2017.12.31(日) 大晦日
朝のうちに次男を伴い、霧降高原の「グルマンズ和牛」にすき焼き用の肉を受け取りに行く。この、大晦日限定の販売に際して供される軽食をいただいて即、山を降りる。時刻は9時をすこし過ぎたところだ。
「今しがたウェブショップに注文を出した。先方に着くのは最短でいつか」との電話を10時前にお受けする。「最短で明日です」と、お知らせをする。「その場合の熨斗はお年賀でおかしくないか」とのご質問をいただいて「まったくおかしくありません」とお答えをすると「それでお願いします、助かりました」と、お客様は安心されたように受話器を置かれた。
ウェブショップへのご注文は、午前10時までの分を本日出荷として、事務係のツブクユキさんが手配をする手はずになっている。きのう出荷した「日光の美味七選」については、おなじく事務係のカワタユキさんがヤマトのウェブページに伝票番号を打ち込み、その到着を確認していく。
「年越しに愉しもうとして、おたくのワインらっきょうをスーツケースに入れた。こちらに来て早速、味を見た。いやはやまったく素晴らしい品で、その感動をひとこと伝えたかった」との電話を昼ごろにアメリカからいただく。「本物のワインで漬けた本物のワインらっきょうリュビドオル」は、万人受けする品物ではない。今日のお客様には、喜んでいただいけて幸いだった。
午後も中ごろをすぎたあたりで、会社の外側を見まわる。フクダナオブミ製造部長により飾られた三階松が、蔵の入口をつつましく守っている。夕刻がちかくなるころ、その蔵の中では正月に販売するための福袋が、長男、嫁、次男により整えられた。
18時、ことし最後の閉店を無事に迎え、帰宅する社員たちと挨拶を交わす。それから長男と外へ出て「新年は二日から営業」と書いた看板2枚を犬走りの柱に取り付ける。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、トマトのスクランブルドエッグ、切り昆布の炒り煮、白菜漬け、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
「グルマンズ和牛」のメンチカツ、胡瓜のピクルス、ベーコンと根菜のスープ
昼飯 うどん
晩飯 鴨鍋、盛り蕎麦その1、盛り蕎麦その2、「松瀬酒造」の「松の司2016BY特別純米」(冷や)
2017.12.30(土) 12月30日の仕事
2006年からずっと、年末には「ツインリンクもてぎ」で開かれる「阪納誠一メモリアル走行会」で古いクルマを走らせてきた。秋も深まるころ、今年の開催日は12月30日であることを事務局から知らされた。過去にも一度、この日に走行会が設定されたことがある。そのときには午前のみでサーキットを引き払い、取り急ぎ帰社して「日光の美味七選」の荷造りに当たった。
当時のことを思い出し、また現在の諸々の状況に鑑みて、今回の走行会には参加しないことを早々に決めた。
そういう次第にて、午前中は続々と届く「日光の美味」を各々の製造元から受け取り、その代金を支払う。この年末の忙しいときに、当方の求めに応じて優れた品物を提供し続けてくださるみな様には、厚く御礼を申し上げます。
昼食は早めに切り上げ、13時23分より「日光の美味七選」の荷造りを長男と始める。そしてその仕事は15時37分に完了した。
夜はジャガイモを肴に白ワインを飲み、22時前に就寝する。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、ベーコンとほうれん草のソテーを添えた目玉焼き、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 焼きそば
晩飯 カプレーゼ、シュトーレンと無花果のパン、ポトフ、蒸かしたジャガイモと”neu frank”のコンビーフ、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”
2017.12.29(金) 一気に
今朝から店は一気に歳末の雰囲気を帯びた。「歳末の雰囲気」をひとことで表せば「ざわざわとして、せわしない」ということになる。おとといの雪に外出をためらっていた人たちが、しかし「この年の瀬に、そうもしていられない」と、打ち揃って動き始めた感がある。
店内の混雑には波がある。今は閑でも、数分の後にはお客様の数が急に増え、幾人ものお客様から同時に注文が発せられたりする。よって冷蔵ショーケースの商品、試食、釣り銭などは常に、整えておくことが肝要だ。
12月29日はまた「どうしても年内に届けて欲しい」という地方発送の、最後のところが集中する日でもある。店舗と事務室を往復しつつご注文をうけたまわり、ときどきは製造現場に足を運んで、荷造りの進み具合を確かめたりする。そのようなことをするうち、たちまち午後の遅い時間になる。
ところで日記は、きのう28日の分まで書けているにもかかわらず、さきおととい26日の分が、いまだ公開できていない。それは、最上部に置く画像が選べていないからだ。日記の仕様を現在のものに換えた昨年9月から、しばしば起きることである。そして夕刻になってようやく、無理に画像をはめ込んで「公開」ボタンをクリックする。
朝飯 納豆、切り昆布の炒りつけ、白菜漬け、煮奴、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、揚げ湯波と蕪の葉の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 トマトとベビーリーフのサラダ、たまり漬「青森県田子町産のにんにくです」、同「鬼おろしにんにく」を添えたビーフステーキ、“Hautes Cotes de Nuits Vicomte Bernard de Romanet 1988”、いちごの杏仁豆腐、「小川軒」のレーズンウィッチ
2017.12.28(木) 掃除
何日も前から社員たちは、普段は手の届かないところの掃除を始めてくれていて有り難い。そのような年末の掃除事情の中で、神棚とお稲荷さんだけは例外的に、家の者が清める。
「一夜飾りはいけない」と、オフクロは口癖のように言っていた。「一夜飾り」とは、正月の飾り付けを大晦日に行うことを指す。一夜飾りを避けるには、特にお稲荷さんの掃除は今日が最後の機会である。
1982年に家に戻って以来、僕はお稲荷さんの掃除を担ってきた。初めの数年間の経験の中で、この仕事に布巾を用いるのは不合理と知った。以降は中のものすべてを取り出し、社の中も外もホースの水を勢いよくかけることにより埃を払うこととした。今はこの仕事は長男あるいは次男に任せている。朝は先ず、ホースの中の氷をお湯で溶かすことから始まる。
神棚の掃除も今や、長男の仕事となり、僕はとても楽だ。
閉店後のミーティングでは、主に大晦日の商品出荷、同日のお客様用トイレの掃除、初売りについての諸々を確認する。
今年の元日には道の駅「日光街道ニコニコ本陣」で一部の商品に売り切れを発生させた。来年の元日にはそれを避けるべく、売り場を何度か巡回することを決めている。「正月くらいゆっくりしたい」という気持ちは、むかしから自分には皆無だ。「ゆっくり」などは、いずれそのうちできるではないか。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、玉子焼き、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、塩鮭、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 素麺
晩飯 豆腐と玉子と万能葱の吸い物、手鞠鮨、白菜漬け、お多福豆、「片山酒造」の「柏盛原酒」(冷や)、「鶴屋安芸」の「利休饅頭」
2017.12.27(水) 降雪
「あー、これはふっかけじゃない、本格的な雪だ」と、食堂の窓から外を眺めつつ家内が言う。山に降る雪が風に乗って里まで運ばれてくる「ふっかけ」は、風向きが変われば直ぐに止む。しかし今朝の雪は地面を白く覆いつつあるから確かに「ふっかけ」ではない。
伸びた髪と髭が、数日前から気になっていた。3名の事務係すべてが出勤をするのは、年内は今日が最後だ。周囲の状況の整った8時30分に外へ出て会津西街道と日光街道を渡り、加藤床屋の扉を押す。
「余計なものが降ってきやがったな」と、僕の髪にハサミを入れながらオヤジさんがつぶやく。この雪により、ウチの今日の売上は激減するだろう。雪による商売への後遺症は、3日ほどは続く。明日からの好天により、早く雪の溶けることを望むばかりだ。
幸いなことに今日の雪は、夕刻まで断続的に続いたものの、その量はごく少なかった。しかし凍結を避けるため、朝に引き続いて夕刻にも、長男は店の駐車場に融雪剤を撒いた。
退出のタイムカードを押した製造係のタカクコータロー君に、帰りの足について訊く。クルマのタイヤはいまだ、雪用のそれには換えていないという。タカク君の自宅は、ウチから2キロたらずのところにある。よって今日は歩いて帰るするよう促す。
朝飯 生のトマト、納豆、ほうれん草のソテー、生玉子、肉味噌、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、蕪と揚げ湯波と貝割れ菜の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 ほうれん草と2種のチーズのサラダ、“brivory”のパン、「自由学園パン工場」のシュトーレン、トマトのニョッキを添えた牛カツ、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”、“GRANDS ECHEZEAUX Vicomte Bernard de Romanet 1985”
2017.12.26(火) アナログ頼り
来年の3月なかばに秋田県の田沢湖へ行く。ウェブ上で経路を調べると、JR今市駅から日光線で宇都宮、そこから東北新幹線で仙台、その仙台で秋田新幹線に乗り換え、田沢湖には僅々3時間14分で着いてしまう。それでは面白くない。
すべて在来線を使って行けないかと、もう一度、ウェブ上の乗り換え案内にあたる。しかし新幹線を用いる以外の経路は現れない。
同級生のハセガワヒデオ君が学生のとき、西海岸から東海岸までバスで行くことを着いたばかりのアメリカで周囲に告げると「気は確かか」と、大笑いされたという。あるいはタイで、外国人が長距離の移動に鈍行を使おうとすると、窓口の係員は「特急がある」、「急行がある」、「快速もある」と、希望する切符はなかなか手に入らないと聞く。
今日の「乗り換え案内」から、僕はそれらのことを思い出した。
ウェブ上に情報が無いならアナログに頼るまでだ。そう考えて”amazon”で時刻表を探す。必要なのは、全ページのうちのせいぜい数ページだ。よって既に出版されている「JR時刻表」のうち、最も安かった2017年9月号を、送料込み356円で買う。
朝飯 納豆、筑前煮、ほうれん草のソテー、焼きトマトを添えた目玉焼き、白菜漬け、肉味噌、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 朝のおかずを流用した弁当
晩飯 白菜のスープ、“brivory”の大麦パン、トマトと貝割れ菜のサラダ、“neu frank”のポークリエットとレバーペーストとコンビーフ、ジャガイモのグラタン、チーズ、煮リンゴ、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”
2017.12.25(月) 冬の雨
冬の暖かい夜の雨は心地よい。それが傘を差さなくても済むほどの弱いものなら最高だ。その雨の中を、どこまでも歩いて行きたい気分になる。
夜に降った雨が明け方に上がった後の風情も好きだ。アスファルトの道はしっとりと濡れて、青みを帯びた空気は湿り気を帯びている。そこに朝の光が斜めに差す。そのような景色を窓から眺めつつ、食事の支度をする。
朝食では、先ず味噌汁に口をつける。揚げ湯波と蕪の味噌汁は、美味さが止まらない。というか、味噌汁が美味すぎて、お椀の縁から口を離すことができない。しかしそのまま飲み続ければ、1杯分しかない味噌汁は、すぐに枯渇する。だから渋々とそのお椀を盆へと戻し、他の皿や小鉢に箸をのばす。
クリスマスの天気は大荒れと、きのうの朝の天気予報は伝えていた。しかし日光地方に荒天は訪れず、せいぜい夜に弱い雨が降ったのみだ。そうして7時20分に事務室へ降り、出勤してくる社員のためにシャッターを上げる。
朝飯 ほうれん草のおひたし、納豆、筑前煮、紅白なます、たまり漬「栃木県壬生町産の生姜です。」、メシ、揚げ湯波と蕪の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のチャーハン
晩飯 筑前煮、紅白なます、白菜と肉団子の鍋、「田苑酒造」の麦焼酎「ワイン酵母使用OTOYOI」(お湯割り)、ケーキとイチゴのホイップクリームがけ
2017.12.24(日) 特損保険
いまだそのノレンをくぐったことはないけれど、いずれは訪ねてみたいと考えている飲み屋のあるじが「この忘年会シーズンに、立て続けに2件もキャンセルを食らった」と、怒りを含んだ日記をウェブ上に書いていた。その予約のために断った客も少なくなかったという。
僕が1990年代のはじめから学び続けているのがマネジメントゲームだ。参加者各自が社長になり、2日間で盤上に5期分の経営をする。このゲームに「得意先倒産で特別損失30円」というリスクカードがある。
マネジメントゲームは倫理にもとらない限り、ルール表で禁じられていること以外は何でもできる。あるとき「私に5円の保険金を支払ってくれれば、あなたが特別損失のカードを引いたとき、その30円を補填します」という副業を、ナガシマモトイさんが思いついた。
6人の客を集められれば30円。その6人のうちのひとりに特別損失が発生すれば保険業としての儲けはゼロ。2人が「得意先倒産」を引けば30円の赤字になる。ナガシマさんがこの保険業を、次の機会にも試したかどうかは知らない。リスクカードを引く確率からすれば、5円の保険金は安すぎるように、僕には感じられた。
ところで最近、予約のキャンセルにより飲食店が被った損失を補填する保険ができたという話題をウェブ上で目にした。軽く読み流したため、その仕組みについては不明である。
朝飯 紅白なます、納豆、白菜漬け、スクランブルドエッグ、たまり漬「栃木県壬生町産の生姜です。」、塩鮭、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 菜の花漬け、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、塩鮭、肉味噌によるお茶漬け
晩飯 タルトフランベ、「進々堂」のシュトーレン、「自由学園パン工場」のシュトーレン、“neu frank”のレバーペーストとポークリエット、ポテトフライ、鶏とマカロニのグラタン、ローストポークと芥子菜、バームクーヘンと林檎ジャムとアイスクリームの盛り合わせ、“GRANDS ECHEZEAUX Vicomte Bernard de Romanet 1985”
2017.12.23(土) 冬の旅
「旅に出てぇな」と考える。冬こそ、雪に閉ざされた北へ足を延ばしたい。移動の手段はもちろん鉄道。頬を激しく打つ吹雪に恵まれれば有り難い。寂れた街を歩き、黄色い灯りの点る食堂の、立て付けの怪しくなった引き戸を開ける。そしてビニール張りのパイプ椅子に腰を落ち着けて、デコラのテーブルで燗酒が飲みたい。
そういう欲求に取り憑かれて「駅前食堂」と検索エンジンに打ち込んだら、日光市内の食堂がいくつも出てきた。
「街角の煙草屋までの旅」とは吉行淳之介の随筆集の表題だ。「角の煙草屋までの旅」となると、これは須田一政による写真集の表題である。しかし僕は日常から遠く離れ、北国へ行きたい。
そういう次第にて、廊下に作り付けた2013年製の本棚ではなく、階段室の古い本棚を漁る。そして見覚えのある背表紙に指をかけ、その「駅前食堂」を引き出して、しばし眺める。
来年の3月に、2日ほどを秋田で過ごす。いくら北国とはいえ、春の兆しの現れるころだ。吹雪が欠けては物足りないものの、途中、あるいは帰りにすこし寄り道をして燗酒を飲んでみようか、というようなことを考える。
朝飯 納豆、塩鮭、「なめこのたまりだき」のフワトロ玉子、ほうれん草のソテー、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、豆腐と芽キャベツの味噌汁
昼飯 トースト、コーヒー
晩飯 「コスモス」のトマトとモツァレラチーズのサラダ、マカロニグラタン、ドライマーティニ、”TIO PEPE”
2017.12.22(金) 冬至
「年末年始の営業について」という表題のメールマガジンをきのう作成した。「作成した」とはいえ、年に何度か使う雛形の一部を少し書き換え、エディタに保存しただけのことである。
他所のウェブショップから届くメールマガジンに、僕ごのみのものがある。それには時候の挨拶など余計なこと、と言っては何だけれど、その手のものは無く、要点のみが記してある。文章が短いだけあって、僕のような無精者にも読むことができる。今回のウチのメールマガジンは、それにちかい。
そしてその、以下の内容を持つメールマガジンを、午前10時に配信する。
・年末年始は元旦のみ、お休みをいただきます。
・ウェブショップでは、大晦日の午前10:00までのご注文は、原則として当日に出荷します。
・大晦日の午前10:00すぎのご注文は、原則として新年1月2日に出荷します。
・年の瀬から新年にかけての贈答用や自家用は、いまだ受注が可能です。
ところで今日は、きのうまで意識をしていたものの、今朝になるとすっかり忘れてしまった冬至である。朝の空の写真は撮れなかった。それならせめて夕陽だけでもと、日が西に傾くころに4階へ上がってみれば、太陽はとうに、山の向こうに沈んでいた。
朝飯 納豆、トマトのソテーを添えた目玉焼き、ほうれん草のソテー、白菜漬け、菜の花漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうの豚と白菜の鍋の残りを具にした味噌汁
昼飯 「ふじや」の野菜麺
晩飯 春雨サラダ、皮蛋、蕪のぬか漬け、大根の柚漬け、ベトナムのおこわ、南瓜の煮物、八宝菜、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)