2023.11.4 (土) もの買う話
1980年代の後半から1990年代はじめにかけての、それはいつのことだったか、とにかく師走に一週間、会社の敷地から一歩も出なかったことがある。年末の需要にお応えをするため、製造現場に缶詰になっていたのだ。そのころの楽しみは、仕事場から館内電話で家内に夕食の内容を訊き、その晩に飲む酒を選ぶことだった。
今は仕事の内容も変わり、週に一度も会社の敷地から出ない、ということは無い。それでも繁忙により気ままな時間が確保できなくなことがある。そんなときには決まって何かを買いたくなる。
稀代の荷物ぎらいにて、合理的なバックパックやショルダーバッグを試すうち、その数は数十個に達した。一方、荷物を減らすことにも習熟をしてきて、今、もっとも気に入っている物入れはショルダーバッグではなく、胸に張りつくような薄いポーチだ。そこから更に進んで、先日はふたつの大きな胸ポケットを持つ、シャツとも上着ともつかないものに目を付けた。
インターネットで服を買う場合、もっとも問題になるのはサイズだ。何年か前にEC関係の研修に出たことがある。そのとき「買う気のしないウェブショップとは」と訊かれて「実際の人間がそれを着ている画像の無い服屋」と答えたことがある。
当該の「シャツとも上着ともつかないもの」を売るページには、それを着ている人の画像があった。身長は170センチとのことで、僕とほぼ変わらない。ただしそのモデルは腕まくりをしていた。それでは袖の具合は分からない。
よってその服屋に質問を送ったところ「袖の長さはジャストサイズといった感じです。長すぎず、短すぎず、ちょうどでした」との返事が戻った。僕は腹の中でニヤリと笑い、更に「ホントかよ」と、これまた腹の中で茶化した。
その「シャツとも上着ともつかないもの」が、きのう届いた。そそくさと箱を開け、袖を通してみたところ、それは見事に「長すぎず、短すぎず、ちょうど」だったから、以降は気分の良さが続いている。
更に今朝は、オマル・ハイヤームの「ルバイヤート」を注文した。岩波新書の小川亮作訳は学生のころに買い、それを見失い、更に買ったら古い方も出てきて現在、家には2冊がある。それから数十年を経て今回は、矢野峰人訳の「ルバイヤート集成」を買い物カゴに入れた。この本の判型は何だろう。「シャツとも上着ともつかないもの」の胸ポケットには、四六版までなら収まると思う。
朝飯 鰯の梅煮、納豆、めかぶの酢の物、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と椎茸と長葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、カツレツ、ドライマーティニ、TIO PEPE