2019.1.21(月) 長い一日
酒列磯前神社の霊験があらかたなことは、きのう着いたばかりのときに宿のあるじから聞いていた。今日は大切な仕事が控えていれば、お参りをしたおいた方が良さそうだ。朝食は7時40分からと教えられていたため、着替えて7時に玄関を出る。太平洋を望む高台にある神社までは、歩いて1分もかからなかった。
小さな町の神社だけにそれほど大きな作りではないだろうと考えつつ一の鳥居をくぐったところ、とんでもない、鬱蒼と茂った樹叢の先の本殿は、その全容が窺えないほど遠いところにある。早くから掃き清められた参道の石畳を歩くうち、手が寒さにかじかんでくる。帽子が無ければ到底、耐えられる気温ではない。手水舎で手と口を清め、ようよう本殿に辿り着いて拝礼を果たす。朝日が目に眩しい。
宿から宇都宮までは1時間と少々で来ることができた。JR宇都宮駅で長男と落ち合って仕事を完了させ、昼すぎに帰社する。そしてスーツを冬の外出着に着替え、下今市駅に向かう途中で昼食を買って、13:35発の上り特急スペーシアに乗る。
先ずは銀座のアップルショップで、iPhoneの剥がれかけた保護フィルムを新しいものに換える、次は銀座線を外苑前まで乗って、トリッペンの原宿店まで歩く。知らないあいだに地面にこすりつけでもしたのだろうか、爪先の糸のすり切れてしまったショートブーツを修理に出す。
今夜の勉強会は、青山一丁目と乃木坂のあいだにあるビルで18:30開場の19:00開始と伝えられていた。しかし夕刻になってから、19:15開場、19:30開始に変更とのコメントがfacebookのイベントに上がった。その会が21時すぎにお開きになった後はひとり新橋に移動をして、カウンター活動に従う。
朝飯 「丸徳旅館」の朝のお膳
昼飯 「セブンイレブン」の2種のおむすび
晩飯 「まこちゃん」の「豆腐だけ」、冷やしトマト、もつ焼き、ニラ玉、チューハイ、そのチューハイを濃くするための「ナカ」
2019.1.20(日) 海辺の町へ
栃木県味噌工業協同組合の新年総会は、2007年から毎年、茨城県の海沿いの町で開かれている。そこはへいつも、先輩ジンボタカシさんのクルマに同乗をさせていただいて行く。しかし今回は、明日に宇都宮での仕事が控えているため、ひとりホンダフィットで行くこととした。
13:42 会社を出る。距離計は1.1km。
14:36 宇都宮上三川I.C.より北関東道に上がる。
15:13 ひたちなかI.C.より一般道に降りる。
15:25 ひたちなか市の丸徳旅館に到着。距離計は131.1km。
普段は公共の交通機関に頼る僕からすると、クルマでの移動はひどく危険に思われてならない。眠ったり手元を狂わせたりすれば即、命の危険にさらされるのだ。
全員の顔の揃った17時より総会が開かれる。主な話題は味噌の鑑評会の持つ問題点について。そして18時30分より宴会場にて懇親会が始まる。二次会ではひとつの部屋に集まって0時くらいまで話し込むことが常であるけれど、明日は長い一日になりそうだ。よって自分だけは21時に自室に戻って即、就寝する。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、巻湯波と人参の淡味炊き、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、海老の天ぷらと三つ葉の味噌汁
昼飯 「やぶ定」の白身魚天ぷら蕎麦
晩飯 「丸徳旅館」のあれこれ、刺身、鮟鱇鍋、日本酒(燗)
2019.1.19(土) それほど強いわけでもない
「1週間に2回の割で通院して、計8回で快方へ向かう可能性が高い」と言われた宇都宮のカイロプラクティックへ、3度目の治療を受けるため行く。今日は施術台の上で左右に揺られる脊椎矯正のほかに、電気鍼を当てられた。
「痛いのは電気鍼くらい」と、このカイロプラクティックを紹介してくれた人の説明を思い出して、術前にあれやこれや先生に訊く。とにかく当方は早く治したい一心だから、多少の痛さは我慢するつもりでいる。そしていよいよ、ペンのようなものが僕の背中に押し当てられる。と同時に、太ももからふくらはぎまで電気が流れはじめる。
痛みは多少は感じる。しかし我慢できないほどのものでもない。「ウワサワさんは痛みに強いですね」と先生が言う。この治療に悲鳴を上げる患者が少なくないらしい。悲鳴とはちと大げさではないか。あるいは人により、また状況により、我慢できる痛みと我慢できない痛みがあるのだと思う。
宇都宮からは、予想より早く戻ることができた。閉店後は17時より全体ミーティング、18時からは場所を移して新年会を行う。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、スクランブルドエッグ、烏賊人参、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、塩鮭、メシ、きのう「玄蕎麦河童」から持ち帰った天ぷらによる味噌汁
昼飯 「大貫屋」のチャーハン
晩飯 「板門店」のあれや、これや、それや。済州マッコリ
2019.1.18(金) 夜に浮かぶ山
目を覚ましたのは3時をすこし過ぎたころだった。しかし起床をしたのは、それから1時間ほど後のことだ。3日前の日記を整え「公開」ボタンをクリックする。その勢いに乗じておとといときのうの日記も仕上げてしまう。週末に控えている泊まりの新年会では、日記を書く時間は確保できないだろう。引き続いての東京行きでは荷物を軽くしたい。そう考えれば、日記を遅らせるわけにはいかないのだ。
午前、3日前に宇都宮医療センターで手渡された、MRIによる画像の入ったCDを持って、市内にあるかかりつけの整形外科へ行く。院長が画像を見ながら診断を下した後は、これまで2回受けたブロック注射のまったく効かなかったことを述べ、前回とは異なる鎮痛剤の処方箋を受け取って帰路に着く。「1週間に2回の割で通院して、計8回の施療で快方へ向かう可能性が高い」と言われた宇都宮のカイロプラクティックには、いまだ2回しかかかっていない。鎮痛剤の手放せない状態は、これまでと同じである。
夜は日本酒に特化した飲み会「本酒会」に参加をするため、寒風吹きすさぶ、と書けば文章に格好がつくのか、あるいは慣用的表現により陳腐になるのか、それは分からないけれど、実際にはそれほどの寒さは感じないまま大谷橋を渡る。13日目の月に照らされて、日光の山々が、闇の中に浮かんで見えている。
朝飯 鮭の昆布巻き、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、生のトマトを添えたベーコンエッグ、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「玄蕎麦河童」の酒肴あれや、これや、それや、かけそば、6種の日本酒(冷や)
2019.1.17(木) 好きな仕事
2月13日(水)から19日(火)までの7日間、日本橋高島屋S.C.で出張販売をする。その案内ハガキの宛先をお客様名簿から選び出す日は今日と決めていた。この仕事には高い精密性が求められるため、電話がかかったり、あるいは人の出入りの激しい事務室ではできない。10時より4階の食堂に上がり、コンピュータの画面が見やすいよう、すべての遮光カーテンを下ろす。
作業にはおよそ2時間を要した。好きな部類の仕事ではあるものの、その結果をコンピュータの安全な場所に保存すると、肩の荷をひとつ下ろした気分になった。そこで湯を沸かしてお茶を淹れ、それを飲みつつ今日の日記の最上部に置く画像を撮る。
その画像をコンピュータに取り込み拡大すると、左下に黒くぼやけた点が写り込んでいる。今朝のお膳を撮ったときには見られなかった現象だ。グッタペルカ、つまり握りのゴムが昨年末から剥がれかけていることも合わせれば、いよいよ好機が来たようだ。即、リコーイメージングのサイトを開き、そこから修理の申込みをする。
昼食を済ませて事務室に降りると、リコーの修理センターから電話が入っていたことを事務係のマスブチサヤカさんに知らされた。手渡されたメモの番号に折り返し電話をしてみると、僕の”GRD IV”は部品の取り置き期間が過ぎているため、修理は不能と知らされた。
調べてみると、このカメラを僕は2013年11月7日に買っていた。初期型こそ故障の多かった”RICOH GRD”ではあるけれど、この”IV”は5年以上も働き続けていたのだ。以て瞑すべしと言うべきか。幸い防湿庫には「自分は使わないから」と、お客様が昨年の秋に下さった”GRD II”がある。これからしばらくは、この旧い機種を愛機としていこう。
朝飯 鶏卵雑炊、昆布と蓮根の佃煮、塩鮭、柴漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、いちご
昼飯 きのう「金長」からテイクアウトしたヒレカツとエビフライによるホットドッグ
晩飯 南瓜とレタスのサラダ、鶏肉とマカロニのグラタン、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”
2019.1.16(水) 当番町の会計監査
今年度の、総鎮守瀧尾神社のお祭を統括する当番町には、我が春日町1丁目が当たっている。越えるべき大きな山はふたつあって、ひとつは春の大祭、もうひとつは夏の八坂祭である。これらを越えさえすれば重荷は一気に減って、ことお祭に関しては、昨年11月25日の秋季小祭がひとつの区切りとなった。
今日は、今年度の決算を、次年度当番町の春日町2丁目と次々年度当番町の大谷向町に監査してもらう会議が開かれる。これに出席をするため、17時55分に会社の通用口を出る。会場として選ばれた仲町の「金長」には、既にして関係者の8割方が集まっていた。
当番町会計のトヨダトシオさんは会計の本職で、心配すべきところは皆無だ。配られた決算書には、金銭出納帳も綴じられていた。
他の町内に自町内の会計内容を詳細に示すなどは、すこし前の当番町においては考えられなかったことだ。しかし、各町内の自治会長、神社総代、神社世話人が集って話し合う「当番町を考える会」により決められたお祭の簡素化を実行する初めての町内が春日町1丁目ともなれば、詳細な会計報告は必須である。
今回の決算書と金銭出納帳が、これからの当番町にとっての貴重な道しるべになることを、僕は確信している。
朝飯 塩鮭、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、玉子焼き、納豆、塩らっきょう、メシ、きのうの白菜と肉団子の鍋を流用した味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「金長」のあれや、これや。麦焼酎「二階堂」(お湯割り)
2019.1.15(火) 水神祭
地元の小学生が工場見学に来たときには、かならず案内をする場所がある。そのうちのひとつが水神だ。「水神」と彫られた石碑がいつごろから蔵の中にあるかについては、つまびらかでない。この水の神様に供物を捧げ、総鎮守瀧尾神社から宮司を招いてお祭を行う、これもいつごろからの習わしかは知らないけれど、兎に角、むかしから連綿と続いてきたことは確かだ。そして今年は本日、その水神祭が無事に催された。タカナノリフミ宮司によれば、町うちでこのお祭を行っているのはウチだけだという。
朝にこのお祭が完了したところでホンダフィットを運転し、宇都宮へ至る。栃木医療センターの駐車場には10時01分に入った。10月下旬から続く背中の痛みに対して「MRIを供えた病院で診てもらった方が良い」という人の勧めにより、地元の整形外科から今月4日に予約を入れてもらっていたのだ。
大きな病院といえば長々と待たされることが多いと認識をしていたものの、あれこれは水が高いところから低いところへ流れるように遅滞なく進み、11時18分には精算を済ませて外へ出ることができた。
さて今度は「神様の手により復活」という、地元の人によるfacebookへの書き込みを昨年末に目にして思わずメッセンジャーでその場所を教えてもらった整体院での、2度目の治療である。1週間に2度の来院を4週続ければ治る可能性が高いという先生の見立てを信じて、とりあえずは通ってみようと考えている。
朝飯 ほうれん草のソテー、塩鮭、目玉焼き、納豆、塩らっきょう、メシ、揚げ湯波とキャベツの味噌汁
昼飯 「波の花」の塩ラーメン
晩飯 白菜と肉団子の鍋、柴漬け、広島菜漬け、黒豆、麦焼酎「吉四六」(お湯割り)
2019.1.14(月) 見まわり
朝7時30分に如来寺のお墓へ行く。元旦に供えた花を片付けるためである。
オフクロの祥月命日は10月で、オヤジのそれは11月。このときの花は見に行くたび元気で、水を足しつつ意外や長く保った。しかし厳冬期の今はさすがに、そのようなことは望めないだろう。砂利を踏みつつ家のお墓に近づいていく。小寒から大寒へと向かう冷気の中に、花はやはり枯れていた。
花立ての水は凍てついている。よって対のそれを水場に運び、流水で氷を溶かして花を抜く。そして内側も外側も入念に洗い、元の場所へと戻す。火が消えて短く残った線香は取り払い、周辺の灰は水で洗う。それだけのことで、お墓は清々しさを取り戻した。
「墓前に供えた花は、帰るときに下げても構わない。少なくとも、枯れて無残な姿をさらし続けるよりはよほどマシ」とは、昨年の春に聞いたことだ。以降、墓参りの後はマメに見まわりをしていたが、今回だけは年始の繁忙に紛れて2週間も置いてしまった。
そして帰社して即、日程管理の正月5日に「お墓の花はすぐに片付ける」と入力をする。
朝飯 納豆、ほうれん草のおひたし、焼きトマトを添えた目玉焼き、塩らっきょう、ふきのとうのたまり漬、塩鮭、メシ、揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Parrot”のクラブハウスサンドイッチ、“evodia 2016”
2019.1.13(日) 春隣
正月の飾りは、いつ片付けるべきか。それを僕は明確に知らない。「15日の風に当てるな」と、オフクロには言われていた気がする。それを先日、年末に活けた正月用の花を手入れするため店に来たカワムラコーセン先生に質すと「14日の風に当てるな、ですね」と教えてくれた。そうであれば、店の門松や蔵の三階松は、今日中にどうにかしなければならない。
今日は日曜日のため、製造係は当番のイトーカズナリ君ひとりが出てきている。男手の足りなさを案じるうち、しかし門松は長男と販売係ハセガワタツヤ君のふたりにより、朝のうちに片付けられた。門松が置いてあったところには、この1ヶ月ちかくのあいだに風で舞い込んだらしい落ち葉がたくさん集まっていた。それは事務係のツブクユキさんが箒で掃き、またタイルは水を含ませたモップで拭いてくれた。
店の入口右側の「賀正」の書は、家内とハセガワタツヤ君により「春隣」に掛けかえられた。店の中の柱飾りや「謹賀新年」の書も外されて、そこには「最上醤油醸造所」や「上都賀郡醤油醸造組合」と彫られた昔の看板が戻された。事務室の神棚からは、橙が水引で結ばれた注連縄が下ろされた。
すべての正月飾りが取り払われると、こう言っては何だけれど、気分がすっきりした。今週からしばらくは「なめこのたまり炊」の仕込みが続く。ウチでもっとも売れる商品は「らっきょうのたまり漬」ではあるけれど、子供のころから僕がもっとも好んで食べ続けているのは、その「なめこのたまり炊」である。
朝飯 ほうれん草の卵とじ、塩らっきょう、厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、納豆、生のトマト、昆布と蓮根の佃煮、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 ジャガイモとツナのサラダ、スパゲティナポリタン、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”
2019.1.12(土) 同窓会
池袋には、上り特急スペーシアが下今市を出発してから2時間と少々で着く。それを学習したのは、自由学園の男子部を卒業すると自動的に入ることになる同学会の委員をしていた10数年前のことだ。今日は下今市11:35発のスペーシアに乗った。池袋で山手線の車両を降りつつ「ということは、13時37分くらいか」と左手首の時計を見ると、時刻はいまだ13時26分だった。
14時すこし過ぎに明日館の講堂に入る。礼拝の後には総会につきもののあれやこれやがあって、37回生の還暦のお祝いになる。37回生とは、僕のふたつ下のクラスだ。一旦、舞台に並んだ彼らが、頭上から降りてくるスクリーンを避けるため左右に下がる。彼らがいまだ、現在は中等科と呼ばれる普通科に在学中の画像でも映るのかと考えていたところ、突然、アカギヒデヤ先生が動画で大写しになって、思わず「おっ」と声を漏らす。この「おっ」については、まぁ、アカギ先生の謦咳に触れ続けた者なら理解できる感情だろう。
立食による懇親会は早めに切り上げて、ノリマツヒサト君が予約をしておいてくれた同窓会の会場へとおもむく。30分も早く入ったにもかかわらず、総会には出なかったニシタニサダアキ君も、僕を追うようにして来た。それから人数は次々と増え、結局は13名が集まった。他愛もない話の合間に真面目なことも決まって時刻は20時。宴たけなわではあったものの、帰宅をするため、ひとり席を立つ。
朝飯 鮭の昆布巻き、納豆、塩らっきょう、椎茸と長葱の卵とじ、厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、蓮根のきんぴら、メシ、シジミと長葱の味噌汁
昼飯 「新珍味」のターローメン(半分)
晩飯 「鞍」のあれや、これや、それや。麦焼酎「二階堂」(お湯割り)