2017.6.25 (日) タイ日記(4日目)
午前3時のころに目を覚ます。快方へは向かっていない。水を飲み、外が明るくなるまでベッドの上で静かにしている。日記を書く気力は無い。部屋のポットで湯を沸かし、持参した即席のスープを飲むと、大量の汗をかいた。体温計は持ってきているものの、怖くて計る気がしない。
ホテルのメシは美味くないが、外へ出る気もしない。空腹で薬を飲むことは避けたい、ただそれだけの理由により1階の食堂へ行く。目的のカオトムは、今日は無かった。仕方なく、トーストと紅茶のみ摂る。
「アスピリンだけじゃ無理なんだわな」と、以前、セキネ耳鼻科に処方された解熱剤を飲む。胃も痛むため、きのうに引き続き胃痛の薬も飲む。
MGで引くリスクカードに「社長、病気で倒れる。1回、休んでください」というものがある。しかしまさかバンコクまで来て「具合が悪いので休ませてください」というわけにもいかない。ホテルから歩いて数分の会場には、9時すこしすぎに入った。
09:30 タナカタカシさんによる利益感度分析の講義
11:40 第4期終了(自己資本は第3期終了時の204から大幅に下げて107)
15:30 第5期終了(自己資本は第4期終了時の107から大幅に下げて64)
決して弱くない陣容を作り上げながら自己資本を下げるのは、明かな気力不足である。「1回1錠、1日に2回を限度とする」とか「服用する間隔は、最低5時間は空けること」というような薬を飲みながらのMGは、どうにも辛かった。原稿用紙2枚ほどの感想文では体調のことには触れず、その他の気づいたことを記した。
MGは2日間で5期分の経営を盤上に展開する。そして来期への準備を一定の水準以上に整えた上で、第5期終了時の自己資本の高い順に3名が表彰をされる。
今回の優秀経営者賞は、兵庫県から参加のオーサトユーイチさんが389で、2位の優秀経営者賞は、359を上げたスズキタカノリさんが主催者側ということから表彰を辞退したため、神奈川県から参加のヒラオケンタローさんが354で、また3位はおなじく神奈川県から参加のタダジュンさんが349で、それぞれ獲得をした。こうして第5回バンコクMGは、無事に完了した。
本日は流れ解散とのことにて、タナカさんに挨拶をした後は即、メジャータワーの10階からエレベータを降りて外へ出る。そしてホテルに戻り、仕上がった洗濯物を受け取って、代金を支払う。
“Nantra Retreat & Spa”は、数日前の日記にも書いたけれど、ホテルとゲストハウスのあいだほどの宿泊施設だった。頼まなければ部屋の掃除はしないからチップも必要なく、経済的である。僕は3泊をするあいだ、同じタオルを使い続けた。セイフティボックスは棚に固定されていなかったため、これを使うことはしなかった。1日目に出した洗濯物を届けに来た人は、それを部屋の中に入れるすべを知らず、外の階段の手すりに載せたままにした。そんなホテルでも、場所は便利だ。極端に安ければ、次のバンコクMGの際にも泊まるかも知れない。
背中にザックを背負い、スーツケースを曳いて、soi8からトンローの大通りに出る。北の方から来たタクシーを停め、後席に荷物を積む。時刻は17時45分だった。
「バンラックのロビンソンまで」
「あー?」
「ホテルはセンターポイントシーロム。チャルンクルン通り」
「知らない」
「バンラック市場の近く。サパーンタクシンの近く」
「…」
「ラマ四世通りを真っ直ぐ」
運転手と会話を交わしつつ、タクシーはトンローの大通りを南下し、スクムビット通りを突っ切る。スクムビットsoi40に入ってさらに南下を続け、ラマ4世通りへと右折する。この時間にラマ4世通りを西へ進むと、ほぼ真正面に夕陽が見える。ラジオから国王賛歌が流れる。時刻は18時ちょうどである。
「チャルンクルン通りに突き当たったら右、左、どっち?」
「左」
「ホント?」
「そう」
右手にルンピニー公園を過ぎると運転手はハンドルを左に切り、サトーン通りへと入った。この運転手は道を知っている。タクシーは最短距離で目的地を目指している。
「ゴメン、チャルンクルン通りに出たら、右折だわ」
「右折ね。ところでタイに住んで1年? 2年?」
「オレはただの旅行者だよ」
僕の拙いタイ語に対して「タイに住んで1年か、2年か」とは、最大級の賛辞である。僕のタイ語は多分、タイの二歳児にも劣る。
サパーンタクシンの高架下を右折すると間もなく、ホテルへの誘導路が見えてくる。
「おー、センターポインッ」
「そう、ここ」
トンローsoi8からの所要時間はちょうど30分。初乗り35バーツのメーターは111バーツまで上がっている。120バーツを手渡すと、運転手はにっこりと笑った。
タクシーのドアを開けたベルボーイがスーツケースをロビーに上げる。”Comeback Sir”を声かけてくれるボーイがいる。略をしすぎた英語だけれど、意味は分かる。「お部屋はリバービューにアップグレードさせていただきました」と言ってくれたフロント係には、礼を述べる。
ベルボーイに案内された部屋は20階の北西の角部屋だった。ベランダに出てみると、すぐ下にはサパーンタクシンの駅が、また下流に向けて湾曲するチャオプラヤ川が一望できる。バンコクに泊まるなら、僕はやはり、川沿いを選びたい。
コンドミニアムを19時の舟で出るというコモトリ君とは、19時12分にサトーンの桟橋で落ち合えた。すぐに”BTS”で、ふた駅先のチョノンシーまで移動をする。そして小籠包と中華麺をすこしだけ食べ、飲酒は避けて、熱いお茶を飲む。
サパーンタクシンには、ほんの小一時間ほどで帰った。そして部屋に戻り、風呂桶に湯を張って、久しぶりに体を温める。
朝飯 “Nantra Retreat & Spa”の朝のブッフェのトーストと紅茶
昼飯 MG会場に仕出しの弁当
晩飯 「永和豆漿」の小籠包、牛バラ肉のうどん、お茶