2017.7.10 (月) 朝のおかずは晩の肴
「一体、朝の食膳にのぼせて、あったかいご飯でたべておいしいものは、同時に、酒のさかなにしてもいいものが多い」とは、池田弥三郎が昭和39年4月25日の東京新聞に書いた随筆で、この連載は後に「私の食物誌」として本にまとめられている。あるいは「酒の肴は朝御飯のお菜(おかず)と同じというのは池田弥三郎さんの名言である」と、こちらは山口瞳が「酒呑みの自己弁護」に書いている。
僕は自宅にいる限り、和食による朝食が欠かせない。そして夜は酒を飲む。だから上記の池田弥三郎や山口瞳のことは、この四半世紀ほどのあいだに隨分とあちらこちらで話題にしてきた。それがある人の耳に留まり、そこから別の人に伝わり、遂には、その「朝のおかずは晩の肴」という話を僕の朝食とからめて酒造会社のウェブページに載せようということになった。
「服装は何でも構わない」とのことだったけれど、相手は初見の人にて、白い麻の、襟付きの長袖シャツを着て、指定された南青山の一角へと赴く。そうして最初は酒抜きで、しばらくしてからは麦焼酎の、僕はソーダ割りを飲みつつライターやデザイナーたちと会話を交わす。
取材は3時間ほどで完了した。僕の話はほとんど「与太」のたぐいである。「記事になりますか」と訊くと「はい、なります」と、ライターは力強く答えた。
既にして結構な量を飲んでいたけれど、仕上げはひとりですべく、表参道から乗った銀座線を新橋で降りる。
朝飯 「みょうがのたまり漬」の玉子かけごはん、胡瓜のぬか漬け、生のトマト、メシ、豆腐と鶏肉と三つ葉の味噌汁
昼飯 「ふじや」の冷やし味噌ラーメン
晩飯 「三政」のあれや、これや、紅茶ハイ、麦焼酎「のんじょくれ」