2019.8.21(水) やちむん
宇都宮でひとつ所用を済ませてホンダフィットの運転席に戻ると時刻は11時15分。シガーソケットから電源を確保したiPhoneの地図に「馬頭、広重美術館」と入力をする。所要時間は1時間5分と出た。即、北東へ向けてハンドルを切る。
広大な平野のほとんどは、黄金色の稲穂に埋め尽くされている。その農村地帯を過ぎると緑の濃い低山が迫る。数え切れないほどの切り通し坂を上り、また下る。あるいは谷に沿って拓かれたのだろうか、S字、またS字の連続した屈曲を抜ける。目的の場所にはiPhoneの案内よりすこし早くに着いた。
那珂川町馬頭広重美術館へは、広重の肉筆画を観に来たわけではない。それでも素通りは勿体ないから500円を払って入場する。浮世絵にはまったく詳しくない。それでも「もっとも好きな浮世絵師は」と訊かれたら「広重」と答えるかも知れない。企画展は「大江戸 国芳・国貞」展。国芳と国貞の得意分野の異なりを知れて良かった。それはさておき、国芳より12歳年長、且つ国芳より早くに頭角をあらわした国貞が、なぜ今回のポスターやチラシでは「国芳・国貞」と後に置かれたのかは謎である。
さて本日ここに来た主な目的は、美術館に併設されたギャルリ雪月花を訪ねることだった。8月の特集は、やちむん。気に入った食器5点をキャッシュレジスターに運ぶと「すべて松田共司さんの作品ですね」と、店主のソートメさんは教えてくれた。そのキャッシャーのちかくに気になる器が見えたため、訊くと東京から那珂川町に移り住んだ小野澤弘一という人によるものだという。いくつかの中から金属釉の湯飲みを選び、これも買う。
帰りはiPhoneが色濃く表示して勧める高速道路がらみの経路を無視して、もっとも短距離と思われる道を辿る。国道から県道、県道から町道、更には杉木立の鬱蒼とした山道に分け入る。日光市の小林、塩野室のあたりで空が一気に暗くなり、ヘッドライトを点ける。同時にそれまでの小雨が土砂降りに急変して、ワイパーを高速に切り替える。それでも会社から数キロのところまで来ると、空は元の明るさを取り戻して雨は止んだ。
夜は、手に入れたばかりの湯飲みにて、僕としては珍しく日本酒を飲む。
朝飯 たまり漬「刻みザクザクしょうが」を薬味にした牛肉のしぐれ煮、納豆、冷や奴、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、茄子とピーマンのソテー、厚焼き玉子、ごぼうのたまり漬、すぐき、メシ、キャベツと揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「ギャルリ雪月花」のごぼう天おろし蕎麦、コーヒー
晩飯 胡瓜のナムル風、薄切り大根と豚肉の鍋、「高木酒造」の「十四代雪女神純米大吟醸」(冷や)、桃
2019.8.20(火) もっとも好きな野菜のひとつ
「猛暑はどうやら峠を越えたようです」と伝えつつ、朝のテレビのアナウンサーは視聴者の安堵や共感を求めるように、カメラを真正面から見つめた。梅雨明けを予感させる激しい雷雨に恵まれたのは先月の29日。昨年は7月3日に収穫した、日光の畑のらっきょうの今年の収穫は7月31日。夏はいまだ始まったばかりではなかったか。
アナウンサーに続いて出てきた気象予報士は、列島の南に弓状に張り出した秋雨前線を、その先端がGUIのような仕掛けになっている棒で指した。まさか夏は、3週間足らずで終わってしまうのだろうか。秋や冬が数週間で過ぎるのは大歓迎だ。しかし夏にはできるだけしぶとく居残って欲しい。
4人目の子供を産んでしばらく休んだ後に復帰した包装係のタノイチカさんが、今日は家の畑から大量のピーマンを持ってきてくれた。大小さまざまなそのピーマンは、まるで夏の豊穣の象徴のように、青臭い芳香を発している。これを炒めて冷たいつゆに沈め、冷やした素麺を際限なく食べたらどれほど美味いだろう。
本日は僕が書記を務める日本酒に特化した飲み会「本酒会」の例会日にて、夕刻までの雨の上がった黒く光る道を数百メートルほども歩いて今月の会場に入る。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、目玉焼き、刻みオクラの鰹節かけ、ごぼうのたまり漬、すぐき、メシ、揚げ湯波と大根の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 「やぶ定」の酒肴あれこれ、盛り蕎麦、6種の日本酒(冷や)
2019.8.19(月) 寄り道はせず
下今市09:35発の上り特急スペーシアに乗り、11時29分に東銀座に着く。その、銀座3丁目から7丁目まで歩きつついくつかの用を足し、新橋に至る。北千住のプラットフォームには涼風が感じられたものの、都心は中々に蒸し暑い。床屋にかかろうとして、しかし行きつけの店は混み合っていて、今日の散髪を諦める。次に東京で時間を作れるのは9月の上旬になるだろう。前回の散髪が7月26日だったことを考えれば、それまでに髪と髭の見苦しくなることは必定である。
「2011年8月4日から使い続けた旧Let’s noteと、先月29日に乗り換えた新Let’s noteとのすり合わせは、きのうのベクトルエイチ行きにより完了した」とは先月25日の日記に書いたことだ。しかし20年以上も使い続けているメーラーの、奥の奥にあるらしい小さい設定が違ってしまっているとか、慣れ親しんだ画像加工ソフトが最新のOSでは使えないことから新規に入れたそれの使い勝手に不明のところがあるなど、隔靴掻痒のいくつかは、いまだ残っている。それを、本日は社外で仕事をしているベクトルエイチのヒラダテマサヤさんと赤坂で合流し、どうにか我慢、納得のできるところまで近づけてもらう。
さて、東京に出たときには夕刻からの飲酒活動を常としているものの、赤坂bizタワーの外には地下鉄千代田線への降り口が見えている。しかも赤坂から北千住までは意外に近い。よって今日に限っては寄り道をせず、夕食の前に帰宅を果たす。
朝飯 納豆、茄子と2食のピーマンのソテー、スクランブルドエッグ、すぐき、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと茗荷の味噌汁
昼飯 「ヴォメロ」の昼の定食の其の一、其の二、コーヒー
晩飯 鰯の塩焼き、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛肉とアボカドとトマトのカレー風味炒め、マカロニサラダ、キンミヤ焼酎(ソーダ割り)、孫の残したあんパン、Old Parr(生)
2019.8.18(日) 諸々を避けて
朝に食堂の窓を開け放ち、外の空気を感じることが好きだ。そうしながら机上であれこれのことをしていると、いつも6時を過ぎて食堂に来る家内は、その開かれた窓に気づいて非常に嫌がる。虫が入ってくるというのだ。なにも蚊や雲霞の大群が押し寄せるわけではない、せいぜいが蜘蛛くらいのものだが、それでも嫌だという。今朝の蜘蛛は巣にかかった亀虫を虎視眈々と狙っていたものの、亀虫は諦めることなくもがき続け、めでたく空中に脱した。
朝の仕事の一段落したところでコンピュータと手順書と複数本のペンを小さな手提げ袋に収め、4階の食堂へと戻る。そして新宿高島屋において、9月11日から16日までの日程で催される出張販売をお知らせするハガキの送り先を、顧客名簿から抽出する。事務室から誰もいない食堂に場所を移したのは、脳の集中を妨げる諸々を避けてのことだ。作業には9時39分から10時46分までの67分間を要した。
本日はお盆休みの最終日にて、夕刻、この9日間の出勤日数および仕事の軽重に応じた金一封を、社員たちに手渡す。
朝飯 厚揚げ豆腐と小松菜の淡味炊き、刻みオクラを薬味にした納豆、ごぼうのたまり漬、すぐき、胡瓜のぬか漬け、ベーコンエッグ、メシ、揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 「大昌園」のあれや、これや、それや。本日2杯目のラーメン、「田苑酒造」の麦焼酎「田苑シルバー」(オンザロックス)
2019.8.17(土) 結構な無沙汰
葉の量はティースプーンで2杯、湯温は60℃、その湯を急須に留める時間は90秒。この手順を精密に守っても、仏壇と自分のための、2杯のお茶を上手く淹れることは難しい。納得できるのは10日に1度ほどかも知れない。それに対して上出来の味噌汁を作ることは、それほど難しくない。僕の場合、10日に9度ほどは成功する。今朝の味噌汁も、あきれるほど美味かった。
お盆の入りから数えて4日目。今朝は仕事のついでに如来寺のお墓に寄り、13日に供えた花を片付ける。そして花立てを洗い、線香立てを含めた周辺の石は水とタワシで磨く。次の掃除は9月19日に予定して、既にカレンダーにも書き込んである。
昼は「やぶ定」に出かけてカレー南蛮蕎麦を注文する。「暑いね」と店主のワガツマカズヨシさんが言う。「オレは夏が好きだから、どうってことないですけどね」と答えると「あぁ、まぁ、確かに冬よりは良いわ」と、ワガツマさんは相づちを打った。オートバイでの出前を考えれば、確かに冬より夏の方が有り難いだろう。
夕方、町内のアンザイカツイチ先輩が辛ひしおを買いに来てくださる。酒の肴にするのだという。「胡瓜とかに付けるんですか」と訊くと「そのまま舐めるんだ」とアンザイさんは笑った。「日本酒ですか」と問えば「そう」とのことで、流石の呑み師ぶりである。アンザイさんは、3日ほどは家で呑むものの「ずっとそれじゃー死んちゃーから」と、4日目には外へ出かけるのだという。僕も飲み屋には、結構な無沙汰をしているような気がする。
朝飯 刻みオクラの鰹節かけ、納豆、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、茄子の油炒め、すぐき、胡瓜のぬか漬け、メシ、椎茸と小松菜の味噌汁
昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮蕎麦
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、其の八、其の九、其の十、ワインリストに”Brut”と表記のあるうちもっとも安いシャンペン
2019.8.16(金) 習い
朝、いつものように道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に自転車で検品におもむくと、一部の商品に売り切れが出ていた。よって帰って即、そのことを包装係に伝える。当該の商品は道の駅が営業を始める9時前にできたものの、2台ある営業車はどちらも配達に出ている。できたばかりの品は手提げ袋に収め、僕が歩いて配達をした。
ゴールデンウィークにくらべてお盆の休みが有り難いのは、銀行の休業日が少ないところだ。両替に必要な現金その他を、今日は長男に托した。両替された紙幣や硬貨を、今度は僕が、指定された14時に受け取りに行く。「現金は、それを作り、管理し、維持するために膨大なコストがかかる。キャッシュレス社会が実現すれば、それらのコストはすべて必要なくなる」と、キャッシュレスを推進する人たちは言う。それらの人たちが、キャッシュレス決済により店側が負担しなければならないコストを中華人民共和国のそれ並みに引き下げてくれれば有り難い。
夕刻に玄関の前で送り盆をする。迎え盆はお墓まで出向いても、送り盆は簡単に済ます。おばあちゃんが生きていたころからの、ウチの習いである。
朝飯 スペイン風目玉焼き、鮭の昆布巻き、ジーマミー豆腐、すぐき、みょうがのたまり漬、メシ、キャベツと揚げ玉の味噌汁
昼飯 会社支給の「コスモス」のハンバーグステーキデミグラソース、ライス、すぐき
晩飯 トマトとモッツァレラチーズのサラダ、ベビーリーフと南瓜の煮物と焼きトマトを添えたピーマンの肉詰め、ジャガイモのオムレツ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、西瓜
2019.8.15(木) 驟雨は直ぐに止むも
おばちゃんが亡くなったのは2012年6月。翌2013年の初秋から晩秋にかけて、そのおばあちゃんの暮らした4階のほとんどすべてを改装した。おばあちゃんの台所を隣の寝室の一部まで広げた食堂は、以降、家の中で僕のもっとも好きな場所になった。ことに早朝には、新鮮な空気と共に、鳥の啼き交わす声も遠くちかくからこの角部屋に流れ込んできて、とても気持ちが良い。
その、毎朝の習慣からきのうも窓を開ける。すると、ほんの短いあいだに床が湿ったので、即、窓を閉めて部屋の冷暖房機を除湿にして回した。そして今朝も窓を開けてみる。湿気はきのうにも増して、まるでインドシナの密林にいるようだ。四国から中国地方を北上しようとしている台風10号が、1,000キロもはなれた日光にまで影響しているのだろうか。
晴れと雨とを頻繁に繰り返す天気は今日も変わらなかった。というか、晴れから一転したときの雨は、きのうのそれよりも更に強い。風に煽られる暖簾を事務室の中に納め、しばらく後にまた外へ出すことを繰り返す。販売係のタカハシリツコさんやササキユータ君が外で売る、1本きゅうりの「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬けのためのテーブルはひさしの下にあるものの、これまた雨の激しくなったときには一時、店の中に移した。
このような妙な天気も、しかし今夜までには治まるだろう。そして週末には笠智衆が「東京物語」の中で呟いたような暑い日が来るに違いない。
朝飯 ジーマミー豆腐、鮭の昆布巻き、ベーコンとピーマンのソテー、納豆、柴漬け、みょうがのたまり漬、メシ、椎茸と玉葱と万能葱の味噌汁
昼飯 会社支給の「ホッカホッカ大将」のチンジャオロースー弁当、みょうがのたまり漬
晩飯 マカロニサラダ、カレーライス、らっきょうのたまり漬と4種のぬか漬け、Old Parr(ソーダ割り)、桃のヨーグルトかけ
2019.8.14(水) …がゆえの苦労
2時台に目を覚まして3時台のはじめに起床する。仏壇に花と水とお茶を供えて後は、既に書けていたおとといの日記を公開し、きのうの日記を書く。外では雨が降っている。「朝までに止むだろうか」との希望的観測と共にウェブ上の天気予報を見に行く。雨は金曜日まで続くらしい。
3時50分に製造現場へ降りて、きのう包装係のヤマダカオリさんに頼まれていた仕事をする。作っても作っても作り間に合わない品物がある。道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の、当該の品の置いてある場所には、今日は別の商品を並べることを決める。お客様にはできるだけ新しい商品をご提供したい。ヒマなときにドンと作り溜めして半年、1年先の賞味期限を打つ、などとということは絶対にしないがゆえの苦労である。
それにしても今日の天気は妙だ。雨が上がって晴れ間が見えたと思うと、また雨が戻ってくる。時には土砂降りになる。それが南洋の花々を濡らす慈雨ほどに弱くなり、しばらくすると青い空に白い入道雲が立ち上がる。「それっ、今だ」とばかりに、朝に納めた品がそろそろ薄くなっているだろう道の駅に配達に行こうとすると、またまた雨が降ってくる。テレビやネットニュースは盛んに、大型の台風10号について報じている。
明日の山陽新幹線は、新大阪駅と小倉駅のあいだのすべての運行を見合わせるという。人は、水鳥の羽音にも行動を鈍らせる。関東地方に台風は来なくても、明日の商売は静かになるような気がする。
朝飯 刻みオクラの鰹節かけ、ほぐし塩鮭、納豆、茄子とピーマンのソテー、みょうがのたまり漬、柴漬け、ジーマミー豆腐、メシ、炒め茄子と茗荷の味噌汁
昼飯 会社支給の”Parrot”の弁当
晩飯 冷や素麺、キンミヤ焼酎(ソーダ割り)
2019.8.13(火) ようよう店を抜け出して
「あしたは早く起きるぞ」と念じつつ昨夜は寝に就いた。そうしたところ、今朝は2時台に目が覚めた。それを奇貨としてすぐに起床する。家内はいまだ起きていて、仏壇の盆飾りを作り終えたところだった。そういう僕は、仏壇の掃除こそ済ませたものの、線香立ての灰をふるいにかけて軟らかくすることはいまだしていない。
仏壇に花と水とお茶を供えて時計を見ると時刻は3時10分。以降は既に書けていたおとといの日記を公開してからきのうの日記、更には今日の日記の前半分を書く。
4時すぎに製造現場へ降りて早朝の仕事に従う。前の日に社員にあれこれ頼まれたことを、僕が翌朝に行うのだ。きのうは夕刻に売り切れた品、売り切れの寸前までいった品がいくつかあった。よって今朝の僕の仕事は普段よりすこし手数が多くなった。
11時すぎにようよう店を抜け出して墓参りに行く。その際に家内がタオルを忘れたため、もう一度、今度は僕ひとりでお墓に戻り、水を固く絞ったタオルで墓石を拭く。僕に信仰心は皆無と思われる。しかし何ものかを畏れる気持ちはある。もうひとつ、正月やお彼岸やお盆にはお墓を綺麗にしてお参りをする、という行為は習慣化されたもので、これを自分の身から引きはがすことはできない。
夜はすっかり寛いで、嫁の作ったグラタンや長男の焼いた肉にて赤い葡萄酒を飲む。
朝飯 生のトマト、納豆、茄子とピーマンのソテー、鮭の昆布巻き、胡瓜のぬか漬け、みょうがのたまり漬、メシ、揚げ湯波と茗荷の味噌汁
昼飯 冷やし中華
晩飯 ジャガイモと玉葱とほうれん草のグラタン、ラタトゥイユと紅白なますと生のトマトを添えた4種のビーフステーキ、桃、CHATEAU DUCRU BEAUCAILLOU 1982
2019.8.12(月) なぜか秀才が多い
むかし京都や奈良のお寺には、参拝客を笑わせながら上手に説教するお坊さんが幾人もいた。そういう人の下で修業するお坊さんの中にもまた、観光客を面白おかしく愉しませる人がいた。
中学校の修学旅行では、早朝にJR今市駅を出発して、奈良には夕刻に着いた。翌日は東大寺、そして薬師寺と回った。薬師寺では若いお坊さんが我々を案内した。お坊さんは「このお寺には、たくさんの学生さん、生徒さんが来てくれる。その中で、センスが良いなと感じる学校の生徒さんは、かならず売店でお土産を買って帰る」と話して我々を笑わせた。大人や子供を笑わせながら、お坊さんは必死だったに違いない。当時の薬師寺は、金堂や西塔の再建へ向けての疾走の最中にあった。
日中は、店、製造現場、事務室、道の駅と、あちらこちらを頻繁に回る。外で1本きゅうりの「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬けを売る販売係タカハシリツコさんの昼休みには、僕がその売り場に立つ。午後はほとんど、混み合う店内で販売に当たる。そんな最中に声をかけられ顔を上げると、小学校のときの同級生サトータカノブ君が、奥さんと連れ立っていた。
秀才にはいくつもの種類がある。「膨大な無知があって、しかし習ったことは必ず身につける」という復習型の秀才がいる。サトー君はそれとは異なって「知識や能力がどこまで行っちゃってるか分からない」という秀才だった。加えてサトー君は人格も素晴らしい。
「センスが良いなと感じる学校の生徒さんは、かならず売店でお土産を買う」ではないけれど、ウチで買い物をしてくれる同級生には、なぜか秀才が多い。
朝飯 生のトマト、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、鮭の昆布巻き、胡瓜のぬか漬け、みょうがのたまり漬、メシ、ピーマンとオクラの味噌汁
昼飯 冷やし中華
晩飯 モッツァレラチーズと桃のサラダ、夏野菜のサラダ、ベーコンと莢隠元と唐辛子のスパゲティ、チーズとアンチョビの野蛮パン、Petit Chablis Billaud Simon 2016