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清閑 PERSONAL DIARY

2024.10.1 (火) タイ日記(6日目)

天気は小雨。本館と食堂をのあいだのプールサイドには、色とりどりの傘が用意してあった。9時を前にして、ふたたび雷鳴が聞こえ始める。今日の天気は、地元の予報によれば以下の通り。

……
それほど暑くはなく、曇り。朝に時どき雨と雷雨、午後も時どき雷雨。最高気温は28℃。夜は曇り。夕方に時どき雨と雷雨。夜遅くには所々で雷雨。最低気温は23℃
……

9時30分よりプールサイドに降りる。このホテルの寝椅子のいくつかはパラソルではなく半透明の樹脂製の屋根の下にあるから、雨でもそれほどは困らない。ところが実際には、足の先には雨が当たる、空は活字が終えないほどに暗い、それに加えて落雷も心配なことにより、9時47分に部屋へ戻る。部屋はその17分のあいだに綺麗になっていた。枕銭は、おろそかにすべきではないのだ。

雷雨はますます激しくなる。出るも入るもできない豪雨である。フロントのオネーサンに確かめたわけではないけれど、ホテルのレストランは朝食のみが対象ではなかったか。おとといの日記に書いたように僕は間食をしないから、チョコレートも煎餅も持参してはいない。「なるようにしかならねぇ」と居直って、きのうの日記を書くことに専念をする。

3階の僕の部屋に限ったことかも知れないけれど、それにしてもwifiが遅い。それどころか頻繁に途切れる。だから単語をいくつか書くごとにコントロールキーとSキーを押して文字を固定させる。画像のアップロードにも時間がかかるから、電波が渋いときには机を離れ、寝台に寝転がって、すべてが転送されるまで待つ

突然、外で鳥が啼き始める。鳥は多く、夜明けと雨の止んだときに鳴く。窓辺に近寄るとやはり、雨は上がっていた。時刻は14時25分だった。さて昼食はどうしたものか。いま食べては夕刻の酒が不味くなるのではないか。しかし食べずにいて雨雲が戻ってくれば、昼も夜も食べられなくなる。

思い切って外へ出る。おとといマッサージ屋”PAI”のオバサンが「あそこは美味しい」と指を差して教えてくれたクイティオ屋までは、たかだか100メートルほどの距離だ。小栗康平の「泥の河」で田村高廣と藤田弓子が営んでいた食堂のような粗末な、といっては失礼だが、その店の汁麺のスープは、いかにもタイ人が好みそうな甘さだった。

16時をまわったところでふたたび外へ出て”PAI”の扉を押す。そして足をマッサージしてもらいつつ「百代の過客」の上編を開く。マッサージは健康のためではない。慰み、である。頼んだ1時間の後半は、うたた寝をする。オバサンには50バーツのチップ。

目抜き通りにはいまだ入ったことのない店がたくさんあるものの、ピザ屋だのステーキ屋だの中国人観光客を目当てに作られたのだろう火鍋屋などで飲み食いをする気にはならない。きのう16時30分ころ訪ねていまだ営業していなかった店への、ひとけのない、すこし不気味な道を往く。雨上がりの気温は多分、日本のそれよりよほど低いだろう

18時もちかければ、果たして店は営業をしていた。前回とおなじく道に面したテーブルに着く。僕の顔を覚えていたオニーチャンが笑顔を浮かべつつ近づく。僕は彼に英語のメニュを持って来るよう頼む。タイの田舎、タイのメシ、タイの酒、そして活字が揃えば天国である

英語では”STIR-FRIED EGGPLANT”、中国語では「紅焼茄子」と表記のあった一皿を肴にラオカーオのソーダ割りを飲みつつ、先ほどとは別のオニーチャンに「この料理はタイ語では何というの」と訊くと彼は「パッマクーワ」と答えたから「それはそうでしょう」と笑いそうになる。そのときの「百代の過客」は94ページ。「唐土へ行く人よりもとどまりてからき思ひは我ぞまされる」という歌を読んで「なるほど。しかしゲンナリだね」などとひとり感想を漏らす。

それにしても今日は、きのうとは逆に酒が捗る。小さなペットボトルにラオカーオは適量と思われる量しか入れてこなかった。残念という他はないけれど、飲み過ぎもいけない。料理とソーダと氷の代金は285バーツ。釣りの15バーツは店に残した。

落ちてきはじめた雨は、大粒ではあったものの、いかにも疎らだったから、慌てもしなかった。そして、来るときの道は避けて、遠回りでも人通りのある道を辿ってホテルに戻る。時刻は18時58分。夜はこれから、という時間である。


朝飯 “Blue Lagoon Hotel”の朝のブッフェ其の一其の二
昼飯 名前を知らない食堂のバミーナム
晩飯 「ジャルンチャーイ」のパットマクーワガイサップルートロットカオトムラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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