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清閑 PERSONAL DIARY

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2020.4.20(月) 精密な手順

鳥の啼く声に気づいて食器棚の時計を見る。時刻は4時25分。きのうは4時27分だった。

鳥は、雨の朝には啼かない。鳥の生態に詳しい人がいれば、いちどそのあたりについて訊いてみたい。もっとも「詳しい人」というのは得てして、自分の専門分野について訊かれると得々として微に入り細を穿ち、いつまでも話が終わらない。よって当方の疑問は晴れないばかりか、しまいには辟易することも珍しくない。教えることの上手な人とは、ことによると省略の上手な人かも知れない。

朝の、社員との報告や連絡や相談が一段落したところで4階に上がる。そして持参したコンピュータを食堂の丸テーブルに開く。季節のご挨拶をお送りするお客様を顧客名簿から特定する仕事には、精密な手順が必要だ。人が来たり電話のかかる事務室では到底、できない。今日は静かな環境にいても途中でひっかかり、最初からし直してようやく、事務係に手渡せる形になった。

挨拶文の9割は僕が書いた。あとは長男が仕上げてくれるだろう。いまだ寒い日が続き、僕はダウンベストが手放せない。


朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、飛竜頭と大根の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 筍の若竹煮、ズッキーニのオリーブオイル焼き、厚焼き玉子、鶏の唐揚げ、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)


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2020.4.19(日) 「八重のシダレ」は真っ盛り

昨年の10月には、外食による昼食が18回に及んだ。これを反省し、11月18日の「大貫屋」のチャーハンを最後として、出張、会合、会食、市外への通院など、やむを得ない場合を除いて昼の外食は止めた。新型コロナウイルスの感染拡大により「不要不急の外出は避けよ」と国や県からうながされる以前から、僕の「家ごもり」や「会社ごもり」は始まっていた。しかし人と会わなければ「生の情報」は得づらい。

そう考えて今日の昼は、ウチから徒歩で数分の蕎麦屋「やぶ定」へ出かけた。そして店主のワガツマカズヨシさんと、10分ほど立ち話をした。顔も、また知識の範囲も広いワガツマさんの話は面白く、刺激的だ。

夜はフランス料理の”Finbec Naoto”に出かけた。平時とは異なって、メニュは絞られていた。しかしここでは何を食べても美味いから、痛痒はいささかも感じない。

“Finbec Naoto”では、希望をすれば料理の終盤に、口直しのカレーライスを追加料金なしで出してくれる。その上出来のルーを、今なら冷凍で持ち帰ることができる。僕もまたそれを包んでもらったことは、言うまでもない。


朝飯 きのうのキムチ鍋の残りのぶっかけ飯、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬
昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮蕎麦
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一其の二其の三其の四其の五其の六其の七、ブルゴーニュのそれほど高くない赤ワイン


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2020.4.18(土) 旅をした気分

開店の時間は8時30分でも、それより前にお客様の姿が見えれば、即、声をおかけし、店に入っていただく。今朝もそのようなお客様に、朝一番でらっきょうのたまり漬を8袋、お買い上げいただいた。とても有り難い。

東京をはじめとする7都府県に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令されたのは、今月7日のことだ。店はこの日を境として、一段とお客様の数が減った。9日後の16日、その宣言は政府により全国に拡大をされた。これにより客足は、更に落ちた。「不要不急の外出は避けよ」との国や県からの達しであれば、それも当然のことだ。

このような事態を受けて「お客様が宅急便で取り寄せられる、家飲みセットのようなものが用意できないか」と、販売主任のハセガワタツヤ君から提案があった。その案に長男が手を加えて3つの商品を作った。日光に行きたくても行けないお客様に地域の産品をご紹介し、ご自宅にいらっしゃりながら、日光や鬼怒川を旅した気分を味わっていただくものである

「おうちで日光旅行セット」は、4種のらっきょうをはじめとするたまり漬に、鬼怒川温泉の旅館「一心舘」の温泉の元、お菓子の「日昇堂」の温泉饅頭、「片山酒造」の日本酒「日光路」、そして大門勇人さんの苺「とちおとめ」の組み合わせ

「おうち料理応援! 味噌汁セット」は、4種の日光味噌に、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」と「らっきょうのたまり漬」、僕の朝食には欠かせない「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」、八木澤裕史さんの棚田米「ゆうだい21」、「松葉屋」の揚げ湯波、そして地元の直売所に並ぶ朝どれ野菜の組み合わせ

「おうち料理応援! ごはんのお供セット」は、「らっきょうのたまり漬」に、おむすびの具にしやすい「ひしお」と2種のたまり漬、僕が子供のころから愛して止まない「なめこのたまり炊」、「松葉屋」の揚げ湯波と国産ホウレンソウによるフリーズドライ味噌汁、八木澤裕史さんの棚田米「ゆうだい21」、そこに「荒牧農園」の林檎ジュースの組み合わせ

本体価格はすべて5,525円(ゴーゴー日光)で、送料無料。ここに他の商品を同梱しても、もちろん送料無料。そしてこれらの発売をお知らするメールマガジンは、きのうの20時に配信をされた。

今の時期ならではの商品に、たくさんのご支持が戴ければ、とても嬉しい。


朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、飛竜頭と大根の炊き合わせ、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と菠薐草の味噌汁
昼飯 きのうの夜の海老フライと孫が食べ残したヒレカツによる弁当
晩飯 キムチ鍋、大根のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、苺、TIO PEPE


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2020.4.17(金) 温存

上澤梅太郎商店では、新型コロナウイルスによる感染を予防するための措置として、以下を実行している。

・会社備蓄マスクの全社員への配布
・毎朝の検温(37.5度以下であることを確認)と記録
・出勤人数の制限
・手洗いおよび手指消毒の、平時より高い水準での徹底
・店舗での試食の提供の中止
・店舗のお客様お休み所の閉鎖
・店舗のショーケースとキャッシュレジスターのあいだにビニール幕を設置
・店舗の自動ドアを入口と出口に分けることによるお客様の動線分け
・接客の際のゴム手袋の着用
・店舗と製造現場の常時換気
・事務室の1時間ごとの換気

上記の対策は、新型コロナウイルスによる感染が収束へ向かえば、段階的に緩めていくことになるだろう。しかしそれがいつになるかは、いまだ誰にも見えてはいない。

ところで僕は2007年6月、敦煌の鳴沙山でラクダに乗った。そのとき誰かからマスクを手渡された。砂漠でラクダに乗れば砂埃が立つだろうと考えた、親切な人がいたのだろう。しかしそのマスクを僕はそのままポケットにしまった。布を介して呼吸をするなどは、とてもではないけれど、煩わしくてできない。

それから13年のあいだ温存したマスクを、3月のはじめに遂に下ろした。外出用としては、販売係のタカハシカナエさんがウチの手拭いで作ってくれたものを、もっぱら大切に使っている


朝飯 胡麻豆腐、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ホウレンソウのソテーを添えたベーコンエッグ、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とサラダ菜の味噌汁、苺
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 牛蒡と人参のきんぴら、飛竜頭と大根の炊き合わせ、スパゲティサラダ、大根と胡瓜のぬか漬け、「とんかつあづま」から持ち帰りのヒレカツとキャベツの千切り、Old Parr(ソーダ割り)


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2020.4.16(木) おうちたまてばこ

昨年の10月31日に、人気のたまり漬6種類を詰め合わせた「おうちたまてばこ」が、関西テレビの人気番組「よ~いドン!」で紹介された。推薦してくださったのは、関西美食界の重鎮である門上武司さんだ。注文が殺到したことは言うまでも無い。

この「おうちたまてばこ」はその後、12月24日の総集編でも採り上げられた。この日もまた反響はすさまじかった。包装資材は枯渇し、僕は東京の日本橋までホンダフィットを走らせることとなった。

つい先日、関西テレビの担当者から電話があった。昨年「よ~いドン!」で放映された「ご飯の友」の中で、この商品にもっとも問合せが多かったことから、またまた採り上げたいとのことだった。感謝と共に快諾をしたことは言うまでもない。

10時30分を過ぎたころに、いきなり電話が重複して鳴る。事務係のマスブチサヤカさんとツブクユキさんの応対を聞くと、求められている商品はいずれも「おうちたまてばこ」だった。「木曜日か金曜日」と伝えられていた放送は、今しがただったらしい。

10月や12月とは異なって今回は、包装資材の在庫は充分だ。製造に当たる者、荷造りに当たる者との打合せは、きのうまでに済んでいる。後は丁重に、ご注文を承るのみだ。

ウェブショップの状況を見ると、こちらにも瀧に水の落ちるような速度で注文が入ってきている。マスブチサヤカさんは普段の席からウェブショップ受注用のそちらへ移り、受話器は僕が代わりに取ることになった。

夕刻にかかる電話は「午前から全然、通じなかった」とおっしゃるお客様からのものがほとんどだった。ツブクユキさんは1時間の残業をし、それでも処理し切れなかった伝票は専用の箱にまとめた。後は明日に出勤するカワタユキさんが仕上げてくれるだろう。

ご注文を下さったお客様、門上武司さん、また関西テレビさんには、厚く御礼を申し上げます。


朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、油揚げと蕪の葉の炒り煮を薬味にした納豆、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、炒り豆腐、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 稲荷寿司、ごぼうのたまり漬
晩飯 豚三枚肉と菠薐草の鍋、その鍋で煮る長寿麺、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)


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2020.4.15(水) 他にもある

日本経済新聞の土曜版には「NIKKEI プラス1」というおまけが付いてくる。先週のこれの「何でもランキング」は紀行文を採り上げていた。その1位は開高健の「オーパ」、2位は沢木耕太郎の「深夜特急」、3位は宮本常一の「忘れられた日本人」。第2面に行くと、4位は宮脇俊三の「時刻表2万キロ」だった。

今回のように、何年、何十年も前に出た本がふたたび日を浴びたとき、それをamazonで検索すると、当該の古書は大抵において、既に高騰している。宮脇俊三の「時刻表2万キロ」もしかり。しかしおなじ著者による僕にとっての一番は、東南アジアを巡った「椰子が笑う汽車は行く」で、その気持ちは今も変わらない。

5位の池澤夏樹「ハワイイ紀行」、6位の武田百合子「犬が星見たロシア旅行」、7位の星野道夫「長い旅の途上」、8位の北杜夫「どくとるマンボウ航海記」、9位の金子光晴「ねむれ巴里」、おなじく9位の幸田文「崩れ」まで、amazonではおしなべて新品は品切れで、古書は高くなっている。

このような際に、どうしても読みたい本があったなら、覚え書きをしておくことだ。市場に商品のある限り、値は数年で落ちつく。

もうひとつ、北杜夫なら「白きたおやかな峰」という傑作がある。こちらの古書は本日現在で130円、小田実の「何でも見てやろう」は140円、森枝卓士と石毛直道の「考える胃袋 食文化探検紀行」は172円、小泉武夫の「奇食珍食」は1円、増井和子と丸山洋平の「パリの味」も1円と、すこし視線を移しただけで、安値で買える、しかも上出来の紀行文、あるいはそう呼んで差し支えのない本は、いくらでもある。

高いときには買わなければ良いだけのことだ。二度と市場に出てこない可能性も、また否めないけれど。


朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、油揚げと蕪の葉の炒り煮、炒り豆腐、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とサラダ菜の味噌汁
昼飯 食パンのエッグベネディクト風、レタスと鶏肉とらっきょうのたまり漬のサラダ、コーヒー
晩飯 4種の茸のソテー焼きトマトじゃがいものグラタン鶏肉のローズマリー焼きトーストSan Pedro Castillo de Molina Sauvignon Blanc 2018プリン、Old Parr(生)


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2020.4.14(火) 次々に消す

総鎮守瀧尾神社の春の大祭は、お囃子もなく渡御の行列もなく、神事のみで静かに終わった。日光に春を告げる二荒山神社の弥生祭も、神職や氏子代表による内々のものになるらしい。その二荒山神社、東照宮、輪王寺から成る二社一寺は、今日から今月22日までの拝観停止を決めた。

僕が会計係を務める春日町1丁目は、総会へ向けて4月4日に開かれる予定だった役員会を中止した。それは「密集、密閉、密接を避けよ」との、新型コロナウイルスへの集団感染を避けるための、厚生労働省からの達しによる。更には18日の総会も中止になった。総会は中止でも、昨年度の決算書および今年度の予算案は、作らなければならない。これについては20日に、ウカジシンイチ自治会長と僕のふたりで行うこととなった。

毎年、瀧尾神社の春の大祭および二荒山神社の弥生祭を無事に終えると、我が町内の役員は、各自が積み立てたお金で親睦旅行に出かけていた。これもまた中止。机の左手に掛けたカレンダーの、5月16日から17日にかけての、その予定をインク消しで消す。

所属している栃木県味噌工業協同組合は、2年にいちど親睦旅行を持つ。今年のそれは、ニューデリーを起点としてジャイプールとアグラを巡るものだった。

大昔、南米のどこかには、その味の悪さにより口からはとても摂取できないため、肛門から注入する式の酒があったという。1980年と1982年に訪れたインドは僕にとって、その酒のようなところだった。「ほとんどすべてに辟易しつつ、それでも去りがたい」というやつだ。団体旅行では、ひとり旅のように深部に潜っていくことはできないだろうけれど、楽しみでないこともなかった。しかしこれも中止になり、6月12日から17日までの、その予定もまたインク消しで消す。


朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、菠薐草の胡麻和え、牛蒡と人参のきんぴら、納豆、炒り豆腐、酢蓮、ごぼうのたまり漬、蕪と胡瓜のぬか漬け、メシ、油揚げと菠薐草の味噌汁
晩飯 ベーコンとチーズ、バンブー、鶏肉とらっきょうのたまり漬のサラダスパゲティナポリタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、プリン、Old Parr(生)


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2020.4.13(月) すべきことはたくさん

先月28日に開店した「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、土日月の週に3日の営業だから、お客様をお受けするのは今日が9日目にあたる。その9日のあいだに、既に3度もご来店くださったお客様がお二人いらっしゃる。2度ご来店くださったお客様も、またお二人いらっしゃる。

隠居で働く家内、長男、タカハシリツコさんに稽古を付けてくれた懐石料理屋「了寛」のタマキノリヒロさんが「間違いなく繁盛します」と開店前に真顔で断言をした、その言葉はあながち外れではなかったかも知れない。

上記のように「隠居うわさわ」は、いまだ9日間しか営業をしていない。しかし、これより政府が発令した緊急事態措置の期限5月6日まで、営業を自粛する。営業再開については、その5月6日が近づいたころに、また判断をする。楽観主義によるものか、あるいは神経の鈍さによるものかは不明ながら、その間、臥薪嘗胆のような辛いことにはならないと、僕は考えている。すべきことは、たくさんあるのだ。

今日は雨が降っている。「隠居」の開店に際して、お付き合いのある方々からいただいた胡蝶蘭をはじめとする花の数々は、いまだ届いたばかりのように元気だ。明日あさっては、それらを本店へ運ぶことから仕事は始まるだろう。


朝飯 炒り豆腐、納豆、鶏の笹身とピーマンの素揚げ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と菜花の味噌汁
晩飯 じゃがいもと長葱のすり流し、刺身湯波、酢蓮、菠薐草の胡麻和え、牛蒡と人参のきんぴら、株と胡瓜のぬか漬け、たまり漬「おばちゃんのホロホロふりかけ」を混ぜ込んだおむすび、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)


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2020.4.12(日) 太陽のふたたび

様々な友だち、知り合いの顔が目に浮かぶ。

「彼はもう年金を受け取っているはずだ、普段から家で本ばかり読んでいるところからすれば、この嵐の中でも、変わらず暮らしているに違いない」という安心できる先輩もいれば「彼の店は東京の繁華街の真ん真ん中にある。どこまで続くか分からない泥沼の中で、いつまで苦闘が可能だろうか」と、案じられる後輩もいる。

自由学園男子部35回生の電子連絡網に「皆様へ」と、クラス委員のアカギシンジ君が自分の近況を上げてくれた。それから2時間のうちに5名が、その問いかけに呼応した。僕は6番目に現状の報告をした。以降も日本のあちらこちらから、世界のあちらこちらから電子メールが届き続けている。

神経が太いことは財産だ。あるいは臆病こそが、個人や法人の延命へのもっとも有効な武器かも知れない。僕が供出できる資質は何だろう、それはことによると「鈍さ」かも知れない。

先月28日に開店した「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、きのうも、また今日も明日も複数のご予約をいただいている。そして夕刻になって、明日の朝一番で、またまた新たなご予約をいただいた。来週からは営業を自粛するものの、厚い雲が払われ、太陽のふたたび燦々と輝く日の来ることばかりを、僕は考えている。


朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、納豆、炒り豆腐、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 生のトマト、玉子焼き、鶏つくねと長葱の餡かけ、らっきょうのたまり漬、うずら豆、浅蜊の味噌汁、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)


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2020.4.11(土) 春の弥生は

毎年このころになると、探す本がある。その文章によって、ありありと目に浮かぶ風景は、いつも変わらない。ところがその随筆が、高橋義孝の、いずれの本にあるかについては覚えていない。

今日の夕刻も、廊下の両脇にしつらえた棚の、その本の置いてあるあたりを見ていく。そして、なぜかプラスティックかセロファンか判別のつかない厚さと手触りの、透明の袋に包まれた文庫本に目星を付け、それを引き出す。

思いあたる題名は、目次の2ページ目にあった。

「酒のみで、文字通り飄々として町を歩くことの好きな友人がいた」という冒頭だけで、その友人の、既にこの世にはいないことが何となく分かる。その友人と著者である独文学者は、春のとある暮れ方に、新橋に出て一杯やる。

年長の友人は、その飲み屋で先ず「あさつきのぬたを二人前」注文する。高橋義孝は師匠の内田百閒から「ヤマタさん」と、ヤマタノオロチ呼ばわりされた酒豪である。友人については初めから「酒のみ」と書いてある。彼らはあさつきのぬたを取りながら「ひと口、ふた口」のみで足りている。次いで頼んだ木の芽和えにも「香りを嗅ぐ程度」にしか箸を向けない。

ふたりしてコップ酒を呷っているものの、交わされる言葉はそれほど多くない。それでも彼らは「あぁ、春だなぁ」という気持ちを同じくしてる。更には「われわれふたりがつまり春そのものなのである」とまで、著者の筆は及ぶ。そして直後に「この友人は先年亡くなってしまった」とあって、「やっぱり」と、僕はすこし呆けたようになる。

毎年いまごろになると決まって読みたくなる、高橋義孝の「春の弥生は」である。


朝飯 東坡肉の肉だけ、納豆、揚げ玉と万能葱を薬味にした冷や奴、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、菜花の味噌汁
昼飯 菜花のつゆで食べるざるうどん
晩飯 春雨サラダ、炒り豆腐「ふじや」の焼き餃子、「紅星」の「二頭鍋酒」(生)


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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