2024.11.20(水) 恵比寿講
今日はオヤジの祥月命日にて、朝9時をすぎてから、家内と如来寺へ墓参りに行く。ウチのお墓は特殊な作りにて、土の部分が多い。その平らかさは、毎年、お盆までは何とか保つものの、以降は驟雨や長雨より荒れる。整備の職人が入るのは毎年11月。今年は22日のため、惜しいところで今日には間に合わなかった。
きのうから金曜日までの4日のあいだ、15時すぎよりバス2台のご予約が連続している。バスの駐まる場所を確保するため、僕は14時45分ころより駐車場に立ち、クルマでご来店のお客様の誘導に努める。数十分ほども外にいて、きのうは寒さに震え上がった。よって今月10日の日記「コロモガヘ」の内容には逆らって、今日は朝からモンベルのU.L.サーマラップジャケットを着た。
2台のバスに分乗されたお客様には、今日も何とか、気持ち良く買い物がしていただけたと思う。
今日はまた給与計算の日にて、家内は事務室に長く留まった。買い物のため外へ出られたのは、終業の18時がちかくなるころだった。菠薐草のおひたし、紅白なます、煮魚、けんちん汁、ごはんは、19時30分までにできあがった。それを床の間に安置した恵比須大黒の像にお供えをして、今年の恵比寿講を無事に完了させる。
朝飯 茹でたブロッコリー、 納豆、目玉焼き、揚げ湯波の甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、じゃがいもと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 紅白なます、菠薐草のおひたし、鱈の煮付け、けんちん汁、夏太郎らっきょう、残り少なくなった3種の日本酒の寄せ集め(燗)、「久埜」の栗饅頭、Old Parr(生)
2024.11.19(火) 予約最強
馴染みの旅行代理店に、先週の金曜日にメールで注文した来年2月の航空券が、きのう確定した。
羽田とバンコクの往復は深夜便だから、僕が指定をしたのはギャレーからできるだけ離れた右列または左列の通路側。バンコクとチェンライの往復はいずれも午前便のため、指定をしたのは主翼に邪魔をされない前部あるいは最後尾か最後尾にちかいところの、往路は左の窓側、復路は右の窓側。この希望に、代理店はすべて応えてくれた。
バンコクからチェンライまでの便で左の窓側を選んだのは、チェンライへの着陸が近づいたときの、山の緑を愛でたいからだ。チェンライからバンコクまでの便で右の窓側を選んだのは、バンコクへの着陸が近づいたときの、摩天楼が作るスカイラインを眺めたいからだ。
運賃と諸経費を教えるよう送ったメールには、今日の午前に返事があった。即、スマートフォンを介して先方の口座に送金をする。eチケットはpdfをメールに添付してくれれば済むところ、代理店は義理堅くも、明日、領収書と共に持参してくれるという。
その余勢を駆って、ということもないけれど、12月28日に宇都宮で泊まるホテル2室も予約をする。楽天トラベルのサイトではなぜか「2人2室」と指定をしているにもかかわらず、ダブルとツインのみが提示される。よって「1人1室」を続けて予約しようとすると、2室目の予約で「重複予約の可能性があります」と警告が出て、どうにもならない。仕方なく1室目は「うわさわたくや」、2室目は予約者名を「うわさわたかや」に変えて、ようやく部屋が確保できた。
またまたその余勢を駆って、ということもないけれど、東京での忘年会の夜に泊まるホテルも予約する。予約最強。行き当たりばったりでは、どうにもならない。
朝飯 菠薐草のおひたし、蓮根のきんぴら、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「こつぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なめ玉丼、豆腐とブロッコリーの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 菠薐草の胡麻和え、揚げ湯波の甘辛煮、夏太郎らっきょう、もろこの佃煮、鶏の水炊き、水炊きのスープによる雑炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、板チョコアイス、Old Parr(生)
2024.11.18(月) 582。
南東に面した廊下から食堂に入る。夜明け前の真っ暗闇の中で、孫の椅子にスネをぶつける。食卓には大人用の椅子5脚に加えて孫の椅子も3脚があるため、目隠しの状態でそれらを避けて歩くのは、なかなか難しいのだ。
応接間の仏壇に花と水とお茶を供えて食堂へ戻り、きのう事務室から持ち帰ったコンピュータの、電源を入れたい気持ちをグッとこらえる。
書きたくて書きたくて、つまり仕事がしたくてしたくて、夜の会合、食事、観劇などから家に戻ればすぐに書斎の机に着くと、林真理子がどこかの週刊誌に書いていた。僕の朝の気持ちも同様である。しかし日記を書き始めれば、他のことができなくなる。
よってコンピュータに伸ばしかけた手を途中で止めて、先ずは食器棚の引き出しからバンドエイドのキズパワーパッド、常備の軟膏「ハクシン」、爪楊枝を取り出し食卓に戻る。そしてハクシンを爪楊枝の先に付け、それを右手親指の、爪と肉の剥離した赤い部分に詰め込む。それを包むのは3枚のキズパワーパッドだ。
キズパワーパッドは貼る前に掌で1分のあいだ温め、柔らかくする必要がある。貼った後は固定を確かにするため、またまた手で1分のあいだ抑える必要がある。3枚ともなれば10分以上の時間を費やすことになり、そのあいだのヒマさを解消するためTikTokを開く。兵庫県の知事選挙では、開票からいくらも経たないうちに、斎藤元彦が当選を確実にしていた。
と、ここまで書いて文字数は582。よって今日の日記はここで終える。
朝飯 キャベツとトマトとウインナーソーセージのソテー、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、里芋と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「陶」のあれや、これや、それや、他あれこれ、麦焼酎(お湯割り)、家に帰ってからのSMIRNOFF VODKA(ソーダ割り)
2024.11.17(日) 収束、そしていきなり
朝のテレビのニュースが日光の混み具合を報せている。今年の紅葉の見ごろは夏の猛暑により、例年より1週間ほど遅れていると聞く。それでも現在の混雑は、勤労感謝の日のからむ2連休までで収まるだろう。回転のそれほど速くない商品、特に道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へのそれは、今週からその数を漸減させていくべきだ。そして25日からは年末ギフトの繁忙が、打ち上げ花火のように、いきなり始まるのだ。
社員のうち数名が出社したところで時刻は7時43分。8時の朝礼までには戻って来られると踏んで、ホンダフィットで今市小学校へ向かう。結果は明白。とはいえ投票用紙を無駄にするのは気が引ける。栃木県知事選挙への投票を済ませて会社に戻る。時刻は7時55分だった。
事務机の左手に提げたカレンダーへの、すべきことの書き込みがいよいよ混み合ってきた。人と会う、集まりに出る、検診のため病院へ行く、そのような時間の限定されたこと以外はほとんどすべて、夜明け前から早朝にかけて行うことになる。早寝早起きは今より増して、励行していかなければならない。
終業後、今週の売上金をまとめ、それを毎日の数字の合計と突き合わせる。そのふたつが一致するのは当たり前のことながら、初回で合えば、やはり嬉しい。ここで時刻は18時45分。即、4階の食堂へ上がってウォッカを小さなグラスで1杯だけ飲む。更に飲みたいところではあるけれど、それは許されない。
19時ちょうどに春日町1丁目の公民館に靴を脱ぐ。お祭の直前でもない限り、町内役員の会議は数十分で終わる。隣のアイザワヒロシさんが見せてくれたスマートフォンには、早くも栃木県知事選の結果が出ていた。
朝飯 揚げ湯波の甘辛煮、納豆、生のトマト、菠薐草のおひたし、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と万能葱と揚げ玉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 もろこの佃煮、SMIRNOFF VODKA(生)、ベビーリーフを添えたキノコとベーコンのスパゲティ、PREDICADOR BLANCO 2015、どら焼き、Old Parr(生)
2024.11.16(土) 続・予約
携帯電話のいわゆるショートメールはほとんど見ない。仲間うちで使われる文字による意思の伝達手段はPCメール、メッセンジャー、LINEに限られるからだ。しかし今朝は何気なく、スマートフォンのそのアイコンをタップした。そうしたところ、先ずは「23,776JPY、不審な場合にはご連絡ください」とのメールが今月7日の19時46分に、また「先ほどのと利用について確認がございます。ご回答ください」とのメールはきのうの13時15分に入っていた。一体全体、何が起きているのか。
指先でチマチマと操作をしなければならないスマートフォンから離れ、コンピュータにパスワードを打ち込んで、自分のカード情報を見に行く。すると僕のクレジットカードに不正使用が疑われたため、現在、その有効性を止めているとの説明が出てきた。そこでそれに続く質問に答えたところ、カードは有効性をすぐに取り戻した。
「どうりで」と合点がいった。きのう伊豆の整体院ちかくのホテルを予約する際、いますぐカードで支払う方法を選んだところ、遂にその決済ができず、現地決済に切り替えた経緯があったのだ。
クレジットカードの使用履歴を遡った限りでは、SMSが知らせてきた23,776円の支払いは発生していなかったから、気分はすっきりした。そしてきのうの日記に書いた来春のタイ行きにおける、すべてのホテルを一気呵成に予約した。円安ドル高の急進により海外のホテル代も上がっていることを懸念したものの、つい先日に調べたときより料金はすこし下がっていた。更にはこれまたきのうの日記に書いた、来月に伊豆から帰宅する途中の料理屋にも席を確保した。
世の中には予約を嫌う人が、ある一定の割合で存在する。僕にはどうにも理解できない性向ではある。しかし「予約は自分を束縛する」という意見に触れて「なるほど、そういう考え方もあったか」と腑に落ちた。僕にとって予約は「自由の確保」に他ならない。路頭に迷うなどは、したくないではないか。
朝飯 茄子とピーマンの醤油炒め、生玉子、蓮根のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 蒲鉾、鰤の蕪鮨、らっきょうの「小つぶちゃん」、夏太郎らっきょう、牡蠣とモロコの佃煮、トマトと刻みキャベツを添えた”AGETE”のらっきょうのたまり漬入りメンチカツとコロッケ、「片山酒造」の「冷やおろし純米吟醸」(冷や)
2024.11.15(金) 予約
午前、きのうおとといとかかったばかりの伊豆の整体院に、来月の予約を入れる。整体院ちかくのホテルにも予約を入れる。その頃には2024年の年の瀬が、いよいよ迫っている。よって2日目の、帰宅途中の夕食の場所も、予約をしておく必要があるだろう。
ホテルの予約がインターネットでできる世の中が来たことは、僕にとって大いなる福音だった。「当日は生憎と全館満室でございまして…」とホテルの予約係に謝られることを思うと、どうにも受話器に手が伸びなかった。会話を必要としない予約は心の負担が少なく、とても有り難い。
来月の整体とホテルの予約に引き続いて、来年2月のタイ行きの航空券を、なじみの旅行代理店にメールで発注する。先方の係は、今日は仕事に忙殺をされていないらしく、返事は間もなく戻った。運賃および座席の位置は来週の月曜日に確定するとのことで、即、了承した旨を返信する。
いわゆるLCCには、タイ深南部のナラティワートからバンコクまでの路線に1度だけ乗ったことがある。国際線でも使ってみたい気持ちはあるものの、羽田空港にはその発着が無い、深夜便も無い、というふたつの「無い」により、いまだ経験できずにいる。深夜便を嫌う人もいるけれど、限られた時間を有効に使える点において、僕にはとても有り難い。
旅行代理店からの、月曜日の返事が楽しみである。
朝飯 スクランブルドエッグ、納豆、菠薐草の胡麻和え、蓮根のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ナッツとドライフルーツのたまり漬「山のにぎわい」、海老真薯の椎茸詰め、牡蠣の醤油煮、蛸の唐揚げ、「片山酒造」の「冷やおろし純米吟醸」(冷や)、リンゴ、ロールケーキ、Old Parr(生)
2024.11.14(木) 伊豆治療紀行(30回目の2日目)
目覚めて枕頭のiPhoneをたぐり寄せる。時刻はいまだ1時16分だった。それから6時までのあいだには多分、一睡もしなかったはずだ。温泉ホテルに泊まっても朝風呂はほとんどしない。しかし今朝は朝食までの時間調整として地下1階の大風呂へ行く。
伊豆高原痛みの専門整体医院での治療は「少し張っている」という背中にこそ5,000ボルトを発する電子ペンはお灸のような熱さを感じさせたものの、筋肉の緩みは早く、だから熱さも数秒で去って行った。ペンを打たれた個所は、背中の両側に10個所ほどだっただろうか。膝の関節の裏側、また膝の上部、両側、正面に打たれたそれは、触れているくらいの感触しか今日は感じさせず、つまり状態は良好、ということだ。
整体院から城ヶ崎海岸駅までの下り坂は勾配が大層きつい。この1,100メートルを徒歩で下って11:55発の上りに乗る。乗り換え案内によれば新橋に着くのは13時54分。よって熱海の新幹線プラットフォームから新橋の大衆床屋に電話を入れ、14時5分に予約を入れる。予約に500円の料金がかかるとは、今日のオネーサンに教えられて初めて知った。
新橋には乗り換えが上手くいって、13時44分に着いてしまった。散髪もそれに伴って、14時38分に終わってしまった。家内との待ち合わせは新橋で16時55分。それまで何をして過ごそうか。
新橋から銀座線で日本橋へ移動する。高島屋地下1階の味百選売場にて、上澤梅太郎商店の商品を視察する。陳列に乱れのあるものについては、それを綺麗に並べ直す。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の仕込みのある明日から月曜日までは、長男夫婦や孫たちとは夕食を共にしないから、何かを買うことはしなかった。
中央通りを隔てて向かい側の丸善では、腕時計のベルトの調整をしてもらう。1階の書籍売場では松岡正剛特集に、壁のかなりの面積が割かれていた。ドナルド・キーンの「百代の過客」は、僕の持つ朝日選書のそれは正の上下、続の上下と4冊組みだが、講談社学術文庫の1冊にまとめられていることを知る。すこし離れたところには吉田武著「虚数の情緒」があって、一驚を喫する。枕のように分厚いこれは、しばらく前に仲間うちで話題になったことがある。しかしいくら活字中毒の僕でもこれは読めない。そうハナから決めて、手に入れることはしなかった。
他の棚に、僕の興味を引く数冊を見つけて記憶に留める。僕は手に持つものが多く、重くなることを嫌うから、本を実店舗で買うことはほとんどしない。
京橋のモンベルまで歩いて、ここでもあれやこれや見る。いま着ているユニクロのソフトタッチタートネックTは縮んで袖と裾が短くなっている。よって来春まで我慢をしながら着たら6着すべてを捨て、来秋からはモンベルの適当なもの6着を春と秋の普段着にするかも知れない。
新橋に戻っての夕食は、肴をひととおりこなした直後の白甘鯛の握りに大いに驚く。ひと切れの中に、歯ごたえのあるところと柔らかいところ、脂の乗っているところと淡泊なところが良い塩梅に混じっているのだ。この店に来るのは2007年以来の17年ぶり。前回は「よくお召し上がりになりました」と店主に感心されたものの、そして今回は「おまかせ」にしたものの、腹ははち切れんばかりになった。
新橋駅前の機関車には、既にしてサンタクロースが乗っていた。そうして浅草19:19発の下り特急に乗って、21時すぎに帰宅をする。最繁忙の来月も、伊豆にはいずれ、行くことになるだろう。
朝飯 「亀の井ホテル伊豆高原」の朝のブッフェ其の一、其の二、其の三
晩飯 「新橋しみづ」のおまかせ、おまかせの日本酒(燗)
2024.11.13(水) 伊豆治療紀行(30回目の1日目)
1987年、池波正太郎は初夏にフランス、秋はドイツ、フランス、イタリアと旅した。フランスはあちらこちらを歩いたものの、イタリアはヴェニスアのみ。この地に惹かれるようになったのは三岸節子の画集によると、本人の著作「ル・パスタン」にはある。
ヴェニスに着いた夜、池波は吉行淳之介の夢を見る。多分、吉行の紀行文「ヴェニス光と影」を読んだことによるものだろう。「船着場からゴンドラに乗って、運河にすべり出した吉行さんを大声でよびかけたが、吉行さんは振り向きもせず、ゴンドラの中で憮然としていた」というその夢の「憮然としていた」には苦笑を禁じ得ない。
「私は、今年の異常な夏の気候で、体調をくずしていたので」と池波は独白をする。そのとき池波は64歳。文章から気息奄々の雰囲気は伝わってこないものの「ヴェニスへは、もう一度、行きたいとおもうけれど、おそらくは行けまい」と、弱気である。
「ヴェニスに来て、何もしなかったおかげで、悪い思いもせず、よいホテルへ泊まった思いだけを胸にしまって帰ってきた。こういう旅行の方法というのもあるのだ」と、池波は帰国後に振り返る。僕などは元気にもかかわらず、旅先では何もしないから「楽」以外の何ものも無い。
「私は六白の星で、衰運のどん底が三年後にやってくる。この衰極にそなえ、いまから、種々の方法を考え、実行に移しつつあるところだ」とも池波は書いている。しかしその「三年後」である1990年の初夏に、池波は逝った。
青い海を眺めつつ、また「ル・パスタン」を読みつつ着いた伊豆高原からは、専用のバスでホテルまで運ばれた。そこから徒歩で行ける「伊豆高原痛みの専門整体医院」での治療には幸い、痛みは伴わなかった。この整体院の治療は、からだ、あるいはその一部の具合が良ければ痛くなく、反対に、悪ければ悪いほど、痛いのだ。
ホテルでの夕食は19時30分から。そして21時すぎに寝に就く。
朝飯 蓮根のきんぴら、里芋の味噌和え、菠薐草の胡麻和え、揚げ湯波の甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツとベーコンと万能葱の味噌汁
昼飯 「笹八」の爆弾おむすび、JAVA TEA
晩飯 「亀の井ホテル伊豆高原」の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、「澤乃井」の特別純米(冷や)、「三和酒造」の「臥龍梅」(燗)
2024.11.12(火) 一択
本日1回目の配達や開店準備、店番など、朝の一連の仕事を終えて4階の食堂でひと休みをしている最中に館内電話が鳴る。僕を呼ぶようおっしゃるお客様がいらっしゃっているという。
旧知のお客様は店内のベンチに腰かけ、お茶を飲んでいらっしゃった。現役時代は介護タクシーを自ら運行する経営者。現在は悠々自適のご隠居さんである。お客様の第一声は「タイ、行ってる?」だった。
このお客様の趣味は旅行で、普段は国内を、昔取った杵柄でクルマでお回りになる。海外はタイ一択。そこに僕との共通点がある。共通するところは他にもある。いわゆる「観光」は、なさらないのだ。
お客様はこのところ、タイではスワンナプーム空港に着くとエカマイまで鉄道を乗り継ぎ、ここのバスターミナルからミニバンでアユタヤへ移動をする。アユタヤは14世紀の遺跡群が世界遺産にも登録されている観光地ではあるものの、お客様は知り合いが経営する安いホテルに滞在し、昼は本読み、気が向けばマッサージ、夜は外で買ってきたおかずを肴に部屋でテレを見ながらビールを飲む、そうしてただただ気楽にしているのだという。
「今、タイ航空は安いよ」と、お客様は僕に笑いかけた。確かに、いまだコロナの余韻の残っていた昨年4月のハジャイ行きでは、航空券はコロナ前の3倍ほどもしていた。それが今年に入って随分と落ち着いてきた印象は、僕も持っていた。
「私は、次は来年の2月に行きます」と、お客様はおっしゃった。「えっ、僕も2月です」と、僕は反射的にお答えをした。ただし行き先は、お客様とは異なる。
チェンライは、王様のひとりがその研究者だったラオスとの国境も近ければ、岩波文庫の吉川一義訳「失われた時を求めて」全14巻を持参するのも悪くないかも知れない。そのような酔狂をする人がどこかにいないものだろうか。僕にはとてもできないことではあるけれど。
朝飯 ベーコンのソテーとスクランブルドエッグ、蓮根のきんぴら、牛蒡と人参のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 鮨其の一、鮨其の二、鮨其の三、玉子とじの吸い物、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、夏太郎らっきょう、「鳳凰美田」(燗)、パウンドケーキ、Old Parr(生)
2024.11.11(月) 精進
先週金曜日の日記に画像のある「古本屋台2」の112ページ、常連客のセリフに「失われた時を求めて」があるものの、それについての解説は、巻末には無い。声を上げて笑ったのは140ページ。林望の「源氏物語の楽しみかた」を手にしたロバート・キャンベルが焼酎「白波」のお湯割りの2杯目を所望して、屋台のオヤジに断られる場面。屋台で売るものがラーメンでもおでんでもなく古本、というあたりに、久住昌之の面目躍如がある。
開高健によれば、大阪にはむかし、カクテルを売る屋台があったという。オヤジの決まり文句は「郵船で鍛えた腕」だったものの、長くは続かなかったらしい。
木曜日には鮨を食べる。ところが冬の僕の指はアカギレだらけ、バンドエイドだらけで、鮨を摘むには適さない。よって夜は入浴をしながらそれらすべてを剥がし、爪に残った粘着性の成分も、綺麗に落とした。そして寝る前には手にメンソレータムを擦り込み、木綿の手袋をした。
「今日はこれに集中しようと思って、朝からタバコも吸わずにがまんしているんだ。昨夜は昨夜で一滴もウィスキーを飲まなかった。毎晩、分量はべつとして、飲まないってことはないんだがね」と口を開いた開高健らしい男に「たいそうな御精進ですな」と、こちらは佐治敬三らしい男のからかってみせる会話が「ロマネ・コンティ・1935年」に出てくる。
手にメンソレータムを擦り込んで、更に手袋をして寝るという行いも、僕にとっては「御精進」のようなものだ。精進をしなければ鮨を食べることもできない。冬とはまことに厄介な季節である。
朝飯 納豆、生玉子、鶏肉そぼろ、焼き海苔、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「コスモス」のカプレーゼ、カツレツ、ホットバタードラム、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからのシュークリーム、Old Parr(生)