2025.2.3 (月) まるで踊るようにして
活字中毒にも関わらず、どうにも読めないものはある。先ずはビジネス書。僕にとって本を読むとは遊びである。ビジネス書を読むという行為は仕事に他ならないからできない。
地中海地方を舞台にした小説も、なぜか読めない。ロバート・ゴダードの「蒼穹のかなたへ」は文庫の上下を買って、しかし上巻の数ページから先へは進めなかった。ジョン・ル・カレの「リトル・ドラマー・ガール」は分厚いハードカバーを買って、読めたのは数ページ。ちなみに池田満寿夫の「エーゲ海に捧ぐ」も挫折。どうも地中海地方とは相性が悪い。
もうひとつは幻想小説。稲垣足穂はただの1ページも読めない。しかし内田百閒のその手のもの、たとえば「サラサーテの盤」などは読める。と、ここからは記憶違いかも知れないけれど、僕の頭の中にある情景について書いてみる。
……
サラサーテのレコードをかけながら、ふと長いあいだフタをしたままの古い酒瓶に目が留まった。よく見ると中に蜘蛛がいる。「まさか」と思いつつフタを開けると、その蜘蛛はチゴイネルワイゼンに誘われたかのように、まるで踊るようにして瓶の外に出てきた。
……
さてこの不思議な光景は、百鬼園の「サラサーテの盤」に出てきたものだろうか、それともその小説を原案とした鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」の一場面だったのだろうか。あるいはそれらとはまったく関係のないどこかで僕の脳に擦り込まれた映像なのかも知れない。
夕食後、甘いものを肴にウイスキーを飲もうとしたらそれが枯渇していたため、次の1本を取りに行くべく席を立った。そのときにふと思い出したことが上記である。
朝飯 なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、人参とピーマンと玉葱とウインナーソーセージと溶き卵の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 “THE FLYING-GARDEN”のマッシュルームサラダ、コンビ「笑顔の名人」、カラフの赤ワイン、家に帰ってからの「クドウ」の「フロレンツァーミレー」、Old Parr(生)