ここしばらくは、5時30分の起床が続いている。事務室へ降り、コンピュータを起動する。
ウェブショップにおいて、顧客が注文確定ボタンをクリックすると立ち上がる サンクスペイジがある。この細部にちと気になるところがあったため、手直しをして更新する。
同じ意匠の、「パンフレットの請求があった際に立ち上がるペイジ」、「ご意見の送付があった際に立ち上がるペイジ」、「たまり漬を使ったレシピが投稿された際に立ち上がるペイジ」、「懸賞への応募があった際に立ち上がるペイジ」 も、デザインを統一して更新する。
朝飯は、カマボコ、ホウレンソウのおひたし、温泉卵、ナスの甘辛炒め、納豆、野沢菜漬け、メシ、豆腐とワカメと長ネギの味噌汁。温泉卵は、今月の半ばに来訪したイダフミオ君が送ってくれたものだ。これが、九州からわざわざ直送するだけのことはあって、大変に美味い。
開店前に、店舗や蔵や隠居に沿った歩道と車道を掃除する。ハサミで小さく切られた自動車運転免許証の一
片が落ちている。これをポケットへ入れて移動するうちに、また一片、もう一片と、プラスティックの切れ端がポケットに溜まっていく。同じ持ち主による、銀行カードの細片もある。
これらは、100メートルほどの範囲にわたって散乱していた。多分、走っているクルマの窓から投げ捨てられたものだろう。事務室へ戻って、これらをジグソーパズルのように組み合わせる。3枚のカードが完成した。
これを小倉町の交番へ持ち込む。警官が、あちらこちらに電話連絡をする。書類の作成に、ひどく時間がかかる。ヒマをもてあましたため帰ろうとして、呼び止められる。交番には床屋のように、ベンチと雑誌を用意すべきだ。
壁の画鋲を外して電卓のキーの上に逆さに置くなどの暇つぶしを続ける。30分を経過して、ようやく放免される。切断された免許証とカードは、きのう市内のパチンコ屋で発生した車上荒らしによるものらしい。
ギフトの受注が忙しい。電話を受けてメモを取る。ファクシミリからの紙を紛失しないよう、クリップではさむ。ウェブショップの注文を転送されて、携帯電話が震える。「前回の送り先一覧をプリントすることはできるか?」 と、お客様が事務室へ入っていらしゃる。そういうところで、電話がひっきりなしに鳴る。
明日以降に処理しても問題のないメモは、どんどん後回しにする。急ぎの伝票のみを、とりあえずは作成する。それでも机上の紙は、増えていくばかりだ。
「これ、漬物と一緒に送ってくれないかな?」 と、湯波をお持ち込みになったお客様のご注文は、同送品が生もののため、何とか今日の便に間に合わせる。
現場の荷造り係は、受注残はなるべく抱えたくないと、汗を垂らして能率を上げる。事務係は、荷造り係に 「次の発送伝票、できた?」 と訊かれる前に注文をさばこうと、冷や汗を浮かべながらキーボードを叩く。
事務係は1時間の残業をした。それでも受注メモの一部は、そのまま残った。
帰宅して、次男の漢字練習の宿題を督励する。エンピツを握りしめた指が痛いと言うので、洗面所のシンクにお湯を満たし、その中で揉んでやる。
宿題が終われば、次男は人が変わったように元気になる。小学校では、ことし初めての水泳の授業があったという。それがすごく楽しかったと語りながら、次男は幸せそうにソファへ腹這いになり、テレビを見る。
今夕、最も食べたかったものは、ハムカツとマカロニサラダだ。これに生の焼酎が加われば、言うことはない。ただし、今夜のメニュは、カスピ海ヨーグルトとメロンだ。
入浴して、「鎮魂歌 不夜城?」 を読む。物語は最終部分にさしかかって、少しく冗漫になりつつある。この作家の小説で感心をしたのは、「夜光虫」 と 「M」 だ。
9時30分に就寝する。
日中、「自身でもこの店から商品を取り寄せている知り合いに贈り物をしたいが、彼の好みを調べてくれないか?」 というお客様がいらっしゃる。
店舗のコンピュータを検索し、「彼」 の最後のご注文が、昨年の3月7日にあったことを確認する。それから2分ほどで、その際のご注文品を特定する。
「便利な世の中になったものだ」 と思う。この 「便利」 とは、求める情報に素早く到達できるという快適さもさることながら、それよりもなお、こういうシステムを、システム屋の手によってではなく、僕という個人が構築することのできるパーソナルコンピュータの存在について、「便利」 と思う。
終業後に本日出勤の社員達と、対前年度アイテム別週間粗利ミックス表の検討を行う。先週に引き続き 「勝ち」 の結果が出るが、5月の連休の落ち込みを考えれば、こつこつと小さな儲けを拾っていくしかないだろう。
ここ数日の寝不足のせいか、あるいは湿熱のせいか、少しく疲れを覚える。「やっぱ、焼肉でしょう」 と、考える。
知人の家にて2泊3日を遊んで戻った次男が、「今日は肉屋へ行こうよー」 と、甘え、かつ拗ねるような口調で言う。「いやぁ、ワタシもたまたま、同じことを考えていました」 と、答える。
とりあえず自宅へ戻り、次男のただひとつ残った宿題の、国語の教科書の音読を督励する。大きな雲がわき上がって、西の空が暮れていく。
焼肉の 「大昌園」 へ行く。預けてある焼酎 「田苑」 が残り少なくなっていたため、新規のボトルに名前を入れる。大きなグラスの縁まで氷を投入し、焼酎で満たす。酎ハイのような薄い酒は、まだろっこしくていけない。酒もタバコもコーフィーも、ドカンと強い方が美味いと、僕は思う。
オイキムチとモヤシナムル、レヴァ刺し、タン塩と進む。
この店の並カルビを注文するということは、ちょっとした博打をするということだ。素晴らしい霜降り肉が運ばれることもあれば、今日のように、脂の多すぎるところが運ばれることもある。いずれにしても、僕にとっては、大した問題ではない。
上ミノとコブクロにて、肉を終了する。テグタンラーメンにて締める。
「大昌園」 のはす向かいに、"Casa Lingo" がある。「デザートだけ、カサリンゴで食べてく?」 と次男に訊くと、「セブンイレブンで、アイス買って」 という返事が戻る。
「子どもってのは、面白れぇもんだな」 と思う。しかし僕が子どものときにも、大人の嗜好とは異なることを希望して、「子どもってのは、面白いもんだねぇ」 とは、よく言われたことだ。
帰宅して入浴し、9時30分に就寝する。
西武池袋線のひばりが丘駅には、朝7時30分よりも前に着いた。小雨の中を歩き、自由学園の正門を入る。今日は昼食当番の日だ。男子部の昼食作りは、1週間のうち6日間を親が担当し、残りの1日を高等科2年生が担当する。
生徒が徐々に登校するころ、早くも朝のミーティングが始まる。本日のメンバーは8人、そこに栄養士の先生が付く。メニュはチーズハンバーグ、ポテトフライ、インゲンとニンジンのバターソテー、パン、紅茶、牛乳だ。
当番長の指示に従い、30Kgのジャガイモをピーラーで剥いていく。集団でそのジャガイモの芽を取り、1個を8つに切っていく。次の僕の仕事は、1本のインゲンを半分に切ることだった。
時計を見ると、9時30分になっている。湯通しされた色鮮やかなインゲンとニンジンを、大鍋で炒める。僕の仕事は楽だが、ハンバーグの係は大変だ。冷蔵庫から取り出された大量の挽肉に香辛料やパン粉やチーズを練り込んでいく作業は、指はおろか手首の芯までをも凍えさせる。
次に時計を見ると、10時30分になっている。大きな寸胴鍋で紅茶を作り、それを44個のヤカンへ移して、シンクの水で冷たくする。11時30分に、ほとんどの作業を終える。本日の配膳係は、中等科2年生だろうか。
12時すぎにホールへ入り、本日の昼食を、有り難くいただく。
食後、短い反省会を行う。それぞれが、最後の仕事に散っていく。僕は、食料の係を務める中等科の生徒が食料部から運んできた月曜日の昼食材料を検品し、冷蔵庫に納める。
男子部が解散をする。間もなく、昼食会場でもあったホールで、中等科1年から高等科3年までの、6学年合同の父母会が始まる。その最後のころには、先週の鹿島槍ヶ岳への遠足において記録の係を務めた長男による、ヴィデオの上映もあった。
4時すぎからは、各学年ごとの父母会になる。高等科3年のクラスでは、来春の学部進学に備えて、学園長、学部長、教師陣の訪問を受ける。各々の挨拶と説明が、配付された資料に従って進む。
学部の紹介が終えた後には、いつも通りのクラスの父母会となる。いろいろな親から、有意義な情報が提供される。教師もそれに呼応する。
まだまだ続く父母会を、僕は7時30分に中座した。池袋から西日暮里を経由して北千住へ至り、浅草駅を21:00に発った下り特急スペーシアに乗る。
11時前に帰宅し、シャワーを浴びて、11時30分に就寝する。
4時に目を覚ます。「鎮魂歌 不夜城?」 を1時間読んで後、枕頭の灯りを落として30分だけ休む。
事務室へ降りて、ウェブショップの受注を確認する。会社のメイルアドレスへ、携帯電話による注文が入っている。この顧客へ向けて、必要最小限の文章による 「ご注文御礼」 を送付する。
朝飯は、3種のオニギリ。
午前中、あわただしく仕事をする。どこかで区切りをつけて、きのうのうちからメモに残しておいた諸々を実行しようとするが、僕が応対しなければいけない電話が連続して入り、それがままならない。
会社を出るべき時間の30分前になって、ようやく落ち着く。普段使いのネオプレイン製のケイスから "Minolta DiMAGE X" を出して、「丑や」 のケイスへ収める。そのカメラとコンピュータを、エディバウアーの3ウェイパックへ滑り込ませる。
下今市駅12:36発の上り特急スペーシアに乗る。浅草と新橋を経由して、3時25分に大船駅へ着く。家内と落ち合い、湘南モノレールに乗る。上から吊り下げられる式のモノレイルに乗るのは、上野動物園へ行って以来、40数年ぶりのことではないだろうか。家内の叔母を訪ね、大船に戻る。
鎌倉の家内の実家へ行き、トウガンと豚肉の炊き物、豆腐のハンバーグ、瀬戸内海の小エビの茹でたもの、ヒジキとニンジンとシイタケの炊き物、ホタテ貝とダイコンのサラダ、コンブの薄味煮、ばら寿司、煮たカワハギなどを肴に、家内の父とオールドパーの水割りを飲む。
僕がウイスキーの水割りを飲むことは1年に1度もないが、しかしこういう場面に即して飲む水割りは、なかなかに美味い。
10時20分に家内と甘木庵へ帰着する。入浴して麒麟一番搾りの350cc缶を1本飲む。本日の日記を作成し、「鎮魂歌 不夜城?」 を読んで、午前0時30分に就寝する。
闇がいくらか薄くなりかけるころに目を覚ます。どれくらいのあいだ、そのままじっとしていたかは分からない。遂に灯りを点けて時間を確かめると、4時だった。5時30分まで、「伊藤道郎 世界を舞う」 を読む。
事務室へ降り、普段のよしなしごとの他、本酒会報の元になる文章を書いて保存する。そこからメイルマガジンを作成して会員へ送付し、同じくウェブペイジを作成する。
朝飯は、胡麻をかけたホウレンソウのおひたし、マグロの佃煮、キュウリのぬか漬け、笹かまぼこ、納豆、塩鮭、湯波とミツバの炊き物、メシ、ダイコンと万能ネギの味噌汁。
午前中、包装資材メイカーの訪問を受ける。なかなか良いアイディアを持っているが、どうして営業係とは、何の前触れもなく来るのだろう? 自社の商品に自信があるなら、先ずそれを客先へ送り、電話にてその感想を訊き、日時を決めて訪問をした方が、よほど仕事は取りやすいし、反面、時間と経費は節約をすることができるだろう。
僕は、どうしてこうも多くの営業係が 「数撃ちゃ当たる」 式の営業方法を採るのか、それが分からない。
終業後、メイルマガジン版やウェブペイジ版にくらべて、いつも後回しになる本酒会の紙の会報の印刷をし、これを綴じて折って、封筒に詰める。
自宅へ戻ると、宿題の半分のみをこなしたところで 「疲れたから」 と、次男がソファに寝ころんでテレビを見ている。頃合いを見計らって、その後半部分を督励する。
次男の宿題が終わり、夕食の準備が整うまでの短い時間を、階段室にある混乱を極めた本棚の前で過ごす。日記に読んだ本を記録するようになるまで、僕は本を読み終えると、必ず裏表紙に自分の名前と読んだ期間を記入していた。だから未読の本は、すぐに分かる。
裏表紙に名前も日付もないが、「この本をいまだ読んでいないのは不思議だなぁ」 と常々感じていた開高健の本が、実は2冊あったことを発見する。
朝4時30分に目を覚ます。「伊藤道郎 世界を舞う」 を、5時30分まで読んで起床する。
事務室へ降りて、いつものよしなしごとをする。一昨日に行われた、僕が書記を務める 「本酒会」 のメイルマガジン、ウェブペイジ、そして紙の会報の元になるテキストの、投票結果については、きのう既にしてコンピュータへ入力した。しかし、そこへ添える600字ほどの文章は、いまだ書けていない。
これを後回しとして、きのうの日記を作成する。
朝飯は、櫃まぶしのオニギリ、キュウリの浅漬け、野沢菜漬け、シジミと万能ネギの味噌汁。
それほどでもなかった雨が、昼ちかくになるにつれて、だんだんと強くなる。宇都宮のワイン屋から営業の電話が入る。向こうでは土砂降りのため、道がまるで川のようになっているという。
来客と連れだって、蕎麦の 「いとや」 へ行く。毎日の寒暖の差が激しい。3日前には 「ラーメンふじや」 で味噌冷やしを食べたが、今日は熱いカレー南蛮蕎麦を食べる。
それにしても、ラーメンと蕎麦の価格差に疑問を抱く人は、世にいないのだろうか? 「ふじや」 の味噌ラーメンは500円で、今日のカレー南蛮蕎麦は850円と、7割も高価だ。ちなみに、日本中どこへ行っても、いくつも具の乗ったラーメンと、麺だけの盛り蕎麦が、ほぼ同じ価格と思われる。
「蕎麦粉は小麦粉にくらべて高い」 という意見もあるが、粉の価格が、それほど極端に商品の価格に反映されるとは考えづらい。「蕎麦はラーメンよりも高くて当たり前」 との常識は、いつごろできあがったものだろう。
いま、僕が最も安く感じるのは、フランス料理屋で飲む酒だ。そして最も高く感じるのが、蕎麦屋で飲む酒だ。
夕刻、降り続いた雨が止んで、北西の雲の一部に穴が開く。小さな谷から水分が蒸発して、白い煙のようなものが山肌を上がっていく。"Olympus Camedia C-700 Ultra Zoom" のズームを10倍まで伸ばせば、遠くの景色も手に取るように認識できるが、僕の姿を見て 「アイツ、盗撮でもしてるんじゃねぇか?」 などと思う人がいるとすれば、それはまずい。
晩飯の代わりに、ブルガリアヨーグルトとメロンを摂取する。
本は読まず、9時30分に就寝する。
暗闇の中で目を覚ます。横になったままかなり長いあいだ、じっとしている。飽きて灯りを点け、時計を見ると、いまだ夜中の2時だった。3時まで、「伊藤道郎 世界を舞う」 を読む。その後、浅い夢を見ながらうつらうつらする。4時30分から5時30分までの1時間を、再び同じ本を読んで過ごす。
事務室へ降り、朝のよしなしごとをする。ウェブショップの受注を確認する他、きのうの本酒会への投票結果を、デイタベイスへ入力するようなこともする。
街に霧が深い。
朝飯は、タシロケンボウんちのお徳用湯波の雑炊、アサリの佃煮、キュウリの浅漬け、ジャコ、刻みオクラ、マグロの佃煮。
ふたりいる事務係は、互いに相談をして休みを取る。どちらか片方の休む日が、1ヶ月に12日ある。繁忙期には、この12日が余計に繁忙になるが、社員の休暇は投手のロウテイションと同じく、厳密に守られる必要がある。
秋になってこの夏を振り返れば、今日が事務系繁忙期の初日だったということが理解できるだろう。
電話による注文をメモにする。そのメモを発送伝票へ起こす前に、次の注文が入る。問い合わせに答えるために過去のデイタを調べているあいだにも、次の注文が入る。ウェブショップへの注文が携帯電話に転送されたことを示す着信音が鳴る。ブラウザを開く間もなく、次の注文が入る。
終業時になっても、未処理の発送伝票が、机上に山を為している。事務係は、ことし初めての残業をした。
会合をひとつこなし、9時30分に帰宅する。入浴して、10時に就寝する。
それほどの大きさでもない白いビルが、夏草の原野にぽつりと建っている。ひと気のない1階のロビーからエレヴェイターに乗る。10階のボタンを押すと、僕ひとりを乗せたエレヴェイターは、即、上昇を始めた。
目的のフロアへ達しようとするまさにそのとき、エレヴェイターが細かく震え始めた。やがてその震えは、僕の乗ったゴンドラを地階まで落としかねないほどに大きくなった後、ようやく止まった。
開いた扉から足早に出ると、そこはエレヴェイターに乗ったはずの1階だった。窓の外に見える緑が目にまぶしい。「助かった」 と安堵しつつ、徐々に夢から覚めていく。
枕頭の灯りを点けて時計を見ると、夜中の2時だった。「伊藤道郎 世界を舞う」 を床から拾い上げて読もうとするが、眠気は強い。読書を諦め部屋を暗くし、二度寝に入る。
4時30分に目を覚ます。5時30分まで本を読んで起床する。
事務室へ降りてメイラーを回すと、きのう問い合わせに返信をお送りした顧客から、メイルによる注文が入っている。ブラウザで他の注文を確認し、きのうの日記を作成する。
きのう撮った味噌冷やしの画像が、これまでのものよりも数段、出来が良い。"GOURMET" で紹介している 「ラーメンふじや」 の画像を、これに差し替える。また、「街の美味しいもの屋さん」 にある 「ラーメンふじや」 の紹介文からも、同じ画像にリンクを張る。
朝飯は、ニシンのサンショウ漬け、野沢菜漬け、納豆、ホウレンソウの油炒め黒酢がけ、刻みオクラ、アサリの佃煮、メシ、豆腐とタシロケンボウんちのお徳用湯波、それに長ネギの味噌汁。
この季節、隠居の雑草は、丸い歯が回転する式の草刈り機で処理するのが最も手っ取り早い。しかしホタルを守るため、せせらぎに沿った草だけは、あちらこちらの庭を頼まれて歩いているカンダさんに、手で刈ってもらうことにしている。
そのカンダさんが仕事を終えて、事務室に顔を見せる。
「カンダさん、手間はいくら払えば良かったんだっけ?」 と問いかけた後の、カンダさんの長広舌にヘキエキとする。この長広舌は、カンダさんの、金銭について話すことの苦手さを現している。おまけに僕は、カンダさんの訛った言葉を、ほとんど理解することができない。
ようやくカンダさんから、「1日1万円」 との相場を引き出す。
「じゃぁ、さっき、2日半仕事をしたって言ったから、2万5千円だね」
「いやぁ、1万5千円だぁ」
「どうして?」
「はぁ、2万ももらっちゃぁ、もらい過ぎだんべぇ」
どうにも理解できない計算だが、カンダさんの意見に従って、1万5千円を支払う。
終業後、既にして算数の宿題を終えた次男の、国語の教科書の音読を督励する。
7時20分、本酒会へ出席をするため、自転車で日光街道を南下する。この春から本酒会の場所は、これまでの 「やぶ定」 に、「レストランコスモス」 が加わった。しかしながら4月に欠席をした僕にとって、「コスモス」 での本酒会は、今日が初めてのこととなる。
数ヶ月前に新築の成った 「レストランコスモス」 の2階に、初めて上がる。7時30分より、第122回目の本酒会が始まる。ここはつきあいの長い洋食屋だが、日本酒にはやはり、日本の食べ物が最も似合う。
9時15分に会場を辞して、日光街道を北上する。店舗と自宅の前を通り過ぎ、隠居の前で自転車を停める。ひょっとしてホタルは飛んでいないか? と考えて覗いた庭には、うっそうとした樹木の奥に、ただ闇の広がるばかりだった。
9時30分に帰宅する。入浴して10時に就寝する。
明け方の4時に目を覚ます。「疾駆する夢」 を読み終える。4時30分に起床する。
事務室へ降りてメイラーを回す。きのう、新潟のセミナー会場から問い合わせに対する返信をお送りした方が、早くもその3時間後に、商品を発注してくださっていたことを知る。
途中まで書いてあった一昨日の日記を完成させて、サーヴァーへ転送する。即、きのうの日記を作成し、これはしばらく、そのままローカルに置いておくことにする。
朝飯は、3種のおにぎり。
週末の好天は有り難い。客足の繁くなるに連れて、店舗の駐車場が満ちている時間も長くなる。
昼前、事務係のタカハシアツコさんからずいぶんと前に借りて、しかしいまだに読んでいない
前夜の遅い就寝にもかかわらず、悲しい習性にて、5時に目を覚ます。大きな窓からの光は充分にあるため、そろそろ残りのペイジも少なくなってきた 「疾駆する夢」 を読んで、6時30分に起床する。
ThinkPad s30 を起動してメイラーを回すと、お客様からの問い合わせが2件、入ってくる。ウェブショップの注文をブラウザから行う受注作業は、すべて若い社員の仕事となったが、uwasawa@tamarizuke.co.jp へメイルの形で入ってきたものは、それがどのようなものであれ、僕が処理することになる。
ひとつの問い合わせに即、返信を書き、しかしもうひとつの問い合わせに対しては文章を練る必要があるため、とりあえず1通のみを送信する。
朝食の後、この町の新産という場所にある、本日のセミナー会場へ移動する。
教科書の輪読、バンドウヒデユキさんの講義、チェックシートの記入などを経て、午前中のカリキュラムを終える。「こぐまのキッチン」 の弁当は美味い。
昼休みに、朝、書き終えることのできなかった問い合わせへの返事を完成させ、これを送信する。
午後は、この研修の柱とも言うべき、ケイススタディとグループによるブレインストーミングが行われる。その結果は大きな紙に整理され、やがて発表となる。
大したことは考えていなくても、「自分は充分に、ものを考えている」 と、思っている人がいる。充分にものを考えていながら、「自分はまだまだ、頭の働かせ方が足りない」 と、反省をしている人もいる。あるいはいつも、何も考えていない人もいる。
このセミナーのブレインストーミングでは、参加者の誰もが、普段よりもずっと、脳を働かせているはずだ。この数時間はまた、集団の力というものを、強く認識させてくれるひとときでもある。
800字ほどのリポートを提出して、4時30分にすべてのカリキュラムを終了する。
お茶も飲まずメシも食べず、ましてや飲酒もせず、合理的な乗り換えを経て、7時40分に宇都宮駅へ達する。JR日光線のプラットフォームから家内に電話を入れると、晩飯について、「かつ丼なら作れる」 と言う。どんぶり飯を肴に飲む焼酎には、かなり心を動かされたが、こういうときこそ断酒の機会と、その提案を断る。
8時45分に帰宅すると、次男は風呂上がりのパジャマ姿で、いまだ起きていた。やがて食卓に、フルーツヨーグルトとオレンジタルトが運ばれる。
簡素な、食事ともいえない食事をすませて後、入浴して 「疾駆する夢」 を数時間読む。11時30分に就寝する。
5時に起床して 「疾駆する夢」 を読み、6時に起床する。事務室へ降りていつものよしなしごとをし、7時すぎに自宅へ戻る。
朝飯は、ブロッコリーとトマトとサラダ菜のサラダ、胡瓜のぬか漬け、目玉焼き、キーマカレー、シジミと万能ネギの味噌汁。子どものころ、カレーライスと味噌汁の組み合わせにはいつも違和感を抱いたが、今朝のそれを自然に受け入れられたのは、どのような理由によるものだろうか。
気温が30℃を超えている。午前、JR今市駅から列車に乗り、宇都宮、大宮と経由して、新潟県の長岡駅に着く。7、8キロほども離れた
リゾート施設の 「アクアーレ長岡」 へ移動する。
4時より、バンドウヒデユキさんを講師とする、「脳力開発・戦略行動学セミナー」 が始まる。これは、城野宏が提唱した 「脳力開発・情勢判断学」 を元にした、人間の脳の働きを最大限にする訓練で、僕のような怠け者には必須の勉強だ。ノートを開くと、僕が1999年以来、ほとんど毎年この研修に参加していることが分かる。
オリエンテイション、演習、自己点検チェックとカリキュラムは数時間続き、その後、夕食から交流会へと進む。10名ほどの参加者と、歓談を為す。
みなが1階の温泉へ行き、部屋へ戻ったのは、0時すこし前のことだっただろうか。床の間の灯りで 「疾駆する夢」 をしばし読み、就寝する。
深夜0時に目を覚ます。2時まで 「疾駆する夢」 を読み、二度寝に入る。いつもより遅く、6時に起床する。
事務室へ降りて、メイラーを回す。新しい受注システムの仕上げに時間がかかっていると思われる、カトーノさんからのメイルは無かった。
朝飯は、キュウリのぬか漬け、塩鮭、納豆、モヤシのおひたし、ニシンのサンショウ漬け、ミズナのおひたし、メシ、豆腐とワカメと万能ネギの味噌汁。
毎日0時に "Computer Lib" から送られてくるアクセス解析を調べる。ウェブショップにおいて、常識からすれば真っ先に置くべきと考えられている 「ごあいさつ」 には、実はあまり、多くの人は訪れていない。
いつも高いアクセスを示すのは、「人気商品ランキング」 や、「たまり漬を使ったメニュ」 や、あるいは我が町の食べ歩きともいうべき 「街の美味しいもの屋さん」 だ。
訪問者にとって有り難いウェブペイジとは、見たい情報を増やし、興味のない情報を減らしていくペイジだろう。第一それは、「顧客の求めるものを提供する」 というマーケティングにも沿ったことだ。
とすれば、「ごあいさつ」 へのボタンは、トップペイジの下部へ追いやるか、あるいは潔く捨ててしまった方が良いのだろうか? と考える。しかし、店がお客様のご来店をいただいて真っ先にすることは、やはりご挨拶なのではないか? とすれば、たとえアクセス数が少なくても、このボタンは、やはりトップペイジの最上部に置くべきなのだろうか? とも考える。
信頼のおける人物が、スパッと納得のいく指南をしてくれれば僕も動きようがあるけれど、今日のところは、まだこのことについての結論は出ていない。
晩飯は、茹でたブロッコリーとサクランボ、それに チェリーボブのヨーグルト。
8時30分に入浴し、「疾駆する夢」 を少し読んで就寝する。
夜中の2時30分から3時30分まで 「疾駆する夢」 を読み、1時間眠って、4時30分からふたたび1時間ばかり同じ本を読む。
事務室へ降りてコンピュータを起動する。メイラーを回すと、ウェブショップに用いる新しい受注システムの設計につき、外注SEのカトーノさんからメイルが届いている。それに返信をつける。
自宅へ戻って窓を開ける。薄く雲は残るが、それでも青い空が広がって、地面に残った昨夜の雨を乾かし始めている。夏の匂いがする。
朝飯は、4種のオニギリと豚汁。それにしても、揚げ湯波や獣肉、魚肉の入った味噌汁は美味い。その美味さの元は、脂だろう。脂を美味いと感じる味覚は、やはり幼いものだろうか。
日中、更にカトーノさんとメイルのやりとりを通じて、新しい受注システムを練り上げていく。ひとりのご依頼主が複数のお届け先を簡単に入力することのできるこの仕組みについては、もうすこし早く開発を進めるべきだったと、反省をする。これが効力を発揮するのは、正に今、その受付が始まっているギフトにおいてだ。
終業後、次男の漢字練習の宿題を督励する。それが済んだ後にうっかりテレビのスイッチを入れると、なにやらマンガが始まっている。今日は次男とふたり、外でメシを食べようとしていたが、しばらくはテレビの前にいなくてはいけないハメになる。
次男の希望を容れて、近所の洋食屋 「金長」 へ行く。
「この前、150グラムのステーキで足りなかったから、今日は350グラムのを食べるかな」 などと、次男が荒唐無稽なことを言う。「7歳に、350グラムは無理だよ」 と答え、今日も150グラムのものを、彼のために注文する。
僕は、シャコのピカタを肴に、焼酎 「純 Legend」 を飲む。次男と同じく150グラムの、しかし僕はステーキではなしに、ロースカツにて今夜のメシを締める。
いまだ明るい空の下を帰宅し、明日の図画工作でスポンジを使うという次男と共に、会社の荷造り場や倉庫を渡り歩き、どこかにスポンジはないかと探し回るが、どこにも無い。食器洗い用の小さなものを教材に充てることとし、自宅へ戻る。
8時に入浴し、9時に就寝する。
3時に目が覚めたため、4時30分まで 「疾駆する夢」 を読む。
佐々木譲の小説については、新橋駅のキヨスクで、「ベルリン飛行指令」 を買って読んだことがある。あれは、どれくらい前のことだっただろうか、あるいはその文庫本を買った足で、どんな飲み屋へ僕は行ったのだろうか。
僕は活字無しでは、ひとりでメシを食うことも飲酒を為すこともできない。このような日記を書いていると、いつどこでどのような本を読んでいたかを検索することができて、とても有り難い。しかしその有り難さの中身を考えてみれば、自分が過去に行ったことに対して、幾ばくかの感懐を得られるという、ただそれだけのことだ。
5時30分に事務室へ降り、よしなしごとをして、7時10分に居間へ戻る。
朝飯は、キュウリのぬか漬け、トマトとコールスローのサラダ、目玉焼き、ミズナと油揚げの炊き物、ジャコ、ニシンのサンショウ漬け、メシ、豆腐と油揚げと万能ネギの味噌汁。
夏のギフトの注文が、毎日、続々と入ってくる。それらの希望到着日は大抵、「7月に入ったら」 というものだ。これらをすべて 「7月1日の出荷」 とすると、会社の能力の限界を超えて無理が生じる。
出荷日ごとにカゴを用意し、これに発送伝票を振り分けて、日ごとの出荷量を推し量る。事務室にこの風景を見えるにつけ、「いよいよ忙しくなるな」 との感を強くするのは、毎年のことだ。
涼しかろうが蒸し暑かろうが、湿度が低かろうが高かろうが、虫が鳴こうが鳴くまいが、初夏の夕刻に白ワインはよく似合う。"Chablis Premier Cru Les Vaillons Billaud-Simon 1999" を抜栓する。たちまち、透明のグラスに霜が降りる。
メロンの生ハム巻き、マグロとレタスとトマト、それにイタリアンパセリのサラダ、オリーヴオイルと塩と乾燥ベイジルのみのスパゲティ、4種のキノコのソテー、「フゥ・ド・ボワ」 のパン。
蕎麦を食べて、「あぁ、ずっと腹がふくれずに、これを永遠に食べ続けることができれば良いのに」 と思ったことは、1度も無い。ただしスパゲティについては、「あぁ、ずっと腹がふくれずに・・・」 と思うことが、年に何度もある。今日の素っ気ないスパゲティについても、やはり同じ感想を持つ。
たとえばフラスカーティのような軽いワインなら、ひとりで1本を空にすることもできるが、フランスの強力なワインの場合には、その半分の量で充分だ。しかし今夜は、なにか良い条件でも揃ったのだろうか、ビンの3分の2まで飲み進む。
8時30分に入浴し、本は読まず、9時に就寝する。
目を覚ますと先ず、部屋の明るさを確かめる。夜明けが近ければ、目に見えるもの一切は青みがかっているが、その時間に至っていなければ、あたりはほとんど闇ばかりだ。
今朝も闇の中で目を開ける。枕頭の灯りを点けると、2時30分だった。「疾駆する夢」 を、休み休み5時30分まで読む。
500ペイジの本を、一晩あるいは数時間で読んでしまう人がいる。こういう速読の人は、わずかな時間に主題を鷲づかみに理解してしまう、ある種の天才だろうか? しかしながら、「字面を追っているだけ」 という人も、中にはいるだろう。
僕の本を読む速度は低い。僕は文体を読んでいる。あるいはそこまでも達せず、「てにをは」を読んでいるに過ぎないのかも知れない。物語の主題などには気も留めず、あるいは、そんなことがあるのか無いのかも理解せず、そして、読んだことはすぐに忘れていく。
事務室へ降りて外へ出ると、霧雨は上がったけれど、しかしいつまた降り出すかも知れない様子の空があった。
朝飯は、フキの炊き物、ニシンのサンショウ漬け、納豆、キュウリのぬか漬け、茹でたキヌサヤとツナのサラダ、モヤシの油炒め、メシ、アサリと万能ネギの味噌汁。
昼すこし前に、中禅寺から降りてきたイダフミオ君夫妻が来社し、お土産の発送を依頼してくれる。昼過ぎに夫妻を下今市駅まで送る。彼らは12:36発の上り特急スペーシアに乗った。自宅のある小倉には、夜になってからの帰着になるだろう。
開発中の、ウェブショップの新しい受注システムに用いる "Q & A" を思いつくだけ作成し、外注SEのカトーノさんにメイルで送る。エクセルを用いたこのフォーマットが完成すれば、それをマイツールへペイストすることによって、繰り越し演算もソート(並べ替え)も可能なデイタベイスになる。
と、ここで筆をわずらわせても、理解を示す人は10,000人にひとりくらいのものだろうから、今後は日記を簡素化するためにも、このようなことは書かずにおこうかと考える。
終業後、次男の漢字練習の宿題を督励する。続いて、算数の宿題に入る。531の次が532ということは分かっても、その次の数字をどうしても534と口に出して言ってしまう次男が、自身でも感じるもどかしさのために泣き出す。
僕も同じパターンで勉強が嫌いになっていったことは、重々、承知をしている。絵を用いたりして、何とか532の次は533だといういうことを、本人の口から導き出す。
すっかり元気を取り戻した次男は、国語の教科書の朗読を以て、本日の宿題を終える。
バキュバンにて栓をしておいた "Castillo de Molina Cabernet Sauvignon Reserva SAN-PEDRO 1999" と "Bourgogne Blanc Domaine Leflaive 1997" を、冷蔵庫から取り出す。
イトヨリのポアレ と フィレステーキは、オフクロが昼になにかの会合で行った、"Fin Bec Naoto" でのお残し品だ。これまた昨夜の残りの生ハムとトマトとモツァレラチーズのサラダ、先ほど作ったコロッケ、コールスロー にて、2種のワインを飲む。
サクランボにて、今夜の食事を締める。
8時30分に入浴し、本は読まず、即、就寝する。
深夜2時30分に目を覚ます。途中、2度の睡眠をはさみつつ、明け方、「漂流街」 を読み終える。
事務室へ降りて、いつものよしなしごとを為す。
電子機器の優れたカヴァーを作り続ける 「丑や」 の店長日記を読みに行くと、今月12日のそれに、「気付けがわりに上澤さんとこのにんにくの醤油漬けを二つばかり食べた。うまかった。くせになるんだ、これが。」 との記述がある。
「オレも丑やさんの品物を使ったときには、ちゃんと日記に書こう」 と思う。
朝飯は、キュウリのぬか漬け、納豆、ニシンのサンショウ漬け、小判揚げ、トマトのサラダ、茹でたキヌサヤとゆで卵、メシ、豆腐と油揚げと万能ネギの味噌汁。
「たまり漬を使ったメニュ」 のペイジに、たまり漬は使っていないが、ウチの味噌によるうどんの食べ方を掲載しようと考え、昼飯は、炒めたナスを具にした熱い味噌汁と稲庭うどんという献立にしてもらう。しかし、撮影した画像は大したものではなく、「もう一度、別の感じでやってみるかー」 と、考える。
今月4日に、「中禅寺湖畔に適当な宿を取ってくれないか?」 と頼んできた上級生のイダフミオ君から、「いま東照宮。あと15分くらいで金谷ホテルに移動するから」 との電話が入る。即、自室から次男を呼び、ふたりでホンダフィットに乗って、日光宇都宮道路を北上する。
20分後に 「金谷ホテル」 へ到着する。イダフミオ君は、奥さんとの二人連れだった。コーヒーショップにて、しばしの歓談を為す。こういうときの支払いは、地元民がするという常識があるらしい。その常識に反して、イダ君にご馳走をしていただく。
いろは坂を上がり、日光市内から30分ほどかかって中禅寺湖畔に出てみれば、そこは雲の中だった。このあたりへ来るたびに寄る、時速8Kmでクルマを走らせないと見過ごしてしまう小さな、しかし優れたパン屋 「フゥ・ド・ボワ」 にて、少々の買物をする。
竜頭ノ滝で小休止の後、イダフミオ夫妻を、無事に 「日光プリンスホテル」 へ送り届ける。
下りのいろは坂は濃霧による渋滞を起こしていたが、それでも、社員と閉店後に行うミーティングには間に合った。
自宅へ戻り、次男の算数の宿題を督励しつつ、昨年の12月に、同級生のコモトリケイ君からもらった
5時30分に起床して事務室へ降りる。
思うところあって、ウェブショップに多く含まれる、ふたつの文言について調査をする。ふたつの文言とは、注文を受け商品を発送する際の 「ご依頼主」 と 「お届け先」 のことだ。
ご注文受付ペイジよりダミー注文を発しつつ、次々と指示の通りに進むと、果たしてふたつの文言については、それぞれ 「ご注文主様」 「ご注文者」 「注文者」 と 「お送り先」 「送付先」 「配送先」 などが入り乱れて、まったく整合性が無い。
この問題については、近いうちに "Computer Lib" を訪ねて修正をしようと、どのペイジにどのような文言が使われているかを、逐一ノートに書き写す。
朝飯は、4種のオニギリ、豆腐と万能ネギの味噌汁、キュウリのぬか漬け。
ウェブショップにおいて、顧客がひとつの画面の中で全商品を俯瞰し、その画面の中で発注作業を完結させることのできる、それと同じフォーマットを複数準備することによって、複数のお届け先への発注も楽にできるシステムを、現在、外注SEのカトーノさんが準備中だ。
これについて、フォーマットのどの位置にどのような説明文を入れるべきかを考え、箇条書きにして、メイラーに保存する。
今日は断酒をすることと決めていたが、午後にいたって急遽、その考えをひるがえす。
我が家から歩いて1、2分の、かつては今市銀座と呼ばれた旧会津西街道 「相之道」 に、「大野屋」 という化粧品屋がある。大昔は化粧品と小間物、次いで化粧品とおもちゃ、人形を商うに至り、最後に化粧品の部門が残った。
その大野屋さんがこの春より、"Johnny's Cafe 638" として、料理屋に変身をした。大野屋さんとウチとの関係には浅くないものがあり、「行かなくては、行かなくては」 と思いつつ、数ヶ月が過ぎた。
午後、電話をして定休日を訊ねると、日曜日には休むという答えが戻る。「それでは今日のうちに行こう」 と、決める。
初めて入る店内は、異なる7客の椅子を並べたカウンターと、いまだピカピカの厨房器具、古民家の引き戸などを適所に配したテイブル席から成っていた。
なにはともあれ、まるでソフトアイスクリームのような泡を持つ、ギネスビールから始める。
次男は、いつどこへ行っても、チョリソーを食べたがる。タコとオリーヴのサラダ、アーリオオーリオペペロンチーノ ときて、飲み物をカラフの赤ワインに替える。
主人のイトーさんは、料理は得意だったというが、いままで料理屋に関係をしたことはない。「うめぇじゃん」 と、家内に言う。家内も僕の言葉に首肯をする。
スペアリブを経て、チーズの盛り合わせにて締める。
雨の中を帰宅し、8時に入浴する。本は読まず、9時前に就寝する。
甘木庵で6時に目を覚ます。起床して居間へ行き、改めて壁の時計を見る。
きのう下今市駅で買った下り特急スペーシアの切符は、浅草駅発8:00のものだった。しかし考えてみれば、僕がいつも使うのは、それよりも30分早い始発の方だ。この始発に間に合うべく、6時35分に甘木庵を出る。
カラスがゴミを食い散らかしている、朝の春日通りを歩く。このあたりで耳へ飛び込んでくる1日の最初の言葉は、季節の別なく、常に中国か韓国のものだ。
浅草駅には、今日も7時5分前に着いてしまった。7時に券売所のシャッターが上がると同時に、窓口にて切符の変更を行う。地下街へ降り、本来はトンカツ屋の 「会津」 にて、目玉焼き定食を食べる。
9時すぎに帰宅し、着替えて事務室へ降りる。そのまま夕刻まで仕事をする。
数日前より次男には、「金曜日の夜には焼肉の板門店へ行こう」 と、言っておいた。本人はこれを忘れるはずもなく、「今夜は何を食べるんだっけ?」 と訊くと、間髪を入れずに 「ニクッ!」 と答える。
「板門店」 にて、数種類の肉、数種類の野菜、それに石焼きビビンバを注文する。
ボトルの有無を訊ねると、若い女の子が長いあいだかかって、ようやく僕の名の書かれた 「真露」 を持ってきた。見れば、キャップを外した跡もない新品だった。すっかり忘れていたが、前回ボトルを空にしたため、食事の最後に新しいものを買って、それをそのまま預けたらしい。
僕がボトルを預けている店は、合計で5軒だ。どの店に何がどれくらい残っているか、メモに残すべきだろうか? と考える。考えただけで、実行に移す可能性は低い。
帰宅して入浴し、9時前に就寝する。
朝飯は、モヤシのおひたしごま油和え、キュウリのぬか漬け、フキの炊き物、納豆、サケの昆布巻き、ホウレンソウの油炒め黒酢がけ、小判揚げと大根おろし、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁。
午後まで仕事をし、下今市駅16:03発の、上り特急スペーシアに乗る。池袋の南口からホテルメトロポリタンの下を抜け、道路を1本横断して、軒の低い家が連なる住宅街へ入る。
目の前が開けると、そこに自由学園の明日館がある。
ザックから "Minolta DiMAGE X" を出して写真を撮っていると、「おい、ウワサワ、なにやってんだよ?」 と、後ろから声がする。振り向くと、自由学園で3歳年長のアカシタカヒトさんが、乗ったばかりのクルマのドアを開けて、降りようとするところだった。アカシさんは、婦人之友社のカメラマンだ。
「え? ちょっと証拠写真を・・・」
「自分が写ってなきゃ、証拠写真にはならないだろう」
というやりとりがあって、この優れた本職に、写真を撮ってもらう。
「今日は、なに?」
「同学会の、本部委員の会議があるんです」
「あぁ、それはごくろうさん」
本部委員会は、9時を大きく過ぎて終わった。帰りに飲酒を為していないこともないのだが、明日館と飲み屋のことを、同じ日の日記に並列させることは、何となくはばかられる。外で飲み食いをした記録や画像は日記を面白くするが、あえてここには載せない。
本郷三丁目駅の改札口を出て、本郷通りへ向かう路地を歩くと、その出口左側にあったドトールコーヒーとキヨスクのような本屋が消えて、その代わりに、ブラッセリーのようなものができている。
1ヶ月前とはすっかり光景を異にしたこの路地を、しばし眺める。「そういえばここで、村上龍が 『限りなく透明に近いブルー』 で芥川賞を獲ったときの文藝春秋を買ったなぁ、まだ読んでないけど」 などという独り言が、頭に浮かぶ。
甘木庵へ帰着して、今日の日記を途中まで書く。シャワーを浴びて冷たいお茶を飲み、0時に就寝する。
空が闇から薄明に変わるころに目を覚まして、「漂流街」 を読む。
5時30分に起床して事務室へ降りる。シャッターを上げると、天気は晴れるでもなく降るでもなく、穏やかな湿り気が街を覆っている。いつものよしなしごとをして、自宅へ戻る。
朝飯は、キュウリのぬか漬け、メンタイコ、コンブの佃煮、ジャコ、フキの炊き物、玉子とシイタケと万能ネギの雑炊。
ウェブショップが持つ短所のひとつに、複数のあて先に商品を送付する際の面倒さ、というものがある。ウチのウェブショップも、その例に漏れない。ギフト時期には特に、顧客に不便を感じさせるこの問題をどうにかしたいと、いままで考えてきた。
「複数のお送り先があるときには、テキストにてご注文ください」
「お送り先リストを、Excel File など、お手持ちの住所録にてお送りください」
という表示をペイジに常駐させることは今でもしているが、ここから一歩進んで、注文に際して合理的な "Excel" を当方が作り、そちらへのリンクを設けようとは、外注SEのカトーノさんが、つい先日、言い出したことだ。
そのフォーマットについては、ここ数日のあいだ、カトーノさんとメイルのやりとりを通して熟成させてきた。僕の仕事は、この新しい仕掛けを顧客へ知らせるメイルマガジンを作成することだ。
午前中から午後にかけて、メイルマガジンを書き、その内容に即した形に、いくつかのペイジを更新する。また、この3週間に注文をくださった顧客を、Becky!のアドレス帳へ登録する。
根を詰めた仕事をしていると、宿題をしながらため息をついたり、指をもんだり、あるいは机の前からソファへ移動して横になってしまったりする次男の気持ちがよく分かる。
夕刻、次男の漢字練習の宿題を督励する。「左右」 という文字が、ノートに積み重ねられていく。この 「左」 と 「右」 という文字を、正しい順序で書いているおとなは、果たして全体の何割くらいを占めるだろうか? と考える。
家内と次男がまぐろの手巻き寿司を食べている横で、カスピ海ヨーグルトとバナナを摂取する。
8時すぎに入浴し、「漂流街」 を少し読んでから就寝する。
明け方に、「評伝 今西錦司」 を読み終える。
朝飯は、3種のオニギリと、キュウリのぬか漬け。
日中、夏の繁忙期へ向けて、詳細なお知らせをお送りすべき顧客のひとりに、手紙を書く。また、同じく繁忙期のデイタベイスとするフォーマットを、マクロを使って整える。
「マクロがディスプレイ上で動く様子を、じっと眺めているのが好きだ」 という人がいる。僕は逆に、「さっさと終わってくれ」 とばかりにコンピュータから目をそらし、「京都大衆酒場」 などという本を、ペラペラとめくる。
夕刻、次男の漢字練習の宿題を督励する。それが済んで後、「何が食べたい?」 と訊くと、「ステーキ」 と答える。今夜は家内の帰りが遅くなるため、外食と決めていたが、それにしても、先日、"Casa Lingo" へ行く前にも、彼は 「ステーキが食べたい」 と言っていたのではないか?
次男の希望を容れ、近所の洋食屋 「金長」 へ行く。この店はまた、次男の同級生カネコヒトミちゃんの家でもある。
1番小さな150gのサーロインを注文する。3種のソースの中から、次男は 「醤油バター」 を選んだ。僕は焼酎 「純 Legend」 のボトルと氷を頼み、豚の串焼きを肴とする。
次男の目の前に、濃い飴色のソースに覆われたステーキが運ばれる。僕がそれを、サイコロ状に切り分ける。次男が好きなものを平らげる速度は高い。根菜類と豆は食べても葉っぱの苦手な彼に代わり、サラダは僕が片づける。
ショウケイスの中に生のイカがあることを認め、これをバターソテーにしてもらう。「山栄無線」 の社長がコンピュータで手作りしてくれたレッテルの貼付されたウチの醤油を、これにチョロリとかけて食べる。
次男が 「ステーキ、もう1枚」 と言う。「7歳に、ステーキ2枚は無理だろう」 と、その申し出を却下して、清々しい夜気の中を、手をつないで帰宅する。
次男が明日の学校の用意をしているあいだ、階段室の本棚に、これから読む本を物色する。既読の本、未読の本、きっちり並べられている本、床に散乱している本。これらを引き抜き、持ち上げているうちに、
早くに起きて事務室へ降り、メイラーを回すと、きのう遊びに来たツジムラユウ君から礼状が届いている。
ツジムラ君はあの後、「すぐに帰るのはもったいない」 と、日光からいろは坂を上がり、中禅寺湖と華厳滝を見物してから、那須へ戻ったという。ホンダのカブによる1日の走行距離は、200Kmちかくになったのではないだろうか。
もっとも、北海道から京都まで自転車旅行をするようなツジムラ君にとって、それくらいの移動は、どうということもないに違いない。
朝飯は、メンタイコ、カブの葉と油揚げの炒め煮、納豆、キュウリのぬか漬け、キャベツとモヤシと生ハムのサラダ、ホウレンソウの油炒め黒酢がけ、メシ、ダイコンと万能ネギの味噌汁。
午後おそくなってから、事務室にナガシマトーコさんが顔を見せる。ナガシマトーコさんは 「町をホタルで満たしましょう」 との政策を掲げて、2期目の市会議員を務めている。「隠居のホタルが、そろそろ飛ぶころではないか?」 というのが、今日の来訪の理由だった。
久しぶりに行った隠居は、夏草が繁り木の葉も増えて、まるで密林のようだ。長靴にはきかえたトーコさんが、早速、せせらぎにしゃがみ込む。
「あー、いるいる。今年は寒かったから、まだ飛びませんね。ほら、そこここを這って歩いてる」
「ナガシマさん、これですか?」 と、それらしきものを拾い上げて、トーコさんに見せる。「それは、違いますね」
別の個体を探し、ふたたび手の平へ載せる。「あー、それそれ、それがホタルです」
「ナガシマさん、ネクタイ、水ん中に浸かってますよ」
「いやー、夢中になると、他のことが分かんなくなっちゃって」
既にしてホタルの飛んでいる地域もあるらしいが、トーコさんの見立てでは、ウチの隠居の初飛びは、7月の頭になるのではないか? とのことだった。
終業後、次男のカタカナの練習を督励する。小学校2年生にして、どうしてカタカナの書き取りが宿題になったのか、その理由は知らない。
春雨サラダ、春巻き、麻婆豆腐にて、焼酎 「千夜の夢」 を飲む。
7時30分より、夏のお祭りやリクリエイション、納涼祭の開催につき、春日町1丁目公民館にて、会議を行う。朝の早い田代豆腐店のタシロマナブ君が、うたた寝をしている。僕はといえば、更に長い時間を眠って過ごす。
半袖シャツ1枚ではかなり寒い外気の中を歩き、10時30分に帰宅する。入浴して、即、就寝する。
朝6時40分にきのうの日記を作成していると、ガチャリと事務室のドアの開く音がする。ギョッとしてそちらへ顔を向けると、家内が次男を連れている。「次男が早く目を覚ましたので、ハガキを投函する手伝いに付き添って欲しい」 というのが、家内の要望だった。
次男は自転車、僕は徒歩にて、良く晴れた空の下を、同じ町内にある郵便局へ向かう。帰り道をたどりつつ、今朝の花火の音は、朝市を知らせるものだったのではないか? と考える。
店舗の駐車場から日光街道を見やると、やはり朝市が開かれている。吉田屋商店にて、次男は3本のラムネを買った。
朝飯は、納豆、「福太郎」 のメンタイコ、キュウリのぬか漬け、キャベツとモヤシのおひたし、ゆで卵とポテトのサラダ、カブの葉と油揚げの炒め煮、メシ、アサリと万能ネギの味噌汁。
昼過ぎ、自由学園で長男よりも3歳年長のツジムラユウ君が、銀行の払い下げのようなホンダのカブに乗って、フラリと現れる。後輩が気楽に訪ねてくれることを、素直に嬉しく思う。
ツジムラ君は現在、最高学部の3年生で、研究のため9月まで、自由学園の那須農場に滞在しているという。
ツジムラ君のお父さんとは、1991年の春に、自由学園の植林ティームの一員として、一緒にネパールへ行ったことがある。そのときのアルバムを出し、歓談を為す。
製造現場を案内した後、「ラーメンふじや」 へ行く。ツジムラ君は、味噌バターコーンチャーシュー、僕は既にして昼食を済ませていたため、ノンアルコールビールを飲む。ノンアルコールとはいえ0.5%のアルコール分を含んでいるため、多少は酔うことを知る。
帰社し、身長2メートルまではないだろうが、かなり背の高いツジムラ君と、記念写真を撮る。ツジムラ君の末弟タク君と僕の長男は、現在、自由学園の男子部高等科3年生で、同じクラスにいる。
燈刻、次男の漢字練習の宿題を督励する。これにて週末の宿題をすべて終えた次男は気楽な身分となり、カーナヴィゲイションシステムを備えた段ボール箱の車に乗り込んで、「サザエさん」 を見はじめる。
シイタケとナスとシシトウの素焼きオリーヴオイルかけ、ダイコンのマリネと生ハム、塩ウニのスパゲティが、次々と食卓に運ばれる。"Bourgogne Blanc Domaine Leflaive 1997" を飲む。
8時すぎに入浴し、本は読まず、即、就寝する。
いつものように明け方に目覚め、「評伝 今西錦司」 を読む。5時30分に起床して、事務室へ降りる。
メイラーを回して、ウェブショップの受注を確認する。諸方のpatioにいくつかの発言をし、きのうの日記を作成するという、流れの決まったいつもの行いを為す。
朝飯は、ナスとシシトウの油炒め、サケの昆布巻き、ミツバの辛子和え、ふきのとうのたまり漬、納豆、キュウリのぬか漬け、メシ、カブと万能ネギの味噌汁。
空は青い。朝の空気は乾いている。これらの総菜にて冷や酒を飲んだら、さぞかし美味かろうと思う。
古いクルマの修復工房 "Bugateque" のバンノウセイイチさんが、初めてアメリカ西海岸へ行って成田空港へ戻った際に、
「おい、バンノウ、ここからもう1度、カリフォルニアに引き返せ、と言われたら、僕は喜んで、そのままUターンしただろうね。なにしろ朝から水割り飲んでても空気が乾いてるから、どんどんアルコールが飛んじゃって、もういくらでも飲めるの」
と、ラグナセカの自動車レイスに行ったのか、酒を飲みに行ったのか、判別に困る物言いをしていたことを思い出す。
鬼怒川温泉へ向かう、国道121号線の交通量が増えてくる。時間により、バスが立て続けに入る。あるガイドさんが、「きのう行きがけに、気持ちよくトイレを貸してくれたから、帰りには寄ろうと思ってたのよ」 と、言ってくださる。
結局、昨年の同曜日よりも高い売上高を残して、閉店時間を迎える。
終業後、これまでコンピュータは、ウェブペイジのブラウジングとゲイムくらいにしか使ってこなかったという製造係のイトウカズナリ君のために、eメイル教室を開く。
こういう場において僕は、技術以外のことについて、それ以上に伝えていく。彼の人生での初めてのメイルが社内の電子会議室へアップされたところで、小休止を持つ。イトウ君はミックスカツ弁当、僕はチェリーボブのヨーグルトによる食事をする。
若いということは、なによりの財産だ。ほとんどのカリキュラムを消化し、感想文を書き上げても、いまだ時間は90分しか経っていない。
社員通用門からイトウ君を送り出し、家族が夕食を食べている居間へ戻る。8時30分に入浴し、9時に就寝する。
暗いうちに起床し、「評伝 今西錦司」 を読む。この時期、空は3時30分ころから明るくなり始める。薄明をずいぶんと過ぎたころに起床し、事務室へ降りる。
ウェブショップへの受注を確認するためメイラーを回すのは、1日の最初の仕事だ。もちろん注文以外にも、何通かのメイルが取り込まれる。
その中に、軽井沢の優れたチーズ屋さん "Atelier de Fromage" の主人からのものを見つける。ひょんなことから、僕が今年の1月に、東京国際フォーラムの 「CPLユーザーカンファレンス2003」 で話したことの講演録が掲載されている、"Computer Lib" の社外報 「やさしくでじたる」 の4、5月合併号を読み、メイルをしたためたという。
"Atelier de Fromage" さんとはむかし、高島屋東京店の 「味百選」 にて、ご一緒をしていた。その後、この催しが毎年11月の繁忙期に行われるため、ウチは撤退をしたが、その後の活躍についてはずっと、風の便りに聞いていた。
ウチのウェブショップの概況を記し、これを返信とする。
朝飯は、3種のオニギリと、豆腐とミツバの味噌汁。
本日は、事務室にふたりの欠員がある。そのため、ウェブショップからの受注作業が、僕に回ってくる。注文が携帯電話へ転送されるたびにメイラーを回し、まずテキストでその内容を確認してから、ブラウザを開いて伝票作成を行う。
そのようなことを繰り返しているときに、福岡のヤマシタヨシヒロさんという人からのメイルが届く。読んでみれば、それは、21年ぶりの接触になるものだった。
1982年の2月、マドラスからヴァラナシまで35時間をかけて鉄道で移動しようとしていたとき、2等自由席にひとり乗り込もうとしていた僕は、首尾良く指定席の取れたヤマシタ夫妻に、荷物の一切を預かってもらった。
「荷物を預かってあげる」 と言ったのは奥さんの方だった。ひとり旅における荷物の管理には、頭を悩ませるものがある。ヤマシタ夫妻のおかげで、僕は混乱を極める2等自由車の中で、それでも気持ちだけは安楽に過ごすことができた。
旦那がマドラス中央駅の長いプラットフォームで僕のサレワ社製ザックを背負い、悠然と寝台車の方面へ去った光景は、今でも僕の脳裏に新鮮だ。
僕はヴァラナシでの別れ際に、ヤマシタ夫妻の住所を訊いた。そして、帰国後、何ヶ月かかかって書き上げた原稿用紙500枚分の旅行記 「鏡の中の自画像」 を、彼らに送った。
今日のメイルの内容は、「久しぶりにあの本を読み、懐かしく思い、試みに 『上澤卓哉』 と検索エンジンに入れてみたら、見事にウェブショップがヒットした。またメイルをする」 というものだった。
事務机の椅子の背もたれに体重をかけ、天井を見上げながら僕は、マドラスの雑踏に、マドラス格子の半ズボンを買った夜のことを思い出した。
燈刻、オニオンスライス、キュウリの浅漬けにて、焼酎 「鬼火」 を飲む。そして、「伊勢廣」 の焼き鳥を食べる。「鬼火」 の一升瓶を空けた後には、同じ田崎酒造の 「千夜の夢」 に替えようとして準備をしたが、結局のところ僕としては珍しく、ビールの大瓶を1本飲む。
長命寺の桜もちにて、今夜のメシを締める。
8時すぎに入浴し、本は読まず、即、就寝する。
目覚めて灯りを点け、「評伝 今西錦司」 を読む。起きて事務室へ降り、よしなしごとを行う。
そのよしなしごとの中には、"Computer Lib" から毎朝0時にメイルで届けられる、僕のウェブペイジのペイジごとのヒット数の解析も含まれる。ファイル名がアルファベット順にソートされたリポートをコピーし、マイツール へペイストして、ヒット数の順にソートし直す。
その後、別の条件式によって更にソートを重ねるが、それについてはここに書かない。
朝飯は、キュウリのぬか漬け、納豆、ホウレンソウの油炒め黒酢がけ、釘煮、塩鮭、キヌサヤの炊き物、メシ、カブとミョウガの味噌汁。
ほとんど野菜ばかりのメシは、いかにも体に良さそうな感じがする。そのうちに朝飯は、晩年のホーチミンが涼しげな自宅で食べていたような一汁一菜にしてしまおうか、と考えないでもないが、それでは却って、米を食べ過ぎてしまうだろうか。
燈刻、次男の漢字練習の宿題を督励する。親はそばの椅子に座って読書でもしていれば良さそうなものだが、目を離したときに限って、子供はとんでもない書き順で文字を連ねていたりするから要注意だ。
今夜こそ断酒をすることとし、カスピ海ヨーグルト、生のキュウリ、トマトサラダを摂取する。
入浴後、12チャンネルの 「テレビチャンピオン」 を観るという次男を居間に残して、僕は寝室へ去る。番組が終わって後、次男が笑いながら近くへ歩み寄り、「遅くなってゴメン」 と言う。僕も思わず笑って、「いいこと言うじゃねぇか」 と、返す。
「本、読まないの?」 と訊かれたため、「じゃぁ、読むか」 と、「評伝 今西錦司」 を読んで、9時30分に就寝する。
暗闇の中で目が覚める。枕頭の灯りを点け、数日前から間近に置かれるようになった時計を見ると、0時30分だった。「さらば、わが青春の『 少年ジャンプ 』」 を1時間30分ほど読んで、二度寝に入る。
明け方に事務室へ降りる。ウェブショップにある "Last Updated" には、"Yesterday or Today" との表示を出している。これはコンテンツの最下部に、ほぼ毎日更新するこの日記へのリンクが設けてあるためだ。今朝は、そのトップペイジも少し書き換えて、更新する。
朝飯は、塩鮭、刻み昆布の薄味煮、ホウレンソウの油炒め黒酢がけ、キヌサヤのサラダ、ゴマ豆腐、納豆、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁。
午前中、ここ1ヶ月、ここ数ヶ月、ここ半年のあいだにすること、行うこと、あり得ることについて考え、諸方に連絡をする。
大きな会社では、アイディアの創出から、それが実行されるまでのあいだに、膨大な量の書類や何人もの承認が必要になり、それが大いなる無駄を生んでいる。一方、小さな会社に、そのような手順の多さは、あまりない。しかし、短時間で行われる意志決定には、それなりの危険も存在している。
午後、次男が帰宅した直後から友達が集まり始め、ついには、計8名の子供が家に存在することとなる。子供がたくさんいるということは、良いことだ。
「世の中における最大の次期繰り越しは、子供ではないか?」 と、僕は思う。あるいは環境学者なら、「それは子供ではなくて、先ず、生物が生きていくことのできる環境だ」 と、言うかも知れない。
終業後、次男の国語の宿題を督励する。空白に文字を入れて完成させる問題がある。「赤い土で赤土」 というところを見て、なぜか僕は、宮下順子主演の 「赫い髪の女」 という映画を思い出した。
1ヶ月に1度ほど、福井県のどこかの港から魚が届く。今日こそ断酒をしようとしていたところにこの魚が配達されたため、3日連続で、その考えを中止することとなる。
湯波とキヌサヤの炊き物、イサキの塩焼き、卵豆腐、ミズナのサラダ、塩ウニ、アジのたたき にて、焼酎 「鬼火」 を飲む。
8時すぎに入浴し、
6時に事務室へ降りて、朝のよしなしごとをする。会社の代表電話が鳴る。少しく常識に外れた時間の電話を不気味に思う人もいるが、僕はいつも興味を覚え、留守番電話のスイッチが入る前に、素早く受話器を取る。
電話は、「自宅へ商品を送ってくれ」 との、顧客の注文を伝えるものだった。
朝飯は、刻み昆布の薄味煮、塩鮭、ミズナの炊き物、ハクサイキムチ、焼き海苔、釘煮、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁。
塩鮭は湯島 「丸赤」 の極辛塩鮭で、これはひと切れが600円するが、塩が強いためほんの少しずつしか食べることができず、結局は、とても安い買物となる。もちろん、味も良い。
ギフトの季節を控えて、メイルにエクセルなどによる送り先名簿を添付して、ご注文をくださる顧客が増えてきた。これは事務係には任せず、自分で発送伝票を作成する。
午後、製造係のイトウカズナリ君のFMV-BIBLOに、いくつかの設定を施す。「よくもまぁ、こんなにでかいコンピュータを持ち歩くものだ」 とも思うが、持ち主の体重が100Kgを超えることを考えれば、そう大した苦労ではないのかも知れない。
「今日こそは、断酒をしよう」 と考えていたところに、自由学園の同級生ボンゴ米井君から、「楽粹」 の豆腐が届く。先月の15日にボンゴ君の家でこれをご馳走になったとき、「美味い、美味い」 と僕が言ったのを、憶えていてくれてのことだろう。
この豆腐の到来により、今夜も断酒を諦める。
終業後、しばらく仕事をしてから自宅へ戻る。次男が、「2年生から漢字になった時間割りが読めない」 と、これにフリガナを振っている。僕に訊ねることなくフリガナを振っているということは、その漢字が読めているということだが、そのことについての指摘はしない。
引き続き、次男の算数の宿題を督励する。
刻み昆布の薄味煮、マグロの漬け、「楽粹」 の濃厚な豆腐と生湯葉、塩ウニにて、焼酎 「鬼火」 を飲む。きのう知人から戴いた塩ウニは、気仙沼の 「横田屋本店」 という店のものであることを知る。
茹でたキヌサヤをバリバリと食べて、今夜のメシを締める。
8時に入浴し、本は読まずに即、就寝する。
目が覚めて、「さらば、わが青春の『 少年ジャンプ 』」 を読む。これは1997年の初版本で、つまり僕はこれを6年間、本棚に眠らせておいたことになる。そのことが惜しくなるような面白さだ。
僕のオフクロは、マンガの面白さが理解できない人間だった。ダジャレを理解することのできない僕も、幾分かはその血を引いているに違いない。オフクロはマンガを下らないものとして退け、僕がこれに触れることを嫌った。
「自分のできなかったことを、子供にはさせてやりたい」 と、子供に楽器などを習わせる親がいる。それが子供にとっては、良い迷惑だったりする。僕は長男に、自分は十分に読ませてもらえなかったマンガを、求めるだけ与えた。あるいは、求めていない分まで与えた。
楽器の習得は陰気な作業だが、マンガを読むことは、大いなる快楽だ。マンガを好きなだけ読んだ長男は、僕よりもずっとまともな人間になった。
「さらば、わが青春の『 少年ジャンプ 』」 には、僕がよその家でむさぼり読んだ、1960年代のマンガの作者たちが、きら星のように登場する。そのひとりひとりの絵やせりふの断片を頭に思い浮かべながら、この本を読む。
きのうの晩、次男がカレーライスを食べていたため、家内には、僕の翌朝のメシも同じものにしてくれるよう頼んだ。
生玉子入りのカレーは、噛む必要もなく、まるで流動食のようにノドの奥へ吸い込まれていく。
「毎日こういうメシを食べていると、人は怠け者になるんだろうなぁ」 ということをチラリと思い浮かべたが、よく考えてみれば、カレーばかり食べているインド人が、インドシナ半島のモチ米文化圏に住む人たちにくらべて特に怠惰だとは、聞いたことがない。すぐに、「カレー常食地域怠け者説」 を、うち消す。
夕刻、次男の漢字練習の宿題を督励する。山が暮れていく。
本日は、あるいは断酒をしようと考えていたが、知人から極上の塩ウニを戴いたため、やはり飲酒をすることとする。
黒豆、冷や奴、ミズナの炊き物、刻み昆布の薄味煮、塩ウニにて、焼酎 「鬼火」 を飲む。
生の状態から手をひとつ加えると、格段に美味くなるものはたくさんある。塩ウニも、そのうちのひとつだ。ねっとりとした舌触りと海の香りを惜しみつつ、焼酎を口に含む。京都の 「しる幸」 で、燗酒と共に愉しむ塩ウニも良ければ、今日の塩ウニも、また格別だ。
鶏ささみの蒸し焼きニンニク風味、黒コショウのハムにて、更に焼酎を飲み進む。
8時すぎに入浴し、「さらば、わが青春の『 少年ジャンプ 』」 を少し読んでから就寝する。
夜中に目覚めて、「合衆国崩壊(4)」を開く。1時間か1時間30分ほど読み続けて、遂に、分厚い文庫本4冊組みのこの小説を読み終える。窓の外の明るさからして、いまだ3時をすこし回ったころだろうと考え、二度寝に入る。
現在の朝4時は、ほとんど昼と同じように活動できるほど明るい。事務室へ降り、毎月1日に更新することにしている文章を、サーヴァーへ転送する。
朝飯は、ハクサイキムチ、納豆、ベーコンとキャベツの油炒め、トマトとタマネギのマリネ、ゴボウ天の炊き物、塩鮭、メシ、ダイコンとミョウガの味噌汁。
日曜日だというのに、朝から雨が降っている。それほど雨足の強くないのが、せめてもの救いだ。お陰様にて、午前中の早い時間から、お客様の客足が繁くなる。
午後、外注SEのカトーノさんが、フラリと来社する。「これ幸い」 とばかりに、ここしばらくの懸案だった、コンピュータを使った仕事についての下調べを、お願いする。
事務室、店舗、駐車場、包装部門、製造現場と回って、閉店時間を迎える。
対前年度アイテム別週間粗利ミックス表の検討を、社員たちと行う。てっきり 「負け」 が出るかと思っていたが、結果は悪くなかった。週末の売上げの少なさを、週日の繁忙が補って余りあったためだ。
夕刻になって、ようやく雨が上がる。西の空には、帯状の雲が赤く染まっている。湿度が急に下がったのだろうか? 白ワインが強烈に飲みたくなる。
「今夜はサバの味噌煮」 と伝えられていたメニュを、急遽、ワインに合うものに替えてもらう。
バキュバンで栓をして冷蔵庫に入れておいた "Chablis Premier Cru Les Vaillons" Billaud-Simon 1999 を、グラスへ注ぐ。苦く辛く澄んだ液体が、夏の宵によく似合う。
ナスとシシトウの網焼きオリーヴオイルかけ、生ハム、フランスパン、サバのオリーヴオイル焼きバルサミコソース。
8時すぎに入浴し、