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清閑 PERSONAL DIARY

2023.11.7 (火) 秘宝

その音からすれば、雨の勢いはかなりのものと思われた。時刻は3時54分。すぐに起きれば「得した感」の強い3時台の起床になる。即、身を起こし、床の乱れ籠に前夜から用意してある服を着る。顔を洗って食堂に出ると、時刻は3時58分だった。

試みにカーテンを巻き上げ、窓を開けてみる。雨を横殴りにしている風もただものではない。しかし寒さはまったく感じない。おとといの午後は、急な雨があり、すぐに止み、青空が広がった。その夕立まがいの雨といい、今朝の台風前夜のような風雨といい、まるで夏のような空模様ではないか。

その雨が一掃された9時すぎに、大型バス2台のお客様に恵まれる。僕がお相手をしたおひりに前泊の場所を伺うと「覚えていない」と、その壮年男性は苦笑いをされた。僕も町内役員のバス旅行や業界の親睦旅行、つまり「自動移動装置」に乗せられているときには同じようなものだから、不思議は何も感じない。

昼前に僕宛の荷物が届く。ヤマト運輸の紙袋の中味は月餅の箱だった。その箱には僕の知る限り、香港の九龍醤園まで足を運ばなければ手に入らない百德食品公司の豆板醤と辣椒油が納められていた。

上澤梅太郎商店の法人メールアドレスには別途、僕宛のメールが届いていた。それは過去に僕と薄い交わりのあった方からのもので、そこには先日、香港の中環を散策中に九龍醤園の前を通りかかり、その瞬間、僕の日記にしつこいほど登場する豆板醤と辣椒油のことを思い出して購入に至ったことが書かれてあった。

破損を避けるため幾重にも巻かれた緩衝材を解いていくと、紛れなく百德食品公司のふたつの調味料が現れた。「秘宝」といっても過言ではない。

その豆板醤は、浅ましくもお礼のメールを書く前に、昼のにゅうめんにほんの少しを添えた。そして箸の先でつゆに溶かし、その香りを聞いた。「そう、これ」である。

香港の九龍醤園をはじめて訪れたのは1996年4月。2度目は2000年3月。3度目は2004年3月。以降、この店の調味料とは長く無沙汰をしていたものの、2019年4月に思いがけず、これをいただく機会があった。恐懼、欣喜したことは言うまでもない。

そのわずか2ヶ月後、騒乱の香港に遊んだ先輩がいる。夏はインドネシアでサーフィン、冬はカナダでスノーボードというヤナセヨシヒコさんがなぜ、そのとき香港にいたのかは分からない。「香港では何を買うべきか」と問うヤナセさんからのメッセージに「利工民の金鹿印のシャツ、そして九龍醤園の豆板醤」と僕は答えた。ヤナセさんは早速、滞在していた旺角から海峡を渡り、香港島の狭い坂を上がって九龍醤園に達した。そして僕への土産も含めて豆板醤を買った。しかしここがいかにもヤナセさんらしいところだが、その豆板醤は手荷物にしたため、空港で没収をされてしまった。惜しんでも惜しみきれないポカである。

今回、豆板醤と辣椒油を送ってくださった方は、過去に僕からもらい物をしているから礼は不要とおっしゃる。しかしそういうわけにはいかない。繁忙により荷作りは数日後になるだろうけれど、先ずは発送伝票を作ろうと思う。


朝飯 柿と菠薐草の白和え、トマトのスクランブルドエッグ、ジーマミー豆腐の冷や奴、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、胡瓜と蕪のぬか漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と万能葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 天ぷら其の一天ぷら其の二夏太郎らっきょう、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、2種の葡萄アイスクリーム、SMIRNOFF VODKA(生)


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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