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おれは天國の住人なのか それとも地獄に堕ちる身なのか わからぬ
草の上の盃と花の乙女と長琴さえあれば  この現物と引き替えに 天國は君にやるよ
Omar Khayyam

 2001.0630(土) ホタル

朝5時30分に起床する。

朝飯は、納豆、ツナとトマトとレタスとキュウリのサラダ、茄子の油炒め、氷頭なます、オクラとダイコンのぬか漬け、メシ、豆腐とワカメの味噌汁

午前中、自由学園 で3年後輩の天宝ちゃん から 梅酒用日本酒 「うめちゃん」 1本と、「うまいがな濃醇」 1本、「うまいがな軽快」 4本 が届く。

日本酒による梅酒とは、いったいどのような味のするものなのだろう。ここまできたら決心をして、隠居の梅を収穫しなくてはいけない。

昼どき、きのう送られてきた 「下町酒場巡礼」 を読む。

酒場巡りの文章としては、やはり太田和彦の筆になるものの方がずっと上だ。ただしこの本には、人知れず消えていく無名の店が多く蒐集されている。哀惜の念を伴う絨毯爆撃のようなフィールドワークは、足で稼ぐ記事の真骨頂だ。

この本に出てくる浅草の 「喜美松」 とういうモツ焼き屋を検索エンジンに打ち込んだら、"hamapage" という名の不思議なウェブペイジ がヒットした。

この、僕よりも3歳下のハマダシンロウという人の 居酒屋礼賛 -呑む・食べる- の、膨大なデイタの渉猟を目にし、呆れ、驚き、感心をする。

晩飯は、ペンネと鶏と芝エビの、モツァレラチーズによるグラタントマトとキュウリとオクラとレタスのサラダダイコンとキュウリとホタテ貝のサラダバターライス

飲み物は、"Saint Morillon" の "Cabernet Sauvignon 1995"

食後、親子3人で、知人に送っていただいたゲイム をする。

親はロウソク、子は小人。子は木の陰に小人を隠す。親は振ったサイコロの目の数だけ小径を進む。小人は影の中に限り、自由に移動ができる。

ロウソクの明かりにあぶり出されると、小人は動けなくなる。影の中で他の小人が助けに来れば、復活をする。

すべての小人をロウソクにてあぶり出すと、親の勝ち。小人がついに親から隠れおおせれば、子の勝ちになる。

密林の中で、歩兵がゲリラを掃討していくような遊びだが、実は社会性をはぐくむゲイムだという。3人よりも、もっと大人数で行えば、更に面白くなるだろう。

暗い中で音もなく進むゲイムは、近ごろ忘れていた大昔の団らんを思い出す。

昨日から飼育を始めたホタルが、虫箱の中で十数頭もしきりに光る。撮影をこころみるが、目で見るような残像が、手で支えたデジタルカメラでは記録できない。

タンカレイのジンを生で少し飲み、9時に就寝する。


 2001.0629(金) カミナリとイタリアの飯

明け方に、長く雷鳴がとどろいたという。僕には憶えがない。5時30分に起床する。

きのう北岳に登り、今日、肩の小屋から下山する長男のことを思う。

朝飯は、ヒジキとニンジンの湯波和え、氷頭なます、納豆、刻みオクラのカツオブシかけ、刺身湯波、キュウリのぬか漬け、メシ、アサリとミョウガの味噌汁

夜半から降り続いた雨は、午前7時30分には、既にして上がりつつあった

午前中、amazon.co.jp から、次男@5歳に頼まれた3冊の本と、僕の注文した3冊の本が届く。

アマゾンでは、5000円以上の買い物から送料がタダになる。つい、5000円以上を使うハメになる。

僕が頼んだのは、以下の3冊だ。

下町酒場巡礼   大川渉・平岡海人・宮前栄   四谷ラウンド   \ 1,500
聴雨・蛍   織田作之助   ちくま文庫   \  760
十九世紀パリ怪人伝   鹿島茂   小学館文庫   \  533

場末の酒場で、耳の穴に100円玉を入れた男の隣りに座り、織田作之助の短編を読むような趣味が、僕にはある。働きのある人間は、決してそういう嗜好を持たない。

社員のヤマダカオリ君とトチギチカ君が、明日から三浦海岸で開かれる 西研究所 の研修に参加をする。今夜6時50分発の特急スペーシアに乗るため、晩飯をごちそうすることにする。

ヨシハラさんの店 "Casa Lingo" へ行く。同行者は他に、anne@家内と次男@5歳の、計5人だ。

いつも頼む最も安いスプマンテが切れていたため、しかたなく Ferrari にする。

グラスの底を抜いた ふたつのランプ の下で、料理の写真を撮る。

イタリア料理屋なのに、なぜか シェフサラダ と呼ばれるサラダを、いつも一番手に注文する。次に 丸むきトマトハムの盛り合わせ

鯛の刺身牛肉の刺身

ピザはマルゲリータ。ピザと同じ石窯にて焼かれる ガーリックパンホタテ貝

ルッコラと黒ゴマのスパゲティ は、ゴマを噛みつぶす食感が面白く、また味も良い。アイディアものの料理だ。1皿では足りず、ナスとベイコンのスパゲティ も取る。

ここで時間切れとなり、ヤマダカオリ君とトチギチカ君は、家内の運転するクルマにて下今市駅へ向かう。

僕は次男と、そのまま席に残る。グラッパ を飲み終わるころに家内が戻る。家内はデザートを2品。次男はアイスクリーム。

帰宅し、9時に就寝する。


 2001.0628(木) 竹郷白茶

0時30分に目が覚める。さすがにこの時間から起き出すのはまずかろうと、ベッドの上で本を読む。奥本大三郎の 「楽しき熱帯」 を読了する。

体内時計がズレて明け方まで眠れない不具合を 「睡眠相後退症候群」 と呼ぶらしい。とすれば僕は、さしずめ 「睡眠相前進症候群」 ということになるだろうか。

午前3時に服を着て事務室へ降りる。メイルを書き、オンラインショップ からの受注をこなす。明るくなりかけの戸外へ出て、朝の湿った空気を吸う。

7時前に自室へもどり、上級生のムラセフトハルさんから戴いた、抗州の竹郷白茶を取り出す。

お茶の缶には、さすがに漢字の国らしく、無数の四文字がちりばめられている。「外形細秀」 「形如風羽」 「色如玉霜」 「光亮潤洋」 「鮮爽馥郁」 「清徹明亮」 などなど。

このお茶を飲むには、ある種の儀式を体得する必要がある。僕はムラセさんから送っていただいた 「作法」 のプリントを横に、この 竹郷白茶 を飲んだ。

1煎目には、清香(ちんしゃん)と呼ばれる、山奥の清流に近くいるような香りを楽しむ。

2煎目には、野趣溢れる味を利き、のどごしの良さを味わう。

3煎目には、コップの中の茶葉が昇降を繰りかえす様をながめて愉しむ。

朝飯は、ナスの油炒め、ダイコンとキュウリのぬか漬け、ヒジキとニンジンの湯波和え、納豆、卵焼き、刺身湯波、メシ、豆腐とミョウガの味噌汁

午前10時に、宇都宮ケーブルテレビ のタケダさんとヤマナカさんが来社する。こちらのユーキャット見本市 に出店する ウチのオンラインショップ について、最終の打ち合わせを持つ。

画像の差し替え、文章の書き換え、注文フォームのデザイン変更など、まだまだ調整すべき点は多い。7月1日の稼働開始まで、先方のSEには、激しいアルバイトを強いることになりそうだ。

終業後、現場の アオキフミオさんフクダナオブミさん に、スケデュール管理教室を実施する。

マイツール で行うスケデュール管理は、しごく単純だ。毎日コツコツと入力をし続けた者の頭上にこそ、自信と安楽さは舞い降りる。

8時に教室を終え、9時に自室へ戻る。タンカレイのジンをオンザロックスにて90cc飲み、10時に就寝する。


 2001.0627(水) アジサイ

むかし家内の家族が暮らす白金三光坂上のマンションに、著名な建築家が住んでいた。客の注文品でさんざん前衛の実験をしながら、自分はマンション住まいという姿勢を、僕は卑怯と感じた。

それでは、リーヴァイスのジーンズと白いTシャツを普段着とする服のデザイナーを、僕が卑怯と断ずるかというと、こちらはそんなこともない。

人間とは、矛盾に満ちた生き物だ。

「オレ、朝はカフェオレとクロワッサンしかノドを通らなくてさぁ」 と言う米作り農家は、卑怯だろうか? これは卑怯というよりも、上出来のジョークだろう。

朝飯に味噌汁を摂取しない味噌屋がいたら、僕は大いにバカにする。

朝飯は、フキの煮物、塩鮭、もずく、納豆、キュウリのぬか漬け、厚揚げ豆腐とほうれん草のおひたし、メシ、タマネギとワカメの味噌汁

午後、戦場ヶ原の散策と東照宮の見物を済ませた知り合いが、我が家に立ち寄ってくれる。母屋ではなく、隠居にて茶菓を供する。

隠居には3株のアジサイがあった。この季節にしか気のつかないことだ。それぞれに異なる色を持っていた。

梅の実 が育っている。下級生の 天宝ちゃん から 梅酒用日本酒 「うめちゃん」 の営業メイルが届いていたことを思い出す。

僕は生まれてこのかた、梅の収穫などはしたこともない。毎朝1時2時に起きて、していることといえば、コンピュータをいじることばかりだ。

明け方に梅を採り、「うめちゃん」に漬けてみようかなどと、考える。


 2001.0626(火) スマートメディア経由のデイタ移動

朝5時に起床する。睡眠時間は8時間30分。九州にて消耗した体力を回復するための長い眠りだろうか。この起床時間では、朝飯前にまとまった仕事ができない。

朝飯は、もずく、蕗の煮物、納豆、ブロッコリーの油炒め、塩鮭、キュウリのぬか漬け、メシ、厚揚げ豆腐とミョウガの味噌汁

日曜日の朝、志賀島でniftermを開いたら 「ログが壊れています」 に続いて 「ログを復旧しています」 というようなメッセイジが、画面に現れた。

そのときは二日酔いと繁忙にてたいして調べもしなかったが、僕のpatioと 奥飛騨さん のpatio、あわせて5万強の発言消失が、後に分かった。

以前、niftermのヴァージョンアップの際にも、奥飛騨さんのpatioは壊れた。失われた過去ログは、奥飛騨さんから郵便にて届いたスマートメディアにて、復旧させた。

今回も、奥飛騨さんに 「過去ログのスマートメディアへの格納方法」 と 「スマートメディアからniftermへの、過去ログ移し替え方法」 について、教えていただく。

本日は所用にて宇都宮へ出かける。僕とanne@家内のコンピュータをクルマに乗せる。帰途、日光わんわんの森 に、カトーノさんを訊ねる。

anne@家内のコンピュータから、僕のpatio "BANYAN BAR" の2万数千発言を取りだし、64MBのスマートメディア経由で僕のコンピュータに移し替える

帰社し、同じくanne@家内のコンピュータにて、サーヴァーに保存されている、奥飛騨patioの最新500発言をダウンロードする。それを先ほど覚えた手順にて、スマートメディア経由で僕のコンピュータに移植する。

午後はギフトがらみ、送付先名簿がらみの仕事にて、夕刻まで休みなく仕事をする。

晩飯は、トマトとモツァレラチーズのサラダエリンギとグリーンアスパラガスのオリーヴオイル炒めハムとタマネギのオムレツ

ワインはここ数日、変わりなく "MERLOT" TRENTINO 1995 を飲む。

午後8時30分に就寝する。


 2001.0625(月) インプレスからの招待

朝7時に、目覚まし時計の音に起こされる。オンラインショップ からの受注を済ませ、会社に転送する。

8時すこし過ぎに甘木庵を出る。8時35分に浅草へ着く。7時から営業をしている地下のトンカツ屋にて、日ごろは食べられないベイコンエッグ定食を頼む。

浅草発9時の特急スペーシアに乗る。10時50分に帰社する。

昨夜、博多から甘木庵に帰着してeメイルの送受信を行うと、インプレス の井垣留美子さんという人から、連絡が入っていた。

「(仮)先輩100人からのホームページデビューの誘い」 という本に載せたいので、至急、紙面に参加して欲しいという内容のものだった。

この手の突然の依頼は、無視してしまうことが多い。

ところが本日の朝、ゲコ@ビビンバ からeメイルが入り、「この企画は自分の紹介だ」 と言う。それなら話は別だ。即、インプレスのアンケートフォームから質問に答える。

「紹介」 ということの大切さを思う。

久方ぶりに、自宅の晩飯を食べる。

先日、自由学園のマルノ君がお代わりをしながら 「これはヤバイよ」 と言った ニンニクのたまり漬のバターライスレタスとキュウリのサラダ鶏のソテー、トマトソース

ワインは数日前にバキュバンで栓をした "MERLOT" TRENTINO 1995 を飲む。

午後8時30分に就寝する。


 2001.0624(日) 志賀島MG2日目

覚醒するが、目を開けられない。頭が痛い。気分が悪い。二日酔いだ。人の話し声が聞こえる。同室のシモちゃんに時間を訊ねる。7時30分だという。30分ほどをかけて起きあがる。

窓を開ける。曇り空が見える。海が見える。玄海島を望む

ヴァイキング形式の朝食は、味噌汁とお粥とコンソメスープのみを、辛うじて胃に収める。味噌汁のワカメが飲み込めない。水分のみを摂取し、具はすべて残す。

同室の小澤オールナイト徹也さんに 「スタートは9時30分」 と聞いていたため、9時すぎにシモちゃんとロビーに降りると、吉原マイタイ英令さんがクルマにて迎えにみえていた。

「あまり来んからデスネ」

恐縮をする。

MGはPQ(売上高)の高い順から5、6人ずつが、ひとつの卓に着く。トップはA卓。4期の僕はE卓。下位の卓には、どうしても初心者が集まる。10年もMGをして第4期E卓などという人間は、MG会の珍品だ。

僕は、ヨチヨチと歩みの遅いE卓で、それでも損益分岐点比率71%、自己資本319円をマークした。PQは912円。これにより、第5期にはC卓へ上がる。

第4期末に買い込んだ材料のお陰で、第5期初の在庫は十分だ。

隣席の赤間さんが 「大型機械に買い換えるので、アタッチメント付きの小型機械を50円で買ってくれないか?」 と言う。5月の倉吉MGと、同じ展開になってきた。これ幸いと、機械を2台体制にする。

僕にしては充実した会社盤 にて、第5期が始まる。

C卓には、得てしてA、B卓から陥落してきた人が多い。彼らはシニアルールにて貯め込んだ戦略チップを多く抱えている。アドヴァンテイジは間違いなく、彼らにある。

前半戦では 商品を売ってキャッシュを作りつつ、次々と戦略チップを買い集める。20分後の中休みには、期初にくらべて見違えるような会社盤 ができあがっていた。

「この期はイケる」 という確信の腰を折ったのは、最終局面で引いた 「縁故採用」 のカードだった。これによって、期末に雇用した何の仕事もしない社員に、51円のF(固定費)を負担することが確定する。

結局、僕の第5期は、税引前当期利益▲22円、累積利益▲3円、当期未処分利益▲5円、よって自己資本は295円という結果に終わった。

本来ならば、あらゆるリスクをヘッジして、できるだけの営業利益を上げておかなくてはいけない。まだまだ甘いMGをしている。

MGの表彰状は、第5期末の到達自己資本が高い者に与えられる。

最優秀経営者賞は、大阪から来た 屋部さん が獲得した。優秀経営者賞は、小澤オールナイト徹也さん吉田ゲンチャン の頭上に輝く。

僕は第1期スタート時の自己資本を増やせなかったが、辛うじて 昇り竜 を確保する。

締めの講義は、清水nobさん による 「良好なキャッシュフロウを実現するための、現実的な方策」 だった。詳細で論理的な図を解釈しながら進める講義は、とても分かりやすく腑に落ちるもので、大いに感心をする。

感想文を書いて、夕刻5時すぎにMG会場を出る。

河合ヤマトナデシコ喜文さんのクルマには、東京組の西hinano順一郎先生と星野智幸さんと僕、それに沖縄組のシモちゃんが乗り込む。6時30分に、福岡空港へ到着する。

午後7時25分発の全日空機の中では、昨日と今日の日記を書いて過ごす

着陸後、1時間20分を経て御徒町に至る。甘木庵へ帰着し、午後11時30分に就寝する。


 2001.0623(土) 志賀島MG1日目

朝6時30分に起床する。eメイルをダウンロードし、昨日の日記を書く。

朝食を済ませ、8時45分に河合ヤマトナデシコ喜文さんのクルマにて、祇園のホテルを出る。

小一時間を経て志賀島へ入る。志賀島は博多湾に突き出た砂嘴の先にある、10Kmほどの海岸線を持つ島だ。西に能古島を望む。

10時より国民休暇村の研修センターにて、志賀島MGが始まる。主催は博多シーガルクラブだ。参加者は41名。

第1期のインストラクションは西hinano順一郎先生だが、ルール説明からは 吉原マイタイ英令さんが引き継いで 行う。

僕の成績は、第2期のPQ(売上高)が196円の、損益分岐点比率は177%。

第3期は 「倉庫火災」 によって6個の材料が焼失したところから奮励努力し、損益分岐点比率を90%まで持っていく。

海沿いのイタリア料理屋にて、晩飯をとる。乾杯の発声には、僕 が指名される。デキャンタの赤ワインを飲みながら、ムール貝 やら フルーツ を食いまくる。

再び研修センターへ戻る。吉原マイタイ英令さんによるSTRACの講義と、第4期の経営計画が行われる。マイタイさんの講義は現実に即した、とても優れたものだった。

講義中、生真面目な星野智幸さんは脳をフル稼働させ続け、ついに意識を失う

勉強は、9時に終了した。その場にて10時まで、交流会 が開かれる。参加者には、九州北部のスーパーマーケットの方が多かった。

雨の中を5分歩き、国民休暇村のホテルへ移動する。

この2日間、睡眠が不足している僕は、入浴を済ませて即、就寝しようとした。ところが廊下を歩いているところで 浪花ろばた八角 の屋部さんに捕獲され、宴会部屋へ案内 されてしまう。

0時すこし前に部屋へ戻る。入浴前に準備した枕元の読書灯へは一瞥もくれず、横になった瞬間、眠りに落ちた。


 2001.0622(金) 長丁場

午前3時に起床する。まずまずの時間だ。今日は長い1日になる。あまり早く目覚めては後半戦が保たないと、危惧をしていた。

朝飯は、もずく、ナス炒め大根おろし添え、アジの開き、納豆、温泉卵、メシ、シメジと大根と三つ葉の味噌汁

むかし慶應大学の高橋義孝だか池田弥三郎が、「酒の肴には、朝飯のおかずがよく似合う」 と、言った。

湯島天神下のシンスケの酒肴では、温泉卵が定番中の定番だ。オヤジは嫌がるだろうが、これと生湯波をグジャグジャに混ぜて食べると、とても美味い。

12時5分発の浅草行き特急スペーシアに乗る。

「楽しき熱帯」 奥本大三郎著 集英社文庫 \552

を読む。このフランス文学者による日本語の文章が、僕は好きだ。

浅草から羽田空港までは、都営浅草線にて達することができる。予定よりもかなり早く、離陸の1時間以上前に空港へ着く。

強い酒が飲みたくなる。カフェテリアへ行く。ウイスキーのダブルを1杯、オンザロックス にて飲む。数通のeメイルを書く。

午後3時45分発の福岡行き全日空機は点検のため、30分ほども遅れて離陸した。福岡には弱い雨が降っていた。6時すこし過ぎに、祇園のホテルへ到着する。明日から始まる志賀島MGの前夜祭が、これから始まろうとしている。

西hinano順一郎先生や仲間 と共に、近くの料理屋さんへ移動する。

ノリに博多ネギと巻く、特殊なイワシの刺身 を食べる。慶州味噌による、上出来の鍋 を食べる。

むかしは筋骨型の旅行者、いまは遊び名人の 小澤夫妻 とは、久方ぶりの邂逅となる。前夜祭はいまだ一次会だ。騒がず上品に 酒食を進める。

二次会 は、一次会場ちかくの 鉄鍋餃子 の店で行われた。

時計に目をやると、既にして10時30分を回っていた。普段なら、とうに眠っている時間だ。僕はここで帰ることを宣言したが、河合製氷冷蔵の河合ヤマトナデシコ喜文さん に留められる。

「博多に来んしゃったら、"M-Jungle" に行かなイカン」

タクシーにて天神へ移動する。雨はほとんど止んでいる。"M-Jungle" で 吉原マイタイ英令 さんの踊りを見たり、看護婦さんたち と騒いだりして、深夜の数時間を過ごす。

午前1時30分にホテルへ帰着し、2時に就寝する。今日は23時間、続けて起きていたことになる。


 2001.0621(木) 夏至

朝1時30分に起床する。これだけ早くに目が覚めると、さすがにマズいのではないかと思う。

朝飯は、アジの開き、温泉卵、納豆、グリーンアスパラ炒め、キュウリとナスとカブのぬか漬け、メシ、モヤシと万能ネギの味噌汁

最近、ウェブペイジの更新分をサーヴァーへコピーする際に、数日前に送付したファイルがいつまでも繰り返し転送されるなどの不具合が目立ってきた。

ファイル転送ソフトの "Next FTP" が壊れたのだろうか?

メイルで打ち合わせを重ねてきた外注SEカトーノさんの見立ては 「ひとつのフォルダに、千数百の画像を格納していることによるトラブルではないか」 というものだった。

カトーノさんが来社 し、ウェブペイジのローカルな環境に月別の画像格納フォルダを装備する。それをサーヴァーに転送する。

転送には数時間を要すると思われたが、夕刻 「コマンドが処理できない」 とのエラーメッセイジと共に、回線は切断されてしまった。

既に帰宅しているカトーノさんに電話を入れる。僕と同じ環境を備える彼のコンピュータから、もう一度サーヴァーに新しい環境を転送してもらうよう頼む。

今日は夏至だ。夏至の前日が、僕にとっては1年で最も嬉しい日だろうか。これからは漸く昼が短くなる。遠き落日を眺める気分だ。

今年の夏至は、生憎と濃い霧の中に始まり、ボンヤリとしたまま暮れようとしている。午後6時30分、いまだ明るい外光の中で、日光の山は深い雲の中に隠れたまま だ。

先日の飲み残し "MERLOT" TRENTINO 1995 をグラスに注ぐ。それだけでは足りないと考え、同じものを開栓する。

非常に美味い トマトのスパゲティ と、普通に美味い タコ、イカ、エリンギ、マッシュルーム、マイタケ、シメジのマリネ を食べる。

夜9時30分に就寝する。


 2001.0620(水) 佐野のラーメン、八王子のウナギ

朝5時50分に起床する。朝飯前の仕事をこなす。

朝飯は、ホウレンソウ炒め、納豆、ジャガイモとトマトとレタスのサラダ、温泉卵、ナスとキュウリとカブのぬか漬け、メシ、大根と三つ葉の味噌汁

朝9時に、ハローワークへ新卒者の求人票を提出する。受理番号第1番を獲得する。

午前中、千葉県野田市にある七光台小学校の6年生から電話が入る。

過日の日光への修学旅行について、学校で発表をする。日光の食べ物についても、触れる必要がある。ところが現地で買った 「たまり漬」 は、既に食べて無い。だから商品を送って欲しい。

電話の内容は、おおむねこのようなものだった。

受話器は途中から、担任の先生に引き継がれた。教材として使うものだろうから、支払いは不要と伝える。そのかわり、パンフレットを生徒の人数分、送ることにする。

電話をしてきた6年生に、受注伝票と手紙 を事前送付する。会社から万引きをするわけにはいかないため、代金は僕が支払う。

栃木県南部の佐野ラーメンが、いつのころからか流行っている。

我が町から佐野市までは、高速道路を使っても1時間以上はかかる。それだけの距離にもかかわらず、お客様から 「美味い佐野ラーメンの店を教えてくれ」 と訊かれることが、しばしばある。

東京タワーのエレヴェイター係に 「八王子の美味いウナギ屋を教えろ」 というような質問を発することと、同種の行為だ。しかしまさかお客様に、そのようなことも言えない。

あるとき 「佐野までいらっしゃって、地元でお訊きになってみてください」 と、言ったことがある。お客様から返ってきた言葉は 「ここでカーナヴィに入力するのだから、ここで教えてもらわなくては困る」 だった。

というわけで

「MONMIYA臨時増刊号 とちぎ噂のラーメン 160杯」 新朝プレス \780

を購入する。

「とちぎ噂のラーメン」 だから、もちろん我が町のラーメン屋さんも掲載されている。ところが、僕がひいきにしている ふじやはたや が出ていない。そのかわり、僕が 「どうして?」 と思うお店が過半を占めている。

「大丈夫か、この本?」 と、思う。

とりあえず、ウェブペイジ 「佐野ラーメン」 の順位表をCSV経由でマイツールへ取り込み、この本に綴じ込む。

午後、ここ1年半ほど注文の無かった大口の顧客から、ギフトの申し込みが入る。全部で80件の送付先名簿を届けて欲しい旨の依頼がある。勢い込んで礼を述べ、承諾する。

晩飯は、冷や奴、ホウレンソウのゴマ和え、ジャガイモとレタスと赤ピーマンのサラダ、モヤシ炒め、豚肉の梅肉と大葉巻きフライ。飲み物は 紅乙女のオンザロックス

夜10時ちかくに就寝する。


 2001.0619(火) 6月の仕事

夜半に覚醒して眠れない。ベッドの上でしばらくじっとしてから起床する。時計を見ると午前1時30分だった。事務室へ降り、朝の仕事をこなす。

朝飯は、昨夜のシチューぶっかけメシ、キュウリとカブのぬか漬け、塩ラッキョウ

世の中に、名簿の完備している家は、意外に少ない。

午前中は、町なかの大口ギフト顧客を訪ねる。昨年暮のギフト名簿を手渡す。大いに重宝される。できればこのようなサーヴィスを、可能な限り多くの顧客に行いたいところだが、手間もまた馬鹿にはならない。

コンピュータのスケデュール管理には、「6月19日までに、新卒者のための求人票を作成するように」 との指示がある。既にデイタベイス化された内容 に手直しを加える。午後の数時間を費やし、求人票を完成させる。

晩飯には 大量の水菜豚の薄切り肉 を用意する。昆布にてダシをとった鍋にて 豚シャブ とする。

豚シャブの好きな次男@5歳に振り回される形で、10日に1度ほどは、豚シャブを食べている。

今夜の飲み物は焼酎のオンザロックスだ。蔵が気合いを込めて作った希少な焼酎は、得てして個性が強すぎる。メシにはあまり似合わない。僕の普段飲みは、ディスカウンターで買う 25度の紅乙女 だ。

オンザロックスのほとんどは、昨夏、駒場の 日本民藝館 にて購った ツノ付きのグラス にて飲む。

日本民藝館の売店の女の人は、しきりにこのグラスの価格の高騰を僕に詫びた。どうということもない。

price ÷ times = unit price.

高い道具も気に入って頻繁に使えば、しごく安いものになる。

夜9時に就寝する。


 2001.0618(月) もうひとつのオンラインショップ

朝飯は、炒めたソーセイジ、ブロッコリー、納豆、ホウレンソウのおひたし、カブの葉と油揚げの炒め煮、カブとキュウリのぬか漬け、メシ、厚揚げ豆腐とワカメの味噌汁

朝方ハローワークへ行き、来年3月に新卒となる学生の求人票を受け取る。この15年ほど、社員の採用にあたっては、孤軍奮闘でことに当たってきた。振り返って思い出すことは多い。

求人票の一部を、社会保険労務士のキミシマチョウゴさんにファクシミリにて送る。賃金や休日など、細かい数字の算出を依頼する。

10時に、宇都宮ケーブルテレビ のヤマナカタクヤさんが来社する。この会社の 「ユーキャット見本市」 上にウチが出すオンラインショップの完成報告だ。

出来はあまりあか抜けない が、徐々に手直しをしていこうと考えている。

どうも僕は 「楽天市場」 のような 「広い道」 よりも、狭い媒体を好むところがある。「ユーキャット見本市」 の基本方針は 「地元の人が知っている、地域で一番美味しい店」 だ。

晩飯は、ニンニクパンニース風のサラダ牛肉のシチュー

"MERLOT" TRENTINO 1995 という、フランス語によるブドウ品種の名を持つイタリアのワインを飲む。ビンの後ろ側に、イタリア語と英語にて

1.ビンは横にして冷暗所に保存せよ。
2.5年以上は寝かせよ。
3.飲む2時間前に開栓し、20度から22度にてサーヴせよ。
4.甘いパン、脳味噌や鶏のレヴァ、家禽を含む白い肉に合わせよ。

と、親切というか、お節介なことが書いてある。

"MERLOT" といえばポムロルのワインを思い出すが、このワイン、どちらかといえばマルゴーの感じだ。これをビンに半分ほども飲み、8時30分に就寝する。


 2001.0617(日) 1升5合の蕎麦

3時30分に起床する。ウェブペイジからの受注をこなし、eメイルの送受信を行い、昨日の日記を書く。

朝飯は、ナス炒め大根おろし、ワカメとタマネギとカツオブシ、納豆、カブの葉と油揚げの炒め煮、ナスとカブのぬか漬け、メシ、鯛とミツバの味噌汁

9時ごろ、朝飯を済ませた3人の高校生を蔵に案内する。その足で隠居へ行き、昨夜に続いて 「東天寮便り」 の取材を受ける。

昨夜の取材は、主に自由学園時代のことについてのものだった。今日は、現在のことについて質問を受ける。

僕と3人の高校生は11時すぎに外へ出て、日光街道の杉並木をゆっくりと歩き、杉並木公園へ至る。

報徳庵 にて、家族とまれびとの計7人が、1升5合の蕎麦と天ぷらの昼食 をとる。

彼らは午後2時15分発の快速にて帰寮した。

以降は店舗へ行ったり製造現場へ行ったりと、いつもの時間を過ごす。

夕食後、織田作之助の 「聴雨」 を読み、9時に就寝する。


 2001.0616(土) まれびとの来訪

朝3時30分に起床する。事務室に降り、昨日の日記を書き、10数通のeメイルを書く。

6時ころから散歩へ行こうかと考えたが、ついついコンピュータにへばりついているうち、7時になってしまう。

朝飯は、炒めたソーセイジとホウレンソウ、生のトマト、納豆、塩ラッキョウ、キュウリとナスのぬか漬け、メシ、豆腐とワカメと万能ネギの味噌汁

9時より次男@5歳をともない、幼稚園へおもむく。今日は 父親参観日 だ。

先生と園児が教室にてお祈りや出欠しらべなど、朝のルーティンを済ませる。歌の披露が2曲。子供の絵をあしらった小物入れをプレゼントされる。

園庭へ出て体操をし、学年ごとに騎馬戦などのゲイムが始まる。次男には闘争心、競争心がまったく無く、また僕にもその手のものは欠けているため、ことごとく負ける。

父親参観日は予定よりも早く、11時に解散された。そのまま加藤床屋へ行き、次男を丸坊主にしてもらう。

夕刻5時15分に下今市駅にて、高等学校1年生の遊亀@長男と、3年生のサトウキミヤ君、マルノミツヒロ君を出迎える。彼らは 自由学園 の生徒により年に6回発行される 「東天寮便り」 の取材で、我が町を訪れた。

彼らを自宅の居間へ通したところで、僕はふたたび外へ出る。

150メートルほど歩き、全社員による 繁忙期前の食事会 のため、近所の洋食屋 「金長」 へ行く。昨年夏のデイタを配り、短い説明を加える。あとは2時間ほどの歓談。

8時前に居間へ戻り、家族と来訪者の計6名で、クルマで20分ほどの温泉へ出かける。ごく弱い雨の中で、露天風呂に入る。

9時30分に帰宅し、長男、サトウキミヤ君、マルノミツヒロ君と共に隠居へ移動する。

「東天寮便り」 の取材が始まる。取材を受けるというのは、難しい仕事だ。頭の中の混沌を、言葉を選んで腑分けしていく。

11時に、僕と長男のみが自宅居間へ戻る。お客さんは隠居へ泊まる。

11時30分に就寝する。


 2001.0615(金) アメリカの晩飯

朝6時30分に起床する。どうも早起きができない。

朝飯は、ワカメとタマネギとカツオブシ、納豆、卵焼き、ホウレンソウ炒め、たまり漬、白菜の漬け物、メシ、大根と人参と万能ネギの味噌汁

社会保険労務士のキミシマチョウゴさんに、書類を3通、作成してもらう。楽なものだ。外注に出さず、なんでもかんでも自分でこなせば経費もかからないが、どうしても安楽な方向に流されてしまう。

昨夜に続き、20代はじめの女子社員3名を相手に、スケデュール管理教室を行う

猿の生態を観察すると、最も学ぶことに熱心なのは、若い女の猿だという。そして最もダメなのが、オスの老猿だそうだ。

というわけで、夕方5時40分から始めた教室は、初期設定も含めて7時には、あらかた終了してしまった。

anne@家内が買ってきたケンタッキーフライドチキンの、フライドチキンをチャパティで巻いたもの を食べる。ここ2日ほどは、アメリカ人になった気分だ。白ワインを1杯と赤ワインを2杯、飲む。

20分ほどで晩飯も終わり、教室は最後の詰めに入る。いつものことながら、不明の点があれば、いつでも分かる人か僕に訊くよう伝える。

自室に戻り、ジョニーウォーカーの18年物をダブルで1杯と、ビールを135cc飲む。10時に就寝する。


 2001.0614(木) もっちゃんの来訪

朝5時に事務室へ降りると、アマゾンから荷物 が届いていた。数日前に注文をした5冊の本だ。開いてみると、まるで輸送されるコンピュータのように、箱の内壁から浮いた形でシュリンク包装 された本が現れた。

この包装形態は本にキズをつけない配慮を感じさせるが、同時に、梱包時間を短縮する目的にもかなっているのだろう。

また "BRUNELLO DI MONTALCINO" RUFFINO 1995 も、代引き着払い便にて届いていた。これで "Sartoria" からブレイザーとパンツが届いたら、明らかに僕の普通預金は破綻をする。

朝飯は、炒めたナスとホウレンソウ、ジャガイモとレタスのサラダ、納豆、塩鮭、白菜の漬け物、メシ、アサリの味噌汁

終業後、3人の社員が僕のスケデュール管理教室を受ける予定になっている。初期設定のため、各自のコンピュータを事務室へ持参 してもらう。ところが彼女たちは、初期設定は自ら行いたいと言う。反対すべきことは、何もない。

午後、東興機械 の楠山もっちゃんが、"EXEN" の張ヶ谷さんを伴って 来社 される。

「建設機械のテーブルバイブレータを漬物の製造に用いると、これこれしかじかのメリットが・・・」 という商談だった。いろいろと考えを巡らし、蔵の中をご案内し、張ヶ谷さんには取り引きのある漬物屋さんをご紹介する。

もっちゃんと張ヶ谷さんがウチをお出になってしばらく後に 「今夜はこのあたりに泊まりたい」 旨の連絡が入る。日光の新しい温泉旅館に電話をし、料金の交渉をする。

もっちゃんの携帯電話に、再び連絡を入れる。

「あ、楠山さん、OKです。『日光千姫物語』 という旅館がとれました」
「えっへっへ、千姫物語? 大丈夫ですか? 男ふたりでそんなとこに泊まっちゃって」
「大丈夫です、普通の旅館です。綺麗ですよ。まだ新しいです」

夕刻5時40分から、スケデュール管理教室 を始める。これは マイツール を用いた優れた未来管理システムだ。

途中、モスバーガーから買い込んだ諸々 による食事をはさむ。僕はここで赤ワインを1杯と白ワインを2杯、飲む、

7時30分には、予定していたカリキュラムのすべてが終了した。僕は8時30分まで居残って、オンラインショップからの受注をこなす。

自室に戻り、ジョニーウォーカーの18年物をダブルで1杯と、ビールを270cc飲む。10時に就寝する。


 2001.0613(水) e-フード2001

朝5時30分に起床する。オンラインショップ からの受注を社内の会議室に上げ、出荷を依頼する。

8時30分に甘木庵を出れば、途中で朝食をとっても、10時少し前には東京ビッグサイトに到着すると、計算をしていた。しかしながら昨日の日記に手間取り、9時ちかくになって玄関を出る。

ゆりかもめが臨海副都心の主要な施設をたどるため、新橋駅の銀座口から 東京ビッグサイト の入り口までは、どうしても40分ほどは要してしまう。

今日は日本食糧新聞社 の主催による "WORLD FABEX2001" という外食産業の展示会が催されているが、僕はそれと同時開催されている "e-フード2001" に用事があった。

現在、損はしていないが大儲けもしていないウチのオンラインショップにとって、新しい刺激とは何か? そのようなものに行き当たれば幸いと、考えていた。

会場の "e" ゾーンに並ぶさまざまのブースでは、電子商取引のシステム そのものを取引先に提供しようとするものが多かった。僕が欲しいのはシステムではなく、アイディア、考え、遊びという曖昧な部分だ。

どちらかといえばあまり活気のない西ホール2の "e" エリアを離れ、西ホール1の "WORLD FABEX2001" へ移動する。

こちらは 「現物」 というアナログなものの展示で、パーソナルな注文にその場で対応する弁当屋 や、これまた パーソナルな需要に対応するサラダバー などが、本物の食品を用意して活躍していた。

それらを見ながら僕は 「やっぱりオンラインショップも、サーチとソートだろうなぁ」 と、漠然と考えていた。現在、ソートをオンラインショップに上手に取り入れている筆頭は、やはり アマゾン だろうか。

浅草発19時ちょうどの東武日光線スペーシアに乗り、帰宅する。


 2001.0612(火) 夜遊び

朝4時に起床する。

朝飯は、コマツナと鶏挽肉の煮びたし、ナス炒め、塩鮭、キュウリとカブのぬか漬け、メシ、カブとコマツナの味噌汁

夕刻より上京する。大江戸線ができて、本郷と神楽坂の距離が縮まった。6時30分、牛込神楽坂の駅から神楽坂上へ至る。

神楽坂 は良くできた街だ。日本人は路地を好む。行政が広場を設けても、日本で広場が繁華になることはありえない。日本人はすべからく、路地に埋没する。

その路地を徘徊 し、勘八系の寿司屋を2軒、見つける。7人しか入れない、四畳半ほどの焼鳥屋を見つける。非常に先鋭なバーを見つける。

神楽坂3丁目の西側に、しゃれたエントランス を見つける。もちろん知らない店だ。力を込めて引き戸を開く。

見通しの利かない玄関にて声をかけると、奥から反応がある。靴を脱ぎ板の間に足を踏み入れると、そこはハイテックな内装の板前割烹だった。胴回りが150Cmほどもありそうな主人が、極端に無愛想な視線を僕に向ける。

「これは失敗したかな」 と、一瞬、後悔をする。

調理場を鉤の手に囲むカウンターは10人がけ。その半分ほどが、グループ客にて埋まっている。少し離れた4人がけの机には、いまだ客はいない。

主人が主に調理をし、若い女の子が助手兼皿洗い。主人の父母は、お運びなどの手伝いをしている。主人とは異なり、父親の物腰はやわらかく、母親もまた親切だ。

メニュを開くと、和のものもあるが、和洋折衷の創作料理も多い。群馬泉の淡緑山廃吟醸を注文する。良くできた片口にて、きっちり一合が供される。

「ジャガイモの冷たいポタージュ」 と 「スズキのベイジルロースト」 を頼む。店内は徐々に混み合い、やがて17人分のスペイスがすべて埋まる。

ここの主人、手先の不器用さと丁寧な性格が相まって、料理の完成投入速度が極端に遅い。3種の先付けがあったために間が持ったが、ポタージュが出るまでに30分は要しただろうか。

ガラス鉢に入ったこの冷たいポタージュの表面には、生ウニが置かれている。スプーンを差し込むと、先ずは刻まれたアサツキ、そしてジュンサイがあらわれる。更に底の方を探ると、ズワイガニが沈められている。

特筆すべきは、コンソメジュレの換わりに用いられた蕎麦つゆ味の煮こごりが、生クリームの濃厚さを際ださせるところだ。とても凝った意匠。ジュンサイ好きの僕は大いに驚き喜んで、このひと品を 大切に食べる。

壁の棚には土物による様々な片口と、備前の徳利が並べられている。それらに混じって、オテルドミクニの主人の著作が飾ってある。この店の主、元々はフランス料理屋で修行をしたのだろうか。

「スズキのベイジルロースト」 が出るまでに、1時間ほどを要する。「職人一人に馬鹿八人」 という言葉もある通り、物を作る人の仕事を見て飽くことはない。あるいは、他の客の声を聞き、姿を目に入れることも、孤独な客の、ひとつの楽しみだ。

主人がミルクパンほどの小さな鍋で、丁寧にキャベツのようなものを炒めている。15分ほども、炒めている。バターを投入し、牛乳を注いでいる。野菜をこれほどまでに炒めてどうしようというのかと、いぶかしく感じ、見ていた。

もちろん他の客の注文も、同時に調理されている。7人の予約客が時間を大幅にズラせて次々に集まるため、料理の手順が合理的に進まない。主人の機嫌は悪い。

銀座の 「おぐ羅」 や、かつてキャリオカビルにあった "KEYAKI BAR" が 「オヤジというソフト」 で味を増している店だとすれば、ここは 「オヤジというソフト」 が逆に働いている店だろうか。

僕よりも若い、30歳代と思われる主人はむっつりと押し黙り、包丁を入れたアイナメに、ハケにて丁寧に粉を叩いている。まるで何かに熱中する子供のような手つきだ。

主人の母親が 「いま焼いていますからね、申し訳ありません、お待たせしちゃって」 と、しきりに気を使う。僕はノンキな境遇だ。「いえ、大丈夫ですよ」 と、答える。

長々と炒めていた野菜はキャベツではなく、タマネギだった。その敷きつめられたタマネギの上に、反り返った出来の良いスズキ が、ベイジルの香りを強く放ちながら載っている。タマネギは長時間の調理にもかかわらず、シャキシャキと歯に快い。

これは悪くない料理だ。量も十分にある。僕はすかさず群馬泉をお代わりし、完熟トマトの冷たいスパゲティを頼んだ。調理時間を勘案して先へ先へと注文しないと、途中でオーダーストップにもなりかねない。

やがて僕が極細麺のスパゲティを食べ始めるころ、7人グループにコースのすべてを出し終えた主人は、調理器具の片づけを始めた。

主人の顔が、徐々に緊張から解放されていく。

僕はこの店で、2時間以上の時を過ごした。勘定は9500円弱だった。玄関で靴を履いていると、主人の母が、待たせて申し訳なかったこと、昨日は一組の客しか無かったのに、今日はどうしたことかなどと、僕に詫びを述べる。

僕はさして、物ごとを気にするたちではない。それに実は、この店は楽しい店だ。そのために、僕は料理の遅い完成時間も気にならなかった。

たった3品しか食べていないにもかかわらず、僕の胃袋は満杯だった。苦しい思いをして、靴の紐を締める。

路地から出て神楽坂を下る。外堀通りから階段を降りたところにある "Canard Cafe" はかつて、へらブナの釣り堀だったところだろうか。

東西線と銀座線を乗り継いで帰宅しようとしたが 「地上を帰りたいな」 と思い直し、飯田橋駅 から 秋葉原 を経由して甘木庵に戻る。

3時間と少々のクルージングは面白かった。10時に就寝する。


 2001.0611(月) 一ヤリ、二ホタル、三モンゴウ

朝4時に起床する。このところ、オンラインショップ からの注文が少なくない。多くの注文は夜中に送信されてくる。早朝の受注作業は欠かせない。

朝飯は、グリーンアスパラガスのオリーヴオイル炒め、納豆、コマツナと油揚げの煮びたし、ナスの塩漬け、キュウリとオクラのぬか漬け、メシ、厚揚げ豆腐と茗荷の味噌汁

作成すべき書類がふたつある。なかなかはかどらない。尻を叩かれないと動かない性格が、随所に顔を出す。

終業後、所用にて宇都宮へ出る。我が町から宇都宮までは30Km、クルマでは40分の距離だ。

県庁裏のイタリア料理屋 "Il Natale" へ行く。

チンザノのドライデキャンタの白ワイン

パン にかけまわされたオリーヴオイルの香りが高い。

ヤリイカのグリル野菜添え。イカの塩辛の美味い順として 「一ヤリ、二ホタル、三モンゴウ」 という言葉を聞いたことがある。本当だろうか。

僕はどこで食べるヤリイカよりも、イタリア料理屋で食べるヤリイカが好きだ。

キノコのソテーニンニクとトウガラシのスパゲティ

牛肉のサラダ仕立て は、メニュでは肉料理のところにあったが、レアに仕上げた牛肉を多めの野菜とからめ、チーズのスライスを飾った、健康的な料理だ。

この店、

1.すすけた電飾看板と半端に高級な入り口を派手にカジュアルにし
2.暗い印象の内装を楽しいものに変え
3.安っぽい食器を良いものに換え
4.便所の芳香剤の香りが客席に漏れる問題を解決

すれば、良い料理屋になるだろう。安くて美味い店なのに、もったいない。

夜9時に帰宅し、9時30分に就寝する。


 2001.0610(日) こなから

朝、事務室にいると、6時ちょうどに花火が上がった。大出火薬店の、オオイデユウイチ君の仕事だろうか。打ち上げ場所は、如来寺の墓地に違いない。

「今日は第2日曜日。ということは、朝市かなぁ?」 と考える。シャッターを降ろした事務室の外に、何台ものクルマの停まる気配がする。戸外へ出てみると案の定、朝市が開かれていた。

Olympus C-700 Ultrazoom を首から下げて、日光街道沿いの朝市へ出向く。

大和屋珈琲店 にて100円のコーフィーを飲む。ローストの強い僕好みのコーフィーだ。

若い女の人 が売る、シフォンケイキを買う。

若い男の人 が売る、サツマイモパンとシナモン味のスコーンを買う。

朝飯は、納豆、ホウレンソウ炒め、カブの葉と油揚げの炒め煮、ナスの塩漬け、キュウリとカブとオクラのぬか漬け、メシ、ナメコと三つ葉の味噌汁

昼ごろ、「たまき」 から益子焼きの 片口 が、ひと窯分200客、納品される。

豊島区大塚に、「こなから」 という上出来の小料理屋がある。「こなから」 とは 「なから」 つまり半分の半分という意味で、2合5勺をあらわす言葉だ。これはまた、1日の酒の適量を示しているという。

僕は片口という器が好きだ。2合5勺の容量を持つ片口をつくり、ここに漬物を入れて売ったらどうか? と考えたのは、一昨年のことだった。「たまき」 の社長に相談をし、片口についての説明文 も入れることにした。文章は同じく、「たまき」 の社長によるものだ。

以来、片口は限定販売としてきたが、パンフレットに載せたとたん、引き合いが多くなった。今回納品分の200客で、いつまでもつだろうか。

夕刻、大正末期あるいは昭和初期のものと思われる 女持ちの蕎麦猪口 にて、諏訪泉の大吟醸を飲む。

晩飯は、もずく、1枚100円のカマスの干物、焼いた厚揚げ豆腐とナス、コマツナと油揚げの煮びたし、生のトマト

夜9時30分に就寝する。


 2001.0609(土) Castillo de Molina 1999

朝2時45分に起床する。

朝飯は、スペイン風目玉焼き、納豆、ホウレンソウ炒め、キュウリとカブのぬか漬け、メシ、ミョウガとジャガイモの味噌汁

僕はこのスペイン風目玉焼きと勝手に名づけた卵料理が大好きだ。行きつけの飲み屋にこのメニュがあったら、どんなに嬉しいことか。

クロサワセイコ君が出勤するなり、自身のThinkPad1124によるniftyへのアクセスが不能になったと言う。彼女の手製による、キルティングのコンピュータ袋をあずかる。

動作試験をしてみると、宇都宮のアクセスポイントからniftyへ入る際に、モデムがパルス発信をしている。ダイヤルのプロパティを調べると、ダイヤル方法には確かに 「トーン」 が指定されている。どうにも不思議だ。

niftermの奥へ入り込んで調べるが、設定に間違いは無い。niftermというメイラーは、この 「アクセスポイント詳細設定」 の設計に、論理性を簡素さを欠いている。

1時間あまり悪戦苦闘をする。結局は、瓢箪から駒のような、しかし数学的な美しさは持ち合わせない便法にて、問題を解決する。

夕刻、Chablis Premier Cru Les Vaillons BILLAUD-SIMON 1998 と並んで 清閑PERSONAL のプレゼントに使われる Castillo de Molina Cabernet Sauvignon Reserva SAN-PEDRO 1999 を開ける。

本来ならあと数年は寝かすべきワインだが、待ってはいられない。抜栓の30分後に、デカンタージュ を行う。

カベルネソーヴィニョンによるこのワインは、本当に美味い酒だ。チリのワインを嗤う俗物に目隠しをして飲ませ、産地を特定させてみたいという誘惑に駆られる。

晩飯は ステーキ、ジャガイモと人参のつけあわせ、レタス、トマト、キュウリ、オクラのサラダ

サシの入った高級な牛肉は味が濃いため、少ししか食べることが出来ない。今日のステーキは、シチュー用の肩ロースを焼いたものだ。量はゴッテリある。これが美味い。淡泊な味わいで、飽きずにガンガン食べられる。

これから家で食べるステーキは、この300g498円の安い肉に決めようかと考える。

10時に就寝する。


 2001.0608(金) オマケのオマケ

朝飯は、納豆、目玉焼き、レタスとツナのサラダ、油揚げとカブの葉の炒め煮、塩ラッキョウ、メシ、カブと油揚げと万能ネギの味噌汁

昼ごろ、楽天市場の マスモトヤ から、メイルマガジンが届く。大量の文章を、よくもまぁ3日に1度の割合で作成できるものだと感心をする。

このメイルマガジン、読まないことがほとんどだが、たまには読むこともある。読めば必ず、なにかしら欲しいワインを見つけることになる。

"BRUNELLO DI MONTALCINO" RUFFINO 1995 \3,980

を1ダース注文する。

僕はいまやワインのほとんどを、オンラインショップにて購う。日本酒についても同じだ。ウイスキーやスピリッツは酒のディスカウントショップで買い、ビールのみ、山遊びを共にする金子酒店のカネコマスさんに配達してもらう。

本日マスモトヤが紹介した "BRUNELLO DI MONTALCINO" は24本の限定販売だった。メイルマガジンが届いてから3時間後には、完売したようだ。

夕刻、武平まんじゅうを買ってくるように頼んでおいたサイトウトシコさんが、まんじゅう を届けてくれる。

「武平まんじゅう」 は、我が町の農村部にある、行列のできる店だ。あまりに顧客からここの場所を訊ねられるため、僕は 市中心部から武平まんじゅうまでの地図 を作った。

まんじゅう屋の人にこの地図を見せて 「ウワサワで教えてもらった」 と言うお客さんも、多いのだろう。ウチがこの店を訪れると、大量のオマケをくれる。申し訳がない。

次に行ったときにウチの商品をお返しに上げると、またまたオマケをくれる。行ったり来たりでキリがない。

社員のイシオカミワ君とトクラガワスミコ君が、明日からの東京MGへ出席する。彼女たちは今夜、甘木庵に泊まる。これまで、終業後に上京するにはちょうど良かった18時01分発のスペーシアが、この時期には運行していない。

次のスペーシアまで90分ちかくもムダに過ごすのは可哀想と、晩飯を一緒に食べることにする。

僕、anne@家内、次男@5歳を含む5人にて、ヨシハラさんの店 "Casa Lingo" へ行く。

飲み物は 「スプマンテ、1番安いの!」

腹が減っているため、画像を撮る前に、つい料理に手をつけてしまう。

タコ入りサラダ生ハムとサラミの盛り合わせ冷たいトマト

カジキマグロのグリル・トマトソースフォルマッジオのピッツァ

サーディンの少し辛いグラタンホタテ貝の石窯焼き

黒ゴマとベイコンとルッコラのスパゲティシイタケとカラスミの生パスタ

締めは シフォンケイキ

彼女たちを下今市駅へ送り、帰宅する。

夜9時に就寝する。


 2001.0607(木) フリーウェア "Resize" のダウンロード

朝5時すぎ、ツバメが3羽4羽、2羽3羽と、ミズスマシのように飛んでいる。そのまま眺めていると、やがてその数を増やし、まるで ヒッチコックの映画 「鳥」 を思わせるような景色に変わる。

夏の終わりには、彼らはダナンやバンコックの方までも、移動をするのだろうか。うらやましくて仕方がない。

朝飯は 刺身湯波、ソーセージ、ブロッコリー、赤ピーマンの炒めたもの、納豆、キュウリのぬか漬け、メシ、ダイコンと万能ネギの味噌汁

午後、外注SEの カトーノさん が来る。仕事は

1.「特別限定・片口セット」「ふきのとうビン入り」注文ペイジ への組み込み。
2.画像一括処理ソフト "Resize" の設定。
3.社員3名分の、モバイルカードの設定

オンラインショップの改造は手直しをする部分が多く、特殊な道具が必要なため、持ち帰りの仕事となる。

画像一括処理ソフトについては、今年の本酒会旅行のころから、使ってみたく思っていた。特に旅先での画像処理を、簡便にしたいというのが、その理由だ。

デジタルカメラの師匠 奥飛騨さん の教えてくれたのが、このフリーウェア "Resize" だ。

使ってみると、これがとても具合が良い。アイコンに画像をフォルダごと移動し、「変換」 ボタンをクリックすれば、たちどころに何十枚もの画像が、指定通りの大きさ、指定通りのクォリティに、瞬く間に変換される。

このようなスグレモノのソフトが、タダとは恐れ入る。普段は現在どおりの、1枚1枚ずつの画像処理法を用い、"Resize" は、特に画像の多い日、あるいは旅先にて使うことにする。

僕が何年も前に "DOCOMO" のモバイルカードを買ったときには、マニュアルも紙っぺらのようなもので、設定も簡単にできた。しかし今ではもう、この手の仕事は、アナログ人間の僕の手に負えないものになっている。

今日はカトーノさんと晩飯同伴コースかと思っていたが、オンラインショップの改造が宿題とされたため、作業は4時前に終了した。

倉吉MGで世話になったボンゴ君の送ってくれた

「諏訪泉 大吟醸」 諏訪酒造 鳥取県八頭郡智頭町智頭451 TEL.0858-75-0618

を飲む。杉の山林に囲まれた小さな町に産するこの日本酒が、酒好きの賛嘆を得るようになったのは、いつのころからのことなのだろう。

濃く甘く、しかしキレが良くて爽やか。そしてなによりも、美味いお酒だ。

晩飯は、もずく、刺身湯波、鶏モモのつけ焼きグリーンアスパラ添え、僕の好きな、そしてanne@家内の嫌いな鯛の粕漬けB級味

夜10時すこし前に就寝する。


 2001.0606(水) カウンタとワインの関係

昨夜の遅寝がたたって、今朝は6時にようやく起床する。

朝飯は、ホワイトアスパラガスのオリーヴオイル炒め、炊いた厚揚げ豆腐にシソの葉、ジャガイモとレタスとプティトマトのサラダ、納豆、メシ、豆腐とワカメと万能ネギの味噌汁

炊いた厚揚げ豆腐が腹にこたえて、メシが1杯と2/3しか食えない。

工場内の劣化したゴムホースを新品に換えるべく、山城屋へ行く。今まで、ホースの長さは定規で測るものとばかり思っていた。ところが今日、ホースには、1メートル刻みで目盛りがついていることを知った。

山城屋の女性事務員イシカワさんが 「コンピューターやってるとさぁ、夕方、この目盛りが見えないんだよねー」 と言う。

「オレもこの年で、近眼になっちゃったもん」
「あー、やっぱり、コンピューター?」
「そう。だけどさ、人はどこかしら、体をすり減らして銭を稼いでいるんだよね」

「そうだよねー、目は疲れても、仕事はコンピューターのお陰で、楽になったからねー。どこかで大変でも、どこかで楽してるんだから、しょうがないんだよねー」

終業後、イシカワさんから電話が入った。

「ホース、間違えて切っちゃったんだよねー。ゴメンねー。持ってきてくれるー?」

部屋へ帰るなり、Chablis Premier Cru Les Vaillons BILLAUD-SIMON 1998 を開ける。

清閑PERSONAL では、区切りのよいカウンタをゲットした人へ、ワインをプレゼントしている。これは、その中の1本だ。

「見ず知らずの人に上げちゃうんだから、なんでもいいよ」 などという格好の悪いことは、とてもではないが、僕にはできない。このシャブリ、エティケットは冴えないけれど、本当に美味いシャブリだ。

共働学舎・新得農場 のソーセイジをコンソメ味の鍋に入れ、ホウレンソウとキャベツを放り込み、豚シャブ を作る。

次男@5歳のリクエストにより、このところ1週間に1回は、豚シャブを食べているのではないだろうか。

ソーセイジの燻した香りがスープに移り、美味い。ソーセイジにかぶりつくと、中の肉汁は固く封じ込められていて、これがまた美味い。

ドイツ風の豚シャブに、石垣島の 島とうがらし を添えて食べる。

午後9時に就寝する。


 2001.0605(火) 社内マイツール教室

「ギフトのご案内」 DMを送付すると、おくりもの以外にも、自家用の需要が高くなる。今日は昨日にくらべていきなり、3倍ちかくも地方発送の受注金額が飛び上がった。

その上に、「明日の午後4時から4時30分のあいだに、○県△市の□社に●円の商品を▲十箱、キッチリ配達せよ」 などという大量の注文が舞い込む。

いくつかの文書を作成しながら、発送受注の事務作業も手伝う。しかしこのくらいは、まだ序の口だろう。

終業後の5時30分すぎより、ウイスキーを生で飲みたい誘惑をこらえて、4名の社員を相手に マイツール教室 を行う。

エダマユミ君、ツカグチユキエ君は今年の入社で、マイツールを触るのは、これが初めてだ。助太刀は、昨年入社のイシオカミワ君とクロサワセイコ君。オブザーバーはサイトウヨシコさん。

ウチには、社員のコンピュータ購入支援システムがある。イシオカ君とクロサワ君は、昨年すでに購入した自分のThinkPad1124を持ち込んでの参加だ。

西研究所 の 「マイツール入門コース」 ならば6時間をかけるところ、社内マイツール教室の持ち時間は3時間だ。途中の20分間は夕食にあてるが、あとは急ぎ足にてカリキュラムを進める。

「電源のオンオフ」 「アプリケイションの切り替え」 「入力」 「計算」 「並べ替え」 「検索」 「グラフ作成」 まで、最低限のコースを9時前に終了する。

以降、日常の仕事にておぼえた疑問については逐一、「分かる人」 に質問をしていくこととする。

夜10時に部屋へ戻り、ジョニーウォーカーを生で飲む。僕にしては珍しく、11時30分という遅い時間に就寝する。


 2001.0604(月) 仕事着でデイト

先日、日光の尭心亭で、若い女の人に挨拶をされた。僕はその人が誰か、分からなかった。anne@家内が "Casa Lingo" のウェイトレスだと教えてくれた。僕も何度か会ってはいるはずだが、仕事着が普段着に変わると、どこの誰やら、見当もつかない。

知人に、ハンググライダーによる軽い墜落により、鎖骨を折った者がいる。入院中に看護婦さんと親しくなり、退院後、渋谷にて待ち合わせをしたという。

雑踏の中に、看護婦さんは、なかなか発見できなかったらしい。

「いやー、白衣、着てないでしょ、見つからないんですよ」

男も女も仕事着でデイトをするという遊びがあったら、さぞかし面白かろうと思う。

尭心亭で会った女の人に 「また、お待ちしています」 と言われたこともあり、終業後、anne@家内と次男@5歳といっしょに、ヨシハラ君の店 "Casa Lingo" へ行く。

カツオのカルパッツィオ、胡麻のソース
僕はサバの薄皮をむいて薄切りにし、醤油と酒と擦った黒ゴマのタレで揉んだものを、メシにぶっかけて食う漁師料理が好きだ。それを思い出した。

トマトのサラダ
トマト好きの僕は、メニュにトマトの文字を見つけると、それを頼まずにはいられない。すこし魚の香りがしたのは、ドレッシングにアンチョビでも、混ぜ込んだせいだろうか。

サフランライスのコロッケ
これは好き嫌いの多い次男のためのもの。サフランの香りが、思いのほか濃かった。

ホタテ貝のオーブン焼き。貝、コブクロ、ナンコツ。こういうコリコリ系に、僕はすこぶる弱い。弱いとは、好きということだ。鮨屋でも、僕は貝と光り物ばかりを食べている。

ガーリックトースト。これまた次男のリクエスト。野菜が嫌いなクセをして、ニンニクだけは好きというのも不思議な人間だ。

茄子とベイコンのスパゲティ。ベイコンを噛むと塩辛く、麺を食べると薄味で、茄子を舌でつぶすとちょうど良い味加減というのも一興だろう。

今夜は ハウスワイン を500cc飲んだため、グラッパは遠慮をする。

締めは小さく、かつ美味い 胡麻のブラマンジェ。三口で食べ終わって、anne@家内に試食の機会を与えなかった。叱られる。

帰宅し、午後9時に就寝する。


 2001.0603(日) 8冊の本

昨夜は8時30分に就寝した。起床はそれから3時間を経た11時30分だった。ベッドにて1時間、本を読んでから事務室へ降りる。

5月30日に行われた 本酒会会報 を、会員にeメイルで送る。

中には携帯電話のアドレスしか持たない者もいて、朝の4時30分に 「本酒会報受信」 の呼び出し音でたたき起こされた会員から、苦渋に満ちた着信報告が入る。

4時から6時までは、自室へ戻って再び眠る。

朝の7時から 「二宮デー」 のため、春日町1丁目公民館へおもむく。「二宮デー」 とは我が町で亡くなった二宮尊徳を偲び、市全体で街を清掃する催しだ。

僕は毎朝の道路掃除で拾い集めた、しかもゴミの収集車が持って行ってはくれない諸々の不燃物を、「この際だ」 とばかりに、所定の場所へ運んだ。

10時30分すぎに "TSUTAYA" へ行く。8冊の本を買う。

pen   特集・そば屋で一杯   TBS BRITANNICA   \  476
十四の嘘と真実   ジェフリー・アーチャー   新潮文庫   \  667
敵中漂流   ディモン・ゴーズ   新潮文庫   \  552
オーパ・スリランカ編   開高健   集英社文庫   \  762
知的な痴的な教養講座   開高健   集英社文庫   \  457
星をつかむ料理人   吉野建   新潮社   \ 1,600
月下の棋士・第30巻   能條純一   小学館   \  505
月下の棋士・第32巻   能條純一   小学館   \  505

僕には、同じ本を重複して買うクセがある。帰宅して調べてみると、案の定、「月下の棋士・第30巻」は、既に読んでいた。 "TSUTAYA" まで返品に行く。

先ほど相手をしてくれたレジのオネーサンはなぜか狼狽し、店長を呼んで来た。ひとくちかじった跡の残る生菓子を返しに来たわけでもないのに、店長の登場には恐れ入る。

「月下の棋士」 はマンガのため、シュリンクというビニールに包まれている。読んでから返すことは不可能な構造だ。

「ご返金・・・ということですか?」
「他の本を買って、差し替えでも良いですよ」
「できればそうしていただいた方が・・・」

講談社文芸文庫から出ている、色川武大の 「生家へ」 を探すが、見つからない。結局

「楽しき熱帯」 奥本大三郎著 集英社文庫 \552

を買う。このフランス文学者による 「本を枕に」 という本が、すごく面白い。

大学ノートに 「氏名」 「住所」 「電話番号」 「返品理由」 の記入を要請される。「返品理由」 の欄には 「既読」 と書いた。

夕刻、知人の家から戻った次男@5歳に 「大昌苑とカサリンゴと市之蔵の、どこがいい?」 と訊くと、しばらく考えた後に 「大昌苑!」 と、答える。

というわけで、夕食は父子で焼き肉を食べる。

「父親とふたりだけで行動できる」 ということは、子供の成長度合いの、ひとつの指標になるだろう。


 2001.0602(土) "Speed Management"

数年前に手塚工房のテヅカナオちゃんが 「タンメンは、はたやだ」 と言った。
「はたや?」 と、僕は訊ねた。

「そう。ほら、今市病院に入る角のラーメン屋さん」
「あぁ、あそこ、はたやっていうのか」

遠い記憶がよみがえった。小学校のとき、同じクラスにヤギサワエーちゃんという友達がいた。エーちゃんは新聞配達のアルバイトをしていた。1960年代には、まだ新聞配達をする小学生がいた。

エーちゃんはアルバイトのお陰で、金回りが良かった。ある日、エーちゃんは僕にラーメンをおごってくれた。そのときの店が、この 「はたや」 だった。

テヅカナオちゃんの 「タンメンは、はたやだ」 を聞いてから、1年に数度は、この 「はたや」 へ出かけるようになった。

その 「はたや」 が、ここしばらく店を閉じていた。心配をしていたが、営業が再開された。僕は安心をした。日常の小さな喜びとは、このようなものだ。

タンメンの美味いラーメン屋では、五目ラーメンも美味いというのが必定だ。

昼どき、「はたや」 にて 五目ラーメン を食べる。

「はたや」 では、野菜をあらかじめ刻んでおくことをしない。厨房から、野菜を刻む音が聞こえてくる。その音から、丁寧な仕事ぶりが伺われる。トッピングのポーチドエッグも、半熟の加減はいつも変わらない。

僕はそこに、プロの仕事を見る。

6月1日に 「GOLD-PFEILのキーケイス」 という文章を、このペイジの "MY FAVORITE" にアップした。

同じ6月1日に、あらかじめ探しておいた "amity" という店の店長に、僕のペイジのURLを示した上で 「このキーケイスは御社のラインナップに無いが、取り寄せることは可能か?」 とのメイルを送った。

3時間を経ないうちに 「メイカーより掲載サンプルをひとつ取寄せ、サイトにて紹介できるよう手配した」 との返信があった。

そして翌日の今日には、既にして、僕が欲しがっていたキーケイスが オンラインショップ上に装備 された。

これを "Speed Management" と呼ばずして、なんと言おうか。

これもまた、プロの仕事に違いない。


 2001.0601(金) 10本のアオトウガラシ

朝飯は、マッシュルームのオムレツ、ブロッコリー炒め、納豆、キュウリのぬか漬け、メシ、豆腐とワカメの味噌汁

味噌汁の豆腐が美味くて、口にそれを運ぶ手が止まらない。食べ始めて1分間ほどで、お代わりをする。

「もっとも好きなお豆腐の食べ方は?」 と訊かれると、僕は決まって 「味噌汁です」 と、答える。

5月28日に投函した夏のギフトのダイレクトメイルは、2日後の30日から効果を現し始めた。穏やかな高原状態の受注作業をこなす。

包装部門の、10年ちかくも使っている マイツール専用機 のディスプレイが、いよいよ怪しくなってきた。目を近づけないと、暗くて文字が認識できない。

事務室にて予備機として待機していた ThinkPad1126 に交換をする。

anne@家内は神戸の先まで出かけた。次男@5歳は知人の家へ泊まりに行った。

僕は夕刻、「勘三郎の天気」 とデジタルカメラを持って、飲み屋の 「和光」 へ出かける。

あずけてある吉四六は、オンザロックスにする。突きだしは、煮たホタルイカ

Fuji FinePix4500 の機動性は大いに気に入っているが、光量の足りない場所で示す Olympus C-700 Ultrazoom の性能の高さは、レンズの飛び出た持ちづらいデザインを補ってあまりある。

ゲコ@ビビンバ の優れた画像をものしているのは、スペックの低い旧式のマビカだ。デジタルカメラにとって大口径のレンズは、やはり大きな武器なのだろうか。

岩牡蠣 はその大きさにもかかわらず、1個につきひとくちにて、食べ終わる。

豆腐とジャコのサラダ、頼まなくても出てきた 生海苔

シシトウ焼きを注文すると、オヤジさんが 「アオトウガラシならあります」 と言う。それを頼む。焼いている最中に、オカミさんが 「なんだか辛そうな匂いがするねぇ」 と笑う。

「オレ、辛いの強いから」 と、答える。僕は常に、相手の気持ちを斟酌するたちだ。その割に、しごく鈍いところもある。

アオトウガラシは合計で10本 あった。ひしお味噌をつけて食べる。焼酎で舌を冷ましながら食べる。

岩牡蠣は2分で食べ終わったにもかかわらず、10本のアオトウガラシをやっつけるまでには、1時間を要した。

7時40分に 「和光」 を出る。帰宅して入浴をし、9時に就寝する。