATER"のビンは先日、長男が友だちを連れてきた日ほとんど空になっていた。よってテキーラのボトルを開栓し、これをソーダ割りにする。


朝飯 ロールパン、ホットミルク

昼飯 「ふじや」の雷ラーメン

晩飯 "Chez Akabane"のラスク、"TARANNCHURA"(ソーダ割り)


 2010.0412(月) ことばの、文法にない変化

朝、地採れの葉物を買うため農業協同組合の直売所へ行く。日光市荊沢地区の農家の名の添付されたカキ菜をカゴに入れ、2ヶ所あるうちのひとつのレジに持ち込むと「いま他の人の、やってる最中なんですよ」と女の人が言う。よってその隣のレジに持ち込むと、こちらの女の人は「あら、どうしよう」と困惑の色を浮かべた。

2ヶ所あるレジの双方にそれぞれ別のオバサンが品物を持ち込み、その計算の途中でそのオバサンが揃ってふたりとも追加の買い物のため、いなくなってしまったのだという。

2番目のレジの女の人は計算途中のレジを初期化して僕の買い物を受け入れてくれた。そして「どこかに行っちゃったんだわねぇ」と苦笑いしたから僕も笑って「いやっ、どうも」と答えた。

帰社すると製造係のフクダナオブミさんが「三菱シャトルの鍵、貸してください」と事務室に入ってきたので「シャリオだよね? シャトルじゃ宇宙まで行っちゃうぜ」と言ったらフクダさんは「いやっ、どうも」と笑った。

「いやっ、どうも」とは「いや、それはどうも難儀なことでしたね」とか「いや、それは周囲の人が大笑いするのも無理はなかったですね」とか「いや、それはさぞかし上を下への大騒ぎだったでしょう」というような意味をあらわすもので、栃木県以外では茨城県でも常用される。

ところで茨城県のことは知らないが栃木県では擬音や形容詞を強調するのに、その第一母音を変化させる。「ドカン」という擬音が強調されるとき、その第一母音にアクセントが付いて促音化し、また「カ」は長音化する。そして更に「ド」の"O"は"A"と"O"の中間で発音される。

「でかい」という形容詞が強調されるとき、その第一母音にアクセントが付いて長音化して促音化し、更に「で」の"E"は"A"と"E"の中間で発音される。

「いやっ、どうも」を感極まった感じで言うと上記の法則により「いやっ、だんっ」と耳には聞こえ、農協やウチの事務室における僕やフクダさんの発音はまさしくこれだった。「いやっ、どうも」を顔文字で表せばすなわち(^^ゞがもっとも近い。

「いやっ、どうも」は多く笑いをともなう場面において、少々おっちょこちょいなニュアンスを以て使われる。そして僕はこの「いやっ、どうも」という方言というか何というか、それが嫌いではない。


朝飯 ロールパン、ヨーグルト、根菜類のスープ

昼飯 「やぶ定」の白身魚天ぷら蕎麦、ライス

晩飯 秋刀魚の甘辛煮、稲荷寿司、"KIRIN FREE"


 2010.0411(日) 王様の出番

「バンコクではタクシン元首相を支持する赤シャツ組のデモ隊と、それを鎮圧しようとした軍および警察との衝突により日本人カメラマンを含む15名が死亡、負傷者も180名を確認」と伝える朝のテレビニュースを見てから事務室に降りる。そしてシャッターを上げ、暖簾を出したところでバンコク駐在の同級生コモトリケー君より着電がある。

「今回のことについて、日本ではどんなふうに報道してる?」というのがコモトリ君の第一声だった。

昨年の初夏、僕はシェムリアップへ行こうとしていた。ところが降って湧いたような新型インフルエンザによって、その計画を中止せざるを得なかった。「どうってことねぇよ、厚生省とマスコミが走り回ってるだけだ」と鼻で嗤ったら「自分の商売柄をわきまえろ」と人に叱られた。しかし今となってみれば案の定「あの騒ぎはなんだったんでしょうね」である。

そして今年の初夏こそ昨年の雪辱を果たそうと考えていたところに、またまたタイのこの混乱である。シェムリアップへはバンコクを経由して行く。帰りはバンコクに1泊をする。「バンコクにいる900万人のうちの15人が死んでも、残りの899万9,985人は普通に暮らしているんだぞ」と僕が言っても「自分の立場をわきまえろ」と、ふたたび叱られるのだろうか。

コモトリ君によれば外からの圧力によるものか、あるいは自主的なものかは不明ながらタイのテレビ局はきのう以来こぞって報道に規制を敷き、静かにソンクラーンへ滑り込もうとしているしているらしい。

昨年、黄シャツ組のデモ隊はスワンナプーム空港を占拠して、いくつかの国際会議が流れるまでに事態は悪化した。これまでのタイの歴史を見れば、あのあたりがプミポン国王の出番ではなかったか。そして今般の派手なぶつかり合いにおいても、国王の仲裁を待ち望む向きは随分と多いものと想像される。あるいはそれに一番期待しているのはアピシット首相かも知れない。そして無論「国王、なぜ出てこない?」などとはタイのマスコミが報道できるわけもない。

「バンコクへ行っても大した危険はねぇはずだ、しかしマスコミが騒げば昨年同様、無謀なヤツと周囲には言われるだろう、だったらシェムリアップへはホーチミン経由で行くしかねぇか、バンコクの空気は美味いけどな」と思う。


朝飯 3種のおむすび、根菜類のスープ

昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮蕎麦、ライス

晩飯 鮭缶のマヨネーズ和えピーマンのせ、納豆、鍋焼きうどん、芋焼酎「甚七」(お湯割り)


 2010.0410(土) 梅と桜

きのう製造係のフクダナオブミさんが店の前に出してくれたお祭りの赤柱に今朝、「奉祝」と墨濃く書かれた提灯を提げる

庭の様子を見ようとして隠居への道を辿る途中、歩道のアスファルトから顔を出している2輪のタンポポに気づく。タンポポと聞いて人は何を思うだろう。素朴、可憐、けなげなどがその代表だろうか、しかし実際には、タンポポほど手ごわい雑草も珍しいのだ

育ちすぎたもの、ほかの樹に接して大きくなってしまったもの数本は伐ったものの、隠居にはいまだ数種の桜がある。そのうちしだれ桜はようやくつぼみを紅くし始めたところ染井吉野は二分咲きながら山桜は青い空を背景にして充分に花を開いていた。日光ではこの時期、名残の梅と走りの桜が共存する

本来であれば僕も役員だから参加しなくてはならなかった、春の例大祭に向けての町内の縄張りが夕刻に回ってくる。そしてオノグチショーイチ頭、カミムラヒロシさんなどが店舗犬走りの柱に荒縄を張ってくれる

夜はきのうに引き続き居間にいて、吉田類の「酒場放浪記」の録画を観ながら焼酎のお湯割りを飲む


朝飯 ロールパン、ヨーグルト、根菜類のスープ

昼飯 「大貫屋」の上カツ丼

晩飯 マカロニサラダ、焼き鳥各種、「大山甚七商店」の芋焼酎「甚七」(お湯割り)


 2010.0409(金) 啓蟄はとうに過ぎたけれど

家内は数人の社員と共に日本橋の高島屋に出張中。というわけでここ数日は次男とふたりで朝昼晩のメシを食べていた。否、昨夕だけは「寮に帰っちゃうんだから美味しいものを食べさせてやろうよ」とのオフクロの提案に従って3人で"Finbec Naoto"へ行った。

そして本日午前、帰寮する次男を僕とオフクロとで下今市駅まで送る。次男の背はこの夏にも僕のそれを追い越してしまうだろう。

日光市長選挙と日光市議会選挙の不在者投票をしたい、とオフクロに頼まれて駅から日光市役所へ回る。不在者投票のため臨時に配置転換されたのだろう、投票場所には作業着を着た数人の職員がいた。その職員に「あの、1月にね」とオフクロが話しかけはじめたので「言われたことだけ書けばいいんだよ」と横から口を出す。

「自分が本日、不在者投票をする理由は、1月から決めたおいたこれこれの日程により投票日に在市できないからだ、そしてその日程とはすなわちウンヌンであって」というようなことをいちいち聞かせては係に迷惑だ。そして僕もついでに不在者投票をしてしまう。

夜にひとりでいて断酒の計画でもなければ間違いなく飲み屋へ行く。すくなくとも今年の1月まではそうだった。しかし2月からはなぜか夜に外へ出る気がせず、ひとりの晩も家で飲むようになってしまった。今夜もその例に違わず居間にて吉田類の「酒場放浪記」の録画を観ながら焼酎のお湯割りを飲む


朝飯 ロールパン、ヨーグルト、根菜類のスープ

昼飯 「ふじや」の広東麺

晩飯 「ふじや」の焼き餃子、しもつかり、麦焼酎「紅乙女」(お湯割り)


 2010.0408(木) 馬鹿と利口

長男は、小学校の低学年のころには既に日本語の旧仮名遣いやローマ字を読みこなしていた。その長男よりも10年おくれて生まれた次男は国語の音読の宿題を、泣きながらするような文字嫌いだった。だから次男が小学校の4年生に至ってマンガを読み始めたときには「こいつもようやく字を読もうという気になったか」と感慨を深くした。

なにも生産しないという点において、僕は読書という趣味を、そう次元の高いものとは考えていない。しかし本をまったく読まない人間というのもいかがなものか、という認識はある。

よって晩飯どきに「本はぜんぜん読まないの?」と訊くと「すこしは読むよ。『アップルを創った怪物』は面白かった」と言うので僕は大いに喜んで「あぁ、あのウォズニアックの本、ああいうのが好きなのか、よし分かった、最高の1冊があるんだよ」と答えた。

そうして帰宅して即、本の散乱する階段室を、僕としては辛抱強く探索した。見つけようとしたのはスティーヴン・レヴィーの「ハッカーズ」だ。僕がかつて読んだコンピュータ関係の本の中で、これほど面白かったものはない。ところがいくらその手の本を仕分けしても、この「ハッカーズ」だけは出てこなかった。あるいは甘木庵にあるのかも知れない。次男には「かならず見つけて寮に送るよ」と約束をした。

ところでむかし雑誌の"Brutus"の、読書についての特集に「妻に勧めたい3冊、愛人に贈りたい3冊」というような企画があった。ここで「中学生に手渡したい3冊」を選べと言われたなら僕は即、以下を挙げる。

「がむしゃら1500キロ」 浮谷東次郎著 ちくま文庫 \651
「僕の音楽武者修行」 小澤征爾著 新潮文庫 \420
「青春を山に賭けて」 植村直己著 文春文庫 \580

これら3人に共通するものは何かと考えれば、それは「馬鹿」ということに尽きるのではないか。そして「馬鹿」は「利口」の千万倍も魅力的である。


朝飯 ロールパン、ヨーグルト、ホットミルク、葡萄

昼飯 「大貫屋」の湯麺

晩飯 "Finbec Naoto"のカリフラワーのムースと雲丹のコンソメジュレ風アスパラガスと天使の海老のサラダライ麦パン鶏のポワレと春野菜のブレゼ大麦豚のローストブラマンジェ、コーヒー


 2010.0407(水) 日光の桜

今週月曜日に発行したメイルマガジンに「日光地方はいまだ冬景色。桜の咲くのは今月下旬になるでしょう」と書いた。ところがその翌日つまりきのう大谷川の土手沿いを歩くひとときがあり、するとそのあたりの桜のつぼみは既にしてかなり紅かった。

「メイルマガジンに嘘を書いちゃ、いけねぇわな」と考えつつ昨年の日記を調べてみると、ウチの隠居の桜は4月のなかばから咲き始め、おなじ月の末に最後の花が散っている。桜にしては咲いている期間が長すぎるように思われるが、これは異なる種類の樹が複数あるためだ。

まぁ、桜の咲きどきの告知については、そう一喜一憂することもない。なにより日光市は全国で3番目に広い面積を有する市だから、この北の方と南の方とでは、また標高の高いところと低いところでは気温に極端な差がある。

奥日光の桜は多分、来月なかばにその最盛期を迎えるだろう。


朝飯 雑穀パンのトースト、ヨーグルト、牛乳、葡萄

昼飯 「CoCo壱番屋」の野菜サラダ、野菜カレー

晩飯 「あづま」の野菜サラダ、串カツ、カニクリームコロッケ、メシ、大根と胡瓜のぬか漬け、漬物、豆腐とワカメの味噌汁、日本酒(燗)


 2010.0406(火) "Tweety"

雲か霧かは知らないが、山の湿り気がそういうものに姿を変えて朝、一斉に空中に放たれている。今日は随分と暖かくなるらしい

試食を準備する係、掃除の係などがほかの社員に先がけて出勤をするころ、日光街道と会津西街道の交差点で信号待ちのクルマにビラを配る人の大勢いるのは、春の交通安全週間の、今日が初日だからだ

その、市役所の職員やボランティアの方々がウチの駐車場から撤収するころ、ウェブショップに使うため、昔の看板と"Tweety"のフィギュアを外のベンチに並べて写真を撮る。

ウェブショップから商用ツイッターへのボタンは5月のなかごろに設置しようと考えていたが、ここ数日で「早い方が良い」と考えを改めた。作業がサクサク進めば"Tweety"のボタンは明日にでも、ウェブショップの目立つところにはめ込まれるだろう


朝飯 しもつかり、塩鮭、納豆、メシ、野菜スープ

昼飯 「大貫屋」のキムチタンメン

晩飯 カレーライス、生のトマト、"KIRIN FREE"


 2010.0405(月) 空中戦

2005年の夏、「衆議院選挙」「栃木県」とGoogleに入れてトップにヒットしたペイジからある候補者のサイトへ行こうとしたら、どうしてもドイツのエロサイトに飛んでしまう、ということがあった。「これはとんでもないことが起きた」と恐れおののいて地元の新聞などにも目を通したが、世間は平穏そのものだった。

それから8日も経ってようやく、当該の候補者の名前と共に「HPがアダルトサイトに直結」のニュースがウェブ上に出た。ニュースは更に「以前に使用していたHPアドレスは、その後、アダルトサイトを運営する会社が買い取ったとみられる」と続いていた。

僕がもっとも問題と考えたのは、国会議員を目指して選挙に立候補したこの人が、自身のウェブペイジにまったく目を通していなかった、というところだ。アクセスだけでもしていれば、自分がこれまで使用してきたURLの先で白人の男女が裸で押し合いへしあいしていることも分かったはずだ。「なにやってんだ、まったく」である。

民主党は夏の参議院選挙を視野に入れて、ウェブ上における選挙活動の一部解禁を目指しているという。

これが実現すれば、政治家としては大したことがなくても大量の票を得る候補者が出てきそうな気がする。また過去に実績のあった、そしてこれからも篤実な政治家であり続けられたであろう候補者が落選の憂き目を見る可能性も、ないことではない。

国会議員は、実際の人物はどうあれ知名度だけはある。知名度があればウェブ上で検索される機会も多いだろう。しかし名を知った代議士のウェブペイジを見てみれば「後援会の何とかちゃんが片手間に作りました」という風情の寒々しいものがほとんどだ。

いやしくも国政に連なる者であれば、いや、代議士だろうが村会議員だろうが、ひとたびウェブペイジを持とうとするなら専門家の智恵と手を借りるべきだ。「自分のドメインくらい取れよ」とも言いたい。


朝飯 玉子の雑炊、すぐき、じゃこ、梅干

昼飯 焼きそば

晩飯 たらこのスパゲティポテトサラダ椎茸のオリーヴオイル焼き、イチゴ、"KIRIN FREE"


 2010.0404(日) そういう旅行

春休みの入りばなには次男が友達を連れてきた。そしてきのうは長男が友達を連れてきた。そういうときには風呂は広いほうが気持ちよかろうと、ちかくの温泉に案内をする。

中学生のころ何かと登り降りした茶臼山のふもとに「長久温泉」はあり、ここがウチの最寄の温泉である。むかし茶臼山から見おろしたときには田んぼばかりだったところがいまは住宅地になり、そこに温泉も出ている。「ここいらへんは、掘ればそれこそどこでも温泉は出るよ」と聞いたことがあるが、それは本当だろうか。

安く清潔な旅館に片どまりし、昼は入浴料数百円の温泉で本を読み、夜は地元の信頼できる人に教えたもらったメシ屋でお酒を頂戴する、そして物見遊山はしない。「そういう旅行がしたいっすねぇ、オレも」と思う。


朝飯 スクランブルドエッグ、ソーセージ、生のトマト、レタスのサラダ、ソーセージ、4種の果物、紅茶

昼飯 納豆キムチチャーハン

晩飯 「魚登久」の肝焼きうな重アイスクリームと果物「片山酒造」の粕取り焼酎「粕華」


 2010.0403(土) 高級車

先月の12日に長男と神保町の「家康本陣」で飲んでいたら店の前に、良く磨かれた、クロームの目立つ黒塗りのクルマが停まった。

小さな串焼き屋とそのクルマとの関係を奇異に感じたのか、あるいはちと揶揄の気持ちが勃興したのか、しかしいちいち自分の心の中を分析しているわけではない、とにかく僕の口からは意図せず「お、高級車」ということばが漏れた。

先に来て待ち合わせていたらしい女の人と長男のあいだに座ったその男の顔は見なかった、彼らの会話に聞き耳を立てることもしなかった、何より当方はそのとき飲み食いに集中をしていた。

それから数日すぎて長男が「この前の高級車の人、店でツイッターやってたから後で検索したら、鳩山邦夫の元秘書だったよ」と言うので僕は「あ、そう」とだけ返事をした。「自分の関心の他」というやつだ。

それでも本日「鳩山邦夫 元秘書 家康本陣」とGoogleに入れたら特定の人物に行き着いた。そして場所を選ばず気楽につぶやいていると、それが後々面倒のタネになることもあるのではないか、ということを僕は考えた。テレビに出るような人は特に、要注意である。


朝飯 しもつかり、煮いわし、納豆、すぐき、メシ、豆腐と油揚げと長葱の味噌汁

昼飯 カレーライス、エクレア

晩飯 三つ葉のおひたし、たぐり湯波の薄味炊き、肉豆腐メダイの煮魚メロン、「斎彌酒造」の「雪の茅舎大吟醸」(冷や)


 2010.0402(金) エクレアが好きなんです。

神保町の交差点ちかくの店のものだという、縁付きの鯛焼きを"Computer Lib"のヒラダテマサヤさんが買ってきてくれたため、これで脳に糖分を補給しつつ17時すぎまで仕事をする

神保町から大手町を経由して北千住に達すると時刻は17時50分だった。その20分後に出る下り特急スペーシアには充分間に合うが、折角なので飲んでいくことにする。

「加賀屋北千住店」はいつも混んでいる。それが今日は金曜日のため、なお混んでいる。カウンターの、指定された左端に着き、燗酒を飲みながら「ブガッティ・クイーン」を読む。

カウンターの左端付近は床が外へ向けてすこし傾斜しているから、丸椅子の座り心地はあまり良くない。しかしこの席には目の前に電波時計がある。だから電車の時間を気にしながら飲むときに限っては、ここもなかなか悪くはないのだ

そして18時50分に勘定をして西口のロータリーに差しかかったところで「特別警戒中ですので、荷物を検査させていただいてもよろしいですか」と若い警察官に質問をされる。「馬鹿だなー、オレみてぇなヤツを叩いてもホコリは出ねぇよ」と思いながら口では「もうすぐ電車が出るので手早くやってください」と言う。

酒の勢いも手伝って、"PAUL"でエクレアを12本も買ってしまう。そして19:11発の下り特急スペーシアに乗り、21時前に帰宅する。


朝飯 「富士そば」のカレー南蛮蕎麦、ライス

昼飯 「野らぼー」のあつあつ、鶏天

晩飯 「加賀屋北千住店」のあれこれ、「古澤酒造」の「天風辛口」(燗)


 2010.0401(木) 桂花陳酒

夕刻に仕事仲間たちと外へ出る。そして神保町の交差点を渡り、路地に入っていく。

長大な指示書に則った作業は明日までに終えることができるだろうか。突如として始まる議論、拙速を嫌う僕の性格などにより、その一部は後日に持ち越される可能性もある。

「さぼうる」並びの中華料理屋「徳万殿」で「なんだ、だったら最初からボトルで取っちゃった方が安かったじゃねぇか」というほどハットリヒロシさんが桂花陳酒をお代わりしても、彼には現在、社運を賭けた仕事をお願いしているから黙っている

仕事仲間との晩飯に際して500円を集めるのは「いつもオレが奢っているんだぞ」という傲慢な気持ちを僕が抱かないための予防措置だ。そして3人から500円を集めれば、その3分の1で明日の朝飯がまかなえ、残り3分の2は夕刻の酒の足しになるからすこしトクをした気分にもなれる。

一行と別れて金華通りに入ると、お茶の水小学校の桜はほぼ満開だった。きのうの池袋の桜はいまだ三分咲きだった。おなじ染井吉野でも、場所によって随分と開き方の異なることを知る。

山の上ホテルの裏を抜けて19時30分に甘木庵に帰着すると、長男は僕が昨年チェンライで買ってきたメンダーのナムプリックで鶏肉とベイジルを炒めていた。その爽やかな香りがメンダーのものなのか、はたまたベイジルのものなのかは分からない。


朝飯 「小諸蕎麦神保町店」のかき揚げ蕎麦、ライス

昼飯 「カレーショップボーイズ」からテイクアウトしたハムピラフ、アチャール、コンソメスープ

晩飯 「徳万殿」の焼きそばキクラゲ炒めウズラの玉子煮、ほかあれこれ、「真露」(お湯割り)