2024.7.10 (水) 古典派
「静と理恵子の血みどろ絵日誌」という、伊集院静と西原理恵子による続きものの本がある。2013年に本を800冊ちかく処分した、そのときにもこれは残した。伊集院は真面目に文章を書いている。西原理恵子の挿絵には、その伊集院や自分を揶揄するものが多い。
この全6冊のどこに納められているかは今となっては探しようもない絵がある。それは伊集院が小料理屋の席に着くなり「なにか柔らかいものと強いお酒をください」と注文をするものだ。「なにか柔らかいもの」とは、柔らかければ何でも構わない、ということだろう。「強いお酒をください」についてはまぁ、苦笑いをするしかない。
その1枚の絵に、僕のこのところの夕食は近づきつつあるような気がする。僕の歯は歯科医も太鼓判を押す強さであるし、食感に特色のある食べものを好むため柔らかいものにはこだわらないものの、風邪で発熱でもしていない限り、アルコールは必須だからだ。
家内や長男に訊くと「そのようなことは決して無い」と真顔で答えるけれど、僕の場合、酒は食べものを美味くする過給機のようなもので、酒を欠いては料理に失礼、という気さえする。伊集院の求めた「強いお酒」が「なにか柔らかいもの」をより美味く食べるためのものだったかどうかは分からないけれど、僕にとって料理と酒は「手を携えて行く」ものに他ならない。
もっとも喫煙者がここ数十年のあいだに激減したように、僕も消えゆく古典派なのかも知れない。禁煙を掲げる飲食店が増えたことは、僕にとっては朗報である。しかしこれから数十年を経れば、禁酒を客に義務づける飲食店がほとんどになる可能性も否定はできない。時代は急に変わるのだ。
朝飯 グリーンアスパラガスのソテーを添えたトマトのスクランブルドエッグ、ウインナーソーセージのソテー、ミズの甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と夏葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 春雨サラダ、水茄子のぬか漬け、2種の焼売、麻婆豆腐、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)