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清閑 PERSONAL DIARY

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2021.11.20(土) 希望満充

きのうの夜に書いた、今朝の持ち物の忘備録に「めがね」とある。2018年の秋に白内障の手術を受けて以降、僕は眼鏡を必要としていない。この「めがね」とは一体全体、何だろう。

「隠居でのお食事をご希望のお客様がいらっしゃるんですが…」と、販売係のカワカミナオさんが事務室に顔を出す。時刻は開店直後の8時35分。今日の「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、11時30分から満席。ということは、10時までなら入店は可能。即、席を立って店へ行く。念のため隠居に電話を入れて席のあることを確認する。それからその2名様を隠居までご案内する。

おとといの日記に書いたように、今日はオヤジの祥月命日だ。本日2度目の納品を道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の開店直前に行い、開店の9時を過ぎたところで切り花2束を買う。そしてそれを手に如来寺のお墓に参る。

とにかく今朝は、急げや急げ、である。お墓から戻るなり4階へ上がる。仕事着を脱いで紺色のパンツを穿く。イタリアでは下着だが日本ではセーターに見える、襟の高い白いシャツを着る。それに紺色の単衣の上着を重ねる。更には紺色の帽子を手に1階へ戻る。下今市10:05発の上り特急スペーシアの切符は購入済みだ。

湯島で昼食を済ませて天神下から切り通し坂を上がる。先月18日の日記に書いたように、甘木庵は近々、その風呂場を丸ごと新しくする。その件につき設備屋のモトムラカズヒサさんと、甘木庵で13時に待ち合わせていた。時間どおりに来たモトムラさんは風呂場の天井裏から洗面所の床下に至るまで採寸をした。それが済むと、次は風呂桶や壁の色選びになった。すべてを決めて、モトムラさんは14時30分に去った。

本郷三丁目から地下鉄を乗り継いで新橋に出る。所用をひとつ済ませ、しかしふたつ目の用事は相手の店が週末により休みだったため、果たせず延期をする。そしてまたまた地下鉄に乗って、上野広小路へと移動をする。

僕の通った高等学校は1学年がひとクラス。全員の名を50音順に暗唱することはできないけれど、人数はおよそ50人だったろうか。そのうち17人が17時より同級生アケミツシ君の創業したスパゲティチェーン「ポポラマーマ」の御徒町店に集まる。既にして1割が鬼籍に入っていることを考えれば、また地方在住の者も少なからずいることを考えれば、出席率は非常に高いように思われる。

隅の席に位置を占めて、出されたものを片端から平らげていく。この店のクロサキ料理長は人を慶ばせることにまことに熱心、ということは幹事のセキグチヒロシ君より聞いていた。それにしても、自由学園のレシピブックを事前に手に入れ、給食でたびたび食べたシェパーズパイ、そしてお祝いの席に出された「希望満充」を作ってくれたことには大いに驚いた。

料理にも、周囲との会話にもすこぶる満足をして21時に会場を去る。次の同窓会は、おなじ店で半年後に開かれるという。その5月の夜が、暑くなれば嬉しい


朝飯 なめこの醤油煮、ピーマンと肉団子の土鍋蒸し、油揚げの網焼き、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうの鍋の残りによる味噌汁
昼飯 「ドトール」のジャーマンドック、コーヒー
晩飯 「ポポラマーマ上野広小路店」の其の一其の二其の三シェパーズパイ其の五其の六其の七其の八其の九希望満充、他あれこれ、ワインあれこれ


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2021.11.19(金) 仕込みの日

事務室の奥の厨房には、朝からコマバカナエさん、サイトーミホコさん、オバタタキコさんの3人の販売係が入った。今週火曜日の日記に書いた”NIKKO-DON”は、明日からの3日間に限定をして店にお出しする。今日はその仕込みの日だ。

日光の名産品を丼に仕立てて街を賑やかにしようとする催し「NIKKO-DONグランプリ」は日光商工会議所の主催により、昨年より始められた。期間は9月16日から12月16日までの3ヶ月間と、かなりの長丁場だ。上澤梅太郎商店は飲食業でなければ、そのあいだ毎日、これを提供することはできない。販売を3日間に限ったのは、社員との話し合いによる。

上澤梅太郎商店の”NIKKO-DON”の内容は以下。

・日光産のコシヒカリのごはん
・しょうがのたまり漬で味付けした牛肉のしぐれ煮
・にんじんの甘酢漬のサラダ
・らっきょうのたまり漬

厨房からはやがて、牛肉に「しょうがのたまり漬」を効かせて煮る香りが芳しく漂ってきた。3日間の予約は既に、予定数を超えて入っている。当日販売分を僅少にせざる得ないところが、何とも心苦しい。


朝飯 めかぶの酢の物、スクランブルドエッグ、納豆、トマトとセロリのサラダ、焼き葱の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、じゃこ、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 カクテキ、搾菜、じゃこ、白菜と豚肉の鍋、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)


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2021.11.18(木) そう言われてみれば

紅葉見物の観光客による繁忙は、毎年、勤労感謝の日を含む連休まで続く。言葉を替えれば、それから先は、観光のお客様は激減する。ところが上澤梅太郎商店の仕事は、ここで一段落はしない。間を置かず、年末の贈答の季節に入るからだ。

10時30分より各部の場長を集めて月例の会議を行う。

おととし12月の日記を読み返していて、その26日のところに「地方発送は本日の受注分から新年の出荷にしたいと事務係のカワタユキさんとマスブチサヤカさんが言ってきた」とあることに気づいた。昨年は、そのようなことは無かった。それではなぜ一昨年は仕事が滞ったか。

それを会議の席上で訊ねたところ、その師走には「おうちたまてばこ」と「なめこのたまり炊」のふたつの商品が、異なるテレビ局からそれぞれほぼ同時に紹介されていたことが分かった。そう言われてみれば「おうちたまてばこ」の包材は払底し、僕はこれを12月30日に東京まで仕入れに行った。また「なめこのたまり炊」は瞬時に売り切れたことを思い出した。

テレビの取材は、いきなり来ていきなり放送、ということもある。「だったら、今年はこうするよ」と僕は自分なりの安全策を提案して、皆の了承を得る。

2時間ほどの会議が完了して後は、仏壇を軽く拭き掃除する。線香立ての外に散った灰は、日中にしか目に見えない。明後日はオヤジの祥月命日である。

夕刻には家内と長男と3人で集まって、労務関係と「汁飯香の店 隠居うわさわ」の新年1月の営業について打合せを行う。

終業後、キャッシュレジスターの精算に手間取る。更には週末からの飛び石連休に備えて、釣り銭に両替するための現金を揃えることにも、またまた時間を取られる。遂には「もう夕食はできている」と家内から館内電話が入る。「やっぱりメシの前には、食卓でひと呼吸、置くべきだわな」と感じる。明日はもう少し、はやく上がろう。


朝飯 ハムエッグ、じゃこ、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、焼き葱の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、メシ、白菜の味噌汁
昼飯 焼き葱の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、じゃこ、なめこの醤油煮、鰹のソテーのお茶漬け
晩飯 ベビーリーフとツナのサラダスパゲティナポリタンGivry 1er Cru La Brulee 2018苺と栗のショートケーキ、Old Parr(生)


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2021.11.17(水) 美のありどころ

先般、町内の役員と青年会員とで屋台庫を整理整頓した。そのときのお茶代と食事代を精算したいと、シバザキトシカズ副会計から電話が入った。社内にいる旨を伝えると、シバザキさんは間もなく現れた。現金と領収書の交換を終えたところで、きのうの下野新聞の読者投稿欄に、僕の大伯母の名があると、シバザキさんは教えてくれた。

「処分していなければ良いが」と、シバザキさんの帰った後に、社内の古新聞置き場へ行く。投稿欄は「読者登壇」という名で第5面にあった。

投稿者はイケモトミツエさんという元教員だった。そこには先日亡くなった瀬戸内寂聴と大伯母との「美は乱調にあり」を仲立ちとした関わりが綴ってあった。

かつて体制転覆を目論んだ共産党を公務員は本能的に嫌う、という意見がある。しかし大伯母は共産党びいきだった。不破哲三が日光に来たときには、その演説を聴きに行ったりもした。そんな姉を、戦中戦後と店を守ってきたおばあちゃんは、可愛い幼子を目のあたりにした大人のように笑って見ていた。「なるほど、美は乱調にあり、か」と、僕はしばし思い出にひたった。

イケモトミツエさんが紹介してくださった長女、次女のおばあちゃん、耳鼻科医になった三女の三姉妹は、その子供時代の写真が「汁飯香の店 隠居うわさわ」の敷紙にある。いらっしゃってくださったお客様には、ぜひご覧いただきたいと思う。


朝飯 筑前煮、納豆、菠薐草のおひたし、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、トマトとセロリのサラダ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と菠薐草の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 セロリとカニかまのサラダ、細切り人参の炒り煮、菠薐草の胡麻和え、焼き葱の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、3種の刺身、肉豆腐、じゃこ、メシ、「松の司」の生酛純米酒(燗)


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2021.11.16(火) NIKKO-DON

目を覚まして枕頭のiPhoneを見ると、時刻は5時25分だった。即、すこし慌て気味に起床する。

日記は早朝に、大抵は既にして書けているおとといの分を公開する。それからおもむろに、きのうの日記を書き始める。今朝は例外的に、日記は4日分の在庫がある。慌てて起きたにはついては他の理由がある。

朝に早く起きようとするのは、日記を書く他に、静かな時間を過ごすためだ。今朝のように5時25分の起床では、その静かな時間が短くなる。それゆえに、いささか慌てたのだ。子供のころから隠遁願望のある僕としては、24時間のうち数時間くらいは、静かにしていたい。

とはいえ、集団でする仕事は嫌いではなく、いそいそと出かけて行く集まりもある。

午後一番には取引先3人に長男を加えた5人で社内の冷蔵庫を見まわる。「広域低温営業グループ主任」の肩書きを持つ人には「塩を扱う工場としては、信じられないほど綺麗な室内機」と驚かれる。

夜は日本酒に特化した飲み会「本酒会」の月例会により、優れた鰻の店「魚登久」へと向かう。席上、今週土曜日からの3日間に店頭で販売する”NIKKO-DON”の予約を会員よりいただく。これにて3日間の予約枠はほぼすべて埋まった。多いにありがたい。


朝飯 榎茸と菠薐草のおひたし、納豆、筑前煮、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、舞茸の天ぷらと白菜と万能葱の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 「魚登久」の酒肴あれやこれや、鰻丼定食、8種の日本酒(冷や)


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2021.11.15(月) 朝飯前

「汁飯香の店 隠居うわさわ」の開店は2020年3月。その直前に、床の間に掛ける軸を長男と選ぼうとした。倉庫には箱で70数合、80余軸の掛け軸がある。中にはめぼしいものもあるだろうと踏んでのことだった。しかし最初に開いた箱の中味は、裸電球の夜店にぶら下がっているたぐいの駄物だった。

それでもどうにかしなくてはならない。「大正三年秋和堂観題」と箱書きのある椿椿山の双幅をようよう選んで隠居に運んだ。残りの70余軸は見ずじまい、である。

しかし兎に角、それらが家にある限りは、いつか検分をしなければならない。そしてほぼ1年後、今年の春にようやく東京から骨董商を呼び、鑑定をしてもらった。

80余軸のうち贋作は1軸と双幅一対の3軸のみだった。残りはすべて真作。とはいえ、いずれ劣らず大したものではない。それでも隠居のお客様のお目に入れて恥ずかしくないと思われるものを選ぶと30数軸が残った。それらは箱を拭いて元の場所に納めた。

問題は夜店水準の残り半分で、これらはいまだ、鑑定を受けた座敷に置かれたままだ。その座敷は今月24日に恵比寿講のお祭に使う。そういう次第にて、遅くもそれまでには片付けなくてはならない。

今朝はたまたま2時台に目が覚めた。この好機を逃す手は無い。布巾は既にして充分な量を用意してある。

和室の掛け軸を台車に載せて食堂の丸テーブルに運び終えたのは3時40分。中味のある箱35合と空の5合は100年あるいはそれ以上の歳月の埃を帯びている。すべてを拭き終えたのは4時18分。これらを倉庫の棚に戻して食堂に戻ると4時40分。朝飯前の仕事とはいえ「やれやれ」である。


朝飯 トマトのたまりピクルス、なめこの醤油煮、トマトとハムとじゃがいものサラダ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、舞茸の天ぷらと若布の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のスーラーメン
晩飯 茄子の油焼き、里芋の煮ころがし、ふきのたまり漬、胡瓜の醤油胡麻油漬け、大根の味噌汁、キャベツを添えた鶏もも肉の味噌漬け焼き、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、チーズ、TIO PEPE


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2021.11.14(日) すべきことの半分は

朝、会社の敷地内を見まわりながら、蔵と隠居のあいだの交差点に達する。そこから国道121号線を隔てた駐車場へ向かおうとして、信号が変わるのを待つ。ややあって、正面の信号が青になった。

横断歩道を渡ろうとし始めたそのとき、右手つまり日光宇都宮道路の今市I.C.方向から近づいてくるクルマが見えた。クルマの正面の信号は赤。しかしその、偶数ばかりの覚えやすいナンバーを持つ黒のBMWは、そのまま横断歩道を突っ切って鬼怒川方面へと去った。もし目の前の青信号を見て駆け出す子供がいたならば、そのクルマにはね飛ばされて死んでいただろう。BMWの運転者は、信号を無視したのではない。信号などハナから目に入っていないのだ。

歩行者が車道を横断する際の標語には「さあ青だ、いやもう一度、右左」という名作がある。しかしこれからは「青信号、渡るなクルマの停まるまで」のような新式を広める必要があるのではないか。

9時より町内の屋台庫へ行く。安政6年製の彫刻屋台が納められている蔵を、今日は町内の役員や青年会員が整理整頓をするのだ。始めてしばらくして分かったことだが、すべきことの半分は雑物の廃棄だった。作業は2時間ほどで完了した。

昼は今朝の面々が蕎麦屋にふたたび集まって、直会を行う。


朝飯 なめこの醤油煮、ポテトとキャベツのサラダ、ピーマンと肉団子のソテー、油揚げと小松菜の炊き合わせ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、油揚げとズッキーニの味噌汁
昼飯 「やぶ定」の野菜天とじ蕎麦
晩飯 トマトとレタスとハムと目玉焼きのサラダ、カレーライス、2種の塩らっきょうOld Parr(水割りのお燗)


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2021.11.13(土) 80文字

僕のウェブ日記を見て自分もそれを始めたと知らせてくれたJOKER氏とあるとき、御徒町の焼鳥屋で情報交換をした。この日記を遡ったところ、それは2003年7月14日のことと知れた。その席で、日記を書くための忘備について、お互いの方法を照らし合わせた。僕は日に3つほどの覚え書きをコンピュータに残すと答えた。対するJOKER氏のそれは、画像とのことだった。画像なら今はスマートフォンがある。2003年よりよほど楽になっただろう。

日に3つほどの覚え書きは、今はしていない。隠居の身分でもないから、日ぐらしキーボードに向かっているわけでもない。脳に残るよしなしごとを、そこはかとなく書き始めれば、何となく最後の一行に辿り着く、といった塩梅である。

そういえばきのうは80文字の文章を11月26日までに納めるよう、ある事務局から依頼を受けた。80文字は原稿用紙にして3行と少々。おやすいご用と考えたが、案外、工夫を凝らす必要があるかも知れない。


朝飯 納豆、トマトのたまりピクルス、めかぶの酢の物、油揚げと小松菜の炊き合わせ、なめこの醤油煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と油揚げの味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 里芋の煮ころがし、厚焼き玉子、胡瓜の醤油胡麻油漬け鯵の干物豆腐となめこの味噌汁2種の塩らっきょう、麦焼酎「こいむぎやわらか」(前割のお燗)、アップルパイとチーズケーキ、Old Parr(生)


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2021.11.12(金) あちらを立てれば

土曜日の店は、平日の倍、忙しい。日曜日は3倍、忙しい。ところが今の時期は、その平時の法則が当てはまらない。きのう、おとといの売上金額は、日曜日のそれを超えた。週日でも自由に行動できる方々の行楽が、その数字を作ってくれたものと思われる。また、週末には渋滞が発生する。それに阻まれた行楽客は行き場を失う。失った行き場には購買活動の場も含まれる、ということもあるだろう。

昼すぎ、事務室の扉を開けて、顔だけ覗かせる人がいる。見れば年に1、2度は東京から来てくれる後輩だった。彼には平日の来訪を称え、紅葉時期の週末と祝日には日光へは近づかないことが肝要と伝える。

午後、取引先への歳暮を、頼みつけのウェブショップから申し込む。昨年までは送り先を一覧でき、一度に発注できたものが、今年はどうも様子が違う。電話で問い合わせると、注文確定までのページ遷移の少ない買い物カゴを導入したところ、複数への申込みにおいては逆に不便になってしまったと先方は詫びた。「あちらを立てればこちらが立たず」の典型で、仕事とは畢竟、これとの戦いのような気がする。


朝飯 茹でたブロッコリー、納豆、菠薐草のおひたし、スクランブルドエッグ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、なめこの味噌汁
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 なめこおろし、味噌ミックスナッツ、カクテキ、搾菜、茸と白菜と豚三枚肉の鍋、麦焼酎「こいむぎなめらか」(お湯割り)


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2021.11.11(木) 河童のお面

オフクロの祥月命日は10月15日。次は昭和34年、青山学院大学に在学をしながら病没した叔父の祥月命日11月10日。その11月10日を、僕は11月15日とばかり思い込んでいた。そしてきのうは墓参りをし忘れた。なにやらとんでもない失礼をやらかした気分だ。そういう次第にて、午前の終わるころに家内と如来寺へ行く。

叔父の亡くなったとき、僕は3歳3ヶ月だった。茶の間に仰向けになり、セーターの腹のところに大きなみかんを入れて「でかい腹だろう」と笑ってみせた叔父の姿をうっすらと覚えている。

叔父はオカリナをよくした。あるとき仏壇を整理していたら、その下部の物入れからオカリナ2丁が出てきた。何やら大切なものに思われて、それを吹いてみることはしなかった。

早世した人は特に、周囲には惜しまれる。叔父の没後、学友たちは分厚い写真アルバムを作ってくれた。また上高地に遊んだ日を忘れがたいものとして、銘木の中央に河童のお面を取り付け、その回りに各自の名を寄せた飾り板を贈ってくれた。それは今も、倉庫のどこかにはあるはずだ。

京都に行きたいと念じながら行けなかった叔父を悼んで、おじいちゃんとおばあちゃんは叔父の遺骨を知恩院に分けた。そのとき発行された「特別信徒待遇券」は、仏壇の引き出しに大切に保管をされている。60余年を経た現在も、効き目は抜群である。


朝飯 小松菜と油揚げの炊き合わせ、生玉子、筑前煮、大根おろしを薬味にした納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとズッキーニの味噌汁
昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮そば
晩飯 チーズ、TIO PEPE、刻みキャベツと茹でたブロッコリーを添えたコロッケChablis Billaud Simon 2015


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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