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一壺の紅の酒一巻の歌さえあれば それにただ命をつなぐ糧さえあれば
君とともにたとえ荒屋に住もうとも 心は王侯の榮華にまさるたのしさ
Omar Khayyam

 2008.0531(土) 「なにわMG」1日目

ヨシダゲンゾー社長が運転するトヨタの高級車に乗り、箕面駅前まで来ると偶然、先週末の研修で一緒だったヨネヅシンジ税理士が立っている。よって取り急ぎ窓を開け大声で呼んで後席に収まってもらう。

「箕面観光ホテル」への屈曲した道を上がりながら既視感を研ぎ澄ますと、日本青年会議所の研修委員会に出向した1986年に、ここへ一泊したことを思い出した。あの日の日中にはどこかの禅寺を訪問し、座禅のさなかに眠って例の板で背中を叩かれ、更に眠ってまた叩かれたのだった。座禅のワンクールで2度叩かれる人は、そう多くないらしい。

「なにわMG」の会場に入ったところで、ここでは朝一番に「デイリースポーツ」の配布されることを知る。開会に先立ち、前回優勝者のチバイクタローさんから王将杯が返還される。そして始まった第一期の、西順一郎先生による入魂のルール説明にはまったく圧倒された。

2日間で5期分の経営を盤上に展開するMG(Management Game)において僕がみずからの勉強以外に留意するところは、初めて参加をした人が、次の機会にもまた来ることを希望するよう心を砕くことだ。そうして2期と3期が過ぎ、夜7時30分よりバンケットルームで交流会が始まる。限られた時間ではあったが、参加者全員にスピーチのマイクが回って良かった。

屋上の露天風呂から見下ろす大阪の街には、遙か彼方まで光が揺らめいている。伊丹空港に降下してくる飛行機が左手に見える。場所を移しての二次会では"MACALLAN GRAN RESERVA 12"のオンザロックスを飲む。初夏の外気は暖かく、ヴェランダで飲酒をする人たちもいる

早寝早起きの僕にしては珍しく、午前1時まで歓談して部屋へ戻る。


朝飯 「千里阪急ホテル」の朝食ヴァイキング

昼飯 「箕面観光ホテル」のお弁当

晩飯 「箕面観光ホテル」のバンケット料理、ビール


 2008.0530(金) 記念撮影

"COMDEX JAPAN"のどこかのブースでもらったTシャツを着ている。"GRAMICCI"のクライミングパンツを履いている。首には麻のバスタオルを巻き、足下は素足にサンダルだ。きのうの日記に「通天閣の下にはサンダル履きのオジサンが大勢いるではないか」と書いたが、考えてみれば僕の行き先はそこではない。

東京駅8:10発の「のぞみ11号」に乗る。それが列車であっても飛行機であっても僕は乗り物に乗っての長距離移動が大好きだ。心が落ち着く。停まりたいところで停まれない乗り物には乗れない神経の病があると聞くが、僕はその逆である。

「新大阪には何時に着くんだったか」と、電源を落としたばかりの"Thinkpad X61"を立ち上げ直したところで「まもなく新大阪」のアナウンスがある。

同じ列車に乗っていた西順一郎先生と共に、改札口で「リバーストン」のヨシダゲンゾー社長ほか数名の方々の出迎えを受ける。小雨模様だった東京とは打って変わり、大阪は暖かさが心地よい

北野天満宮にお参りして昼食の後「天満天神繁昌亭」で上方落語の鑑賞法善寺へ移動して水掛不動尊へのお参り道頓堀ではもうすぐ無くなってしまう食い倒れ人形との記念撮影「大だこ」のたこ焼きの立ち食い戎橋を渡るなどの散策をしてタクシーに乗る。1986年から2002年までのあいだに食べた僕のベストワンは「たこ梅」のさえずりで、その店の現在を見られたのも良かった

明日の「第2回なにわMG」に先だっての、「浪速ろばた八角DD店」における西の会に出席し、前泊の人たちとタクシーで「千里阪急ホテル」へ向かう。ここの「さくららうんじ」で最後の宴会をして午前0時に部屋へ入る


朝飯 5種のおむすび

昼飯 「樹林亭」の豚の生姜焼き定食

晩飯 「浪速ろばた八角DDハウス店」の鱧づくし、日本酒「黒龍」(冷や)


 2008.0529(木) サンダルを履いて

出かけるときには持ち物を減らす工夫をする。予備の靴下を持ちたくないときにはブーツを履く。アクリルとウールの混紡による登山用の靴下は、数日のあいだ使い続けても足に不快を感じさせることはない。

しかし今夜から出かける大阪ではMG(Management Game)をする。MGはなかばスポーツに似て、ブーツでは機動性が落ちる。

ブーツも履かず予備の靴下も持ちたくないときには"KEEN"のサンダルを履く。「サンダルで大阪かよ」などとは言わないで欲しい。通天閣の下にはサンダル履きのオジサンが大勢いるではないか。

持ち物を減らそうとするとき、車輪付きのスーツケースは百害あって一利なしだ。あれは手に持たず背に負わない気楽さからつい不要のものまで突っ込み荷物を増やす。よって今回も"Gregory"のザックにコンピューターやら最低限の着替えを収め、下今市駅19:52発の上り特急スペーシアに乗る。

使っているサーヴァーのセキュリティが厳しいため、インターネットに接続可能なホテルにおいても、この日記を更新することは能わない。しかしデータ通信用の専用端末を契約するほど出張が多いわけでもない。世界のどこにいてもサーヴァーにアクセスできる端末があるなら買っても良いとは思うが。


朝飯 納豆、温泉玉子、浅蜊の佃煮、メシ、ワカメと油揚げと三つ葉と玉葱と万能葱の味噌汁

昼飯 納豆キムチチャーハン

晩飯 茹でたブロッコリーオクラとエリンギと生ハムのスパゲティ茄子のミートソースグラタン"PAUILLAC 2001"


 2008.0528(水) カワウソ

本日の夜7時30分から開かれる「第180回本酒会」の会場は大谷向町の「玄蕎麦河童」にて、同じ方角にある温泉「長久之湯」で露天風呂を楽しんだ後に参加しようと、本日の昼までは考えていた。

ところが午後の繁忙時にできなかった仕事が終業後にはみ出し、そのような閑雅なことはできなくなった。ヘルメットのあご紐を締め自転車にまたがったところでイチモトケンイチ本酒会長に電話を入れ、遅刻は免れないと伝える。

「本酒会」では、僕より更に遅れてきたクワカドシューコー会員が「獺祭」のにごり酒を寄贈してくれた。僕のもっとも好きな日本酒の名は「聴雪」だが、2番目はと問われれば、この長州のお酒の名を挙げるかも知れない。そして「獺祭」のにごり酒は初夏の夜気に似合ってしごく美味かった


朝飯 冷や奴、玉子のグラタン、メカブの酢の物、納豆、メシ、シジミと万能葱の味噌汁

昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン

晩飯 「玄蕎麦河童」のきゃらぶきの醤油煮、水菜と蕎麦の実のサラダ、蛸の塩辛、揚げだし茄子鮪の山かけ鴨焼き精進揚げ十割盛り蕎麦、田舎盛り蕎麦、蕪と胡瓜のぬか漬け、6種の日本酒(冷や)


 2008.0527(火) 両手ふさがり

骨の折れる書類作成の仕事がほぼ終わったため、ちかくの田んぼへ出かけて自然に触れる。「田んぼは人の営為により完成されたもので、だからそこに出かけても本当の自然などありはしない」と理屈っぽい意見を述べる人がいたらどう答えようか。

田んぼの土はトロリと甘そうで、その水面には青い空と白い雲と共にあたりの林までが映っている。鶯が鳴いている、蝉が鳴いている、蛙が鳴いている。その蛙を捕まえてしげしげと眺めたりする。

左手に蛙を握り、右手には"RICOH GR DIGITAL"を構えている。左手の中で蛙の位置を直そうとしても、カメラを握った右手は使えない。それで一時、蛙を口にくわえたら、すぐそばでこちらの様子を見ていた人が「ア、アーッ」と言う。いくら僕でも蛙を生で食うようなことはしない

今月7度目の断酒をしている夕食の卓から壁のカレンダーを注視し、月に8度の断酒ノルマを、今月は達成できないことを知る。


朝飯 納豆、ツナと貝割れ大根とレタスのサラダ、ピーマンの油炒め、メシ、ワカメと玉葱と万能葱の味噌汁

昼飯 「糸屋」の冷やしトマト牛蒡と人参のきんぴら盛り蕎麦(大盛り)

晩飯 中華風冷や奴、塩もみ胡瓜のしその実のたまり漬和え、らっきょうのたまり漬と玉葱と三つ葉のかき揚げエノキダケと白菜キムチの豚肉巻き


 2008.0526(月) 入道雲

おとといの土曜日、シミズノブヒロさんによる夜の講義の最中に訃報を伝える携帯電話が鳴った。そして本日午後、僕より18歳も若い人のお葬式に参列をする。

「死」という穴がそこここに口を開けた夜道を、人はそうとは知らずに歩いている。人生の早い時期にこの穴に足を取られる人もいれば、限りなく穴に近づきながら運良くこれを回避する人もいる。 たぐいまれな努力家だった、3日前に亡くなった人の死を僕は惜しむ。ご両親の心の寂寞いかばかりだろうか。

午後に激しい驟雨があり、それが上がると東の青空に大きな入道雲がわき上がった。新緑の葉のあいだでは早くも蝉が鳴き始めている。50日ほど先に夏が立ち止まって振り返り、我々を待っている気配を強く感じる。


朝飯 茄子の油炒め、レタスとトマトとスクランブルドエッグのサラダ、メカブの酢の物、納豆、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 「金長」のハンバーグ弁当

晩飯 「和光」の水菜と油揚げとじゃこの炒め煮コゴミの胡麻和え茹でた蛍烏賊鰹の刺身のたたき風揚げニンニクタンの塩焼き若梅の塩もみ、麦焼酎「吉四六」(お湯割り)


 2008.0525(日) 目が離せない

「降水確率30パーセントという予報を聞いて傘を持参する人の割合は?」という記事をおとといの新聞で読み、持参する人のあまりの多さに驚いた。「降水確率がたとえ100パーセントでも、出かけるときに降っていなければ傘は持たない」という人もいるが、今朝の僕は「出かけるときに降っていても傘は持たない」だ。

「いずれ止むだろう」という、何の保証もない確信を持ちつつ本郷三丁目まで歩き、地下鉄に乗る。

西研究所による経営技術研究会の2日目は、マトリックス会計の導入に成功した群馬県の酪農家ネギシタクヤさんと、それを助けたウノヒロシさんの共同発表がその内容だった。今後このふたりからはしばらく目が離せないし、今日のこの場所には家内や長男にもいて欲しかったと強烈に思った。

開催1ヶ月前から定員に達し、後はキャンセル待ちとなったこの研究会への申し込みを、僕は2月のうちに済ませていた。そのことに満足しながら帰宅の途に就く。雨はいつの間にか止んだ。


朝飯 「ゆで太郎」のカレーライス

昼飯 幕の内弁当

晩飯 茄子の田楽、こんにゃくのピリ辛煮、鯛の粕漬け、タラの芽の胡麻和え、芋焼酎「七夕」(お湯割り)


 2008.0524(土) 独行

大井町という地の利を得ながらなにが悲しくて「和民」で飲まなくてはいけないのか、という話である。

2001年の夏、P.F.ドラッカーが激賞する小説のあることを新聞で知った。これを即、新潟のシミズノブヒロさんにメイルで知らせたところ、そのとき大阪にいたシミズさんはすぐにゴールドラットによるこの本を買い求め、徹夜で読み切ったという。それから数ヶ月後、シミズさんは世に"Theory of Constraints"を広める仕事を始めた。

僕はといえば、小説仕立てだから読みやすいと評判のこの本を、大苦労の末に読み終えたことは読み終えたが、もとより仕事についての文章は一切その内容を理解できない不思議な脳の持ち主だから「やれやれ」という感想しか持ち得なかった。

2002年の11月、この"TOC"という学問を早くもゲイムに落とし込んでいたシミズさんの講義を僕はシンガポールで聴くことになる。「聴く」とはいえその講義は夜9時すぎにあり、しかしその日の夕刻「ラウパサ・フェスティヴァル・マーケット」においてアルコール度数62度のコーリャン酒をプラスティック製のボウルで大量にやらかした僕は立ったまま眠っている状態だった。

光陰は矢のごとく去った本日、5年半の熟成を経たシミズさんの講義に触れてみれば、この"TOC"は仰天すべき優れた学説ということが腑に落ちた

大井町で勉強会があった際の二次会は「きゅりあん」ちかくの「和民」で開かれることが通例である。よって焼け跡闇市を彷彿する路地へ独行しようとする自分を強く押しとどめ、更に深い話を聴くことができたり、あるいはこれまでの経験上、自分の中から何ごとか示唆を得ることも少なくないと分かっている酒席に連なる


朝飯 2種のおむすび、胡瓜の塩もみ

昼飯 エビフライ弁当

晩飯 鮨弁当


 2008.0523(金) 際限

"spiral records"のお兄さんは人の好みを見てとることに聡い。だれかとの待ち合わせに退屈を覚えてつい話しかけたりすれば、手元のCDを素早くかけ替えて「これはどうです」などと訊いてくる。そうすれば勢い僕は「はい、いだだきます」「うん、それもいただきます」と際限がない。しかし財布の中身には際限があるから一度に購えるのはせいぜいが数枚といったところだ。

終業後、そうして手に入れた

"Just A Maestro" J.A.M Jose-James ASIN:B00120VGRS \2,500

を聴きながら万年筆を使う仕事をする。


朝飯 鰯の天ぷら、ハムとレタスのサラダ、メカブの酢の物、納豆、メシ、シジミと万能葱の味噌汁

昼飯 焼きそば

晩飯 コロッケ、山椒の醤油煮、トマトとイタリアンパセリのサラダ、冷や奴、メシ


 2008.0522(木) いつかは見つかる店

「ナカジマさん、オレ、昼飯は松翁に行きてぇんだよ」
「いいっすよ、行きましょう」
「ただあそこの問題点はさ、すんなりたどり着かねぇとこだよなぁ」
「いやこの前ね、ちゃんとした座標、発見したんすよー」

というわけで"Computer Lib"の中島マヒマヒ社長は神保町の交差点を背に白山通りを北へずんずん歩き「あれも日大、そっちも日大、こっちも日大、この角で右に入るとバッチリなんすよー」と自信たっぷりだったが突き当たったところは果たして行き止まりだった。

蕎麦屋の「松翁」は地元の人間にとっても「駿河台の崖下を適当に歩いていれば、いつかは見つかる店」といった場所にある。

その「松翁」の、本日の二色盛りは並蕎麦と胡麻切りだった。胡麻切りの、透明に近い蕎麦に胡麻の散る様子はまるで活きた白魚だ。水切りにはよほどの自信があるのかザルの下に受け皿はなく、しかし机には一滴の水もこぼれてはいない。この界隈の蕎麦屋では、僕はここがピカイチと思う。

食後のコーヒーは、マヒマヒ社長が「神保町でいちばん美味いっす、トイレも一番キレイ」という「蔵」でデミタスを飲み、北千住駅14:11発の下り特急スペーシアで帰社する。


朝飯 茄子とピーマンの油炒め、ツナとレタスとトマトのサラダ、納豆、筍と身欠き鰊の炊き物、メカブの酢の物、メシ、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 「松翁」の二色盛り

晩飯 マカロニサラダ、冷や奴、筍と身欠き鰊の炊き物、鰯の天ぷらメロン、「田崎酒造」の芋焼酎「七夕」(お湯割り)


 2008.0521(水) 珠玉

昨夕、新しい商品"rubis d'or"を紹介するメイルマガジンを一斉に送付したところ、有り難いことに存外な数のご注文をいただき、包装済みの在庫はすべて尽きた。よって急遽、包装係のアキザワアツシ君とふたりして次のロットの瓶詰めに励む。

「本物のワインを使った本物のワインらっきょう」"rubis d'or"は高騰し続ける原材料を歯を食いしばりながら使い、偏執的に手間をかけた、たとえて言えば"Back to the Future"でブラウン博士が作り上げたタイムマシンのような作品である。お客様を極端に選ぶ商品、と言ってはお客様に失礼かも知れないが、「珠玉」と激賞してくださる方もいらっしゃれば、首をかしげる方もまたいらっしゃる。

万人に向くものなど、およそこの世には存在しない。しかしこの作品をもうすこし世に広めたいとの気持ちはもちろん、ある。

フタを閉め終えた"rubis d'or"をアキザワアツシ君が氷温の冷蔵庫へ収め、本日の業務を完了する。


朝飯 グリーンアスパラガスとソーセージのソテー、スクランブルドエッグ入りサラダ、メカブの酢の物、納豆、メシ、ワカメと万能葱の味噌汁

昼飯 「玄蕎麦河童」のおろし十割蕎麦(大盛り)

晩飯 紋甲烏賊と鮭の粕漬け、ハムと胡瓜とレタスのサラダ、山椒の醤油煮、筍と身欠き鰊の炊き物、茄子炒り、粕取り焼酎「亜鼓娘」(お湯割り)


 2008.0520(火) そんなに買ってどうするの

研究開発型の企業が好きだ。"Patagonia"はその代表である。ところがこういう企業にも短所はあって、20年のあいだ使い続けた品物がすり減ったので同じものをまた欲しいと思っても、とうの昔にラインナップから外されていたりする。

十年一日のごとく同じものを作り続けている会社もある。こういう会社の長所は、上記の逆を考えれば明らかだ。

気に入って使っていた"Chouinard"のザックの防水幕が剥離したため、買った店に持ち込んで張り替えを頼んで断られたことがある。登山用品の素材は日進月歩で、現在のザックにこのような現象は見られない。

今年2月に買った、"Gregory"によるターポリン素材のザックは、僕にとっては失敗だった。性能は間違いないが、重くて不格好なところが気にくわない。グレゴリーの極めつきはやはり、古くさくてもデイ&ハーフパックだと思う。僕は"conservative"なデザインが好きだ。

という舌の根も乾かないうち、おととい注文した"Patagonia"の、非常に先鋭的なデイパックが届く。「こんなんで破けやしねぇか」と心配になるような、向こうが透けて見える素材のザックは、果たしてコンピュータや本の重さに堪えられるだろうか

"Gregory"によるターポリン素材のザックはたった2回の使用にて、社員の誰かに譲ってしまうかも知れない。

夕刻、台風一過の晴天が西の空に現れる


朝飯 ニラとモヤシの酢の物、ほうれん草の油炒め、高菜の油炒め、納豆、温泉玉子、メシ、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 朝に食べなかった納豆と温泉玉子、メシ、徳用湯波の味噌汁

晩飯 さらし玉葱の鰹節かけ、棒々鶏とレタス、冷や奴、グリーンアスパラガスと帆立貝のソテー、粕取り焼酎「亜鼓娘」(生)


 2008.0519(月) 藤棚

「社員の誰それはこのところ忙しいからストレスが溜まっているのではないか」というようなことを朝、家内に言うと「別段、そのような様子は見られない、大丈夫だ」との答えがあった。

朝飯を終え仕事場へ降りて、始業まで20分を切ったあたりでにわかに胃が痛くなる。その痛みはこのまま業務を続けるにはちと無理のありそうな強さのため、4階の居間へ戻って背中を指圧する器具の上に仰向けになり、静かにしている。

45分ほどしてすっかり痛みの去ったところに家内が来て、ストレスを感じているのは、いま天井を向いて横になっている当人なのではないかと言う。とすれば耳の穴に百円玉を入れ、女物のサンダルを履いて競艇場へ行けば、そのストレスも去るように思われる。

競艇場ではないが、気分の優れないときには浅草の場外馬券場へ行く、数時間もすればすっかり元気を取り戻すという友人がいる。その友人は飲酒を為さないから、例の藤棚の下で酔っぱらいに絡まれることもないだろう。


朝飯 茄子の油炒め、2種の野菜とツナのサラダ、納豆、生のトマト、メカブの酢の物、メシ、浅蜊と万能葱の味噌汁

昼飯 徳用湯波と万能葱と三つ葉の雑炊、昆布と牛蒡と蓮根の佃煮、高菜の油炒め、じゃこ、山椒の醤油煮

晩飯 グリーンアスパラガスの豚肉巻き、茄子とピーマンを白菜キムチの油炒め、ニラとモヤシの胡麻和え、じゃこ、山椒の醤油煮


 2008.0518(日) 嫌と嫌でないところの差

昨年の6月4日、西安の雑駁なメシ屋で水餃子を食べながら「家族や社員と一緒にこういうところに来て、またこういうものを食いてぇなぁ」 と思った。きのうの「天七」においても僕は、こういうところに社員や子供の同級生と来てワイワイ飲み食いをしたいな、と思った。僕は一体に、人とメシを食うことが好きである。

しかし会合のメシ、会合の酒は苦手だ。あれだけ酒が好きだった志ん生も同じく会合の酒を嫌った。「酒なんてものは、好きなときに好きなだけ飲むところが良いんだ」というのがその理屈で、僕もその説に異論はない。

もっとも会合の目的は話し合いや顔合わせにあるのであって、飲酒喫飯をすることでは決してない。だから、そういうところでの飲食を嫌うことは、お門違いなのかも知れない。

会合のメシや酒を嫌うとはいっても、味噌屋の寄り合いや町内青年会や消防後援会のそれは別である。嫌と嫌でないところの差が奈辺にあるかは知らない。


朝飯 納豆、生卵、高菜の油炒め、山椒の醤油煮、メシ、豆腐とワカメと万能葱の味噌汁

昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン

晩飯 鮭と銀鱈の粕漬け、鶏肉と4種の野菜のサラダ、おぼろ豆腐の冷や奴、茄子の胡麻味噌炒り、粕取り焼酎「亜鼓娘」(お湯割り)


 2008.0517(土) 語弊

同学会の総会へ出席をするため自由学園へ行く。否、「総会へ出席するため」という書き方には語弊があった、本当は、きのうの足慣らしに次男が脱落するようなことがなかったか、それを事情通に訊きに来た、と言った方が正しい。

お茶の会の後、サッカーグラウンドの前に住む同級生で、高等科2年に長男が在学中のオギノヒロツグ君の自宅を訪ねると、中等科の足慣らしには何の問題もなかったとのことにて一安心をする。

夕刻より、ひばりヶ丘駅近くの「サイゼリヤ」で開かれている、自由学園卒業生有志のメイリングリスト"pdn"(Primary Dougakunotomo Network)のオフ会に参加をする

帰途、山手線の車内にて三島由紀夫の「裸体と衣装」を読むうち、ここに僕の世俗的興味を喚起する部分を見つけ、そこに集中するうち列車はいつの間にか西日暮里駅に停車していた。慌てて立ち上がり、ふたりの人に突っかかり、そのふたりの人に謝りながらプラットフォームに飛び出す。

北千住の「天七」にてカウンター活動の後、最終のひとつ前の下り特急スペーシアに乗る。


朝飯 茹でたブロッコリー、スペイン風目玉焼き、高菜の油炒め、納豆、山椒の醤油煮、メシ、徳用湯波と三つ葉の味噌汁

昼飯 "Excelsior Caffe"のサンドイッチ、コーヒー

晩飯 「天七」の串揚げ、チューハイ


 2008.0516(金) 夜の本読み

本日、自由学園男子部中等科は遠足の足慣らしのため伊豆ヶ岳へ登る。低山であっても歩く距離は短くなく、登り下りの速度も高いから12歳には辛い行程になるだろう。というわけで仏壇へは普段よりも丁寧に線香を上げる。

夜、寝床で「淳之介流 やわらかい約束」を読んでいると、変なヤツが出てくる。実際に誰かが枕元に歩み出たわけではない、ペイジを繰るうち当方は軽い眠りに落ち、そこで夢を見ているわけである。

このようなことは寝床で本を読むたびにあり、そうすると僕はそろそろ眠る時間が来たと認識して枕頭の明かりを落とす。

深更、雷雨の音に目を覚まし、しばらくしてからふたたび眠る。


朝飯 茄子の油炒め、胡瓜のしその実のたまり漬和え、高菜の油炒め、納豆、メシ、豆腐と茗荷の味噌汁

昼飯 「金長」のメンチカツ弁当

晩飯 茄子の薄味炊き、高菜の油炒め、山椒の醤油煮、冷や奴、カワハギ、甘エビ、真鯛、するめいか、鰤の刺身、喜久水酒造の粕取り焼酎「亜鼓娘」(お湯割り)


 2008.0515(木) 食べ物とお酒の関係

朝、事務室にいるところに包装係のアオキマチコさんが出勤して、朝飯は食べたかと訊く。「オレは朝はバッチリ食べるよ」と答えると、いまだ温もりのあるチャーハンをくれた。よってこれは昼飯にまわすこととする。

メイルをいただきながら返事の送れていない人がいる。今日こそはと考えているところに事務室のプリンターが故障し、一部の仕事を手書きに切り替えたりして、またまた返信が書けなかったりする。「とはいえ日記は書けているじゃねぇか」と問われれば、なんと答えて良いか分からない。

変化に富んだ美味いもののある地域には、また美味い酒がある。酒を断とうと思えば、大して美味くもないものばかりを食べている地域に旅をすると良い。変化に富んだ美味いもののある地域でも、食べ物に興味のない人が増えれば、酒の消費量は落ちるような気がする。

大鍋の底に残ったカレーをメシにぶっかけ、これを食べて今夜は断酒をしようと考えた。しかしカレーライスはカレーうどんに代わり、サラダと冷や奴が添えられたからまたまた飲酒欲が湧き、しかし辛うじてこれを抑えて今月4度目の断酒をする。


朝飯 小松菜の油炒め、トマトとソーセージのオムレツ、メカブの酢の物、納豆、メシ、徳用湯波と三つ葉の味噌汁

昼飯 じゃこと梅干しと大葉と胡麻のチャーハン

晩飯 ツナとトマトとレタスのサラダ、冷や奴、カレーうどん、メロン


 2008.0514(水) 牡丹と葡萄ジュース

朝、おばあちゃんの居間へ行くと、牡丹の花が生けてある。その薄い花びらや葉が5月の明るい光を透過させ、色を浅くする様を眺めるのは楽しい

ワインにもっとも似合いの肴は葡萄だと言った人がいる。洒落たことを言うものである。それが頭にあったところに今日は「盛岡スコーレ」の葡萄ジュースをいただいた。よって夕刻にこれをブルゴーニュの赤ワイン"Bourgogne Pinot Noir Alain Corcia 2004"に合わせてみる。

結果はワインの大敗だった。この葡萄ジュースには、葡萄の皮の内側の味と香りが濃厚にある。種は取り除いて絞るのだろうが、しかしその種の香りさえ感じることができる。アランコルシアのブルゴーニュには安価だが優れたものが多い。大抵のワインは、この葡萄ジュースには敵わないのではないか。あるいはワインと葡萄ジュースを同時に飲むということが、そもそも誤りなのかも知れない。

冷たいコンビーフはそれほど好まない。しかしこれに熱を加え、油が溶け出したものは大好きだ。よって晩飯の卓に運ばれたコンビーフは即、その一切れをスパゲティの下に埋める。そして数分後にこれを発掘し、スパゲティに絡めて食べる

トマトにイチゴの香りがするのは、そのような種類のトマトだからだろうか、あるいはこれにかけ回したオリーヴオイルのせいだろうか。明日か明後日には一度、断酒をしようと思う。


朝飯 茄子の油炒め、ニラのおひたし、納豆、缶詰の鰯、メカブの酢の物、メシ、シジミと万能葱の味噌汁

昼飯 ラーメン

晩飯 生のトマト筍とグリーンアスパラガスのスパゲティ"neu frank"のコンビーフ同ソーセージ「金谷ホテル」のフランスパン、"Bourgogne Pinot Noir Alain Corcia 2004"、「盛岡スコーレ」の葡萄ジュース


 2008.0513(火) 好きな炊き物

ゼンマイと油揚げと昆布の炊いたもの、イカと里芋を炊いたもの、筍と身欠き鰊を炊いたもの、そういう、このあたりの人の作る炊き物が僕は好きだ。ところが家内はそういうものを作らない。だから僕は、人からそういうものをもらえる機会をじっと待っている。

本日は、おじいちゃんのところに線香を上げに来てくれた元販売係のオーシマヒサコさんが、筍と身欠き鰊の炊き物を持参してくれた。よって晩にはこれを肴とし、嬉々として泡盛のお湯割りを飲む。お湯割りを口へ含むなり「強えぇな」と感じ、お湯を足したのは、このクースーの高いアルコール度を忘れていたためだ。

ワイン蔵にはいまだ4本の焼酎がある。汗牛充棟というほどではないが、初秋までは十分に保つ在庫と思われる。


朝飯 茹でたブロッコリー、生のトマト、徳用湯波と小松菜の薄味炊き、納豆、缶詰の鰯、浅蜊と万能葱の味噌汁

昼飯 鍋焼きうどん

晩飯 筍と身欠き鰊の炊き物エノキダケと白菜キムチの豚肉巻き、中華風冷や奴、胡瓜のナムル風、メシ、泡盛「蔵酒」(お湯割り)


 2008.0512(月) ベイルートの石

朝5時30分に起床する。本日はおじいちゃんの祥月命日にて、朝飯の前に家内と墓参りに行く。このところ曇天と小雨で寒さが続いたせいか、連休に帰宅した長男と次男が供えた花は、1週間を経ていまだに瑞々しかった。

「ベイルートの石」とフェルトペンで書かれた石が居間の棚にある。おじいちゃんがレバノンの路傍からこれを持ち帰ったのは、40年ちかくも前のことと思う。晩年の糖尿病さえなければ、おじいちゃんの人生は有終の美を飾れたかも知れない。

先日、入浴後のテレビ鑑賞中に急死した、まったく知らないわけでもない高齢者がいる。正に大往生というべきものだが、こうして死ぬことのできる人は、死者全体のうちのどれほどだろうか。


朝飯 冷や奴、しいたけのたまり漬のスクランブルドエッグ、山椒の醤油煮、筍の油炒め、徳用湯波と三つ葉の味噌汁

昼飯 「青やぎ」のお弁当

晩飯 ブロッコリーの胡麻マヨネーズ和え、赤い魚の粕漬け、おぼろ豆腐の冷や奴、徳用湯波と小松菜の薄味炊き、お多福豆、イベリコ豚のカレー煮、泡盛「蔵酒」(生)


 2008.0511(日) 美味い店は身近にある

それなりの準備を整えなくてはならないところを疎んで、いわゆる"Grande Maison"のフランス料理屋へは行かない。ただし気楽な店でなら、あちらこちらでちょくちょく食べる。そういう店を経験して感じるのは「やっぱりナオトは美味めぇや」ということだ。

本日も初っぱなの、蛍烏賊と茄子のバルサミコソースからして美味い。シャンペンか白ワインを飲みたいところだが「ワインはからだに良い赤にしよう」とオフクロが言う。「バカ言っちゃいけねぇ」と思う。「一体全体からだに良い酒が世の中のどこにあるか」と思う。「酒は毒を承知で飲むものだ」と思う。しかし今日は母の日だからおとなしく赤ワインを注文する。

帆立貝を「磯くせぇ」と言って嫌う次男も、この店でだけは食べる。今夜の帆立貝の立派さはどうだ。熱々のフランは小さな壺ではなくドンブリで食いたい気分だ。香り立つ羊の脂が美味い。クレームブリュレにはコニャックを合わせたいが、あまり酔うわけにもいかない。エスプレッソの機械が故障して普通のコーヒーになったところだけが今夜の瑕瑾である。

そして「ナオト、もっと通わなきゃなぁ」と思う。


朝飯 ソーセージとピーマンの油炒め、タラの芽のおひたし、山椒の醤油煮、生のトマト、納豆、メシ、徳用湯波と三つ葉の味噌汁

昼飯 「ふじや」の味噌ラーメン

晩飯 "Finbec Naoto"の蛍烏賊と茄子のバルサミコソース、帆立貝とアボカドのイチゴ風味、エビのクネルのフラン、羊のロースト、小さなカレーライス、クレームブリュレ、コーヒー、"Morgon Chateau de Bellevue Louis Jadot 2002"


 2008.0510(土) 父母会

イベリコ豚の切り落としによるポトフをカレーに作り直したらことのほか美味く、きのうの晩はこれによるカレーライスを2杯も食べてしまった。そのため今朝は胃が重い。よっておかずは流動食のようなものにしてもらったが、納豆も生卵も滑りの良いものにて、結局はメシをお代わりする。

東武日光線下今市駅11:00発のきぬがわ4号に乗ると、西武池袋線ひばりヶ丘駅には13:12に着く。そして次男が自由学園男子部中等科に入学して初めての父母会に参加をする。

学校を信頼し、上級生を信頼して子供の24時間をお任せしている以上、父母会への参加は可能な限り果たさなくてはならない義務である。その義務が過重な負担かといえばそのようなことは決してなく、当方はむしろ喜び勇んで学校へ行くのだ

北千住発21:11発の下り最終スペーシアに乗り、11時前に帰宅する。


朝飯 納豆、生卵、メシ、筍とワカメと万能葱の味噌汁

昼飯 3種のおむすび

晩飯 「マダム石島」のお弁当


 2008.0509(金) アクの味

商売をしている今は望むべくもないが、30年ほど前の5月の連休中に奥日光へ行ったことがある。戦場ヶ原の木々はいまだ葉を付けず、雪こそ見えないものの、あたりは冬の景色とそう変わるところはなかった。しかしそこから標高にして数百メートルも下れば、山には山菜が出始めている。

きのうは包装係のサイトーヨシコさんからコゴミとタラの芽をもらった。通常この手は天ぷらにするところだが、家内が繁忙にてそれが叶わない。「だったらおひたしだ」と、アクの強いタラの芽も茹でで水にさらしたのみで食べてみると、これがなかなか悪くない。

血中の脂肪濃度を下げようとすれば、これまた天ぷらよりはおひたしの方が数等、優れていそうである。


朝飯 筍の薄味炊き、山葵海苔、コゴミの胡麻マヨネーズ和え、目玉焼き、焼きソーセージ、メシ、徳用湯波とワカメと万能葱の味噌汁

昼飯 サンドイッチ、コーヒー

晩飯 筍の醤油炒め、鶏松風焼き、タラの芽のおひたし、ジャガイモのサラダ、カレーライス、泡盛「蔵酒」(生)


 2008.0508(木) もっともらしい説

真夜中を越えたころに小さくない地震があり、それがいつまでも収まらない。飛び起きて廊下への出口を確保し、テレビのスイッチを入れて"NHK"の地震速報を見る。

栃木県北部は震度3との数字が出たところで「3ってこたぁねぇだろう、もっと大きいよ」と茶々を入れているあいだも揺れは次々と押し寄せる。栃木県北部の震度が4に変わったところで揺れは一段落し、しかししばらくするとまたユサユサと来る。

火事なら消防車が来てくれるが、地震で家がポッキリ折れたら誰も助けようがない。誰にも助けてもらえないという怖さが、地震にはある。

ようやく寝入ったころにまた揺れる。小刻みに揺れれば大地震は来ない、という説は本当だろうか。もっともらしい説ほどしばしば外れるのだ。


朝飯 中華風冷や奴、炒り卵とレタスとパセリのサラダ、山葵海苔、納豆、メシ、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 サンドイッチ、牛乳

晩飯 コゴミのおひたし、筍の薄味炊き、冷や奴、焼き鳥各種、カレーライス、「多良川」の古酒「蔵酒」(生)


 2008.0507(水) 得てして

3月25日から使い始めた"ThinkPad X61"の"C"のキーが数週間前からしばしば効かない。

「くそっ、保証期間内だから修理費は無料とか、そういう問題じゃねぇ、修理に出してるヒマがねぇんだよ、そろそろThinkpadに見切りをつけて、本職好みのLet's noteにすべきかなぁ」

と考えていたところ、今日は"C"のキーの不具合が"S"に移動した。"S"が正常に戻ると今度は"Tab"がおかしい。そこでキーボードの隙間にエアダスターの空気を噴射すると、2個の白い粒が飛び出した。

はじめはコンピュータの部品とばかり考えていたそれを試しに口へ入れ噛みつぶしてみると生の米粒だった。精米所にコンピュータを持ち込んだ覚えはない。魔訶不思議なこともあるものである

終業後に大阪の安いホテルを予約する。安いホテルではなく、そこそこのホテルの安いプランと言い換えるべきか。予約の窓口は「楽天」で、先へ進むに連れて自分の楽天ポイントが32,000もあることを知る。このポイントを使えば宿泊料はただになる。ただにした分はいずれ「楽天」からホテルに補填されるだろう。しかし何だかホテルには申し訳のない気がする。

結局はこのホテル代も支払って、ますますポイントを貯めることになる。貯まったポイントはいずれ使用期限を迎え、不要不急の、あるいは手に入れて後悔するような何かに充当されるのではないか。得てして僕は、そういうことをやらかしがちな人間である。


朝飯 メカブの酢の物、スペイン風目玉焼き、納豆、メシ、徳用湯波と万能葱の味噌汁

昼飯 鍋焼きうどん

晩飯 帆立貝のフライ、刻みキャベツ、カレーライス


 2008.0506(火) 嬉々として

朝、仏壇に花、水、お茶、線香を上げようとして、その置き場所にホコリの目立っていることを改めて知る。時間に余裕もあるところから、濡れた布巾を固く絞り、しばしその周辺を綺麗にする。ゴールデンウィーク最終日の空は晴れ上がり、湿度はきわめて低い。

午前10時30分、次男は嬉々として帰寮の途に就いた。東天寮にいて、家を恋しがる人の気持ちが分かるかと訊くと「わかんない」と申し訳なさそうに笑った次男は、少年ばかりの共同生活に戻れることが嬉しくて仕方ないのだ。

子供ふたりがそれぞれのすみかに戻った今夜は飲酒を控えようと考えていたが、思い直して芋焼酎のソーダ割りを飲む。


朝飯 納豆、メカブの酢の物、筍の薄味炊き、ソーセージとキャベツの油炒め、メシ、徳用湯波と長葱の味噌汁

昼飯 ビビムパップ

晩飯 コンビーフ、スモークトタン、オイルサーディン、筍とイタリアンパセリのサラダ、2種のキノコのオリーヴオイル炒め、"PAUL"のパン、芋焼酎「百秀」(ソーダ割り)


 2008.0505(月) 手書きします

マニュアルを読むという行為は座学の範疇に入るだろう、これが僕にはできない。

きのうの日記を書いている最中に"Dreamweaver"のどこを触ったか、テキストと画像をリンクさせる操作部分を消してしまった。どうにか復旧させようとしてブラウザにマニュアルを呼び出したが、そもそも現在の問題についてはどのカテゴリにあたるべきかも分からず、あちらこちらをいじくり回した。

しかし、いじくればいじくるほど復旧への道は遠くなり、結局は知識のありそうな人に助けを求めることになる。ところがこの電話がなかなか繋がらず、数時間を経て折り返されたそれには電波の混交により外国語が混じっていた。

「いま、どこですか」の問いに「タイ国内を移動中です」と相手は答えたから気の毒になり「あー、だったら休み明けまでリンクはタグを手書きします」と言って受話器を置いた。


朝飯 筍の薄味炊き焼きソーセージ、メカブの酢の物、筍ごはん、徳用湯波とほうれん草の味噌汁

昼飯 豚挽肉と玉葱のつゆで食べる釜揚げうどん

晩飯 トマトと胡瓜とレタスのサラダジャガイモのグラタン、グリーンアスパラガスのオリーヴオイル炒め、ポークソテー"Chablis 1er Cru Mont de Milieu Olivier Leflaive 2002"


 2008.0504(日) 黒い巨頭

数日前に注文した"BOSE"の卓上CDプレイヤーがきのう届いた。やはり数日前に"amazon"を逍遙していたところ、今となってはどういう経緯によるものかは忘れたが、エラ・フィッツジェラルドとサッチモのデュエット"ELLA AND LOUIS"がお薦めリストに浮上した。よってこれを新しいプレイヤーで聴く最初のCDと決め、すぐにショッピングカートへ入れた。

そのことを連休で帰宅中の長男に話すと「あ、それ、僕、持ってる」と言う。「あらまー」と悔やむがキャンセルは効かない。そしてこれは今日の午後に届いた。

終業後、この二大巨頭による歌を聴く。5曲目に至って「懐かしいなぁ、なんて曲だったっけ」とライナーノーツに目を遣ると、そこには"under a blanket of blue"の文字があった。学生のときに買った世良譲のレコード"smoke rings"では、この曲は"under the blanket of blue"と表記されていた。もちろん同じ曲である。

英作文の授業中「闇に閉ざされて」という意味のことを英語に訳する必要があり、僕が"under the blanket of dark"と回答したところ、アカギヒデヤ先生は「この場合にはdarkではなくdarknessですね」と訂正をしてくださった。

「分かりました。それはさておき、これはなかなか洒落た表現と思いますがどうでしょう」と続けると、先生は言下に「このくらいの言い回しは普通に使いますね」とおっしゃって僕はがっかりした。そういう思い出が、この古い曲にはある。

もう一点、ライナーノーツによれば"ELLA AND LOUIS"は1956年の8月16日にロスアンジェルスで録音されたという。その日は奇しくも僕の誕生日でもある。


朝飯 スクランブルドエッグのサラダ

昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン

晩飯 筍の薄味炊き、中華風冷や奴、豚肉と水菜の鍋筍ごはん、山椒の醤油煮、メロン、芋焼酎「百秀」(ソーダ割り)


 2008.0503(土) もも上げ

朝の仕事が一段落して居間へ戻ると、次男が筋力トレーニングをしていた。腹筋30回、背筋60回、腕立て伏せ20回、もも上げ100回が1日のノルマなのだという。

日本にある3000メートル級の山に登るのが自由学園の遠足で、僕は高等科1年生のときの富士山が特にきつかった。このとき、我々は馬返しからアプローチを開始した。八合目から上で発生しやすい高山病を度外視し、脚の疲労のみを考えれば、富士山は馬返しから五合目までが難物なのだ。

そういう本番の遠足に備えた足慣らしに使われるのが埼玉県の伊豆ヶ岳で、僕が現役のころから、足慣らしは本番よりもきついと言われてきた。伊豆ヶ岳は低山の部類に入るが、自由学園の男子部は、ここを走るように登り下りする。しかし実際には、この足慣らしよりも本番の方がずっと辛い。

もも上げ100回は確かに必須の準備と、35年前の自分の遠足を振り返って思う。


朝飯 山葵海苔、ほうれん草の油炒め、スペイン風目玉焼き、納豆、メシ、浅蜊と三つ葉の味噌汁メロンとイチゴ

昼飯 焼きそば

晩飯 「大昌園」のあれこれ、麦焼酎「田苑」(オンザロックス)


 2008.0502(金) 猟犬

僕が自由学園の東天寮にいたころは、入学式のあった週末から帰宅をすることができた。しかし遠方あるいは海外からの新入生への配慮なのだろう、随分と以前から、帰宅が許されるのは5月の連休からと決められた。

10年前のこのとき、家での晩ごはんには何が食べたいかとのハガキに、サイトートシコさんのけんちん汁が食べたいと、長男は書き送ってきた。家内は次男にも同じ問いを発したが、こちらは返事をよこさなかった。

よって"neu frank"からはソーセージを、「グルメミートショップ」からはイベリコ豚の切り落としを取り寄せ、また小倉町の「小嶋米穀店」では大福豆を買い、これらでポトフを作る。

次男は夜7時すぎに帰宅した。着替えの際に見ると、山から戻った猟犬のように贅肉がそげている。6月の登山へ向けた体力作りでは、床に涙をポロポロとこぼしながら腕立て伏せをするのだという。それでも週末に寮の部屋でする、お菓子を食べながらの懇談はチョー楽しいのだという。

「良かったなぁ、だけどこれからだぜ」と言うと次男は短く「うん」とだけ答えた。


朝飯 生のトマト、ハムエッグ、メカブの酢の物、納豆、山葵海苔、メシ、松山揚げとワカメと長葱の味噌汁

昼飯 ピラフ

晩飯 "neu frank"のスモークトタンとコンビーフサラダニソワーズポトフ"PAUL"のパン2種"Auxey Duresses 1988"


 2008.0501(木) 口なおし

一流の作家によるくだらない読み物とは、と考えて第一に浮かぶのは三島由紀夫の「複雑な彼」だ。しかしこの場合のくだらないとは読んでつまらないという意味ではない。ところがここ10日ほどは、やはり一流の作家によるつまらない本に引っかかり、仕方なしに数百ページを読み通した。

その口なおしとして本日

「淳之介流 やわらかい約束」 村松友視著 河出書房新社 \1,575

を開く。村松友視の本を1ヶ月のあいだに2冊も読むとは予想外のことだ。

月に8回の断酒ノルマを年初にさかのぼって検証すれば、1月には10回をこなして2月は6回。つまり1月の次期繰り越し2回分を2月で費消したことになる。3月は9回、4月は8回だから3月に繰り越した1回分はいまだ生きている。

そういう計算をしながらも今月は初日から断酒をし、後のスケデュールを楽にしようと考えている。


朝飯 ほうれん草の油炒め、卵焼き、山椒の醤油煮、メカブの酢の物、浅蜊の佃煮、筍ごはん、松山揚げと豆腐とワカメと長葱の味噌汁

昼飯 筍ごはん、天ぷら蕎麦

晩飯 青椒牛肉絲、胡瓜のナムル風、うずら豆、中華風冷や奴、メシ、シジミのお吸い物