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清閑 PERSONAL DIARY

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2020.5.21(木) タニン・チャワラノンをはじめ

先週、タイ航空からメールが届いた。自分のページにログインすると以下の、マイレージの有効期限が示されていた。タイ航空は現在、国際線を飛ばしていない。それでもマイレージは着々と、定められた期限に従って失効していく。「何だと」と思うが仕方ない。あるいは現在のタイ航空には、そんなところまで気を回している余裕は無いのかも知れない。

Expiring Miles on 30 Jun 2020:5,021
Expiring Miles on 30 Sep 2020:1,217
Expiring Miles on 31 Dec 2020:3,369
Expiring Miles on 31 Mar 2021:7,304

我が春日町1丁目の役員は、毎年、総鎮守瀧尾神社の春の大祭が完了し、5月の連休が過ぎたところで親睦旅行に出かけていた。今年の大祭は本殿での神事のみを催行して渡御の行列は中止、町内役員の旅行は無期限に延長をされた。

6月には栃木県味噌工業協同組合の親睦旅行が控えていた。今年の行き先はインドの北部だったが、早々と中止が決まった。というか、インドはそれよりも先に、日本人に対する自国への渡航禁止を決めていた。ジャイプールからアグラまでは鉄路を辿ることになっていた。”RIMOWA”の、昨秋スワンナプーム空港で破られたスーツケースより安全性の高いものを用意しようと考えていたけれど、その必要も無くなった。

そんなところにタイ航空が破綻したとのニュースが飛び込んできた。破綻の理由は、稲盛和夫を呼ばざるを得なくなった日本航空と、ほぼ同じである。タニン・チャワラノンをはじめ、タイにも優れた経営者は多く存在する。タイ航空の再建は、かならず果たされるだろう。


朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、豆腐の玉子とじ、菠薐草のおひたし、ごぼうのたまり漬、キウィ、メシ、きのうの鍋の具を流用した味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛肉と玉葱と白滝のすき焼き風、焼き鮭、らっきょうのたまり漬「ピリ太郎」、薩摩芋の蜜煮、蛸とニラのチジミ風、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)、「久埜」の柏餅、Old Parr(生)


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2020.5.20(水) トマトの味噌汁

本棚から辻嘉一の「味噌汁三百六十五日」を、食堂の丸テーブルに持ち来る。目次を追って、今朝はそのうちの「トマトの味噌汁由来記」を読むことにする。

辻嘉一にトマトの味噌汁を飲ませたのは、当時、京都の、数寄を凝らした家を住まいとしていた蓑助。味噌汁は、茶事の後に、蓑助自身が包丁を振るった懐石で出された。汁については「おいしいお加減」としながら、箸でつまんだ具がトマトと知って「歌舞伎をみようと詰めかけて、新劇をみせられたようで、ちょっととまどいました」と、辻留の二代目は続けている。

僕は、朝の味噌汁だけは自分で作る。僕には料理の基礎というものが無い。また性格的なこともあって、いわゆる「常道」を守らない。だからトマトの味噌汁も、他で知る前に試し、なかなかいけるところから、特に初夏から初秋にかけては、月に何度も作っている。今朝は、前述の文章を読んだこともあって、味噌汁の具はトマトにした。

ところで蓑助といっても、幾人もいる。辻にトマトの味噌汁を飲ませた蓑助とは誰だろうと、検索エンジンで調べた。そしてその人物こそは六代目蓑助、後の八代目三津五郎と知る。

トマトの味噌汁は、トマトをだしでしばらく煮た方が、トマトの酸味が多く抽き出されて美味い気がする。今朝はそこにズッキーニを加えた。ズッキーニは薄く刻み、こちらは逆に、あまり煮ない方が歯ごたえの点からもよろしいと、個人としては思う。今朝のそれは、すこし煮すぎてしまった。


朝飯 納豆、牛蒡と人参のきんぴら、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、「らっきょうのたまり漬」と鶏笹身肉と水菜のサラダ、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとズッキーニの味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」の酸辛麺
晩飯 鮭の麹漬け、うずら豆、ししゃもの燻製鳥肉団子と椎茸と菠薐草の鍋、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)


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2020.5.19(火) 徒労に終わることは知りつつ

インターネット上に銀行口座を開設するよう、お客様に軽く背中を押されたのは、2003年のことだった。重い腰を上げたのは翌年。お客様がお勧めくださった銀行はジャパンネット銀行。そこからの行動は速かった。上澤梅太郎商店の口座はすぐに開設をされた。

そのころ、ジャパンネット銀行と提携しているATMは、ほとんど無かったように思う。預金を引き落とすには、ジャパンネット銀行から一般の銀行に、ネット上で送金をする必要があった。それに面倒さを覚えたこと、および送金手数料を嫌って、以来16年のあいだ、引き落としは一度もしなかった。

先日、税理士事務所に報告をするための、この口座の残高を目にした長男が「ただ遊ばせておくのも」と言い出した。今ではセブンイレブンをはじめ、使えるATMも増えたらしい。しかし引き落としに必要なカードなどは見たこともない。カードの発行手数料は1,100円と、長男はコンピュータのディスプレイに目を落としたまま口にした。今さら1,100円もバカバカしい。

徒労に終わることは知りつつ、今朝は金庫の引き出しを探ってみた。すると「JAPAN NET BANK カード2枚他在中 重要」とマジックインキで書かれ、それをオレンジ色の蛍光ペンで強調した封筒が底の方から出てきた。中には書類と共に、ATMで使えるカードも収められていた。実に16年ぶりの邂逅である。

その青いカードを手に、いそいそと郵便局へ向かったことは、言うまでもない。


朝飯 小松菜のおひたし、納豆、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、牛蒡と人参のきんぴら、茹でたブロッコリー、ごぼうのたまり漬、メシ、蓴菜の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 ミネストローネキウイと苺とベビーリーフのサラダトマトと牛挽き肉のラザニア“brivory”の大麦パンSan Pedro Castillo de Molina Syrah 2015「共働学舎」の2種のチーズ、Old Parr(生)


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2020.5.18(月) 緑したたる

上澤梅太郎商店が運営する朝食の店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、家内と長男が話し合って、今月30日からの営業再開を決めた。しかし一汁五菜弁当のお作りとお届けは、新聞の折り込み広告でお知らせをしたこともあり、6月22日まで続ける。

お客様ごとにごはんを土鍋で炊き上げる朝食と宅配弁当を、同時にお作りすることはできない。よってそのあいだ「隠居うわさわ」は、茶菓のみのご提供になる。それでも、したたるような緑を眺めていただきつつ築150年の座敷で寛いでいただければ嬉しい。隠居の庭では藤と入れ代わるようにして、サツキとカキツバタが花を開きつつある。

本日の一汁五菜弁当のうち、20数食は店頭でのお手渡し。それ以外の5食は東町のお客様と、こちらは宅配範囲の「上澤梅太郎商店がら半径1キロ以内」よりもことによると遠いかも知れない病院様。お届けには僕が当たった。東町のお客様には「あなた、チラシで見たけど、病院にはタダで持っていくんだって、大変だねぇ」とおっしゃってくださった。僕からすれば、現在の、医療に携わる方々の神経のすり減らしかたを思えば、どうということもない。いずれ「隠居うわさわ」にいらっしゃっていただければ幸いである。

夜は、数ヶ月ぶりに焼肉を食べに行く。焼酎のボトルはいまだ置いてもらえていた。そのボトルを空にして、新しいボトルを入れる。


朝飯 鮭の麹漬け、納豆、生玉子、牛肉の生姜煮、ごぼうのたまり漬、メシ、蓴菜の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「大昌園」のあれやこれやそれや、他あれこれ、麦焼酎「田苑シルバー」(オンザロックス)


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2020.5.17(日) ゴガツバレ

早く寝れば、それだけ早く目が覚める。今朝は3時16分に起床した。明け方の時間は多く、日記を書くことに費やす。”WordPress”のサーバには、木曜日からきのうまでの3日分に加えて、いつでも使えるもの、つまり4日分の在庫がある。更には今日の日記まで、こうして書いている。しかし更新は、今週の水曜日で止まっている。木曜日の日記の、頭に置く画像が得られていないからだ。僕の日記にしばしば発生する問題である。

それはさておき「汁飯香の店 隠居うわさわ」の休業に伴う「一汁五菜弁当」のお作りとお届けは、粛々と続けられている。きのうのお客様は、東町、小倉町、大谷向町と、歩いて回れる範囲になかった。よって宅配は、僕と隠居諸々係のタカハシリツコさんのふたりで、ホンダフィットを使って行った。今日の宅配は小倉町の1軒様のみにて、残りはすべて店でのお手渡しになる。小倉町のお客様には、僕が徒歩でお届けをした。今日も5月に典型的な晴れ日にて、とても気持ちが良い。

そうして、先ほどは下ってきた日光街道を今度は上りつつ「風薫る五月晴れの本日」と書かれた演説用の原稿を「風薫るゴガツバレの本日」と、大勢の前で読み上げた同級生のことを思い出す。そのときは驚いたものの、後に当たった辞書には、新暦5月の晴れた日については「ゴガツバレ」が正しいとあった。


朝飯 トマトとピーマンの雑炊、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 レタスとベビーリーフのサラダベーコンとパプリカのスパゲティマッシュルームのソテーと茹でたブロッコリーを添えた鶏もも肉のソテートマトソース、「共働学舎」のチーズ「笹ゆき」、同「さくらのアフィネ」同チーズパウンドケーキ「さくら」Petit Chablis Billaud Simon 2016、Old Parr(生)


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2020.5.16(土) なぜかとても

政府はおととい14日、47都道府県のうちの39県に限り、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除した。39県には我が栃木県も含まれている。次々と緩められていくだろう規制に対して、会社としては、どのように対応していくかを、13日の場長会議では話し合った。

緊急事態宣言の解除を受けて、栃木県はきのう対策本部会議を開き、外出の自粛と特定の業種への休業要請を取りやめた。これを受けて本日は、これまで何週間も閉鎖をしていた、お客様がお休みになる空間を開放した。木製のベンチには、家内が数日前に購入した小さな座布団を間を開けて並べた。座布団と座布団の間には、長男が作った、お客様の協力に感謝する旨の注意書きを置いた。

規制は徐々に緩められている。しかし県境をまたぐ移動については、国も県も、依然として自粛を求めている。関東の一都六県の中では、栃木県の、新型コロナウイルスによる感染者は目立って少ない。その少なさを、我々はこれからも維持しつつ、ウイルスの収束を待つ必要がある。

ふと気づいて事務室からガラス越しに店を眺めると、開放したばかりの場所で、お客様がお茶をお飲みになっていた。普段であれば当たり前の光景に、なぜかとても、嬉しいものを感じる。


朝飯 牛肉の生姜煮、生玉子、納豆、トマトのサラダ、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダチーズオムレツのカレーライスドライマーティニ、グラスの赤ワイン、家に帰ってからのエクレア、Old Parr(生)


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2020.5.15(金) 悪くない考え

「オマエ、ひと晩で金、どれくらい使える」と、むかし同級生のコモトリケー君に訊かれた。「せいぜい10万かなぁ」と答えると「それだけかよ、先ず、クラブでまわりの客に酒をおごって…」と、コモトリ君は続けたような気がする。確かに、往年の銀幕のスターのように、大勢の取り巻きを引き連れて飲み歩けば、かなりの金を使えるだろう。闇の賭場へおもむけば、それ以上に使えることは確かだ。しかしそのような行いは、僕からすればビルの屋上から札束をバラ撒くことに似て、使うというよりは捨てる感覚にちかい。

「特別定額給付金に関するお知らせです」と表書きのある封筒が、おととい市役所から届いた。開いて説明を読むと、書式は簡単だった。案内に従って文字を入れ、必要な資料を添付して即、投函した。国から支給される10万円は、奇しくも僕がひと晩に使えるとした金額に等しい。

「この給付金は、パーッと使って国民総生産を引き上げよう」と先日、勉強仲間のテシマヨーちゃんがfacebookで呼びかけていた。現金を守りたい人もいるだろう、借金の返済に充てたい人もいるだろう。しかし概ねにおいては、僕もヨーちゃんの意見に賛成である。だったら僕は、この10万円を、どこで使おう。

「お前ぇ、そりゃぁねぇよ」と言われるかも知れないけれど、僕はこの10万円は、上澤梅太郎商店で使おうと思う。ウチの味噌や漬物や「たまり」と共に地元の産品を詰め合わせた、何やらいま人気の商品を、頭に浮かぶ人へ、片端から送るのだ。悪くない考えと思うけれど、いかがだろう


朝飯 納豆、豆腐の玉子とじ、鰯の梅煮、牛肉の生姜煮、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、空豆の甘煮、メシ、蓴菜の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」の冷やし中華(大盛り)
晩飯 蓴菜の酢の物、らっきょうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、筍と鶏肉団子の鍋、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)


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2020.5.14(木) 静かな18時

「ウワサワさんはフットワークが軽い」と褒めてくれる人がいる。自己による評価は逆だ。僕の尻は、まったく重い。その僕が、今日は9時から市内のあちらこちらを回って10時30分に戻る。

社内にいる人間の密度を下げるため、4月の21日より社員の出勤数を絞っている。週7日のうち木曜日は販売係の出勤を停止し、代わりに僕や家内や長男が店に立つ、ということも、その対策のひとつだ。今日の午前は、僕が10時30分に帰社したところで、朝から店に立ち続けた家内と交代をする。

おととい宇都宮の中心部にクルマを走らせた限りでは、ショッピングセンターやスーパーマーケットの駐車場は、満杯の盛況だった。とはいえ「県境は越えるな」との、国や県による勧告は続いている。商業圏は「コロナ前」とそう変わらなくても、外からのお客様を多く受け入れている日光には、人の姿は少ない。ウチの店番も、平日はひとりかふたりで充分に間に合ってしまう現在の状況である。

本日、終業の18時まで在社した社員は僅々4名だった。家路を辿る彼らにひとりひとり声をかけて後は、明日の午前に使う小切手を1枚だけ切って自宅へ戻る。


朝飯 牛肉の生姜煮、菠薐草のソテー、納豆、蕗の醤油煮、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、鰯の梅煮、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 弁当
晩飯 蓴菜のすり流し、豚レバの燻製、鳴子百合のおひたしを添えた穴子の網焼き、胡瓜のぬか漬け、空豆の甘煮、「片山酒造」の純米大吟醸「初代久太郎」(冷や)


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2020.5.13(水) 野の花

7時40分、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の売り場の掃除と検品に向かうため、奥の置き場から自転車を曳き出し、事務室の前でそれにまたがる。そこに、孫のリコが長男に抱かれてどこかから戻ってきた。リコの手には、野の花が4、5本ほども握られている。彼女はそのうちの1本を僕に差し出した。僕はそれを、布巾を入れた紙袋の底に静かに置き、日光街道を下る。会社と道の駅の往復にクルマではなく自転車を使うのは、昨年の秋以来、数ヶ月ぶりのことだ。

道の駅での用を済ませて、先ほどの花は、お墓の花立てに加えようと考えた。如来寺は目と鼻の先にある。その水場まで自転車を乗り入れ、閼伽桶に水を汲む。そしてきのう花立てに足したばかりの水を捨て、新しい水を満たす。孫がくれた小さな野花は、一対の花立ての、向かって左の方に、折れないよう気をつけて差した。

桜の古木が枝を垂らして、いくつかのお墓に涼しげな影を作っている。空の高いところでは、雲雀が啼いている。ふたたび自転車を漕いで日光街道を遡上する。会社には7時57分に滑り込んで、無事、朝礼に臨む。


朝飯 牛肉の生姜煮、ウインナーソーセージと菠薐草のソテー、炒り豆腐、納豆、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 きのうの夜と今朝のおかずを流用した弁当
晩飯 マカロニサラダ、玉葱のサラダ、胡瓜のぬか漬け、うずら豆、刻みキャベツを添えた「渡辺精肉店」の豚カツ、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)、プリン、Old Parr(生)


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2020.5.12(火) 奇怪な連鎖

今日はおじいちゃん梅太郎の祥月命日にて、8時からの朝礼を完了すると同時に家内と如来寺のお墓へ向かう。お墓は叔母が手配した人の手により、とてもきれいになっていた。花も供えられていた。僕のすることは、墓石の掃除と線香を上げること、そのふたつのみだ。

お墓の掃除にはいろいろな作法、作法と言って大げさなら方法がある。墓石の頭から水を注ぐことを、オフクロは好まなかった。僕が人から教えられた方法は、水を固く絞ったタオルで墓石を拭くことだ。墓石は小さく、ふたつしかないから、それほどの時間は食わない。

死者は死者で、人ではない。「さぞかし暑かろう」とか「さぞかし腹を空かせているだろう」などと、死者を想うことを僕はしない。しかし便利さには簡単に転ぶ。「水気を含んだ布でお墓を拭けば、その水分だけで、ご先祖様は充分に癒やされます。茶碗の水までは必要ありません」という、おととし耳にしたこともそのひとつだ。以来、僕はお墓には茶碗は置かない。「献仏不假香多」という、これまたおととし麻布の禅寺で目にした筆書きにより、上げた線香は家内のものも含めて4本のみ。次の墓参りは6月の、おばあちゃんの祥月命日になるだろう。

SNSには時として、人から人へと何かを繋げていこうとする現象が起きる。最近では、自分の記憶に残る本を7日間に亘って紹介し、且つ1冊ごとに次の人を指名していくという奇怪な連鎖が発生した。人のそれを眺めるうち、僕はこともあろうに尊敬する先輩であるカワハラミチヒロ君に名指しをされてしまった。カワハラ君に言われては仕方がない。

そういう次第にて、いまだ光の量の落ちないうちに、食堂のテーブルに何冊かの本を積む。そしてそれらの写真を、取りあえずは次々と撮る。


朝飯 炒り豆腐、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ごぼうのたまり漬、鰯の梅煮、牛肉の生姜煮、茹でたブロッコリー、メシ、若布と揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 胡瓜の若布の酢の物、鮭の麹漬け、らっきょうのたまり漬天ぷら其の一天ぷら其の二天ぷらその三、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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