2024.11.11 (月) 精進
先週金曜日の日記に画像のある「古本屋台2」の112ページ、常連客のセリフに「失われた時を求めて」があるものの、それについての解説は、巻末には無い。声を上げて笑ったのは140ページ。林望の「源氏物語の楽しみかた」を手にしたロバート・キャンベルが焼酎「白波」のお湯割りの2杯目を所望して、屋台のオヤジに断られる場面。屋台で売るものがラーメンでもおでんでもなく古本、というあたりに、久住昌之の面目躍如がある。
開高健によれば、大阪にはむかし、カクテルを売る屋台があったという。オヤジの決まり文句は「郵船で鍛えた腕」だったものの、長くは続かなかったらしい。
木曜日には鮨を食べる。ところが冬の僕の指はアカギレだらけ、バンドエイドだらけで、鮨を摘むには適さない。よって夜は入浴をしながらそれらすべてを剥がし、爪に残った粘着性の成分も、綺麗に落とした。そして寝る前には手にメンソレータムを擦り込み、木綿の手袋をした。
「今日はこれに集中しようと思って、朝からタバコも吸わずにがまんしているんだ。昨夜は昨夜で一滴もウィスキーを飲まなかった。毎晩、分量はべつとして、飲まないってことはないんだがね」と口を開いた開高健らしい男に「たいそうな御精進ですな」と、こちらは佐治敬三らしい男のからかってみせる会話が「ロマネ・コンティ・1935年」に出てくる。
手にメンソレータムを擦り込んで、更に手袋をして寝るという行いも、僕にとっては「御精進」のようなものだ。精進をしなければ鮨を食べることもできない。冬とはまことに厄介な季節である。
朝飯 納豆、生玉子、鶏肉そぼろ、焼き海苔、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「コスモス」のカプレーゼ、カツレツ、ホットバタードラム、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからのシュークリーム、Old Parr(生)