2024.8.16 (金) 送り盆
山小屋、とはいえ雑魚寝ではなく二段ベッドに大浴場付き、ブッフェによる食事にはイクラの醤油漬けまである豪勢な環境で3日も足止めを食っている。3日目の夜は「お前の寝相をどうにかしろ」と同級生ヤハタジュンイチ君に叱られ、挙げ句の果てに寝過ごして朝の食事には遅れて行く、という夢を見ながら目を覚ます。これすなわち自由学園男子部高等科2年生の遠足の記憶によるものではないか。
悪天候により我々は上高地の五千尺ロッジに延泊をした。しかし雨は予報より早く上がり、付き添いのキラキミヒロ先生は朝のミーティングで上高地の自然を満喫するよう、生徒に促した。それに逆らって僕は朝から夕方まで部屋のベッドで本を読み、夜のミーティング時には立たされて注意を受けた。
しかしこの休養が功を奏したか、翌未明にはロックケーキを口に運びつつ梓川沿いの砂利道を速歩で進み、鬼神が乗り移ったかのような身軽さを保ちつつ前穂高の頂上に立った。あのときの好調さは、いま思い出しでも不思議である。
起床は2時51分。4階の南東と北西に面した窓を開けた瞬間より、風が強く通り始める。風は、列島の東洋上を北上中の台風7号によるものだろうか。本日の東海道新幹線は東京と名古屋のあいだで終日運休。東北、上越、山形新幹線も一部列車の運休を計画。関東の在来線や私鉄にも運休の可能性ありとは、驚くばかりだ。そういえばきのうは道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に納品の際「あしたは雨だから今日のうちに買っておこう」と、お客様にお声がけを戴いた。そしてこれを書いている3時35分現在、雨は降っていない。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」にインターネットを介してご予約くださった複数のお客様に、席は確保された旨のメールをお送りする。5時からは、先週隠居にご来店くださったお客様の情報をコンピュータにデータベース化する。と、こうして当日のことを当日の朝に書くうち、内容は朝のことだけで終わってしまうことが僕の日記にはしばしばある。
大型台風の襲来とさんざん脅かされているから、今日のお客様は多くないだろう。しかし皮肉にも本日出社の社員は店舗、事務室共に多い。それを好機として静かな4階の食堂へ上がり、9月18日からの、新宿高島屋での出張販売のお知らせハガキのお送り先を個客名簿から抽出する。
上澤梅太郎商店は、盆と正月には社員に昼食を支給する。今日のそれはカルフールキッチンの「スペシャル助六弁当」とのことだったが、僕は「日替わり弁当の安い方」と指定をした。ところが昼前にこれを道の駅へ取りに行った長男によれば「おひとりだけ小さなお弁当というのもいかがなものかと思いまして」と、僕の分まで「スペシャル助六弁当」になってしまった。
僕にはその、たくさんのおかずに稲荷寿司を添えた弁当は食べきれないのだ。檀れいより伊藤沙莉の方が好み、という男もいるだろう。「天ぷら蕎麦とカツ丼のセット」は避けて盛り蕎麦を選ぶ人もいるだろう。「スペシャル助六弁当」は誰かに譲ることとして、昼は素麺を煮る。
心配された暴風雨は「まったく」というほどに訪れない。しかし、にわか雨は頻繁に降る。事務係はそのたびノレンを出したり入れたりする。16時を過ぎると空はまるで台風一過のように晴れ上がった。夕刻の送り盆は、長男に任せる。
朝飯 生のトマト、玉子焼き、刻みオクラの鰹節かけ、茄子とピーマンのソテー、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、天ぷらと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「大昌園」のあれや、これや、それや、他あれこれ、「田苑酒造」の麦焼酎「田苑シルバー」(オンザロックス)