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清閑 PERSONAL DIARY

2017.6.1 (木) 赤バスに乗って

バンコクと、その東方チャセンサオのあいだに大きな森がある。この森の中に、これまた大きな農場がある。その農場で労働をすべく、自由学園男子部35回生の面々は先ず、バンコクに1泊をする。僕もその集団に加わるべく、夕刻、スワンナプーム空港に着く。

エアポートレイルリンクと高架鉄道を使って市の中心に出る。そしてスクンビット通りの広い交差点を南から北へ渡ろうとして、その右手前角のオープンデッキのレストランで、同級生十数名が夕食を摂っている姿を発見する。僕は喜び勇み、ホテルへのチェックインは後回しにして、その開放的なテーブルに着く。

夜が更け、同級生たちは三々五々、各々のホテルに散ったらしい。僕は酔いを覚まそうとして歩道に降り、スポンジ製の水中花を売る露店をひやかしながら、ふと嫌な予感にかられる。席に戻ると案の定、スーツケースとトートバッグが荒らされていた。

取り急ぎ調べた限りでは、現金、クレジットカード、ホテルの予約表、eチケットの控え、そして”iPhone”が失われていた。パスポートとコンピュータが盗まれなかったのは幸いとしても、厄介なことになった。

同級生のうちひとり残ったコモトリケー君は、この問題に対処をするため、席を立ってどこかに消えた。客の徐々に少なくなる店で待つうち、どうにも退屈になって、ふたたび歩道に降り、ひとときの暇つぶしのため、来たバスに乗る。

次の停留所で降りて逆向きのバスで戻ろうと考えつつ乗ったバスは、しかしすぐには停まらず繁華な枝道へと折れた。その突き当たりは丁字路で、正面にはジーンズを売る店が見える。バスは信号で停まることはせず、その店へと真っ直ぐに鼻先を突き入れる。バスは不思議なことに建物はおろか什器なども壊すこともなく更に奥へと進んでいく。「そんな馬鹿なことがあるものか」と感じたところで目が覚める。

徐々にはっきりしてきた頭で先ほどの夢を反芻する。そういえば僕は、旅先に持参するクレジットカードの番号を、どこにも控えていない。それを失ったときの連絡先も記録していない。「これは早速、手帳に書き留める必要があるな」と考える。「iPhoneを探す」の使い方についてもしかり、である。

妙な夢も、たまには役に立つものである。


朝飯 煮昆布、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、鰯の梅煮、水茄子漬け、五目白和え、納豆、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、メシ、揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のエビ春雨丼
晩飯 うずら豆、若布とエノキダケの酢の物、ほうれん草の胡麻和え、銀鱈の西京焼き、黒糖焼酎「里の曙」(お湯割り)

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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