2024.6.9 (日) タイ日記(7日目)
目を覚ましたのは0時と1時のあいだ。二度寝ができて、2時間ほど後に起床する。
朝、ホテルの周辺を1キロメートルほど散策をする。ここ数年の政策に、日曜日ということも重なっているのだろうか、街の屋台は極端に少ない。タイ特有の、発酵したたけのこを炒めている屋台がひとけのないタニヤ通りに出ていた。よってここでごはんにおかず二品を載せてもらい持ち帰る。ドアを閉めた瞬間から、部屋の中にたけのこの発酵臭が満ちる。
「毎日がそうじゃねぇか」と言われればその通りなのだが、今日は更にすべきことはない。南の国への旅でもっとも楽しみにしているプールサイドでの本読みは、おとといの日記に書いたような理由でできない。外へ出てマッサージ屋を探し、結局は外れのない「有馬温泉」で2時間のオイルマッサージ、更に耳掃除もしてもらう。1,750バーツの請求は意外に高いと感じた。双方の施術をしてくれたオネーサンには半端だったが240バーツのチップ。
午後は、このところ延伸が著しい首都の鉄道の中でも、地下鉄のMRTに最寄り駅のサムヤーンから乗る。チャオプラヤ川を渡った先の、車内のアナウンスではターパーと聞こえるタープラーで乗り換え、僕の好きなラオカーオの銘柄とおなじバンギカーンで降りる。駅の位置は、着く前の車窓からの景色で何となくつかめた。
大きな通りを西に歩く。ピンクラオの橋に続く、これまた大きな通りに出たところで左に折れる。何を買うわけでもないものの、パタデパートに入る。そしてフードコート以外は何十年も前から変わっていないのではないか、という雰囲気の店内を巡回する。
橋を目指して更に歩く。夕刻まではいささか間のある時間から、通りに机と椅子を並べる店がある。「こんなところで食べてぇな」と思っても、ここで酔っては帰りが心配だ。
チャオプラヤ川の堤防が見えてくる。覚えのある桟橋に降りようとすると、そこは工事中だった。木陰で涼んでいるようにも、またホームレスにもみえる裸足のオジサンが「そっちじゃないよ、向こうだよ」と身振りで教えてくれる。コンクリート製の大きな階段の下でオジサンを振り向くと、僕を目で追っていたオジサンは「もっと向こう」と、また教えてくれた。
新しい桟橋は、これまでの場所から100メートルほども下流にあった。桟橋の脇にはムーガタ屋ができていた。「こんなところで食べてぇな」と思っても、ムーガタはひとりで食べるものではないような気がする。
切符売り場にオネーサンがいる。サパーンタクシン直下の船着場サトーンまでの料金は30バーツ。オネーサンは”fifteen”と言うものの、よく聞き取れない。”fifty?”を訊き返すと、今度はオネーサンはOne Five”と言葉を替えてくれたから胸をなでおろす。現在時刻は16時57分。“fifty”では1時間ちかくも待たなくてはならない。
17時13分に、上流からオレンジ旗の舟が近づいてくる。それに乗り込もうとして、オネーサンに止められる。17時16分に下流から大型の舟が近づいてくる。横腹には”MINE SMART FERRY”と大きく書かれている。下流から来たため上流へ向かうものとばかり考えていると、オネーサンはそれに乗れという。
大型船は、屋根だけの吹きさらしではなく、窓には偏光グラスが嵌め殺しになっているから、乗っていても、面白くも何ともない。ピンクラオからはワンラン、ワットアルン、マリーンデパートメント前、ラチャウォン、「パタヤーン」と聞こえるサイアムパラゴン前を経由して、サトーンには17時45分に着いた。
川沿いの高級ホテル”Shangri-La”の裏を歩く。かつては僕もよく飲み食いをした、屋台で賑わっていた場所は”MA! BANGRAK BANGKOK STREET FOOD MARKET”と名づけられてすっかり綺麗になり、しかし人の姿は疎らだった。数年前にかかったことのある床屋も建物の改装に伴って、見違えるほど明るくなっていた。
サパーンタクシンからBTSに乗ったときには、チョノンシーで降りて散策をしようとなかば決めていた。しかし明日はホテルを変わる。荷作りは早朝にするつもりでいる。ということは、夜は遅くならない方が良い。そう考えて、チョノンシーでは降りずにサラデーンまで乗る。
「こんなこともあるだろう」と、本とラオカーオの小瓶は、ホテルを出るとき背中のザックに入れておいた。そういう次第にて、目についた店で夕食を摂り、19時30分に部屋に戻る。
腑に落ちなかったのは、夕食代のこと。伝票には520バーツの数字があった。よって500バーツ札1枚と20バーツ札1枚を「ちょうどで悪いね」とオカミに手渡した。ところがオカミは20バーツ4枚を釣りとして持って来た。何やら分からず、その80バーツはチップとして進呈した。ラオカーオは、160ccまでは飲んでいなかったと思う。
朝飯 屋台の弁当
晩飯 “HAPPY BEER GARDEN”のヤムウンセンタレー、オースワン、ラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)