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お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

2024.11.12 (火) 一択

本日1回目の配達や開店準備、店番など、朝の一連の仕事を終えて4階の食堂でひと休みをしている最中に館内電話が鳴る。僕を呼ぶようおっしゃるお客様がいらっしゃっているという。

旧知のお客様は店内のベンチに腰かけ、お茶を飲んでいらっしゃった。現役時代は介護タクシーを自ら運行する経営者。現在は悠々自適のご隠居さんである。お客様の第一声は「タイ、行ってる?」だった。

このお客様の趣味は旅行で、普段は国内を、昔取った杵柄でクルマでお回りになる。海外はタイ一択。そこに僕との共通点がある。共通するところは他にもある。いわゆる「観光」は、なさらないのだ。

お客様はこのところ、タイではスワンナプーム空港に着くとエカマイまで鉄道を乗り継ぎ、ここのバスターミナルからミニバンでアユタヤへ移動をする。アユタヤは14世紀の遺跡群が世界遺産にも登録されている観光地ではあるものの、お客様は知り合いが経営する安いホテルに滞在し、昼は本読み、気が向けばマッサージ、夜は外で買ってきたおかずを肴に部屋でテレを見ながらビールを飲む、そうしてただただ気楽にしているのだという。

「今、タイ航空は安いよ」と、お客様は僕に笑いかけた。確かに、いまだコロナの余韻の残っていた昨年4月のハジャイ行きでは、航空券はコロナ前の3倍ほどもしていた。それが今年に入って随分と落ち着いてきた印象は、僕も持っていた。

「私は、次は来年の2月に行きます」と、お客様はおっしゃった。「えっ、僕も2月です」と、僕は反射的にお答えをした。ただし行き先は、お客様とは異なる。

チェンライは、王様のひとりがその研究者だったラオスとの国境も近ければ、岩波文庫の吉川一義訳「失われた時を求めて」全14巻を持参するのも悪くないかも知れない。そのような酔狂をする人がどこかにいないものだろうか。僕にはとてもできないことではあるけれど。


朝飯 ベーコンのソテーとスクランブルドエッグ、蓮根のきんぴら、牛蒡と人参のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 鮨其の一鮨其の二鮨其の三、玉子とじの吸い物、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、夏太郎らっきょう、「鳳凰美田」(燗)、パウンドケーキ、Old Parr(生)


美味しいおうちごはんのウェブログ集はこちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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