2024.5.19 (日) 小体で小粋
20年ほども前のことだったと思う。神保町の串焼き屋で、目の前のガラスケースに並ぶ、美しく整った肉や野菜の中から幾種類かを選んで焼いてもらった。そのうち特に面白く感じたひと品の名を問うと「私も鬼畜米英の時代の育ちだもんでね、何と言ったか…」とあるじは苦笑いをした。僕は芋焼酎に酔った脳の奥底を賢明に探し「そう、ズッキーニ」と、遂にその名を思い出した。
本日の日本経済新聞朝刊第一面の、もっとも大きな見出しは「重くなるEV 環境に重荷」だった。EV車を持とうとする人たちの最も大きな関心は航続距離にある。それを延ばそうとすれば、より大きなバッテリーを積むこととなり、車体の大きさや重量は必然的に増す。それが結果として環境に大きな負荷をかけるというのだ。また日本自動車工業会の調べによれば、SUVの人気の高まりなどにより、ガソリン車も大型化の一途を辿っているという。
1960年代の英国車でご来店になるお客様が複数いらっしゃる。それぞれのクルマはおしなべて小さく小粋で、今は亡い自動車修復家バンノーセーイチさんの表現を借りれば「小股の切れ上がった」となること必定である。いま新車で買える中に、そのようなクルマがあるだろうか。
運転席に乗り込むなり「〇〇様、おはようございます」などと挨拶をしてくるクルマがある。まるでスケッチブックのように巨大なディスプレイを備えたクルマもある。「自動車のスマートフォン化」ともなれば、鬼畜米英の時代に育ったわけではない僕も「隔世の感」以上の時代の変化を覚えざるを得ない。
SUVは勿論のこと、今のクルマを自分用のそれとして持つことは、死ぬまでないだろう。クルマは小体で小粋な個体が好きだ。
朝飯 コールスロー、ウインナーソーセージのソテーを添えたスクランブルドエッグ、納豆、香港橄欖菜、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と万能葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 レタスとキウィと鶏肉のサラダ、シェパードパイ、パン、2種のチーズ、バンブー