2016.12.11(日) 走れメロス
年末ギフトの繁忙は、秋の観光シーズンが一段落する前に始まる。紅葉狩りの行楽客が日光から去ると、外から見た限りでは店は静かだけれど、製造係は引き続き、そして事務係、また製造係の一部が兼務する荷造り係は一気に忙しくなる。
きのうの店の成績は良かった。店内のお客様の数は少なくても、年末の贈り物をお申し込みになる方が多くいらっしゃってくださったからだ。有り難いことである。
今月2日の金曜日に宅急便の荷札が枯渇し、至急ヤマトに注文をしたものの、そうすぐに届くものではない。「明日は荷札が皆無になる」と事務係のカワタユキさんから知らされたのは4日の閉店後だった。僕は仰天し、即、ヤマトの日光営業所へ駆け込んだ。しかしウチの専用伝票を作る鹿沼営業所の総務部は日曜日で休み。連絡はつかなかった。
翌月曜日の朝、ふたたびヤマトの営業所へ状況を訊きに行こうとしているところに千数百枚の荷札が届いた。それを持ってきてくれたヤマトのドライバーが僕にはメロスに見えた。しかしこの千数百枚は当座の分に過ぎない。夕刻、集荷に来たドライバーには、更にその倍の荷札を発注した。
大晦日まで3週間。そこからなお10日間ほどは緊張を維持していかなくてはならない。長距離走者の最後のところ、である。
朝飯 昆布の沖縄風炒め、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、ハムエッグ、納豆、じゃこ、メシ、浅蜊と万能葱の味噌汁
昼飯 朝飯のおかずを流用した弁当
晩飯 2種のきのことトマトのスパゲティ、2種の赤ワイン
2016.12.10(土) 意地と愛着の関係
「それにしても暖かいですねー」という時候の挨拶を先日、包装資材の在庫を調べに来たホリーマサユキさんから受けた。確かに、いまだ厳冬にはほど遠い現在の気温である。
先週の日曜日までは、長袖のヒートテックのシャツに長袖の木綿のTシャツを重ね着し、その2着で過ごしていた。その翌日つまり今週の月曜日からは、その木綿のTシャツを長袖のフリースのセーターに換え、この2着で過ごしている。朝方、背中に寒さを覚えることもあるけれど、3着目を重ねるには至っていない。
外へ出るときには、屋内用の2着の上にジャンパーを着る。旧市街の中心に建つスーパーマーケット「かましん」がいまだ「長崎屋」だった時代に、2階の服売り場で2,000円で買った中国製である。そのころの日本には、いまだ消費税は無かった。
家内によれば僕はこのジャンパーを、長男のお宮参りのとき既に身につけていたという。とすれば30年以上も着続けている計算になって、まるで狐につままれたような気分である。
おととしこのジャンパーの、左の肩の縫い目がほつれて中の綿が見えるようになった。よって「イオン今市店」の1階奥にあるリフォーム屋「マジックミシン」で修繕をしてもらった。ところがこのところは更に裏地の4個所が擦り切れ、そこからも白い綿が顔を出している。
この冬が過ぎたらクリーニングの上、またまた修繕を頼もうか、あるいは潔く捨ててしまおうかと、今は思案の最中である。”UNIQLO”で新品のダウンパーカを買う方がよほど安上がりとは知っているけれど、このジャンパーに関しては何となく、意地になっているところがあるのだ。あるいはそれは意地ではなく、愛着とでも呼ぶべきものかも知れない。
朝飯 納豆、昆布の沖縄風炒め、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、白菜漬け、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、トマトと揚げ湯波と万能葱の味噌汁
昼飯 カレーライス、らっきょうのたまり漬
晩飯 生のトマト、牡蠣のだし煮、大根のぬか漬け、白菜漬け、「鳥よし」の焼き鳥あれこれ、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.12.9(金) 選択と集中
今月6日に恵比寿の”Vector H”でしたことは、自社ドメインによるウェブショップの、9月1日までの買い物カゴで用いていた決済代行会社”GMO Payment”との関係を休止すること、また”amazon”への出品を止める準備だった。”amazon”への出品を止めるのは、9月2日より自社ショップにアマゾンペイメントを装備したからだ。
「今後、更に成長を続ける”amazon”への出品を止めるとは勿体ない」という意見もありそうだ。「販売チャンネルは多く持つべし」という考えは確かにある。一方「選択と集中」の方向もある。今回は後者を採ることとした。
そして本日朝7時53分、”amazon”に関する作業が完了した旨のメールを”Vector H”のヒラダテマサヤさんから受け取る。
これまでウチの品物を”amazon”で買ってくださっていたお客様には以降、ウチのウェブショップで買い物をしていただき、アマゾンペイメントで決済をしていただければ幸いである。
朝飯 トマトのソテーを添えたベーコンエッグ、じゃこ、白菜漬け、大根と蕪のぬか漬け、メシ、白菜の味噌汁
昼飯 朝飯のおかずを流用した弁当
晩飯 ヤムウンセンプラームック、蟹玉、豚ホルモンとニラともやしの炒め、麦焼酎「博多小女郎」(お湯割り)、パイナップルのチェリーブランデーかけ
2016.12.8(木) トンカツ祭
昼に「大貫屋」の暖簾をくぐり、戸を引いて3客あるうちの真ん中のテーブルに着く。普段であれば店に入る前から、否、会社を出る前から頼むものは決まっている。しかし今日ばかりはなぜか、何を食べたいかが分からない。
醤油、ソース、胡椒の瓶と箸置きの間に立ててあるメニュを手元に引き寄せ、ざっと眺める。そして「カツ丼」と注文しかかって「いや、今日、そんなものを食べたら嗤われる」と、いまいちどメニュを睨んで「すいません、タンメン、ください」と調理場に声をかける。
なぜ嗤われるか。「きのうの晩にトンカツを食べておいて、次の昼にカツ丼を食べる馬鹿がどこにいる」と考えたからだ。誰に嗤われるか。もちろん、このウェブログを読んでいる人に、だ。
初売りの1月2日、あるいはその翌日の昼に、店まで出前をしてくれるかどうかを確かめるため、夜、洋食の「コスモス」へ出かける。
先ずはドライマーティニを頼む。「この店はじまって以来、一番高いトマトを今日は仕入れました」と、カプレーゼを肴にすることの多い僕にオヤジさんが笑顔を向ける。「だったらそれ、お願いします」と答えておいてメニュに目を落とし「誰に嗤われたってかまわねぇ」と、今度こそカツレツを注文する。きのう今日は体がトンカツを求めているのだ、多分。
朝飯 納豆、昆布の沖縄風炒め、白菜漬け、生のトマトを添えたベーコンエッグ、ほうれん草のソテー、メシ、豆腐と万能葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 「コスモス」のトマトとモツァレラチーズのサラダ、カツレツ、ドライマーティニ、”TIO PEPE”
2016.12.7(水) 物欲
服の業界は季節を何ヶ月も先取りして動くというけれど、ことコートやジャケットに関しては冬に入ってもなお、ファッション誌は賑やかだ。そんなことを、この11月から感じていた。きのう末広町から地下鉄銀座線に乗ると、その中吊りにはいまだ、コートを特集する雑誌の広告があった。
新しいコートを欲しがる気持ちが自分にはまったく無くて助かっている。なぜコートに興味がないかといえば、買っても着ないと分かっているからだ。僕はほとんど、コートは”SIERRA DESIGNS”のマウンテンパーカしか着ない。「まだそんな季節じゃねぇだろ」とか「もうそんな季節じゃねぇだろ」と感じるときのみ”DANTON”のトップコートを着る。
冬になっても”SIERRA DESIGNS”のマウンテンパーカが見つからない年があって、そのときにはスウェーデン陸軍のタンカージャケットを着た。昨年はほとんど四半世紀ぶりに”HOFER”のチロリアンジャケットを着た。”Harris”のツイードによるジャケットもあれば、”MESCALITO”のダウンパーカもある。これだけあれば、コートは要らない。物欲を刺激されないとは、本当に楽である。
朝飯 五目春雨、昆布の沖縄風炒め、トマトのスクランブルドエッグ、納豆、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、胡瓜のぬか漬け、白菜漬け、メシ、揚げ湯波と小松菜の味噌汁
昼飯 鍋焼きうどん
晩飯 千切りキャベツとポテトサラダを添えた豚カツ、“VINA MAIPO Cabernet Sauvignon/Merlot 2015”、パイナップルのチェリーブランデーがけ
2016.12.6(火) 三者択一
ウェブショップは9月2日の改装にともない、買い物カゴも一新した。「買い物カゴの一新」とは、スーパーマーケットでよく見かける黄色いプラスティックのカゴをステンレス製に変える、というような簡単なことではない。ウェブショップの心臓部の入れ替えを意味する。
9月1日まで用いていた決済会社からの振込は、10月末を以て途切れた。それを確認したのは今月1日のことだ。そしてきのうはその決済会社に連絡をし、今後の、月々の費用の発生を無くす方法を確かめた。
その結果を持って、今朝は恵比寿の”Vector H”を訪ねる。そして最後の手続きを外注SEのヒラダテマサヤさんにしてもらう。一方、2012年から出品を始めたamazonからの撤退手続きについてamazonに確認をする。これは、新しいウェブショップにアマゾンペイメントを装備したことによる。これまでウチの品物をamazonで買ってくださっていたお客様には以降、ウチのウェブショップで買い物をしていただき、アマゾンペイメントで決済をしていただければ幸いである。
仕事を終えてのちは、改装のため長く休館をしていた、目と鼻の先の「東京都写真美術館」の扉を押す。「東京・TOKYO」と題された、リニューアルオープンして最初の展覧会は、既にして名を成した写真家と新進写真家との作品を集めたものだった。気に入ったのは中藤毅彦と元田敬三。
池袋に移動をし、62mmのプロテクトフィルターを「ビックカメラ」で買う。午前中の暖かさが、街から急速に失われていく。昼から吹き始めた風はますます強い。
次男と秋葉原で待ち合わせたのは、今夜の食事場所として挙げた湯島天神下のシンスケ、池袋ビックカメラ裏の男体山、秋葉原のかんだ食堂のうち、次男の選んだのが3番目の「かんだ食堂」だったからだ。
甘木庵まで歩いて帰る次男とは末広町で別れた。そして浅草駅20:00発の下り特急スペーシアに乗る。
朝飯 5種のおむすび、焼き海苔、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 「神戸屋キッチン」の阿波尾鶏クリームシチューセット
晩飯 「かんだ食堂」のお通しのひじきと薩摩揚げの甘辛煮、トマトサラダ、ハムエッグ、きくらげ玉子炒め、秋刀魚の干物、「光酒造」の麦焼酎「博多小女郎」(ソーダ割り)
2016.12.5(月) 朝の景色
早朝、前夜に降ろされた遮光カーテンには触らないまま、食堂のテーブルであれやこれやする。道路の水を切って走るクルマの音が聞こえてくる。「雨か」と、普段であればとうに外光を入れる時間になってもカーテンはそのままにしている。
いよいよ味噌汁を作る時間になって、ようよう、天井から下がったプラスティック製の鎖をたぐり降ろし、カーテンを巻き上げる。すると外には予期せず、紺色から青に薄れつつある空と朝日があった。夜に降った雨が明け方に上がっていきなり晴れるとは、僕のもっとも好きな朝の景色だ。
普段、店は定時の5分前に開ける。それを今朝は、その30分以上も前から扉を開け放ってしまう。
「朝は、何もかもが澄んでいる」と思いかけて「いや、朝に限るものでもないわな」と、その感懐を覆す。手入れの行き届いた鮨屋や酒場では、開店直後に限るけれど、夕刻であってもその空気は澄んでいる。冬の雨の夜の空気も、また澄んでいるのだ。
濡れたアスファルトと晴れた空、そして店の、朝日を受けて光る白壁をもういちど眺めてから事務室に戻る。
朝飯 なめこのたまり炊きのフワトロ玉子、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、昆布の沖縄風炒め、胡瓜と大根のぬか漬け、牛蒡と人参のきんぴら、納豆、メシ、シジミと三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蕪とレタスのサラダ、チーズと目玉焼きのスパゲティ魚醤風味、鶏肉の柚ソテー、2種のチーズ、“Chablis Billaud Simon 2014”
2016.12.4(日) 濃い紅色の睡蓮
僕に決まった休日は無い。会社は、ほぼ年中無休である。社員が出社をすれば報告、連絡、依頼。店が開けば来客と電話が相次ぎ、時にはそれぞれ別の用件を持つ3人を相手に話をしなければならない。それだけに、朝の2時台、3時台に起きて6時までの、ひとりの時間は貴重だ。
昨年の2月は外務省の渡航禁止勧告を無視してタイ深南部ナラティワートで数日を過ごした。来年も、年が明け、1月の繁忙が過ぎたらどこかへ行きたい。
生来、薄着が好きだ。名所旧跡に興味は無い。行った先ですることは飲酒喫飯、散歩、本読み、水泳くらいのものである。物価は安い方が有り難い。自分以外の旅行者にはできるだけ遭遇したくない。これらの条件を満たすところといえば、先ずは東南アジアの田舎だ。東南アジアではベトナムもカンボジアもミャンマーも経験はしているけれど、なぜタイばかりに惹かれるのか、その理由が自分でも分からない。
食堂のテーブルに資料を並べ、あれやこれや考える。出かける前の「あれやこれや考える」が、僕の場合には旅の楽しみのかなりの部分を占める。
羽田空港00:20発のタイ航空機に乗れば6時間後、つまりタイ時間の4時台にはスワンナプーム空港に着く。朝の入国審査場は混み合っていない。5時台にタクシーに乗り、6時台にファランポーン駅に着く。そのころ櫛形のプラットフォームには、各地方への”Rapid”が次々と入線をしてくる筈だ。
10時間ほども列車に揺られれば、かなりの田舎まで達することができる。そのくらいの移動時間なら3等車で充分だ。というか3等車がいちばん、その国の空気を感じられるのだ。車窓から眺める青い空、白い雲、赤い土。灌木、水牛、そして濃い紅色の睡蓮。空想は膨らむばかりである。
朝飯 ひじきと人参と揚げ湯波の甘辛煮、牛蒡と人参のきんぴら、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、しもつかり、ほうれん草のソテー、納豆、メシ、白菜とトマトの味噌汁
昼飯 弁当
晩飯 3種のキムチ、3種のナムル、春雨炒め、牛肉と浅蜊のスープ、豚ホルモンとニラともやしの炒め、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.12.3(土) 週末
暖かい12月である。僕は盛夏から次の盛夏までに以下8回の衣替えをして元に戻る。師走といえばもはや初冬とはいえない。しかし僕の上半身はいまだ盛夏から数えて3番目の、長袖ヒートテック+長袖Tシャツの2枚のみだ。
半袖ポロシャツ
半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
長袖ヒートテック+長袖Tシャツ
長袖ヒートテック+長袖フリース
長袖ヒートテック+長袖フリース+ダウンベスト
長袖ヒートテック+長袖フリース
長袖ヒートテック+長袖Tシャツ
半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
半袖ポロシャツ
午前、その2枚のみで屋内から駐車場に出て、お客様のクルマの駐まり具合などを確かめる。この週末は、今月の週末のなかでは最も忙しくなるだろう。そして今度は事務室ではなく、混み合いつつある店舗に入る。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、ひじきと人参と揚げ湯波の甘辛煮、しその実のたまり漬、しもつかり、トマトのスクランブルドエッグ、納豆、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のオムライス
晩飯 3種のナムル、白菜キムチ、蕪と胡瓜のぬか漬け、蒸し焼売、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.12.2(金) 座標
今年8月のことだっただろうか、何の気なしに屋上へ上がり、これまた何の気なしにエレベータの機械室の裏側に回ろうとして、コンクリートのスラブと、その上に敷いた防水幕とのあいだに雨水が溜まって膨らんでいるのを見つけた。数日をおいてふたたび屋上へ行くとその、皮膚の下に漿液の溜まったような膨らみは、更に面積と厚みを増やしていた。見過ごすわけにはいかない。
防水工事を行う業者が決まるころ、季節は秋に変わっていた。工事が始まったのは10月の上旬。手渡された工程表に示されていた竣工は11月30日。途中、思わぬ降雪に見舞われ数日の遅れが出たけれど、今朝から遂に、その足場が外され始める。
ところでウチの屋上には、国土地理院だかどこかから頼まれ設置を許した、真鍮製の座標が埋め込まれている。その座標は今回の工事で防水幕に覆われ、見えなくなった。いつか関係者が来て、これを露出するよう言われることがあるだろうか。そのときには、その費用は先方持ちにしてもらおうと思う。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、しその実のたまり漬、鰯の丸干しの網焼き、昆布の沖縄風炒め、胡瓜と蕪のぬか漬け、メシ、昆布と揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Parrot”のグリーンサラダ、チキンカントリー、“evodia 2015”