トップへ戻る

MENU

お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

2025.2.11 (火) 繁と華

日光市今市には節分の季節に「花市」という市が立つ。むかしは日光街道の、西は瀧尾神社から東は追分地蔵尊までの800メートルに露天商が店を連ねた。ウチの前には毎年、瀬戸物のたたき売りが出て、その威勢の良いかけ声に、夜は眠れないほどだった。

日光街道に交通規制が敷きづらくなってからは、南へ2本目の通りに場所が移された。僕は小学生だったから、1960年代なかばのことだ。芝崎新道の、現在は郵便局のある場所は田んぼで、ここには毎年、よしず張りの食堂が作られた。ある年はそこから東へ数十メートルほどのところに机ひとつのルーレット賭博屋が出て、僕は30円を巻き上げられた。

上澤梅太郎商店の、現在は原材料の搬入口になっている近くにはガマの油売りが人を集めた。タンカバイのオヤジの、刀で切ったばかりの二の腕の傷は、その軟膏を塗ると跡形もなく消えた。見物人の中から「適当に指名」された学生は利き腕を訊かれ、その手で瓦割りをさせられて、痛みに悲鳴を上げた。しかしもう一方の手に軟膏を塗られると、今度は見事、先ほどの瓦を真っ二つにした。僕はすぐにでもその軟膏を手に入れたかったものの、小遣いが足らず、諦めざるを得なかった。

「繁華街の繁は人の多さ、華はいかがわしさ」と言った人がいる。2013年のカトマンドゥには「繁」があった。2018年のハノイにも「繁」があった。長く人口減の続く日本は「繁」に縁遠くなり、「華」もまた、いつの間にか醸成された社会通念により認められづらくなった。堅いことばかり、四角四面なことばかりを言っていては、世は面白くなくなるばかりと思うが、どうだろう。


朝飯 しもつかり、焼売、蕪と胡瓜のぬか漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と人参とトマトと長葱と油揚げとハムの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 里芋の淡味炊き、切り昆布の炒り煮、干し柿と春菊の白和え、しもつかり、紅白なます、蕪と胡瓜のぬか漬け、「松瀬酒造」の「松の司特別純米」(燗)


美味しいおうちごはんのウェブログ集はこちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

2025

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000