朝4時30分に起床する。
事務室へ降り、ウェブショップ の注文確認、必要なメイルの送付、きのうの日記の作成など、ひととおりのことをする。
朝4時に起床する。廊下に出ている少なくない量の家庭ゴミを、とりあえず玄関まで降ろす。
ウェブショップ の注文を確認する。注意を要するものについては、「ご注文御礼」 に添えるべきひとことをメモにして、コマバカナエさんの机上へ置く。
短くて済むメイルを書き、きのうの日記を作成する。
大きめの台車で家庭ゴミを日光街道沿いまで運ぶと、隣のカトウヨシハルさんが顔を見せる。
「今日もゴミ、出せるんですか?」
「いやー、どうでしょう、出せないんですか?」
「出せるんなら、ウチも出すんだけど」
「オレもちょっと、調べてみます」
「調べてみます」 とは言ったものの、市の広報紙が部屋に残っているわけではない。
とりあえず自宅へ戻り、オニギリによる朝食を済ませる。口を濯ぎながら洗面所の窓を開けると、今日も山は晴れている。
7時30分に、向かいのハガエイスケさんの家へ行く。
「すいません、朝はやくに。今日はゴミ、出せるんですか?」
「あ、今日はもう、ゴミは出せませんよ」
台所らしい奥から出てきたハガエイスケさんの奥さんが、確定的なところを教えてくれる。
ふたたび日光街道まで台車を押す。いつの間にか出ているカトウヨシハルさんの家のゴミも含めて、味噌蔵の裏手の、ウチの会社から出た可燃ゴミを置く場所まで運ぶ。
今日はたまたま契約しているゴミ収集業者の来る日にて、事なきを得る。
製造現場は、今日が仕事納めになる。店舗は明日も開けるため、最後の荷造りは僕が行うことになる。手にアカギレがあると、なにかと不便だ。キーボードが打ちづらくなるのは忌々しいが、5本の指に、広島県にある何とかという製薬会社の軟膏ハクシンを塗り、バンドエイドを巻く。
ウェブショップを運営していると、そのシステムについて、当方からも顧客からも、「ここのところが、こうなったら良いのに」 という欲求が、次々と出てくる。そのいくつかについては、1月9日の朝から、"Computer Lib" にてヴァージョンアップをすることにしている。
同社の中島マヒマヒ社長あてに、作業内容を箇条書きしたメイルを送る。数時間後に、「これはできる」 「これはできない」 「これには別途、料金がかかる」 というような返信が届く。
好きな仕事の計画が、ビンゴ倒しのように次々と固まっていく課程を、大いに楽しむ。
終業後、東武日光線下今市駅にて、正月早々に使う切符を手配する。かなりの列車で、空席が少なくなっている。今日のうちに駅へ来て良かった。
家族4人で、「大昌園」 へ焼肉を食べに行く。
テイブルに座ったまま手の届くところから、自分のボトルを取り出す。
「ねぇ、なんだか今日は、煙たくない?」 と、家内が言う。「今日は客が多いんだ」 と、僕が答える。隣のテイブルの人が、そのやりとりを聞いて笑っている。
オイキムチ、モヤシナムル、タン塩2人前、カルビ2人前、レヴァ刺し2人前、コブクロとホルモン、ビビンバ1人前。
更に、タン塩、コブクロ、ホルモン、オイキムチを1人前ずつ追加し、テグタンラーメンにて締める。
長男がひとり加わっただけで、焼肉屋の払いが通常の倍になる。
帰宅して入浴し、9時に就寝する。
朝4時に起床する。事務室へ降り、いつもの仕事や、いつものよしなしごとをする。
ウェブショップ から 「年内の商品到着は間に合うか?」 との注文が複数、入っている。「間に合います」 との返信が送れることを、嬉しく思う。
これにあわせて、ウェブショップのトップに
「12月31日・昼12時までのご注文につきましては、その日の出荷が可能です」
「なお初荷は、1月4日になります」
との文言を入れて更新する。
朝飯は、ハクサイの浅漬け、あぶったダシアゴ、すぐき、牛肉のそぼろ煮、ホウレンソウの油炒め、納豆、メシ、豆腐とミツバの味噌汁。
すこし前に届いた正月飾りは、水引によって固定されたミカンが腐らないよう、寒い場所へ保管しておいた。その数がしっかり揃っていることを、念のために確認する。
社員たちは社員たちで、あちらこちらの引き戸を外して水拭きをしたり、換気扇を洗ったりと、年末の仕事を効率よくこなしている。
日中は、事務室、店舗、袋詰め部門、製造現場、駐車場と、あちらこちらを回る。年末もここまで押し迫れば、客足も、そう多くはない。
日も傾きはじめるころ、日光の安売り酒屋へホンダフィットを走らせる。オールドパーの1リットル瓶を4本、入手する。帰社してそのうちの3本を荷造りし、家内の父への歳暮とする。残りの1本は、当然のことながら、自分のために確保する。
あしたの晩は焼肉をコッテリ食う予定にて、今夜はカスピ海ヨーグルトとイチゴのみを摂取する。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝4時に起床する。昨夕は雪雲の来襲を憂えていたが、洗面所の窓を開けると、空一面に冬の星が見える。胸をなで下ろして事務室へ降りる。
机に向かって2時間ほども諸々をこなしているうちに、強烈に腹が減ってくる。
何年も前に、半日コースの人間ドックへ入ったことがある。そのコースには、健診を受けるすべての人間がホールへ集って行う、医師との質疑応答コーナーが設けられていた。
「朝、どうにも食欲が湧かなくて、食事を抜いちゃうんですよねぇ」
「目が覚めてすぐに食卓へ向かう? 食事の2時間前に起きてください。そうすれば、食べられます」
この程度の受け答えなら僕にもできるが、医師が説明をするというところに、この手の問答の価値はある。
7時すぎに自宅へ戻って、ふたたび洗面所の窓を開ける。山が晴れている。
お茶漬けのために準備された すぐき、ハクサイキムチ、昆布の佃煮、牛肉のそぼろ煮、あぶったダシアゴ をおかずにして、メシ2杯をよく噛んで食べる。
顧客用の女子トイレを掃除していたケンモクマリさんが、「水を流すそばからトイレの外が凍るため、凍結防止用の塩を撒いて良いか?」 と訊いてくる。「そんなことは、自由にやってください」 と答える。
顧客用男子トイレを掃除しているタカハシアツコさんが、「便器の水が流れない」 と言ってくる。ヤカンに沸騰したお湯を運び、あちらこちらの水道管に、これを注いで回る。
毎年12月28日には、僕が神棚とお稲荷さんの掃除をすることになっている。先ずはお稲荷さんから手をつけようと、外の蛇口をひねると、ホースの中が凍って水が出ない。きのうのうちから準備をしておくべきだったと反省する。
日なたにホースを長く延ばし、中身を溶かすことにする。
事務室へ戻り、神棚の掃除を始める。
普段だと、このような作業は、誰かが手伝ってくれることになっているが、今日は朝から注文が多く、事務係が席を立てない。そのうちに僕も、掃除から手を離して、受注作業へ借り出されることになる。
門松も整った。あとは店内の決められた場所に、決められた正月飾りを置いていくのみだ。しかしながら電話やファクシミリにさえぎられて、なかなかそれに取りかかることができない。
午後、
鄙
には
希
なお菓子屋 「久埜」 から届いた鏡餅を諸所に飾るのみにて、正月の準備は明日に持ち越された。
終業も間近になって、12月初めからのギフト受注高が、昨年のそれを超えたことを知る。残された3日間にどのような結果が出るか、それは分からない。
家族の忘年会ということなのか何なのか、6人で "Fin Bec Naoto" へ行く。
無濾過の、瓶の中に踊る澱の見える "Vouvrey La Moustille Thierry Nerisson 1999" を飲みながら、毛ガニのムースやらスモークトサーモンやらタラのムニエルを食べる。
フランボワーズのシャーベットとイチゴのエクレアにて、今夜のメシを締める。
テレビは普段、朝のニュースを時計がわりに眺めるくらいだが、入浴後に床へ付いていると、隣の部屋からNHKの 「プロジェクトX」 で、浅間山荘事件を取り上げているらしい音声が聞こえてくる。
寝室から出て、テレビの前へ行く。この番組を見るのは初めてだが、なかなかに面白い。
10時30分に就寝する。
少し寝過ごして、4時30分に起床する。それでも昨夜の就寝が0時だったことを思えば、早い目覚めだろうか。
事務室へ降り、ウェブショップ の受注確認に続いて、きのうの日記を作成する。
朝飯は、すぐき、牛肉のそぼろ煮、刻み昆布の薄味煮、ブロッコリーの油炒め、納豆、焼いた厚揚げ豆腐と大根おろし、メシ、豆腐とワカメと長ネギの味噌汁。
昨夕、八丈島の知り合いから届いたストレリチアには、即、家内が水上げを施した。これを店舗に飾ろうと花器を探すが、なかなか頃合いのものは見つからない。ようやく、4階エレヴェイター前の飾り棚に置かれた緑の壺に思いが至る。
ストレリチアと極楽鳥とは、別の植物なのだろうか。とにかくその花の朱色と葉の深緑、それに苔緑の壺は、木の色の店内に、しっくりと収まった。
壺のまわりには、「注甘露法雨 滅除煩悩焔」 と、誰かに読ませてやりたい観音経の一節が浮き出ている。
クリスマスも過ぎて、仕事の量はようやく落ち着いてきた。
10年以上も重宝して着続け、うっかり水洗いをして縮んでしまったものは長男へ与え、同じ緑色のものを購入して愛用してきたシェラデザインのマウンテンパーカが、どうしても家の中に見つからない。気の進まないことだが、神保町の 「さかいや」 がこれを半額以下で売っていることを知り、発注する。
間の悪いことに、僕が1981年に買った "KARRIMOR" 社製サブアタックザック "pinnacle" の、1950年代モデル復刻版を、同じペイジに発見する。これもあわせて、買い物かごへ入れる。
自由学園の同級生ウエキコウタ君の会社 "Honest" から、アイスクリームが6セット届いていた。これの支払いをする。大阪の 「古潭老麺」 から、ラーメンが20人前、代金引換にて届く。
こうして来春の経済的困窮が、徐々に近づいてくる。
午後、自宅へ戻って洗面所の窓を開けると、日光の山は霧降高原の裾を残して、すべて雪雲に覆われている。山に降る雪が風によって里まで飛ばされてくる風花が、ちらちらと舞っている。
雪には、ヒマになる年明けを待って、降ってもらいたい。
7時をすぎて、ウズラ豆、刺身湯波、千枚漬を肴に、焼酎 「鬼火」 を飲む。本日、7歳の誕生日を迎えた次男の提案にて、タシロケンボウんちのお徳用湯波とマイタケの鍋に、豚肉とミズナを投入する式の 豚シャブを作る。
僕は次男の誕生祝いとして、キックボードを送った。これは今月18日の本酒会において、「ぐい飲み箱の工作品評会」 の1等賞品として得たものだ。
「これ、どこで買ったの?」
「買ったんじゃなくて、もらったの」
「買ったんじゃないの?」
「買ってはいませんが、自分がもらったにもかかわらず、それを子どもに上げるという、僕の気持ちを、買ってください」
などと、ワケの分からないことを言う。
メシに豚シャブのダシをかけ回して食べると、これがまた美味い。"Chey Akabane" のイチゴとチョコレイトのケイキも上出来だった。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝4時に起床する。
きのうから雪の予報が出ていたため、洗面所の窓を開けて外の様子をうかがう。北西から、強い風が吹き付けている。直線距離にして8Kmほども離れている、霧降高原の 「メルモンテ日光」 の灯りが見える。とりあえずは安心して、窓を閉める。
事務室へ降り、ウェブショップ の受注確認、顧客へのメイルの送付、きのうの日記作成などをする。
朝飯は、すぐき、マグロのヅケ、ピーマンの油炒め、鶏ささみとキュウリの胡麻ドレッシング、刻み昆布の薄味煮、納豆、ナスの煎り煮、メシ、シジミと長ネギの味噌汁。
午前中、来年1月に行われる、本酒会 親睦旅行への参加がなかなか決まらないクワカドシュウコウ会員に、意志決定をうながす電話を入れる。
「旅行、行けますか?」
「行けると、思うんですけど」
「切符、買っちゃってもいいですか?」
「いいと、思うんですけど」
「その後で旅行を中止すると、キャンセル料がかかりますけど」
「大丈夫だと、思うんですけど」
畳みかけるような早口で話す僕よりも、クワカドシュウコウ会員の方が、育ちが良く見えることは否めない。
早速、JR今市駅へ向かう。飲み込みが早くてテキパキとしている、僕の好きなオジサンがいない。飲み込みが悪くてテキパキとしていない、旧国鉄時代の化石のようなオジサンが、窓口に座っている。
今市から米沢経由で村上へ至る1日目、村上から新潟へ移動する2日目、新潟から大宮経由で戻る3日目。この旅程表を、オジサンに手渡す。
「時間がかかるようなら、また来るけど」
「いや、大丈夫」
5人分の切符を手にしたのは、寒々しい待合室に入ってから30分後のことだった。
帰社して切符をあらためると、村上から新潟へ移動する際の特急券が無い。JR今市駅に電話をする。
「村上から新潟へ行くときの、特急券が無いんだよねぇ」
「自由席でいいって言うから、特急券は出さなかった。あっちでも買えっから」
「行く先々で切符を買う面倒を避けるために、まとめて頼んでるんだからさぁ」
「あぁ・・・」
ふたたびJR今市駅へ行き、5枚の特急券を買う。
1枚1枚の切符を見ながら、交通費の一覧表を含む、最新の旅程表を作成する。
定時をすこし過ぎて店を閉める。今日のギフト受注高も、昨年同曜日の記録を抜いてきた。「よし、行けっ!」 と思う。
7時30分より、本酒会の旅行に参加する5人が 「市之蔵」 に集まる。各自に旅程表を手渡す。切符は紛失を避けるため、僕がまとめて持つことになった。
イチモトケンイチ会長が、外れた "LOTO6" の券になにやらボールペンで書き込みをしながら、今後の対策を練っている。
「これが当たったらよ、旅費は全部、俺が出すから」
そんなことよりも僕は、今日、僕がJR東日本に支払った10数万円を、早く返してもらいたい。
燗酒を飲み続けていたため、最後は生ビールにて締める。気が付くと、壁に寄りかかって眠っている。9時15分になっている。精算を済ませ、僕だけが先に席を立つ。
次に気が付くと、事務室の椅子に座って眠っている。時計が10時を指している。
自宅へ戻ると、家内は社員の給与を封筒に詰めていた。長男は、今日、彫り上げたばかりの木版で、年賀状を刷っている。ソファに座って、ヨタ話を始める。
気が付くと、そのソファで眠っている。11時を過ぎている。またまた気が付くと、風呂の中で眠っている。
ようやく風呂場を出て、0時に就寝する。
朝2時に起床する。普段の僕にとって、理想の起床時間は何時だろう? 1時では文句なしに早すぎる。4時では寝過ごしの感を否めない。3時、というあたりが妥当だろうか。
きのう、僕の寝入りばなに長男が、寮から1枚だけ持ち帰ったCDをかけた。4拍子のベイスランニングに、ピアノとヴァイブラフォンがモダンに絡む。幾種類ものサックスが精密に音符を追って、怪しげなシンコペイションを展開する。フリューゲルホルンに次いでテナーサックスが、才気の過ぎない、あんばいの良いソロをとる。
僕はそれを聴きながら、チャーリー・ミンガスの 「直立猿人」 と、ガウディの建物に取り付けられた鉄の扉、それから、銀座旋風児の二階堂卓也が螺旋階段を降りてくる、いにしえのキャバレーを同時に思い浮かべ、そしてすぐに寝入った。
薄暗がりの中でこのCDを手探りし、それを持って部屋を出る。事務室へ降りながらジャケットを見て、「なんだよ、これかよ」 と、驚く。それは、僕が 「澤野工房」 のウェブペイジでさんざん目にした、
朝3時に起床する。冬至を越えて以来、早起きができるようになった。
事務室へ降り、きのうハワイの友人から首尾良く届けられた "TAKE6" の "We wish you a Merry Christmas" を聴く。
5曲目の "The Christmas song" で、三連符をキープするハイハットが最高にカッコイイ。ファルセットヴォイスを使っているのは、誰だろう?
6曲目の "Have yourself a Merry little Christmas" で、スキャットのコーラスをバックに、スティーヴ・モーリスのような声とイディオムで歌っているのは、誰だろう?
7曲目のイントロダクションのギターは、アール・クルー? まさかな。
いろいろなことを考えながら、いろいろなことをする。
ウェブショップ の受注確認をして、2、3のメイルを書く。
きのうセブンイレブンでカラーコピーしてきた旅行雑誌の切り抜きを台紙に貼り、春の社員旅行のポスター兼説明書きとして、これを会社の掲示板に磁石で留める。
紙の本酒会報を作成し、料金別納郵便とする。最後に、きのうの日記を整えて、サーヴァーに転送する。
朝飯は、ジャコ、キャベツとソーセージの油炒め、千枚漬、納豆、ダイコンの塩漬けユズ風味、たらこの昆布巻き、メシ、ワカメと宮ネギとお麩の味噌汁。
きのうの4時すぎに注文の電話がピタリと止まった反動か、今日は伝票処理が間に合わないほどの繁忙に見舞われる。それに対して荷造りの現場では、朝から3人、次いでひとりを投入し、今日受けた注文を今日のうちに出荷するという、通常の納期に迫ってくる。
事務室から現場へ、頻繁に発送伝票が運ばれる。
終業ちかく、ふたりの事務係に 「クリスマスにも残業をしますか?」 と訊くと 「いいえ、今日は帰ります」 とのことにて、僕も6時30分に事務室を引き上げる。
"Chablis Premier Cru Les Vaillons BILLAUD-SIMON 1999" を抜栓する。
その刃の長さにより、日本での販売が禁止されてしまった "GERBER" のアーモンドナイフ "MUSKIE" を、食器棚の1番下から取り出す。これにて 鶏の丸焼きを解体する。
国立にあるドイツパンの店 「シュンタ」 のシュトーレン に、"neu franc" のミートパテを載せて食べる。抜いたばかりの、上出来のシャブリを飲む。ホタテ貝とトマトと何とかセロリのサラダを口へ運びながら、更にシャブリを飲み進む。
夕刻、イチモトケンイチ本酒会長が届けてくれた、彼のお母さん特製のピザも食べる。
締めは、"Chey Akabane" の ブッシュドノエル。
6歳の次男は、あちらこちらから届いたプレゼントに夢中で、メシを食うどころではない。17歳の長男が、それを見ながらニヤニヤしている。
静かな正月は寂しいが、静かなクリスマスは悪くない。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝2時に起床する。
綿100%とばかり思っていたシャツや靴下には、幾分かの化学繊維が含まれているらしい。それらが僕のサンドペイパーのように荒れた手とこすれあって、闇の中でパチパチと、静電気による黄色い光を発している。
居間の片隅に置いた小さな冷蔵庫から、牛乳のパックを取り出して飲む。部屋の明かりは点けていない。冷蔵庫の豆電球が、半径1メートル以内を、薄く照らしている。
事務室へ降り、コンピュータを起動する。メイラーを回すと、パスワードを知っていれば誰でもブラウザから受注できる注文と、僕しか見ることのできない、メイルによる注文が混在して入っている。その、メイルによる注文のみを、伝票化する。
4時すぎ、シャッターの外に、朝日新聞のオートバイが停まる。三輪タクシーの吐き出す甘美な排気ガスが満ちるバンコック中華街の午後6時、というような香りは、聞こえてこない。
来年の1月には、なにかと外へ出る機会が多い。数えてみると、あちらこちらに少なくとも7泊8日はするようだ。これに必要な衣類その他を一度に甘木庵へ送ってしまおうかと考え、そのリストを作る。作るとはいえ、この手のデイタは マイツールに保存されているため 、その数量を少しいじれば完了となる。
きのうの日記を作成し、自宅へ戻る。街には朝の光があふれているが、日光の山は雲に閉ざされたままだ。いさみや豆腐店から上がる湯気のまわりを、ハトが飛んでいる。
朝飯は、ホウレンソウの酢味噌和え、ダイコンの塩漬けユズ風味、納豆、ジャコと大根おろし、生のトマト、メシ、豆腐とワカメと長ネギの味噌汁。
12月の店舗は静かだ。そのかわりギフトの受注と出荷にて、事務室と製造現場は常に忙しい。
荷造り係は午後3時すぎから、きのうの受注伝票に手をつけはじめた。あしたは店舗に掲示した納期のお知らせを、
「到着まで3、4日」 から 「2、3日」 にしようと考える。
午後4時すぎ、注文の電話とファクシミリが、ぴたりと沈黙をする。「毎年、クリスマスを越せば仕事は楽になる」 ということは経験から知っているが、今日はまだ23日だ。「すこし早すぎやしねぇか?」 と思う。
終業後、今月18日に開かれた第115回本酒会の会報を作成し、メイルアドレスを持つ会員にメイルマガジンとして送付する。同じく本酒会のウェブペイジを作成するのに、どれほどの時間がかかるものか、時計を見ながらタグを書く。
朝5時30分に目を覚ます。あるいは、朝5時半になるまで目が覚めない。即、起床して事務室へ降りる。
ことし7月の起床時間を調べると、2時台、3時台が長く続いている。日の出の早さを、僕の中の動物的なところが感知していたのだろうか? 今日は冬至にて、明日からは徐々に、起床時間も早くなるやも知れない。
いつもの朝の仕事をこなし、きのうの日記を短めに仕上げる。
北の山の向こうにだけ、かろうじて狭い空が見える。それ以外、天球はすべて、厚い雲に覆われている。
朝飯は、納豆、ジャコと大根おろし、ハクサイキムチ、ホウレンソウの油炒め、キュウリのひしおマヨネーズ和え、メシ、ダイコンとワカメの味噌汁。
9時をまわって客足も増えてきたため、ホンダフィットを店舗駐車場の端から、更に端へと寄せる。どちらからいらっしゃったお客様だろうか、クルマのバンパーからシャーベット状の雪が、ガサリと落ちる。
暗うつな空、冷たく湿った空気。着ぶくれた老人が、白い息を吐きながら、うつむいて歩いていく。ダークダックスだかボニージャックスだかデュークエイセスだかが歌っていた、ロシア民謡を思い出す。
こういう日には、焦げ茶色の柱と白い漆喰の壁を持つ、吹き抜けの二階席まで石油ストーヴで温められた古い喫茶店でジャム入りの紅茶を飲むと、断然、冬の憂愁が増して良い。この憂愁とは、薄い楽しさを伴うたぐいの憂愁だ。
しかしながら当方に、冬の憂愁を楽しんでいるヒマは無い。事務室、店舗、包装部門、製造現場に、何度も足を運ぶ。ときおり店の外へ出ては、駐車場の吸い殻を拾う。
夕刻、包装部門のサイトウヨシコさんに、「今年も何とか、越せそうだなぁ」 と話かける。「そうだねぇ」 という返事が戻る。
「何とか年が越せそうだ」 とは、「何とかキャッシュが間に合った」 という、ヒリついた意味のものではない。「何とか売り切れを出さずに、新しい年を迎えることができそうだ」 という、同じ会社で仕事をする者としての、共通の認識だ。
17歳の長男が、シェラデザインのマウンテンパーカを着て、5時前に帰宅する。
7時を過ぎて、"Chablis Premier Cru Les Vaillons BILLAUD-SIMON 1999" を抜栓する。
ポトフの鍋で温められ膨張した "neu frank" のソーセージに歯を入れると、口の中に溢れるスパイスの香りから、20年前に歩いた、マドラスの夜の路が思い出される。
「似て非なる物」 とは、本物に対して優れないものを指す慣用句だろうか。"neu frank" のコンビーフは、それとは逆の意味での 「似て非なる物」 だ。
トマトとキュウリとレタスのサラダを合いの手にして、上出来の白ワインを更に飲み進む。
中禅寺のワイン屋さん 「モンマートはしもと」 のご主人が、「ボジョレヌーヴォーを買ってくれたお礼」 と持ってきてくださった、同じく中禅寺にある "フゥ・ド・ボワ"のパンを、僕としては大量に食べて、メシを締める。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝4時に起床し、事務室へ降りる。
ウェブショップ の受注確認、アクセスログの マイツール への保存、メイルの送受信など、いつもの仕事をこなして後に、きのうの日記を作成する。
朝飯は、タシロケンボウんちのお徳用湯波とミツバの雑炊、ジャコ、アサリの佃煮、ハクサイキムチ、甘塩鮭。
今日は事務係のコマバカナエさんが休みのため、ウェブショップの受注作業は、僕が行う。ふたつのブラウザ、それにマイツールとメイラーを同時に立ち上げ、それらのあいだを行ったり来たりしながら、仕事をする。
「それにしても、便利な世の中になったものだ」 という、老人の感懐のようなものを憶える。
朝から、空はまるで英国で 「ラグビー日和」 と呼ばれるような暗さを保っていた。昼ごろから、冷たい雨が降り出す。「雪にならなければ良いが」 と思う。
荷造り係は本日の午後に至って、受注からお届けまでの納期を、ようやく3、4日に縮めてきた。
終業後、繁忙の家内に代わって買物へ出かける。今夜、自分が食べたいものを頭に描きつつ、スーパーマーケット 「かましん」 の冷蔵ショウケイスから、いくつかの品を選ぶ。
帰宅して、ガラスの猪口でノイリープラットを2杯、飲む。その後、分厚いコップに、"Beaujolais Nouveau Jean Saint-Honore 2002" を注ぐ。
エノキダケとトマトのオリーヴオイル炒め、ヤリイカの、これまたオリーヴオイル炒め、アジとズッキーニの、またまたオリーヴオイル焼き。
胡麻のパンに "Saint Andre" のチーズをこってりと載せて、今夜のメシを締める。
8時30分に入浴し、牛乳を飲んで、9時30分に就寝する。
目を覚ますと、いやに外が明るい。「雪だろうか?」 とも思ったが、その気配は無い。洗面所へ行って窓を開けると、西の空に大きな月がある。
僕のおばあちゃんは月を見ただけで、「今日は旧暦の何日か?」 ということが分かる。僕には今朝の月が、満月の少し前のものなのか、少し後のものなのか、ということすら認識できない。
事務室へ降り、コンピュータのスイッチを入れる。夜のあいだに、携帯電話へ多めの注文が転送されてきている。メイラーを回して、その内容を確認する。
きのう家内が、"Chey Akabane" のケイキを買ってきた。この画像を用いて、ウェブショップ に設けた 「街の美味しいもの屋さん」 を更新する。
朝飯は、トマトとツナのファルシーサラダ、焼いた油揚げと大根おろし、シュンギクの酢味噌和え、納豆、ハクサイキムチ、メシ、豚汁。
日中、所用にて宇都宮の郊外まで出かける。帰途、「たまき」 へ寄って、新年に店へ飾るための 「羊」 の色紙を買う。
午後、ときおり荷造り現場へ足を運んでは、作業の進捗を確かめる。ギフトの受注は、事務係が残業をする必要のないところまで落ち着いてきた。しかしいまだ、今日の注文をすべて今日中に伝票化することはできない。
晩、カスピ海ヨーグルトとイチゴを摂取する。
廊下にはいつの間にか、食べられるものだけを取り付けたクリスマスツリーが飾られている。
夕食後に感じた眠気が、8時30分の入浴により、プッツリと途切れる。10時すこし前に就寝する。
朝5時に起床する。事務室へ降りて、コンピュータを起動する。
メイラーを回すと、同じ顧客から複数の注文が入っている。これは、それぞれのお送り先に対して、「ご注文受け付けペイジ」から、最後の 「ご注文確定ペイジ」 まで、必要事項の入力を繰り返しながら、何度もグルグルと回っていただいたことを示している。
"Computer Lib" の受注システムでは、ひとりの顧客が複数の相手へ向けて商品を送るとき、その商品が同じものでなければ、これを受け入れることはできない。
複数の送り先に対して同じ商品しか送ることのできないシステムでは、ウチの場合、あっても仕方がないことから、これをウェブショップに装備することはしなかった。
そのため、トップペイジには
・ お送り先リストを "Excel File" など、お手持ちの住所録にてお送りください。弊店にて 「お届け伝票」 を作成します。
・ リピーターのお客様は、どうぞ eメイルにて、お申し付けください。
という一文を載せているが、できることなら、ひとつのペイジで 「複数のお送り先」 へ、「それぞれ異なる組み合わせの商品」 を申し込むことのできるシステムが欲しい。
早速、「こういうフォーマットが、理想なんだよねぇ」 というものを、ノートにスケッチする。
朝飯は、ハクサイキムチ、トマトサラダ、甘塩鮭、タラコの昆布巻き、ホウレンソウのオリーヴオイル炒め、納豆、メシ、タシロケンボウんちのお徳用湯波とワカメと万能ネギの味噌汁。
始業後しばらくして、「終業式のおむかえについて・男子部父母会委員会」 との表題を持つ注意書きが、ファクシミリから吐き出されてくる。
「12月21日の終業式には、寮から帰宅する子どもを迎えるクルマの殺到が予想される。近隣の住民に配慮し、荷物の受け渡しは自由学園の敷地内で行って欲しい」
という意味のことが、書かれている。
「なにやってんだよ」 と思う。
「子どもを寮までクルマで迎えに行くなんて、そんなみっともねぇことするなよ」 と思う。
「自由学園ってのはなぁ、自分のことは自分でする学校なんだよ」 と思う。
夕刻、荷造り係は、一昨日の受注を50%出荷して作業を終えた。事務係は、本日の受注のほぼすべてを伝票化して席を立った。あしたからは徐々に、ギフトの注文も減っていくだろう。
自宅へ戻り、小さなガラスの器にて、ノイリープラットを飲む。引き続き、"Beaujolais Nouveau Jean Saint-Honore 2002" をコップに満たす。
スモークトタン、ベイコンとチーズを仕込んだパン、イワシの薫製。トマトとキュウリ、レタスとサラダ菜のサラダ、3種のキノコとトマトのスパゲティ。
9時すこし前に入浴し、9時30分に就寝する。
朝4時に起床する。
事務室へ降りてコンピュータを起動し、メイラーを回す。
「商品の到着日を変更して欲しい」
「先日、注文した商品の内容を変更して欲しい」
「自分への荷物が、ヤマトの追尾システムでは 『持ち戻り』 と表示される件につき、調べて欲しい」
などのメイルが一気に届く。諸々の情報を求めて、あちらのコンピュータ、こちらのコンピュータと、部屋の中を歩き回る。
きのうの日記を作成すると、もう7時になっている。
朝飯は、ホウレンソウのオリーヴオイル炒め、ハクサイキムチ、納豆、サケの昆布巻き、甘塩鮭、メシ、豆腐とタシロケンボウんちのお徳用湯波とミズナの味噌汁。
ギフトの注文が、相変わらず多い。夕刻、荷造り現場はおとといの受注の30%を出荷して、作業を終えた。事務係は更に残って伝票処理をするが、幾分かの仕事は、やはり明日へ持ち越しとなった。
6時30分から50分間、次男の宿題を監督する。7時30分に、本酒会 の開かれる 「やぶ定」 の2階座敷へおもむく。
剰余金で購った宝くじが、出席者に1枚ずつ配られる。
「1等と前後賞が当たったら、みんなで、おそろいのクルマ、買おうよ」
「チョロQ?」
「貧乏くせぇこと言うなよ、フェラーリだよ。中古で400万も出せば、あるだろう」
「そんなフェラーリ、壊れっぱなしですよ」
「修理工場も、一緒に買っちゃうんだよ」
「黒龍酒造の 『石田屋』 なんて、もうナンボでも飲めますね」
「いや、あれはそもそも、品が薄いんだから」
「藤あや子を1億で
落
籍
せて、飲み屋のママにしようよ。あと1億は、凝った普請の建物と運転資金に使うの」
「おめぇ、そんな高級な飲み屋、そうしょっちゅうは行けねぇぞ」
タバコを買うとは、それを吸うあいだの時間を買うことを意味する。宝くじの300円は、このようなバカバカしい会話を創り出すためにある。
アミダクジによるビンゴ大会で、僕は好みの布に包まれた品を選んだ。中身は紹興酒だったが、これは会社の新年会で使おうと考える。そして布だけを、自分のものとして確保する。
引き続き、ことしの始め、材木屋を営むコバヤシハルオ会員が全員に送ってくれた、自作のぐい飲みと箱のセットの、その箱の工作品評会が行われる。
箱を網状にくり抜き、フタに 「本酒会」 と浮き彫りにした、イチモトケンイチ会長の作品、ウワバミを彫り、美しく彩色をほどこした、サイトウマサキ会員の作品、そして、「工作? めんどくせぇや」 と、なにもせずに持ち込んだ僕の箱。
投票の結果、僕の1位が決定する。優勝商品は、キックボードだった。喜ぶ僕に、コバヤシハルオ会員は笑いながら
「ウワサワさん、2位以下の方が、いいんですよ」 と言う。
2位の賞品は、イタリア料理屋 "Casa Lingo" 提供のワイン2本セット、3位の賞品は、洋食屋 「コスモス」 提供の、やはりワイン2本セットだった。
クリスマスも近いということで、利き酒の会にもかかわらず、ひとり2個あてのケーキが支給される。その2個を僕は、オチアイマナブ会員の席へ運ぶ。
人を犠牲にして自分の腹だけをへこまそうと考えている僕は、大いなる卑怯者だ。
締めのラーメンに残しておいたエビ天とかき揚げを載せると、衣が溶けるにしたがって、大昔の、エースコックのインスタントラーメンのような香りが、湯気と共に匂い立ってくる。ヤギサワカツミ会員の、アンズの蜜煮とコンニャクを載せたラーメンよりも、幾分かはマシだろう。
僕としては遅く、9時45分に帰宅する。入浴して牛乳を飲み、10時30分に就寝する。
「昨朝は2時30分に目が覚めたが、今朝の起床は5時30分だった」 という一節を日記へ打ち込もうとしながら、「昨晩とか昨夕という言葉はあっても、昨朝というものは無いのだろうな」 と考える。
考えながら 「さくちょう」 変換とすると、しっかりとその文字が出る。僕は生まれてこのかた、「昨朝」 という言葉を、人の口から聞いた記憶はない。これからはこの便利な言葉を、随時、使おうと思う。
メイラーを回すと、浅草の愛すべきイタリア料理屋 "ERBA" の店主ナカザワクミコさんから、来春1月25日をもって、店を閉じる旨のメイルが届いている。
左脳では理解していなかったが、右脳は僕がこの人を好きだということを認識していたらしく、注文を告げるときにはいつも、僕は彼女の顔を正面から見ることができなかった。
「店が閉まるまでには、かならず行くから」 との返信を送る。
ウェブショップ の受注件数を確認したところで、きのうの日記を作成する間もなく7時になる。
南東の空には、朝の光を帯びた晴れ間が見える。北西の空には、雪雲がある。明日以降が好天になる見込みは薄い。
朝飯は、タシロケンボウんちのお徳用湯波とミツバの雑炊、ジャコ、ハクサイキムチ、アサリの佃煮。
事務室のファクシミリから、少なくない数のギフト注文書が吐き出されている。それらを有り難く思いながら回収し、1枚ずつ内容を目で追っていく。自分が処理すべきものを選別し、残りは事務係の机上へ置く。
今夕も事務係は残業をしたが、今日の仕事を今日中に片づけることは叶わなかった。
佐藤和次の徳利に焼酎 「黒七夕」 を満たす。それを藤本秀の湯飲みに注ぐ。
今日の午前中、社員旅行の打ち合わせに来た栃木旅行開発のトバヤシヒロシさんに、下仁田ネギにそっくりな、宮ネギというものをいただいた。これにて、鴨鍋を調製する。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝2時30分に起床する。
事務室へ降り、コンピュータを起動して、ブラウザにパスワードを打ち込む。きのうの終業時から現在までに入った ウェブショップ の受注を処理する。そのままブラウザから顧客へ向けて、「ご注文御礼」 を発射し続ける。
メイラーを回す。2、3のメイルに返信を書き、西研究所のpatioにも、2、3の返信をつける。
きのうの日記を作成し終えて外へ出ると、いまだ暗い空に星が光っている。
事務机に戻る。最近、ウェブショップの顧客から、いくつかの有用な意見を受けた。これをエディタにまとめ、種々の覚え書きを収めたフォルダに保存する。
朝飯は、タシロケンボウんちのお徳用湯波とミズナの煮びたし、甘塩鮭、茹でたブロッコリー、サケの昆布巻き、納豆、ダイコンの煮物、メシ、シジミと長ネギの味噌汁。
例年、12月のギフトは、月なかばから徐々に下降線を辿ることになっている。ところが今日はどうしたことか、電話の数がとても多い。果たして終業時には、昨年同曜日にくらべて80%増の受注高を記録する。
もっとも、先週の頭は雪にたたられたし、あした以降の注文も、昨年より増える確証はない。留意すべきは、毎日の仕事を丁寧にこなすことのみだ。
6時30分は、夏でこそ燈刻と呼べるだろうが、冬には初更ということになるのだろうか。"Beaujolais Nouveau Jean Saint-Honore 2002" を抜く。
ホタテ貝とイチゴのサラダ、鶏のオリーヴオイル焼きトマトソース にて、赤いガラス玉のように透き通った新酒を飲む。
最後の最後に、焼いたフランスパンを引き寄せる。それに、"Saint Andre" のチーズをこってりと載せる。これを酒肴として、本日最後の1杯を飲む。
8時30分に入浴し、9時30分に就寝する。
朝6時前に、甘木庵にて起床する。
7時10分すぎに玄関を出て、7時40分に浅草へ至る。8:00発の下り特急スペーシアに乗り、10時前に帰社する。
暮のギフトの受け付けは、今日が高原状態の最後の日になるだろうか。店舗の地方発送受付台だけでは間に合わず、事務室のカウンターにて送付先の住所をお書きになるお客様も少なくない。
なんとはなしに、せわしなさを感じる。店舗や包装部門、製造部門、駐車場などを、行ったり来たりする。
終業後、販売の社員と、週間ミックス表対前年度比を検討する。今週は月曜日と火曜日が、雪にたたられた。店舗の数字だけが良くないかと思えば、なぜかこの2日間は、電話や ウェブショップ による注文も少ない。多くの人は経済活動を忘れ、雪見をしていたのだろうか。
事務係はその後、30分ほども受注伝票の処理を続けたが、残りは明日の仕事として帰宅した。
食料品の買い出しにて、家族3人で "JUSCO" へく。駐車場から "Casa Lingo" へ電話をすると、これがカウンターまで満員だと言う。「鈴なりかぁ、カサリンゴ、良かったじゃん」 と、家内と話す。
次男が、「寒いときには肉だよねぇ」 と言う。夏は夏で、「暑いときは肉だよねぇ」 と言うのではないか?
ちかくの焼肉屋 「板門店」 へクルマを入れるが、3組が空席を待っている。「大昌園」 に進路を変える。
オバサンが 「ヒマでやんなっちゃうよー、まいんち遊んでるようなもんだよ」 と、ぼやきっぱなしのこの店にも、今日ばかりはたくさんのクルマが停まっている。
「混んでんじゃん、いいじゃん、ボーナス出たからかなぁ」
「どうかねー」
壁沿いに並べられた焼酎の瓶の中から、自分の名のあるものを探し出す。オイキムチとモヤシナムルにて、そのオンザロックスを飲む。
レヴァ刺し、タン塩、玉子スープ。
この店にて、「極上」でも「特上」でもない、並の 「カルビ」 を注文すると、ちょっとしたギャンブル気分が味わえる。今日のそれは上等な部分の切り落としにて、不揃いな姿を無視すれば、極上カルビと同じものだ。
コブクロとホルモンを経て、テグタンラーメンにて締める。
8時に帰宅し、入浴して牛乳を飲む。9時に就寝する。
朝5時30分に起床する。
事務室へ降り、暖房のスイッチを入れると同時に、きのう倉庫から出したガスストーヴにも火を入れる。ウェブショップ からの注文をチェックし、2、3のメイルに返信を書く。きのうの日記を作成し、シャッターを開けて、届いている新聞を取り込む。
朝飯は、サケの昆布巻き、タシロケンボウんちのお徳用湯波とミズナの煮びたし、東坡肉とダイコンの煮物、茹でたブロッコリー、納豆、メシ、厚揚げ豆腐と長ネギの味噌汁。
午前中は、社員ひとりひとりを事務室奥の部屋へ招き、賞与の金額について説明をしながら、これを手渡す。
自由学園の音楽会 へ出席をするため、家内と下今市駅13:36発の上り特急スペーシアに乗る。
3時40分に甘木庵へ達する。サーヴァーにアクセスすると、商品案内を送れとのメイルが届いている。そのままコピーして、会社のpatioへ転送する。
5時前に、練馬文化センターへ行く。ロビーの入り口から奥まで、真面目そうな生徒たちが案内のために立っている。夜の部を待つ人の列がある。その列の1番前に、長男の同級生カトウコウタロウ君のお父さんとお母さんがいる。
僕の顔を認めたヤマモトタカアキ先生が、「こちらへどうぞ」 と、招待席への入り口を示す。長い列を後目に階段を上がる。
カトウ君のお父さんとお母さんには、「ガラじゃないんですけれど、プログラムに広告を出したものですから。スイマセン」 と言いたいところだが、まわりには上品そうな人がたくさんいるため、それもままならない。
客だまりから2階席へのステップで、女子生徒が案内に立つ。何年か前の夏休みに遊びに来たクロサワマサタカ君が、警備に立っている。「立派になって」 と感じ入る。導かれるままに進んで、最前列の真ん中に座る。
ステイジの正面に、自由学園の旗が見える。頭の後ろに髪をまとめた、ちょっと粋な女の教師が僕の隣席にプログラムを置き、「こちらに後ほど、学園長が参ります」 と言う。「シャレにならねぇところに座っちゃったな」 と思う。
キヌカツギとホヤワタで焼酎のオンザロックスを飲む僕は、水を得た魚だが、学園長と会話を交わしながら開演を待つ僕は、まぁ、夏の防波堤に投げ捨てられたウツボのようなものだ。
4年に1度の音楽会は、5時30分に始まった。
朝5時に起床する。
事務室へ降り、コンピュータを起動する。昨夕の 「市之蔵」 での集まりの最中に、ウェブショップ からの注文が、いくつも携帯電話に転送されてきた。それ以降の、夜中の注文もふくめて、ざっとその数を確かめる。
短くて済むメイルと、patioへのちょっとした返信を書き、きのうの日記を作成する。
朝飯は、ジャコ、ホウレンソウの油炒め、塩鮭、タシロケンボウんちのお徳用湯波とミズナの煮びたし、笹かまぼこ、納豆、ハムエッグ、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁。
本酒会 では、いつも新春に親睦旅行を行っている。今年はイチモトケンイチ会長の転居に当たったため、銀座で軽く済ませたが、来年にはまた、遠くへ出かけることになった。
この段取りが、なぜか僕に回ってきた。僕はおおまかに、その行き先を新潟とした。
途次、大昔に本酒会の旅行で訪ねた 飯山の鰻屋 「本多」 へ立ち寄りたいのはやまやまだが、飯山線を経由して新潟へ達するのは、とても不便だ。
帰途、これも大昔に本酒会の旅行で訪ねた、米沢の蕎麦屋 「粉名屋小太郎」 の板蕎麦も食べたいが、これまたダイヤの具合がよろしくない。
結局のところ往路は、今市 - 宇都宮 - 米沢 - 村上 とし、長年の友人ムロハシタッドさんの店 「江戸庄」 にて、初日の宴を張ることにした。
村上市街のすぐそばにある 瀬波温泉の 「汐美荘」 については、タッドさんがこれを予約してくれた。
僕は2泊目を新潟市とし、宿泊場所をホテルオークラ新潟に定めた。この予約を数日延ばしにしてきたが、本日の午後1時30分にメイルで希望を伝えると、果たして5時前に客室予約課のヨコヤマさんから、部屋が取れた旨の返事が届いた。
遊びの骨格が、こうして徐々に、組み上がっていく。
今夜は酒を抜くことにしている。酒を抜く日には、どういうわけか家へ帰る時間が遅くなる。夜7時30分に、ようやく仕事の手を止める。届いたばかりの、ウェブショップの広告が掲載されている、自由学園の音楽会パンフレットを見る。
8時に、カスピ海ヨーグルトとカキを摂取する。
8時30分に入浴し、9時に就寝する。
朝4時に起床し、事務室へ降りる。
戸外の気温が何度かは知るよしもないが、屋根の上に室外機を持つエアコンディショナーが、なかなか効かない。いよいよガスストーブを設置する必要があるだろうか。
ウェブショップ から入る注文の10%は、顧客に何らかの問い合わせをしなければ、発送伝票が作れないたぐいのものだ。当方からの質問にメイルにて回答のあった受注を処理する。
朝は早く起きられず、日中は繁忙にて手が付けられなかった2日分の日記を作成し、とりあえず1日分のみをサーヴァーに転送する。
7時に外へ出てみると、駐車場のホンダフィットが、まるでフリーザーから取り出されたばかりの弁当箱のように、氷に覆われている。屋根の雪はいまだ溶ける気配を見せない。山は晴れている。
朝飯は、塩鮭とじゃこのおにぎり、アサリと昆布の佃煮、タシロケンボウんちのお徳用湯波とダイコンの味噌汁。
「白だし」 の在庫が払底している。朝一番から、製造のアオキフミオさんとマキシマトモカズさんが、1トンちかくの味噌を漉す。今日から地方発送の納期が1日延びて、受注から到着まで4、5日となった。ヒラノショウイチさんが、ただちに荷造りに入る。他の人員も、少し遅れて作業台へ着くことになるだろう。
ギフトの受注作業も忙しく、送り先と注文品を記したメモのみが机上に溜まっていく。他の机の上にも、それぞれの仕事が積み上げられていく。
事務係は残業をしたが、それでも今日の受注をすべて今日中に伝票化することはできなかった。
7時より、春日町一丁目青年会の忘年会にて、 「市之蔵」 へ行く。焼酎のお湯割りを飲みながら、タコの刺身にチゲ味噌を載せて食べてみたりする。この店の、豚肉を仕込んだチゲ味噌は最高だ。
1980年の冬、カトマンドゥのトゥクチェピークホテルで目覚めた僕の、最も大きな問題は、「朝飯には何を食べるか?」 ということだった。毎年、この忘年会で決するべき最も大きな問題は、「新年会は、いつ、どこで開くか?」 ということだ。
昨年はこの段取りをカワナゴヨシノリさんに任せ、しかしホテルの混み具合を甘く見たため、結局は予約を取れずに、新年会は流れてしまった。
今年は満を持して、今朝方、鬼怒川温泉の先にある、曖昧な宿から帰還したばかりのユザワクニヒロさんが、同じ曖昧な宿に、2月12日の予約を入れる。
今日の飲み会はことのほか長く、「市之蔵」 を出たのは、10時を少し過ぎたころだった。
凍って滑る道を歩いて帰宅し、入浴して10時30分に就寝する。
朝6時に起床する。
事務室へ歩きながら雪の気配を探るが、分からない。通用門を開け、明け方の空に降雪のないことを見て安心する。
ウェブショップ からの受注を確認し、短くて済むメイルにのみ返信をする。
朝はやく起きることができず、日中は繁忙のため、2日前からの日記が書けていない。友人のJOKER氏は、しばしば1週間分の日記を溜め、しかし週末には易々と、7日分のそれを更新する。僕からすれば、これは超人の技だ。明朝までには、日記の遅れを取り戻そうと思う。
日が昇ると同時に、山が光を帯びてくる。冷たく乾いた風が吹いている。空を飛ぶハトは、どこから来たものだろうか。
朝飯は、焼いた厚揚げ豆腐と大根おろし、スペイン風目玉焼き、ダイコンとハムのサラダ、ままかり、塩鮭、納豆、昆布の佃煮、メシ、豆腐とワカメと万能ネギの味噌汁。
9時すぎ、"Computer Lib" の中島マヒマヒ社長から、「第1回・CPLユーザーカンファレンス2003」 の案内が届く。僕は事例発表を行うため、もちろん出席はするが、念のため参加申込書に、「2003年はじめに1回、打ち合わせがしたいですね」 と書いて、ファクシミリで送付する。
折り返し、マヒマヒ社長から電話が入る。年内にはメイルの往復にて、年が明けてからは、顔を合わせての意見交換を行うことにする。
瀧尾神社へ電話をし、新春8日に水神祭を執り行いたい旨を伝える。「みとや寿司」 へも電話をし、同日の、新年会の予約をする。
きのうの朝、北海道の未知の人から、「清閑PERSONALのカウント50001をゲットした。賞品としては、赤い方のワインを望む」 とのメイルが届いたことを思い出す。ワイン蔵へ行き、"Castillo de Molina Cabernet Sauvignon Reserva SAN-PEDRO 1999" を1本取り出す。
事務室にて、これの飲み方を記した便せんをコピーし、製造現場の荷造り台にて、これを梱包する。
店舗は静かだが、ギフトの受注と発送は、相変わらず忙しい。夜7時に、ようやく事務室を離れる。
久方ぶりに、"Casa Lingo" へ行く。メニュが届く前に、グラッパを所望する。店主のヨシハラさんがアル中を慰めるように、「寒いですからね」 と言ってくれる。僕は夏にも、グラッパを飲む。
いつも中身の違うサラダ、フォカッチャ、次男の好きなソーセージの盛り合わせ。
飲み物を、デキャンタの白ワインに替える。
大きなハムのピッツァ、手打ち平麺のキノコクリームソース、サケの石釜焼きサフランライス添え。
9時に帰宅し、入浴して9時30分に就寝する。
目が覚めたので、隣の部屋へ行って時計を見ると、まだ夜中の1時だった。ここで起きるのは、ちと極端だろう。二度寝をして次に目を開けると6時で、これは寝過ごしの部類に入る。
事務室へ行く途中で外を見ると、強くはないが、まだ雪が降り続いている。いつもの朝の仕事をこなす。きのうの日記を書いている時間は無い。
朝飯は、ホウレンソウの胡麻よごし、鶏レヴァの薄味煮、温泉玉子、ままかり、昆布の佃煮、塩鮭、納豆、メシ、アサリと万能ネギの味噌汁。
2杯目のメシと2杯目の味噌汁にて、おかずをこなしている最中に、今日は血液検査のため、朝飯を食べてはいけなかったことに気づく。
始業後、きのうの半分の人員にて、雪かきをする。今年の雪かきは、本日で最後にしたいと思う。
11時に、岡村外科へ出かける。看護婦さんに、誤って朝飯を食べてしまったことを伝える。既に昼も近いことから、何とか採血をしてもらう。
最近、家の血圧計を用いると、医者には報告する気もしない、高い数値が記録される。そのため、この機械が狂っているのではないかと疑い、念のために持参した。
初めは看護婦さんに、病院の血圧計にて、血圧を測ってもらう。結果は106/70という値にて、これではほとんど低血圧だ。次に家の血圧計にて試すと、これまた113/80という、良好な値が記録される。
岡村外科には、高血圧症の人間の血圧を下げる、なにか磁力のようなものが、あるのだろうか?
昼どき、足利銀行へ行った帰りに、銀座2丁目の裏通りに似合いそうな洒落た釣具屋 "surface" にて、"Barbour" の "Eskadale Jacket" を買う。これは、26,000円の定価に対して16,800円の値札が付けられ、しかし何週間も売れずにあったため、ずっと気にかかっていたものだ。
僕が支払った16,800円は、その 「気にかかり」 の払拭代金でもある。
この店はまた、ディアストーカーなども店頭に並べているが、果たしてこのようなものが田舎で売れるのだろうかと、ひとごとながら心配になる。その心配を払拭しようと、この帽子までをも、うっかりと買いそうになる。
初更、フライドポテトの味噌和え、コダイの一夜干し、鶏レヴァの薄味煮、ダイコンとハムのサラダ にて、焼酎 「黒七夕」 を飲む。生のトマトと豆腐のハンバーグステーキにて、更に焼酎を飲み進む。
10代のころには、ハンバーグステーキなど、洋食のおかずにて米の飯を食べることが大好きだった。しかし齢も50ちかくになれば、どうもこのようなものには手が出しづらい。今夜のそれは、案に反して大いに美味かった。
入浴して牛乳を飲み、9時に就寝する。
外がほのかに明るい。寝過ごしたのだろうか? しかし、雪が降っているということも考えられる。こどものころ、雪の朝といえば、外の道路に響くチェインの音が、トナカイの鈴の音のように聞こえたものだ。いまはクルマの音も静かで、外の景色を見るまでは、容易に積雪を認めることができない。
5時に起床し、事務室へ降りる。途中、通用門を開けると、やはり、10Cmほどの雪が積もっている。6時に外へ出て、それが、ブルドーザーを呼ぶほどの雪でもないことを確認する。
昨夕から強い雪が降り始めていたとしたら、今朝は早くから携帯電話を握りしめて、徹夜で除雪作業にあたっている土建業者と、「ウチにはいつごろ来られるか?」 という連絡を、とり続けていたことだろう。
雪が降って喜ぶのは、子どもとスキー関係の人、それに、無責任な旅人くらいのものだろうか。
ずいぶんと以前、1月に鉄道オタクと旅をしたことがある。北陸から東北の山間を走る列車に乗り、知らない土地を、いくつも通り過ぎた。乗り換えのために小さな無人駅で降り、駅前の小さな食堂で、燗酒にヒマを紛らわせたこともある。
別のある1月には、極上の鰻屋 「本多」 へ行くため、飯山線を飯山駅で降り、むかしの記憶を辿って、小さな町の目抜き通りを歩いた。歩道と車道の間には、2メートルを越す雪の壁があって、僕は同行者と共に歓声を上げた。
雪の米沢で、何枚もの板蕎麦を食べ続けたことも、懐かしい思い出だ。
遊びに行った先の雪は、なぜか僕を、酔った気分にさせる。
朝飯は、ホウレンソウの油炒め、東坡肉とダイコン、サトイモの肉じゃが、納豆、メシ、油揚げとコマツナの味噌汁。
始業直後から、出社した社員16名のうち11名と僕は、店舗駐車場の雪かきを始めた。1時間後に仕事のため半数は抜けたが、残りの人員と共に、9時30分まで、軽くない雪を川へ落とし続ける。
雪のために来店客の数が少ないことは当然だが、電話による注文も少ないのは、どういう理由によるものだろうか。
終日、師走とは思えない静けさのなかで、仕事をする。
あしたに血液検査を控えているため、今夜もアルコールを遠ざける。カスピ海ヨーグルトとイチゴを摂取し、入浴して9時に就寝する。
朝3時に目が覚める。そのまま寝入り、気が付くと6時になっている。即、起床する。
事務室へ降りてメイラーを回す。自由学園卒業生のメイリングリスト "pdn"(Primary Dougakunotomo Network)への書き込みが、分野別のフォルダへと、次々に配信されていく。
その会議室のひとつ "JIYU" にて、今月14日に開かれる、音楽会 の話題を読む。午後の部は満席のようだが、夜の部にはいまだ空席があるという。僕は長男が ウィンドオーケストラ部にいるため、もちろんこれを聴きに行くが、目的は、それだけではない。
4年前に長男が普通科1年生を終えたとき、家内が 「この1年間で、なにが1番、大変だったか?」 と訊いたところ、長男は、「音楽会の、オーケストラの椅子並べの練習が、1番、辛かった」 と答えた。
自由学園に入学した年、最も辛かったのは、寮生活でもなく、高所登山の遠足でもなく、体操会でもなく、実に、オーケストラの椅子並べの練習だったと、長男は言った。
今回の音楽会では、そのあたりのことも考えながら、過ごしたいと考える。
きのうの雪は、それほど大したこともなく収束した。北の空には、わずかに晴れ間さえ見えてきた。
朝飯は、ツナとピーマンのマヨネーズ和え、昆布の佃煮、納豆、鶏レヴァの薄味煮、温泉玉子、東坡肉と茹でたブロッコリー、ハクサイキムチ、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁。
ギフトの注文、届かない荷物の調査依頼、一気に増える来店客への対応が忙しくなりかかってきた10時に、今市小学校の3年生が3人、社会科の勉強で 「たまり漬」 のことを調べているので、質問に答えて欲しいと、事務室へ入ってくる。
まさか、「いま忙しいから、あとで来てね」 とも言えない。20分ほど相手をし、ふたたび繁忙の中へ戻る。
午後、今月に入って2度目の、送った荷物の紛失事故が起きる。例年からすると、かなり高率のできごとだ。今年のヤマト運輸は、どうしてしまったのだろう?
終業後も2時間、事務室へ居残る。夕刻に入ったファクシミリの注文を処理し、自宅へ戻る。
2日後に血液検査を控えているため、アルコール分を遠ざけ、カスピ海ヨーグルトとイチゴを摂取する。
入浴して、9時に就寝する。
朝4時に起床する。いつもの朝の仕事をし、数通のメイルを書く。きのうの日記を作成し、年が明けたらすべきことを、あれこれと考える。
朝飯は、玉子とシイタケの雑炊、アサリの佃煮、ハクサイキムチ、「はれま」 の 「やさい」。
郵便係のコマバカナエさんが僕の机の上に置いた郵便物の中に、年長の友人クスヤマモッチャンからのハガキがあった。裏を返して文字を読むと、僕が堤智恵子のCDをお送りしたことへの礼が述べてある。
モッチャンは秋口に業界の旅行で鬼怒川へ遊び、帰途、ウチの店へ団体で立ち寄ってくださった。CDは、そのときのお礼のつもりでお送りした。
「自分も彼女のCDはずいぶんとレコード屋を探しまわったが、どこにも無く、ようやく "HMV" で見つけ購入した。しかし今般の "Tiny Pocket" だけは持っていず、幸運だった」
という意味の青い文字が、ハガキに連ねてある。最も売れている風情の "Tiny Pocket" について、「これのみ持っていなかった」 とは、本当だろうか?
いずれにしてもクスヤマモッチャンとは、また夜遊びをしようと思う。
昼までに、社会保険労務士を交えて、賞与の算定をする。
午後になって、初雪が降り出す。あした、東京から大量のお歳暮を取りにみえる顧客へ、この天気をお伝えする。と同時に、明朝1番の電話にて、道路状況をお知らせする旨の約束をする。
終業後は、それほどにもヨタ話やスケベ話の出ない集まりに出席し、9時に帰宅する。
入浴して、9時30分に就寝する。
朝4時に起床する。事務室へ降り、普段の仕事に加えて、諸方のpatioに14通の返信をつける。
ハワイの知人から、
「12月4日の日記に書かれている "Take6" のアルバムを "amazon" へ注文をした。廃盤にはなっていない。 "We Wish You a Merry Christmas" も一緒に買えば送料がタダになると言うので、それも頼んだ。それから、このグループによるアルバムで特に好きなものは、"So much 2 say" だ」
という内容のメイルが届いている。僕も早速、日本の "amazon" へ行って、それらのCDを確認する。確かにすべてがラインナップされている。ただし、すべてが品切れになっている。
これらについては、季節はずれを狙って購うことにする。
朝飯は、ダイズとコンブの飴煮、マヨネーズ入りスクランブルドエッグ、身欠きニシンの昆布巻き、ピーマンの油炒め、ハクサイキムチ、納豆、メシ、タシロケンボウんちのお徳用湯波と青ネギの味噌汁。
午前中、宇都宮へ行く。栃木県味噌工業協同組合と、2軒の得意先をまわる。途中、宇都宮の中心部で、年内にて閉店をする、西武百貨店の前を通る。ファサードに、「31年のご愛顧、誠にありがとうございました」 との文字が見える。
31年前といえば、僕は自由学園の高等科1年生だっただろうか。「皮のランチコートから水玉模様のパンツまで、ここではいろんなものを買ったなぁ」 と、感慨深いものを憶える。
これからの31年間は果てしなく長く感じるが、過ぎ去った31年間は、あっという間のできごとだ。
帰社すると、、きのうのギフトの受注を事務係のタカハシアツコさんが、ようやくすべて、伝票化し終えたところだった。即、製造現場へ足を運び、「5日の受注はすごいよ」 と伝える。
終業後、7時より街へ出て、日光街道を下る。「市之蔵」 での、春日町一丁目役員会の忘年会に出席をする。
「アメリカの、93歳の経済学者、なんてったっけ?」 国連イラク査察団の植木安弘報道官と同窓に学んだイケダツトムさんが、口を開く。
「ドラッカーですか?」
「そうそう。あの人の "ネクストソサイエティ" を読むとね、日本の製造業は10年後には、6分の1になるっていうんですよ。ウワサワさん、どう思います?」
「もしも6分の1になっても、その残った企業が栄えるとは、いえないでしょうね。小さくなった市場の中で、アイドリングのような経済が続くんじゃないですか?」
「うーん、ウチみたいな土建屋も、畳屋も、製造業なんですよ」
「畳屋も」 と名指しされたアンザイ畳屋のオヤジが、「おーい、カーチャン、鍋の火ぃ、弱くしてくれ」 と、声を上げる。
店主のナガモリユミコさんが、オヤジの向かい側からテイブルの下へ腕を差し入れ、ガスの調整をする。
「カーチャン、オレはこっちから手ぇ入れっから・・・ うーん、届かねぇ」
「やぇねぇ」
話があっちへ行ったりこっちへ来たりして、なかなかに忙しい。
「オレも、ドラッカーくらい読まなくちゃなぁ」 とは思うが、僕には、毒にも薬にもならない本しか読めないクセがある。
忘年会は9時前に終わった。帰宅して入浴し、9時30分に就寝する。
朝3時30分に起床する。
事務室へ降りると、ファクシミリからたくさんの注文書が吐き出されている。内容が理解できないもの、電話で2、3の点を確認するまでは出荷ができないものなどを残し、作業開始から2時間を経て、そのほとんどすべてを伝票化する。
ウェブショップ の受注をブラウザで見て、きのうの終業時から今朝までの売上金額をざっと計算する。数通のメイルを書き、きのうの日記を作成する。
朝飯は、ハクサイキムチ、目玉焼きとピーマンの油炒め、大根おろし、くぎ煮、納豆、メシ、タシロケンボウんちのお徳用湯波とシイタケの味噌汁。
数日前に、オフクロがどこかから、ポインセチアを2鉢もらってきて、店の前に置いた。これがなかなか目立って良いため、森友地区の福田農園にて新規に6鉢を求め、犬走りの屋根を支える6本の柱の前へ置く。
日中は、ギフトの受注が繁忙を極める。商品の受注量、出荷量の増大にともなって、種々の行き違いも増えてくる。当方の間違いによるものではないため、心理負担は少ないが、それにしても、これらの処理作業に追われて、いわば 「普通の仕事」 が、なかなかできない。
事務係は1時間の残業をしたが、それでも明朝に、多くの仕事を残した。
僕は更に1時間、事務室に居残った。日中にコマバカナエさんの手が回りかねていた、ウェブショップからの受注作業をする。それに目鼻をつけた後は、インターネットでメガネ屋をサーフィンする。
「どうも自分は老眼ではないか?」 と感じたのは、昨年2月のことだった。最近に至って、近くを見るときに違和感を覚えることが多くなったため、数日前に 「あくつ眼科」 で検眼を受けた。その際には、併設のメガネ屋で、趣味に合わない老眼鏡を作らされてもいけないと、いま使っている近眼鏡を持参した。
僕は看護婦さんから、ごく微弱な老眼だと告げられた。
「メガネ、お作りになりますか?」
「作るときにはここでお願いします。でも、フレイムは自分が選んだものにしたいですね」
看護婦さんは僕の手の中にある "Lunor" のメガネに目を落とした。
「それで、お作りになりますか?」
「いいえ、また別のものです」
それにしても、近眼と老眼のミックスとはやっかいだ。たとえば湯島天神下の 「シンスケ」 では、近眼鏡をかけて壁の品書きを確認し、しかし、シメサバの鉢のよこに開いた文庫本を読むときにはそれを外して、老眼鏡にかけ直す、ということになる。
「ごく微弱な老眼であれば、まだメガネを作る必要はないかな?」 とも考えるが、あれこれとフレイムを選んでいくことも、また楽しくないわけではない。
8時ちかくになって、ようやく自宅へ戻る。これから2日間、家の外での酒飲みが続くため、今夜は酒を抜いて、カスピ海ヨーグルトとバナナのみを摂取する。
入浴して、9時前に就寝する。
2時に起床する。この時間に起きれば、いろいろなことをすることができる。
事務室へ降り
朝3時に起床する。
事務室へ降り、暖房と湯沸かしのスイッチを入れる。ウェブショップ の受注を確認し、急ぎのメイルのみ書いて送る。きのうの日記を作成する。
「これこそ、モータウンだぜ!」 というアルバム
朝4時30分に起床する。
事務室へ降り、メイラーを回す。急ぎを要するもの、数日のあいだ放ったままのもの、返信が数行で済むものなど、数通のメイルを送信する。
月の変わり目には、前月の日記を "new" のファイルから月の名を施した別のファイルへ移し替え、今月の日記を、新しく "new" のファイルに書きはじめる。この作業の最中に、11月1日から10日までの日記が失われていることに気づく。
更に調べてみると、エディタでファイルの終わりを意味する
[EOF]
の表示が、はるか下方に取り残され、フッタさえもが消えている。
サーヴァーを見に行くと、ここでも壊れた日記が上書きされて、僕のローカルと同じ状況が見える。家内のコンピュータのキャッシュも同じだ。
11月1日から10日までの、日記の復旧を諦める。最新日記のペイジ上に、きのうの日記を作成する。
7時を過ぎて、自宅へ戻る。日光の山は粉雪をかぶっているが、里の山にはいまだ、たくさんの針葉樹とごく少ない広葉樹が見えるのみだ。
朝飯は、くぎ煮、ハクサイの浅漬け、もみ海苔、シイタケの佃煮、「はれま」 の 「やさい」 によるお茶漬け。
本日のギフト発送量は、今年の冬の、ひとつの頂点だろう。始業時から4名の社員が荷造りに当たる。しかしこの頂点が、即、下降線を辿るわけではない。先月の社員との飲み会で配った資料にもあるとおり、繁忙はこのまま高原状態を保って、12月20日までは続くはずだ。
夜6時30分より、茹でブロッコリーのひしおマヨネーズ和え、タシロケンボウんちの湯波好事袋、ホウレンソウともみ海苔のおひたし、ジャガイモとニンジンの細切りバター炒めにて、燗をつけた越の誉を飲む。
7時30分より 本酒会 の役員会にて、「やぶ定」 へ行く。
本酒会役員にして外注SEのカトーノさんと、壊れた日記についての会話を交わす。
「ウワサワさん、あの日記、コピーペイストのときのミスではない可能性が高いですよ」
「どういうことですか?」
「気がつかないうちにファイルが壊れることって、あるんですよ。ハードディスクの不具合とかで」
「あぁ、そうですか」
「ウワサワさん、コンピュータ、持ち歩くでしょ? 僕のデスクトップでさえ、ファイルの破壊は起きますから」
「じゃぁ、また起きる可能性は、ありますね」
「"new" のファイルだけでも、毎日、バックアップをとるように、システムを組みましょうか?」
「それ、お願いします」
9時に帰宅し、入浴して9時30分に就寝する。
朝5時に起床する。薄曇りの天気を確認しながら、事務室へ降りる。
事務机の上に、同級生コモトリケイ君からの小包が届いている。紙袋を開くと、そこには