2024.7.31 (水) すべての子供は
早朝に天気が良ければ、しばしば屋上に上がる。そして微風に吹かれる。夏の朝の空は、ことに美しい。しかし「東京物語」で笠智衆の歎賞したような夜明けには、ひと夏で何度も出会えないような気がする。尾道の高台から海と街を眺めつつ「今日も暑うなるぞ」と、笠智衆はつぶやく。そのころの暑さにくらべて、今の暑さは気温にして10℃は高いのではないか。きのう県南の佐野市では41℃を記録したという。
日中、両親と3人のお子さんがお客様として店に入っていらっしゃる。長男は活発らしく、外へ出て犬走りを右へ左へと走っている。一方、次男は書籍部の棚から児童書を取り出し、しゃがんでそれを読み始める。その姿勢に疲れると、本を持ったままお客様がお茶をお飲みになるベンチに移動し、ふたたび本を開いた。本は売りものである。一方、子供のページを繰る手は丁寧でない。内心おだやかではないものの、本の好きな子供にそれを中断させることも気の毒に思われ、しばらくは黙っている。「買って差し上げたらいかがですか」とご両親に進言するのも、なにやら押しつけがましく感じられる。しかし遂にご両親にはその本が売りものであることをお伝えし、子供さんには注意を促していただく。
夕刻ちかくに、これまた両親と3人のお子さんが、お客様として店に入っていらっしゃる。らっきょうのたまり漬の試食をお勧めすると、お父さんのみがそれをお取りになった。長女と弟はお母さんと一緒に店の中を歩きはじめる。次女のみがお父さんを追って、休憩場所の方へと歩いて行く。
その、小学4年生くらいの次女にも、らっきょうの試食を勧める。女の子はすこし躊躇った後、それを受け取った。「チャレンジだね」と、僕は声をかけた。
会計をされようとしているお母さんの側に、先ほどらっきょうのたまり漬を試食した女の子が立っている。女の子の視線はどうも、僕に向いている気がする。しかし僕は、キャッシュレジスターのディスプレイを人差し指でタップすることに神経を注いでいる。女の子は家族と共に店を出ようとしながら僕を振り向いて手を振った。即、僕も手を振り返す。
すべての子供は幸せになるべき。そしてできるだけ長生きをして欲しい。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、茄子の揚げびたし、トマトサラダ、鮭の親子漬け、水茄子のぬか漬け、メシ、若布と小松菜の味噌汁
昼飯 生玉子と胡麻のつゆの素麺
晩飯 手巻き鮨、「小林酒造」の「鳳凰美田剱」(冷や)