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清閑 PERSONAL DIARY

2017.8.18 (金) 逃げた仔羊

下今市10:35発の上り特急スペーシアに長男と乗る。表参道の駅から階段を上がって地上に出ると、欅の並木には蝉の声がかまびすしかった。東京の夏の終わっていないことを、その蝉の声で知る。

約束の時間は14時だったけれど、それまではいまだ55分もある。打合せをしつつ時間を調整することとして、行きつけの喫茶店に入る。今日はお客が多く、普段は行かない店の奥まで進む。すると、なにやら空気が濁っている。席に着いてふと横を見ると、扉には何も書いていないものの、そこはどうやら喫煙室らしく、人が頻繁に出入りをしていた。煙草を吸わない者にとっての「分煙」は、大した意味を持たない。

南青山のデザイン事務所にて、9月に改版するパンフレットの、最終のすり合わせをする。それを済ませて後は、新商品の撮影に入る。撮るべき品数は多くないものの、精密な仕事ぶりにより、すべてが完了すると、空は夕刻と夜のあいだくらいの暗さになっていた。

東京に泊まる長男とは表参道で別れ、千代田線にて一気に北千住まで移動する。

行きつけの飲み屋の今夜の席は、カウンター右端のいわゆる「上(かみ)1番」だった。僕の左手は50代とおぼしき喫煙者。そのまた左は、若いころはかなり威勢の良かったことを覗わせる老人。その喫煙者がタバコ2本を立て続けに吸ったところで老人は溜まらず同じカウンターの「下(しも)3番」に逃げた。シャツの袖から刺青が覗いていても、その姿はまるで、可哀想な仔羊である。

日本全国の飲食店は、早いところ全面禁煙にしてくれないか。喫煙者の肺から吐き出された煙を吸い込みつつモノを食べるなどは、とてもではないけれど、まともなことではないのだ。


朝飯 茄子とピーマンのソテー、生のトマト、豆腐の卵とじ、ひじきと人参と揚げ湯波の甘辛煮、納豆、メシ、豆腐と万能葱の味噌汁
昼飯 「小諸そば」のたぬきそば
晩飯 「加賀屋北千住店」のあれこれ、チューハイ

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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