2024.11.11(月) 精進
先週金曜日の日記に画像のある「古本屋台2」の112ページ、常連客のセリフに「失われた時を求めて」があるものの、それについての解説は、巻末には無い。声を上げて笑ったのは140ページ。林望の「源氏物語の楽しみかた」を手にしたロバート・キャンベルが焼酎「白波」のお湯割りの2杯目を所望して、屋台のオヤジに断られる場面。屋台で売るものがラーメンでもおでんでもなく古本、というあたりに、久住昌之の面目躍如がある。
開高健によれば、大阪にはむかし、カクテルを売る屋台があったという。オヤジの決まり文句は「郵船で鍛えた腕」だったものの、長くは続かなかったらしい。
木曜日には鮨を食べる。ところが冬の僕の指はアカギレだらけ、バンドエイドだらけで、鮨を摘むには適さない。よって夜は入浴をしながらそれらすべてを剥がし、爪に残った粘着性の成分も、綺麗に落とした。そして寝る前には手にメンソレータムを擦り込み、木綿の手袋をした。
「今日はこれに集中しようと思って、朝からタバコも吸わずにがまんしているんだ。昨夜は昨夜で一滴もウィスキーを飲まなかった。毎晩、分量はべつとして、飲まないってことはないんだがね」と口を開いた開高健らしい男に「たいそうな御精進ですな」と、こちらは佐治敬三らしい男のからかってみせる会話が「ロマネ・コンティ・1935年」に出てくる。
手にメンソレータムを擦り込んで、更に手袋をして寝るという行いも、僕にとっては「御精進」のようなものだ。精進をしなければ鮨を食べることもできない。冬とはまことに厄介な季節である。
朝飯 納豆、生玉子、鶏肉そぼろ、焼き海苔、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「コスモス」のカプレーゼ、カツレツ、ホットバタードラム、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからのシュークリーム、Old Parr(生)
2024.11.10(日) コロモガヘ
所用により早朝、家内と外へ出る。家内はダウンパーカを羽織っている。僕は半袖ポロシャツに長袖のTシャツを重ねている。「寒くないの」と家内。「寒いよ」と僕。「寒さより、着ぶくれる方が不快なんだよ」と言葉を添える。
昨年より、仕事着に限れば年間で以下9回の衣替えをするようになった。
春:ソフトタッチタートネックT+パタゴニアRIクルー
晩春:ソフトタッチタートネックT+長袖Tシャツ
初夏:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
盛夏:半袖ポロシャツ
初秋:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
秋:ソフトタッチタートネックT+長袖Tシャツ
冬:極暖ヒートテックシャツ+パタゴニアRIクルー
真冬:極暖ヒートテックシャツ+パタゴニアRIクルー+ダウンベスト
厳冬:極暖ヒートテックシャツ+パタゴニアRIクルー+ダウンパーカ
上記に照らせば11月10日現在の僕の服装は、初夏あるいは初秋の服装になる。寒いのも当たり前にて、午後、押入の衣裳ケースからユニクロのソフトタッチタートネックTを取り出し、チェストに移す。そしてチェストの半袖ポロシャツは、押入の衣裳ケースに戻す。
その衣替えの作業中に、買ってはみたものの、そして着ようと思えば着る機会はいくらでもあるにもかかわらず着ない服の、結構あることを再確認する。貧乏性のため、他所へ行く際にもそれらは温存したまま仕事着で出かけてしまったりするのだ。
ところで上記一覧のうち、気に入って使ってきた長袖のTシャツが随分とヨレてきた。小遣い帳を検索してみれば、3着のうち2着は2017年5月に、1着は2022年10月に買っていた。7年ものあいだ着ていれば、ヨレも当然だろう。
先般、厚みは普通にもかかわらず丈夫さは天下一品と製造元は主張するTシャツを、FACEBOOKの広告で知った。価格は通常のTシャツの倍あるいは3倍。道具は丈夫で長持ちをするものが好きだ。年が明けたら現物を確かめに行こうと思う。
朝飯 ピーマンとベーコンのソテーを添えたスクランブルドエッグ、鶏肉そぼろ、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとキャベツと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 もやしナムル、夏太郎らっきょう、水餃子、担々麺、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2024.11.9(土) 料理をお出しできるまでに
早く起きたにもかかわらず、アカギレの切れた手指とかかとに計7枚のキズパワーパッドを貼るだけで、結構な時間を費消する。おまけにそれを貼った指で操作するトラックパッドは感度が落ちるため、いつものようには日記の作成が捗らない。更には日記のための画像をウェブ上に上げると拡張子に”-1″が付いてしまう現象を解決することにも時間を取られ、気づけば6時が過ぎていた。冬の寒さはそれほど厭わない。乾燥によるアカギレや、低い気温に対処するための重ね着がイヤなのだ。
日中、事務室と店舗のあいだを行ったり来たりしながら外を見る。日光街道や会津西街道を往くクルマの数は、先週の日曜日がこの秋の頂点になるかも知れない。とはいえ今日の道路が空いている、というわけでもない。紅葉見物の観光客の高原状態は、今月の24日までは続くだろう。
夜、ちかくのイタリア料理屋へ次男とふたりで出かける。木の扉に取り付けられた自然木の取っ手を引くと、週末ということもあって、お客の数はいつになく多かった。この店は凝りに凝った料理を提供する代わり、それがテーブルに運ばれるまでの時間が長くかかる。よって酒肴と締めのスパゲティは同時に頼む。
その肴で赤ワインを飲んでいる最中に、背後で扉の開く気配がする。ややあって「えーっと、えーっと、どうしよう。お客様が立て込んでいるので、料理をお出しできるまでに時間がかかると、ウワサワさん、伝えていただけますか」とオカミに頼まれ、振り向くと入口には白人の男女が立っていた。彼らは僕の説明に「飲み物だけなので」と答え、無事、ひとつだけ残ったテーブルに着くことができた。
しばらくするとまたオカミに促され、振り返ると、また白人の男女。カウンターにも空きは無く、彼らは夜の街へ引き返すこととなった。
いつごろからか、我が街にも旅行中らしい外国人の姿が目立ってきた。実質的な彼らは旧日光市や鬼怒川温泉を避け、それらの観光地の、川本三郎のことばを借りれば「ひとつ目小町」となる旧今市市街に滞在をする例が増えてきたのだろう。「エアビー、増えてきたからなー」と次男と話す。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、生玉子、鮭の焼きほぐし、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと大根と若布と揚げ玉の味噌汁
昼飯 2種のおむすび、万能葱のスープ
晩飯 “JOHNNEY’S CAFE 638″のフォカッチャ、アンティパストの盛り合わせ、ムール貝と天使の海老のスパゲティ、カラフェの赤ワイン、栗のケーキ、おまかせのウイスキー(オンザロックス)
2024.11.8(金) 好きな仕事
目を覚まし、しばらくは布団の中でぐずぐずしたものの、好きな仕事の控えていたことに気づいて即、起床する。好きな仕事とは、上澤梅太郎商店が運営する朝ごはん専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」の予約の受付、および釣銭のための種銭の準備、である。
淹れたばかりのお茶を飲みつつコンピュータをインターネットに繋ぐ。きのうの終業後から今朝までにいただいたご予約により、今月の18日、23日、24日の隠居は満席になった。23日と24日にご予約をくださったお客様には渋滞に気をつけていらっしゃるよう、返信にひとことを加える。そして予約表の当該の部分に、丸で囲んだ「満」の文字を赤いフェルトペンで書き入れる。
ひと息をついたところでWordPressを開く。そしてきのうの日記に続いて今日の日記のここまでを書き、コンピュータを閉じる。次は保存容器を手に1階へ降り、帽子とマスクを着けて蔵の冷蔵庫に入る。日光味噌梅太郎白味噌は、きのう使い切った。その容器に今度は日光味噌梅太郎赤味噌を満たして4階の食堂に戻る。時刻は6時24分。ふたたびお茶を淹れて、久住昌之と久住卓也による「古本屋台2」を開く。
その「古本屋台2」の55ページに吉田健一著「汽車旅の酒」を見て早速、検索エンジンに当たる。これは書かれた時代はとにかく、出版は2015年だから古くない。そのamazonのページにはおなじ著者による酒と食べものに関する本が複数あって「へー、こんなに書いていたのか」と、すこし驚く。そして「あー、たこ梅、行きてぇな」と、痛烈に思う。
文章が長くなるので、以降については割愛をする。
朝飯 鮭の焼きほぐし、茄子とパプリカの味噌炒り、胡瓜のマヨネーズ和え、牛蒡と人参のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と万能葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 トマトとベビーリーフのサラダ、隠元豆のソテーと目玉焼きを添えたハンバーグステーキ、GRAND ANDES CABERNET SAUVIGNON CENTRAL VALLEY CHILE、リンゴ、エクレア、Old Parr(生)
2024.11.7(木) 初冠雪
土井たか子と無名の男がリングの上に対峙し、今まさにボクシングを始めようとしている。僕には背を向けているため、男の顔は見えない。という夢を見ながら目を覚ます。素っ裸である。きのう風呂に入ったか否かの記憶も無い。
「飲んじゃ日本酒がいちばん美味いわな」と言う人がいる。僕は必ずしもそうは思わないけれど、きのうは日本酒が捗った。多分、いつのものか知れない朝鮮の徳利と、薄い織部釉の猪口の組み合わせが良かったのだ。
天気も上々であれば、朝食の準備をはじめる前に屋上へ上がる。雲間に男体山の初冠雪が望める。ひとつ下の4階へ戻ってテレビの電源を入れてみれば、何と富士山の初冠雪の観測も、今朝だという。11月7日の富士山の初冠雪は、130年間の観測史上もっとも遅いものとも、気象予報士は伝えていた。これから訪れる冬の気温は一体全体、どのような具合になるだろう。
日中、店のキャッシュレジスターの100円玉と10円玉と5,000円札が何度も少なくなって、事務室の金庫から忙しく補給をする。「人はときおり、目に見えない何者かからの指令により同じ行動に及ぶ、そう考えたくなることは結構、多い」と、先月23日の日記に書いた。今日もそのような指令が天から降ってきて、電子決済より現金、それも1万円札でお支払いになるお客様が増えた。まぁ、そんなこともないだろうけれど、明日は釣銭を得るため、銀行へ行くことになるだろう。
朝飯 茄子とパプリカの味噌炒り、納豆、牛蒡と人参のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 蒲鉾、鰤の蕪鮨、手巻き鮨、「小泉酒造」の「東魁盛ゆめかなえ純米吟醸」(燗)、“Chez Akabane”のチョコレートケーキ、Old Parr(生)
2024.11.6(水) 夜は和のおかずにて
久しぶりに3時台の起床を果たす。とはいえ食堂に出たときの、食器棚の電波時計は3時59分を差していたから、得をしたという感覚は、それほど覚えなかった。そしてお茶を淹れる前に、じっと手を見る。
爪が伸びている。手の爪は、まるで鮨屋の職人のように短く切りそろえるのが好みだ。しかし晩秋から春にかけてそれをすると必ず爪とその直下の肉のあいだにアカギレが発生し、バンドエイドのキズパワーパッドを指1本に対して3枚も巻くことになる。それを嫌って現在は、爪は伸ばし加減にしている。気持ちの悪いことではあるけれど、仕方の無いことでもある。
午前、先月7日に着た白いシャツがようよう洗濯屋から戻ってきた。ワインと醤油による染みを抜くのに時間がかかっていたのだ。これからは、そのような場所に木綿の白いシャツは着ていかないことにしようと一瞬は考えたものの、まさかあらたまった席に、シミなど付いても気にならない安いシャツを着ていくのも憚られる。いっそ、使い捨ての紙のエプロンでも持参しようか。
シャツと共に戻ったズボンを押入の衣装箱へ仕舞いつつ、別の衣装箱にパタゴニアのR1エアクルー2着のあることに気づく。思い返してみればこれは今年の2月に買ってすぐに着始めたものにて、その着心地の良さに、それまでの普段用のセーターはすべて捨てたのだった。今年、このセーターに袖を通すのはいつになるだろう。
終業後、検索エンジンに”HARRIS TRUMP WHICH”と入れてみる。あと4名の選挙人を獲得すればトランプの勝ちと、その赤と青の帯グラフは伝えていた。「事前調査で互角ならトランプの勝ち」とする意見は目にしていたものの、これほどの大差がつくとは思いもよらなかった。
夜は和のおかずにて燗酒を飲む。
朝飯 マカロニサラダ、コンビーフとスクランブルドエッグ、茄子とパプリカの味噌炒り、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうのポトフの具による味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 かまぼこ、里芋の淡味炊き、菠薐草の胡麻和え、牛蒡と人参のきんぴら、鰊の蕪鮨、秋刀魚の塩焼き、夏太郎らっきょう、「小泉酒造」の「東魁盛ゆめかなえ純米吟醸」(燗)、「山田屋」の人形焼き、Old Parr(生)
2024.11.5(火) 共感
シーン1 海辺のこぢんまりとした温泉ホテル。「ザザー」と打ち寄せる波。
シーン2 男、大浴場で首まで湯に浸かり「あー」と声を漏らす。
シーン3 男、湯から上がって脱衣所へ向かう。
シーン4 男、「フーッ」と息を吐きつつ部屋への廊下を行く。
シーン5 男、部屋へ戻り窓際の椅子に着いて「こうなっちゃうよな、それは」と呟きつつ缶ビールをコップに注ぐ。
シーン6 男、「ゴクゴク」と、コップのビールを飲む。
シーン7 男、「あー、サイコー!」と胸を反らす。
シーン8 男、「おそい夏。海辺の安ホテルにひとり逗留」と独白。
シーン9 男、「厳選してきた五冊の文庫本を読みふける二泊三日…」と独白。
シーン10 左手に岬を遠望する海。間近を右から左へ歩いて行くカニ。男、「長年の夢、遂に実現」と独白。
シーン11 男、「って、明日の朝チェックアウトだけど、一冊も読んじゃいないや、ダラダラしただけで…。あー、楽」と独白。
おとといの日記の最上部に置いた画像の、久住昌之と久住卓也による漫画「古本屋台」に収められた上記は一編にて「これはまさにオレの旅じゃねぇか」と深く共感をした。「旅、かくあるべし」と思う。膝をたたく人は、多くはないだろうけれど。
朝飯 茄子とパプリカの味噌炒り、ブロッコリーソテー、温泉玉子、蓮根のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と万能葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 マッシュルームのソテー、3種のパン、ポトフ、Chablis Billaud Simon 2018
2024.11.4(月) 高原状態
早朝、食堂の丸テーブルにコンピュータを開き、それであれやこれやしながら視線を右手に移す。空は、1日でもっとも美しくなろうとする直前にあった。その画像を撮るため屋上への階段を上がるのは今しかないと考えつつ「今日はいいや」と、コンピュータに向かい続ける。そのとき僕が何を考えたかといえば「こうして機会を捨てると、日記の最上部に置くための画像を得られないまま1日が終わるんだよな」ということだ。
きのうは紅葉シーズンの、それも三連休の中日で忙しかった。今日はいくらかは落ち着き、お客様の足は早いうちに引くだろう。そう考えつつ日中は仕事をした。
その予想に反して道の駅「日光街道ニコニコ本陣」には、朝と昼だけでなく、15時10分から15時40分のあいだに3度も配達に行くことになった。これはなにも、補充するそばから商品が売り切れてしまう、ということではない。追加が必要な商品の完成に時間差があったゆえの3度、である。また夕刻にはお客様の多さにより、事務室から呼んだカワタユキさんは、1時間ものあいだ店から離れることができなかった。
店舗での販売の高原状態は、24日の日曜日まで続くはずだ。それまでは、すべきことを地道に積み重ねるのみだ。しかし忙しさは、そこで終わらない。11月の最終週からはいよいよ、年末ギフトの繁忙が始まる。ひと息がつけるのは、1月の最初の日曜日の夜になるだろう、多分。
朝飯 茄子とパプリカの味噌和え、マカロニサラダ、ゆで玉子、大根おろしを薬味にした納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 トマトとレタスとブロッコリーのサラダ、「ミラノピザ」のピッツァ其の一、ピッツァ其の二、ピッツァ其の三、Chablis Billaud Simon 2018
2024.11.3(日) そういう旅行
「日光の東武駅から東照宮までのあいだは渋滞でクルマが動かないとインターネットにありましたけど、本当ですか」と、きのうの夕刻に来店された二組のご夫婦に訊かれて「はい、その通りです」とお答えをした。「東武駅と東照宮のあいだの距離はどれくらいですか」と再度のご質問をいただいて「2キロです」と、お答えをする。「だったら東武駅のちかくにクルマを駐めて、歩こうとすれば歩けますね」と答えを求められるも「しかし駐車場は、いずれ満杯でしょう」と、ご返事をするしかなかった。やはり連休だった先月14日に来てくれた後輩は、旧日光市街の状況について「大渋滞により駐車はおろか停車をする場所すら見あたらなかった」と言っていたのだ。
日光の旧市街にお泊まりなら、ホテルにクルマを置いたまま徒歩で東照宮へ向かえる。しかし1ヶ月前に今回の日程を決め、ホテルを予約しようとされたときには、日光市旧市街のホテルに空きは無く、やむなく鬼怒川温泉に宿を取られたという。鬼怒川温泉から東照宮までの距離は、おおむね20キロメートル。
僕は店に備えつけの地図をお客様に差し上げると共に、霧降大橋の先からは大渋滞になるだろうけれど、大谷向のセブンイレブンの角から日光カンツリークラブの脇を通って東照宮の直下まで通じる道をお教えした。またiPhoneのGoogleマップを開き、日光市旧市街の、大谷川沿いの裏道もお教えした。そしてまた、明日の朝はできるだけ早くホテルをお出になるよう、お勧めをした。とにかく三連休の最中に来てしまわれたのだから、どうにもならない。
15時15分、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への本日4回目の納品をするため、台車を押して外へ出る。すると「宇都宮方面って、なんであんなに渋滞してるんですか」と、たまたまそこに立っていらっしゃったお客様に訊かれて「道の駅です」と、即答をする。目の前の日光街道の渋滞の先頭は道の駅。その車列は後方、日光方面の杉並木の中まで続いていて、最後尾がどこにあるのかも分からない。
「このあたりって、いつもこんなにクルマが多いんですか」と、ふたたびそのお客様に訊かれて「観光シーズンの観光地。しかも今日は三連休の中日ですから」とお答えをする。お客様は苦く笑われた。このところ、お客様の苦笑いをよく目にする気がする。それは、僕の言動によるものなのだろうか。いまだ昼食も摂れていないというそのご夫婦に蕎麦屋の場所を求められ、昼から夜まで通しで営業をしている近所の「やぶ定」をお教えする。
閉店の17時30分もちかいころ、マイクロバスが店の前に横付けされる。レンタカーであれば、親戚か、親しいお仲間によるご旅行だろう。ご一行には随分とお買い上げをいただいた。
「もう連休はこりごり」とおっしゃる年配の女性にはこれまた蕎麦屋を教えてくれと頼まれ、前出の「やぶ定」に電話を入れる。街場の蕎麦屋には18時より他の予約が入っているとのことだったが、何とか受け入れてもらえた。
それにしても、人は本当に、週末にしか行楽に出られないものだろうか。マイクロバスのご一行はともかくとして、夫婦や友人など人数の少ない集団であれば、平日の行動も可能なのではないか。
夫婦で海外から帰ってきたある人が「疲れに行ったような旅行でしたが」と、笑いながら話してくれたことがある。その人は僕からすれば「疲れに行ったような旅行」を繰り返しているように見える。とすれば、実はそういう旅行が好きなのかも知れない。「いやはや」である。
朝飯 なめこのたまり炊の大根おろし和え、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、ベーコンと小松菜の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 豚肉と厚揚げ豆腐と小松菜と椎茸の鍋、なめこのたまり炊、夏太郎らっきょう、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2024.11.2(土) 小さなカメラ
きのうは19時30分より入浴をし、19時47分に食堂で水を飲んで、寝室へ退いた。本日最初の目覚めは0時15分。起きるにはいかにも早すぎる。その後、深く眠った感触というか感慨というか、そういうからだの感じと共に2度目の目覚めを迎え「もう4時くらいにはなっただろうか」と枕頭のiPhoneを見ると、時刻はいまだ1時18分だった。しばらくは躊躇をしたものの、結局は起床をして、1時38分に食堂に入る。
上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は毎週、土日月の営業。そちらに家内が去った6時すぎに寝室へ戻り、秋に着ようとして遂に着ることのなかったシャツをチェストから押入の衣装箱に移す。続いて晩秋のための襟の高いシャツ4着をベッドの下の引き出しからチェストへ移す。「晩秋のため」とはいえ、それは一般には春と秋のものだろう。夏以外の季節に汗をかくことを僕は極端に嫌う。ゆえの薄着である。
夕刻、支払いのためキャッシュレジスターの前にいらっしゃった中年女性が”DJI Pocket”を握っていらっしゃったため、思わずその小型カメラについて、質問をさせていただいた。
この動画撮影用のカメラを意識するようになったきっかけは、日本のどこかのプロ野球球団が数年前に優勝し、そのときベンチからマウンドに駆け寄った集団の中に、これを手にした選手がいたことによる。現在、旅行中の動画は”Ulanzi”の小型三脚にiPhoneを取り付けて撮っている。この組み合わせにジンバルの機能は無いから、歩きながらの撮影では、どうしても揺れる。だから”DJI Pocket”には興味津々なのだ。
一方、僕には取扱説明書が読めないという、学習障害なのか、ただのなまけ者なのかは分からないけれど、そういう癖がある。だから新しい道具を手に入れたときにはどうしても、その使い方を手取り足取り教えてくれる人が必要になる。ちかくに誰か”DJI Pocket”を使用中の人はいないだろうか。
「ようやく使えるようになってきた」とおっしゃるお客様は「ほら、こうして自然に仕舞えるの」と、その小さなカメラがETの頭のようなレンズ部分をみずからクルリと回転させる様子見せてくださった。僕の使用環境であれば、高い”Pocket 3″は必要ない。安い”Pocket 2″で充分のはずである。
朝飯 鮭の焼きほぐし、切り昆布の炒り煮、炒り豆腐、牛肉と牛蒡と舞茸のすき焼き風、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と小松菜の味噌汁
昼飯 焼きおむすび、鶏とマッシュルームとマカロニのケチャップ煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、若布と玉葱のスープ
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、オムレツカレー、ドライマーティニ、赤ワイン