2024.3.24 (日) honesty
あるとき京都で祇園のバーに3日のあいだ通ったことがある。その1日目、初見である僕がドライマーティニを注文すると、バーテンダーは新しく使い始めたというジンを勧めた。「美味しいですか」と訊ねると、バーテンダーはたたらを踏むような身振りと共に口ごもった。その姿から「美味いかどうかを判断するのはお客様、ということなのだろう」と僕は解釈し「それでお願いします」と、彼の提案に従った。
上澤梅太郎商店の商品に、唐辛子を含むものがふたつある。それらについて「辛いですか」とお客様に訊かれることが毎日のようにある。辛さに強い人であれば「それほどでもない」と感じるだろう。辛さに弱い人であれば「辛い」と感じるだろう。「辛いかどうかを判断するのはお客様」とお答えをしたいところではある。しかし誠実であろうとすればするほど相手の不興を買うということがあるから、この場合の返事はなかなかに難しい。
むかしポケットベルというものがあった。東京に出張中、このポケベルの調子が悪くなった。インターネットはいまだ一般的ではなく、僕はホテルの電話帳でNTTドコモグループの修理センター探した。果たしてそれは有楽町に見つかった。
修理はすぐに終わった。「これでもう大丈夫ですね」と僕は技術者に笑顔を向けた。「機械だから分からない」と、そのオジサンは仏頂面で答えた。こういう誠実な人が、僕は結構、嫌いではない。出世はできないだろうけれど。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、しもつかり、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 オリーブ、ハムとソーセージとあれこれのサラダ、フランスパン、チーズ、Chablis Billaud Simon 2018