2023.9.10(日) 鋭い包丁
町内の会議は大抵、週末に開かれる。僕の週末は、平日より忙しい。よって会議のある夕刻には、店を閉め、売上金を記録と照合し、帰宅する社員を送り出して後は「すこしは落ち着かせてくれ」という気分になっている。
会議に出かける前の酒は、昼のうちに調合して冷凍庫に入れておいた。その小さなシェイカーから古いグラスに注いだ強めの酒を、簡単な肴で2杯ほども飲む。
町内の公民館へ向かいながら、雷の音を聞く。空の、雲と雲のあいだには星が見えている。不思議な空模様である。会議の途中でいきなり、激しく雨が降ってくる。霧状のしぶきを避けるため、開け放った窓の一部が閉じられる。しかしその雨はすぐに上がり、帰りの道ではまた星をうかがうことができた。
むかし銀座に、ある飲み屋があった。店主の持つ鋭い包丁は、料理に使われるものではなかった。あるいはそれも料理のうちに入るのだろうか、店主は諸方から取り寄せた美味いものをその包丁で整え、小体な店にふさわしい器に盛って出した。
会議から戻って後は、その店主を思い出しつつみずから肴を整える。もっとも僕は本職ではないから、お盆に並べられるものはたかが知れている。それでも、自分勝手にこしらえたものを自分勝手に飲み食いする行いには楽しさが伴う。そうしてつい、飲み過ぎる。
朝飯 コールスロー、茄子の味噌炒りとピーマンの炒りつけ、冷や奴、納豆、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、なめこのたまり炊、メシ、椎茸と小松菜の味噌汁
昼飯 「幸楽」のつけ麺
晩飯 チーズ、夏太郎らっきょう、ウォッカマーティニ、キャベツのピクルス、生のトマト、オイルサーディン、ソーセージエッグのトマトソース、2種のパン、Chablis Billaud Simon 2018
2023.9.9(土) 夏と秋のあいだ
早朝、事務室に入ろうとして、その裏手の掲示板に貼られた、おととい下野新聞に掲載された「汁飯香の店 隠居うわさわ」の紹介記事に気づく。隠居はこのところ、相次いで新聞の取材を受けた。そのひとつが早くも紙面に載ったのだ。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」へのご予約は、主にぐるなび、上澤梅太郎商店への電話、隠居への電話の3方向から入り、上澤梅太郎商店の事務室で一元化される。おなじ時間帯に相次いでご予約が殺到すると、いわゆるダブルブッキングが発生しやすくなる。それを避けるためには、ウェブ担当の僕は、よほどしっかりしなくてはならない。
今日のお客様のための刺身湯波が8時20分に届く。すかさずそれを隠居へ運ぶ。気温は既にして夏と秋のあいだのそれになっている。それでも個室「杉の間」に提げられたノレンはいまだ麻によるもので、4台の扇風機は開店前から回っている。
先月25日から買い入れを始めたしその実は、今日になって急に持ち込まれる量が増えた。この仕事が終わるころには、季節は「夏と秋のあいだ」からまた一歩、先へ進んでいることだろう。
朝飯 豆腐とカニかまと椎茸の中華風煮込み、同蒸し焼売、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と小松菜の味噌汁
昼飯 ピーマンの炒りつけを添えたざる素麺
晩飯 レタスとグレープフルーツのサラダ、クロワッサン、生ハム、じゃがいものガレット、煮込みハンバーグ、Chablis Billaud Simon 2018
2023.9.8(金) 濡れネズミ
お盆が過ぎるころ、右下の奥歯に痛みを感じた。よって即、かかりつけであるソーマ歯科室のウェブページを開いた。誠実かつ精密な仕事ぶりにより、予約はかなり先まで埋まっていた。僕は自分の予定と照らし合わせて9月8日の朝一番を確保した。
雨は風を伴っている。新橋駅前の喫茶店で朝食を取り終えても席は立たない。本を読みつつ濡れたズボンの乾くのを待つ。ズボンは夏用の薄いものを穿いてきた。濡れても乾きは早いだろうと踏んでのことだ。
その生乾きのズボンは、大井町の駅からソーマ歯科室へ歩くまでに、また濡れた。今度の濡れようは尋常ひととおりのものではない。シャツは腹から下、ズボンは全部、更には靴の中までびしょ濡れである。こんなことなら上は数十年も持っているPatagoniaのレインコート、足元はミンクオイルをたっぷり染ませたブーツにすべきだったものの、もう遅い。
雨風は、ソーマ歯科室を去るころには更に強くなっていた。大井町の駅へ向かうなだらかな下り坂に差しかかったところで身動きが取れなくなる。坂下からは、雨滴を含んだ突風が間断なく吹き上げてくる。坂上の交差点から進入してきたオートバイが、風圧により一気に速度を落とす。そのエンジンは今にも止まりそうだ。
マンション入口の庇に避難しているのは僕も含めて3人。そのうちのひとりが意を決したように坂を下り始める。その人を風よけにして、僕も後を追う。モンベルのもっとも軽い折りたたみ傘は、取っ手、そして放射状に骨の広がる上の方を、それぞれ右手と左手で支えている。その傘を、突風が吹き上げてくる坂下へ向ける。傘の骨は大きくしなって、まるで大きな魚を釣り上げたときの釣り竿のようだ。道のそこここには、壊れたビニール傘が打ち捨てられている、雨から身を守ることを諦めて、手ぶらで歩いている人もいる。
ようよう大井町の駅に辿り着く。ソーマ歯科で着替えたシャツは、またまた腹から下がずぶ濡れになっている。ズボンも靴の中も濡れた状態で、これ以上は行動したくない。しかし今日は、東京ビッグサイトで開かれているLIFE & DESIGN展に行かなければならない理由があるのだ。
新橋から乗ったゆりかもめは強風により、ときおり速度を緩めた。展示会の会場では、最近、取り引きを始めたばかりの会社の社長と名刺交換をする。そして会場をくまなく回り、気になった品についてはパンフレットを受け取り、その場にいる人と名刺のやりとりをする。
「ほぼ年中無休」の僕は、このような仕事を終えた後は、すこしゆっくりして、夕刻は酒場に寄りたい。しかし腹から下はずぶ濡れである。よって今日ばかりは早く帰ることとして、会社には16時前に着いた。
17時30分より閉店作業をしながら日めくりカレンダーに「白露」の文字を見る。「そうであれば」と、犬走りの梁から提げた風鈴を外す。
朝飯 「新橋珈琲店」のモーニングAセット
昼飯 東京ビッグサイトのフードコートの「香房カレー」
晩飯 マカロニサラダ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、韮ともやしの油炒め、蒸し焼売、豆腐とカニかまと椎茸の中華風煮込み、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.9.7(木) パンと白ワイン
期末期に特有の仕事にて、今日は東京へ行く必要がある。上りの特急は数日前より下今市10:53発を買ってあったものの、今朝になって12:05発に乗車変更した。東武鉄道の、座席指定券を兼ねる特急券は、スマートフォンで確保できる点、一度だけなら無料で日や時間の変更できるところが有り難い。
今月の13日に店舗を改装する。今月の20日からは新宿高島屋に1週間、11月1日からは日本橋高島屋に1週間の出店をする。その、ふたつのことをお得意様にお知らせするハガキの送り先は、既に特定してある。前者は事務係による最終確認を終え、本日午前に宛先の印刷をする。後者はやはり本日午前に、僕のコンピュータから事務係各人のコンピュータに配布し、最終確認を受ける。特急券の乗車変更は、それらの仕事を忙しないものにしないために行った。
今日の上り特急は、10:53発も、また12:05発も、新車両スペーシアXだった。この車両は、7月5日に東武日光線の終点である日光駅でお披露目が行われた際に、その外も中もつぶさに見ていた。しかし動くそれに乗るのは今日が初めてになる。
昼の腹ふさぎをカフェカウンターで買うため1号車へ入ろうとすると、その入口で係に阻まれた。入場のための予約をスマートフォンからして欲しいという。多分、このコックピットラウンジの客を煩わせないための施策だろう。
席へ戻り、前の席の背もたれ後ろに収められた案内の、QRコードを読み込む。下今市を出た車両は山あいを縫って進む。そのため電波状況は良くない。時間割にあるもっとも直近の入場枠を確保したときには、次の停車駅である新鹿沼が迫っていた。
日光のフランス料理屋「ジルエット」による「頂鱒とらっきょうのリエット」は非常に美味かった。「これに合わせるのはパンと白ワインでしょう」と思うが、車内にはパンもワインも置いてない。次の機会にはパンと白ワインを持ち込むべきか。しかし僕は昼酒はしない。だったら下りの車両で買って家で食べる手、だろうか。
室町で仕事を終えて中央通りへ出れば、神田は指呼の先にある。5月から通っている神田スズキ皮膚科の先生は僕の太腿や頭を診て「このまま何ごとも無ければ、もういらっしゃらなくても大丈夫でしょう」と太鼓判を押した。
台風13号が近づいているものの、雨は降らず、気温はそこそこ高い。ちかくの喫茶店で小一時間ほども本を読んでから新橋に移動をする。
朝飯 キャベツのピクルス、鮭の焼きほぐし、茄子とパプリカの味噌炒り、生玉子、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、茄子と獅子唐の油炒めの味噌汁
昼飯 東武鉄道スペーシアX車内で買った「頂鱒とらっきょうのリエット」、コーヒー
晩飯 「三政」のあれや、これや、それや、他あれこれ、紅茶ハイ
2023.9.6(水) 伊豆治療紀行(19回目の2日目)
目を覚ましたのは1時34分。隣のベッドには家内が寝ているため、灯りを点けて本を読むことはできない。TikTokを眺めたり、youtubeで音楽を低く流したり、メッセンジャーで問合せを下さった方に返信を付けたりするうち、ようやく夜が明けてくる。
朝一番の診察台にうつぶせになった僕の要所を押しながら、先生の口からはきのうの「いいねー」が出ない。頸椎の修正には、きのうの数倍の時間がかかった。きのう膝に押し当てられた電子ペンの感触は「ただ触れているだけ」ほどのものだった。しかし今日のそれは強烈に痛く、多分、ことし3月の状態とおなじ気がした。
「ホテルの枕が合わなかったんじゃない? ウワサワさんは、良いホテルより、安いホテルに泊まったときの方が、良い感じがするな」と先生は笑う。僕はホテルは、寝られさえすれば構わない。しかし家内はそういうわけにもいかない。次回はおなじホテルでも、和室にしようかと考える。あるいは家内が我慢できる程度の安宿に替える手もある。
「伊豆高原痛みの専門整体院」では、診療を終えると奥の部屋の診察台に移り、患部に低周波を流す。その台に上がろうとして「あっ」を声が出る。ギックリ腰の直前の、腰砕けのような状態になったのだ。「ダメだ、もう1回。布団も合ってなかったんだよ」と先生に促されて治療室へ戻り、今度は腰の数ヶ所に電子ペンを打たれる。一流のスポーツ選手が布団や枕を持ち歩くには、やはり理由があるのだ。
いつもなら拷問まがいの治療を受けても、それが終わればさっぱりした気持ちで帰路に着くことができる。しかし今回は、腰を慮りつつのそれになった。慰めは夕刻からの食事。「ぜひ、裏を返したいですね-」と、食後は降ったり止んだりの街を歩く。
朝飯 「ガスト伊豆高原店」のスクランブルエッグ&ベーコンソーセージセット(パンを大盛りのごはんに変更)、ドリンクバーのスープ
晩飯 Bistro Le Nougatのクレソンとマッシュルームのサラダ、2種のパンとバター、鰯と焼き茄子のマリネ、ピエドコション、サンセールの白(グラス)、ロワールの白(グラス)、クレームブリュレ、TALISKER 10YEARS(生)
2023.9.5(火) 伊豆治療紀行(19回目の1日目)
インドシナでは、気温が20℃くらいまで下がると凍死者が出はじめると、聞いたことがある。東京駅の新幹線プラットフォームの気温は推定35℃。太陽の直射を避けることさえできれば、僕には心地の良い温度である。そのプラットフォームは混み合っていたものの、11:57発の新大阪行こだま723号は空いていた。
伊豆高原痛みの専門整体院のワタナベ先生は、診察台にうつぶせになった僕の、先ずは両脚の足首、ふくらはぎ、膝の下の3個所を押して「いいねー」と口を開いた。次に首の両側を代わる代わる圧して「いいねー」と続けた。「これまでで一番、良いんじゃない」と言われて期待が膨らむ。症状が軽ければ、電子ペンを押し当てられたときの痛みは少ない。それに対する期待である。
僕の経験上、5,000ボルトを発する電子ペンは、膝の皿に代表される、肉の無い部分に打たれるときが一番、痛い。しかし今日、膝に押し当てられたペン先は、僕に何の苦痛も与えなかった。こんなことは、先生が宇都宮を離れる直前の、2020年の初夏以来のことと思う。
治療を終えてからは、伊豆高原駅前で借りたクルマをちかくのコンビニエンスストアに乗りつけ、買い物などをして時間を調整する。馴染みの焼鳥屋の開店は17時30分。そして20時まで飲酒活動にいそしむ。
朝飯 蒸したトウモロコシ、茄子とパプリカの味噌炒り、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、刻みオクラの鰹節かけ、刺身湯波、メシ、若布と小松菜の味噌汁
昼飯 「笹八」の爆弾おむすび
晩飯 「和居」のあれや、これや、それや、ほか、あれこれ、麦焼酎「和居」(オンザロックス)、麦焼酎「二階堂」(オンザロックス)
2023.9.4(月) 簡素、単純、緻密、複雑
今月の13日に店舗を改装する。それを来店が可能と思われるお得意様へハガキでお知らせするためのお送り先の特定は、今月1日に行った。上澤梅太郎商店にご来店くださったことのある方、「汁飯香の店隠居うわさわ」にご来店くださったことのある方、ご来店の実績については不明ながら栃木県内にお住まいの方、この三者を顧客名簿から抽出する作業は、それほど難しいものではない。
今月の20日より新宿高島屋に1週間、11月1日より日本橋高島屋に1週間の出店をする。そのお知らせのお送り先の特定は、きのう行った。こちらの方は、一筋縄ではいかない。ハガキを手に来店されるお客様の率は、百貨店の担当者も驚く高さなのだが、そしてその抽出作業は自分で編み出したものながら、複雑すぎるのだ。
優れた仕事、優れた商品は、得てして簡素であることが多い。前述の行程を頭の良い人に見直してもらえば、すこしは単純化できるだろうか。しかし簡素、単純の裏には、緻密さ、短縮することの難しい複雑さの隠れていることも少なくないような気がする。
夕食のおかずは秋刀魚の塩焼きだった。季節を知らせる料理の中で、毎年かならず食べたいものの筆頭は、秋刀魚の塩焼きである。それを肴に飲酒活動をする右手で柵のある寝台に腹ばいになり、ことし2月に生まれた孫のカコが僕に笑いかける。
「どうしようもないわたしが歩いている」というような僕に笑顔を向ける必要などひとつもないにもかかわらず笑っている孫を不憫に思い、秋刀魚を食べ終えたところで寝台から抱き上げ、椅子に戻り、膝に載せる。そうして彼女を左手で抱えたまま、右手のみで飲酒活動を続ける。
朝飯 刻みオクラ、キャベツのピクルス、揚げた茄子とパプリカ、昆布の佃煮を薬味にした納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、茗荷の酢漬け、メシ、小松菜の味噌汁
昼飯 茄子と獅子唐の油炒めと刻みオクラの熱いつゆのざる素麺
晩飯 里芋の煮転がし、隠元豆の胡麻和え、「みょうがのたまり漬」を薬味にした冷や奴、蒸したトウモロコシ、なめこの味噌汁、秋刀魚の塩焼き、らっきょうの塩漬け、「松瀬酒造」の「松の司生酛純米酒」(冷や)、チーズ、ダークフルーツケーキ
2023.9.3(日) GEM
3日つづけて寝ることに失敗をしている。夕食の後に椅子で寝てしまうことにより、その後、寝台に移ってもなかなか眠れず、結果として睡眠の質が落ちるのだ。きのうは食堂でうたた寝をし、その後、風呂に入るため寝室でポロシャツを脱いだところで今度はベッドカバーの上で、また眠ってしまった。天井の灯りは点いたままだからやがて目覚め、風呂に入り、寝室に戻ると、今度は寝つけない。
それでもどうにかこうにか眠れたらしく、夢を見る。僕は夢は、ほとんど悪夢しか見ない。しかし今朝の夢は、なかなか心地の良いものだった。
家内の親戚の、午餐の会に出ている。人と共に過ごした後はひとりになりたい癖があるから、その、午後の陽光に満ちた店から歩いて行ける、南青山のフランス料理屋に予約の電話を入れる。いまだ明るいうちに、先ずはシェリー酒を飲もうと考えたのだ。若い女の歌手による「イマキル」という歌が聞こえる。夢からは覚めかけているものの、酔生夢死のような状態が続く。白い紙にチャコールグレーの色鉛筆で書いた”GEM”という文字が見える。その文字は、ひとつひとつがレモンのような、楕円に近い紡錘形をしている。このあたりでようやく、うっすらと目が覚めてくる。
“GEM”という、英和と和英が一体になった、革表紙の小さな辞書がある。それを僕は中学か高校のときに叔母からもらった。これは1982年のインドで役に立った。会話のために、ではない。日記を書きつつ漢字を調べたのだ。その後、この辞書はなぜか2冊に増えて、新しい方は長男に譲った。
完全に目を覚ましたところでyoutubeの検索窓に”monica evans waltz”と入れる。しかしスマートフォンのディスプレイには”3:21″の表示も見えたから「ラッキー」とブラウザを閉じ、すぐに起きる。寝ることに失敗をしたときには大抵、6時ちかくまで眠ってしまう。それが3時台に起きられるとは、幸運以外のなにものでもない。
寝室には空気調整器が除湿で回っているものの、涼しくはない。「良いかも知れない」と感じる。食堂に来て直角に交わった窓を開ける。空気はほとんど動かず、蒸し暑い。「これは良いかも知れない」と、ふたたび思う。
4時59分、空の写真を撮るため屋上へ上がる。
朝飯 鮭の焼きほぐし、茄子と獅子唐の油炒め、納豆、キャベツのピクルス、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 茄子と獅子唐の油炒めを添えたざる素麺
晩飯 チーズ、夏太郎らっきょう、SMIRNOFF VODKA(生)、トマトとレタスとモッツァレラチーズのサラダ、じゃがいものフリット、細切り人参のサラダ、グリーンアスパラガスのソテー、たまり漬によるソースを添えたビーフステーキ、Chateau Lumiere 1996
2023.9.2(土) フツーになっちゃう
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の床の間には梅雨明け以来、方形にして緑色の抽象画を掛けてきた。その色、線、絵の具のしたたりは、庭の木々と呼応して、まことに具合が良い。しかし「隠居床の間」と題した記録には、9月からは高久隆古の「秋景山水之図」を掛けるべしとある。
午前、それと田崎草雲の「巌菊之図」のふたつの箱を抱えて隠居へ行く。本日の外気温は32℃。隠居にある4台の扇風機は、すべて回りつつ首を左右に振っている。とはいえ暦は既にして秋。「秋景山水之図」は、お客様の途切れたごく短いあいだに掛けた。本来であればきのうのうちに掛けておかなければならないところ、残暑により踏ん切りがつかなかったのだ。
今日の隠居は予約こそ2件しか入っていなかったものの、フリの方が相次ぎ、結局のところ、朝の数時間と昼の数時間は満席をいただいた。
夕刻、隠居から戻ってきた家内が「掛け軸にすると、フツーになっちゃうんだよ」と口を開く。「そうなんだよ」と僕は、我が意を得たりとばかりに返事をする。
朝飯 茄子とピーマンの炒りつけ、冷や奴、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 ピーマンの炒りつけを添えたざる素麺
晩飯 夏太郎らっきょう、SMIRNOFF VODKA(ソーダ割り)、トマトとレタスとアボカドのサラダ、スパゲティミートソース、Chateau Lumiere 1996
2023.9.1(金) フタ開け
ラーメンに対する欲を失ったことについては、7月19日の日記に詳しく書いた。昨年までは週に複数回を食べることもあったラーメンだが、今年は以下に示す通り、5杯と少々に留まっている。
1月26日昼 家内の調理によるラーメン
3月22日昼 家内の調理によるラーメン
5月17日夜 集団で行った「フジヤ」で小鉢に分けてもらった雷ラーメン
6月6日昼 家内の調理による冷やしラーメン
7月19日昼 「ユタの店」の冷やし担々麺
8月2日夜 「和居」のラーメン
そして7杯目は今日の昼に食べた。
残暑の長引く気配があるとはいえ、8月31日は、僕の感覚としては、夏の最終日だ。夏のあいだにフジヤの冷やし味噌ラーメンを食べなくてどうする、という、みずからを叱咤激励する気持ちが僕にはあった。しかし今年のその日は木曜日にて、フジヤは定休日に当たっていた。
初秋の冷やし味噌ラーメンは美味かった。しかし胃袋は満腹を超えた。明日からはまた、素麺の日々が続くだろう。
午後は、今年のいまだ寒いうちに、試験的に仕込んだ味噌の蓋を開ける。今後の育て方については、僕の意見より長男のそれを尊重することとする。
朝飯 スペイン風目玉焼き、刻みオクラの鰹節かけ、茄子の炒りつけ、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 夏太郎らっきょう、茄子とピーマンの炒りつけ、「食堂ニジコ」から持ち帰った豆腐の塩煮、海老春雨炒め、鶏の唐揚げ、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)