2023.5.22 (月) 今日の日記は長いな。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の、本日の口開けのお客様は、中国語圏のものと思われるお名前でご予約の2名様がふた組。来店時間は15分を置いているものの、4名様はご友人、お知り合いの可能性が高い。そのうちの2名様は僕からのメールに対して、きのうのうちに「一汁七菜膳」をお決めくださっていた。しかしもうひと組の2名様からは、ご返事はいただけなかった。
先ずは2名様が開店と同時にいらっしゃって、4名とも「一汁七菜膳」であることを隠居係のタカハシリツコさんにお伝えになった。しかしそのお膳は、前日の15時までにご予約くださった方へのみ、ご提供のできるものだ。さてこの込み入った説明は、どうすべきか。
調理係の家内から来て欲しいと長男に電話があったものの、ウェブ会議を控えている長男は、それに応えられない。代わりに僕が隠居へ赴いて、納得をしていただく。ご理解の速いお客様で幸いだった。同時に、仕込みの都合上、料理は事前にお決めいただきたい旨の返信は、英文でも用意すべきと感じた。即、取りかかろうと思う。
10時ちょうどに家内から、今度はセキネさんがお見えになったと連絡を受ける。セキネヒサタケさんは、四半世紀ちかく前にMG界に忽然と現れた切れ者だった。町内の若手シバザキマサヒロ君が東京で修行中、たまたま取引先の社長として知り合い、ここ数年は僕との交流も復活していた。
取りあえずは隠居へ出向き、セキネさんとシバザキ君に挨拶をする。そして食後のお茶をお出しするころ、また来ることを伝える。セキネさんは東京から大型スクーターでいらっしゃったにもかかわらず、服装はスーツにネクタイだった。
会社見学を希望していたセキネさんとシバザキ君には、先ず通常の蔵見学をしていただく。続いて社会科見学の小学生しか入れないところまで入っていただく。セキネさんは更に訊きたいことがあるとのことだったから、今度は個人の空間である4階の食堂へ、シバザキ君と共に上がっていただく。
セキネさんは驚くべきことに、僕への質問を隙間なく箇条書きしたA4の紙を内ポケットから取り出した。それらに答えるうち13時を過ぎる。途中「ここからは核心に入るから、シバザキ君は帰っていいよ」と、セキネさんはシバザキ君に中座を促した。これは、家に仕事を残してきたシバザキ君への心遣いだろう。
今日の僕の東京行きは、下今市13時44分発なら余裕綽々、14時35分発でも間に合うと計画していた。その13時44分発は早々に諦めた。それを伝えると「だったら2時前に終わりにしましょう」とセキネさんは時間に制限を設けた。14時35分発の上り特急が下今市を出ると同時に、セキネさんには礼状をメッセンジャーで送った。
神田スズキ皮膚科では、17時前に名前を呼ばれた。先週の火曜日から収斂剤を貼り続けた患部を先生はひと撫でして「薬はもう、一般の軟膏だけで良いでしょう」と言った。他のところも経過は良好にて、次は2週間後に様子を見ることになった。
神田のガード下からは、野村證券の旧館が望める。そこへ向かって歩きつつ、今川橋ちかくの骨董屋を覗く。飾り窓には銅製の双耳壺があって、手書きの説明が添えてある。そこに「なにげに」という言葉を見つけて、すべてを読み終えないうちにその場を離れる。「何気なく」と「なにげに」と言うことは、僕の好みでない。
少し先のビルで土屋鞄の扉を押す。こちらには、15年のあいだ使って壊れ加減になったパスホルダーを、4月のはじめに修理に出した。ところがその後、技術者とメールのやり取りをするうち、修理代には11,770円のかかることが知らされた。15年前の品物とはいえ、商品価格の3倍ちかい修理代は心理的に出しがたい。よってそのまま返却するよう頼んであったのだ。オネーサンは古びた革の小物に磨きをかけた上で返してくれた。道具は上質のものを直しながら使うことを好む。ちなみにこのパスホルダーは終売にて、おなじものは手に入らない。
日本橋からは京橋の上を走る首都高速道路が望遠できる。時間にすこしの余裕があるため丸善に入る。以前は丸の内の本店にしかなかった時計の工房ができている。これからは愛機の”MONDAINE”の修理も楽に頼めるだろう。そのまま本の売場へ進みながら「テムズとともに 英国の二年間 」という平積みの本に目が留まる。手に取り開いて最初のページの半分ほどを読む。著者は徳仁親王。後日、amazonかメルカリの古書で買うかも知れない。
やがて右手の、街路樹の緑と緑のあいだにモンベルが見えてくる。ここでもっとも軽量の傘を買ったのは昨秋のことだ。その傘は今日も持参をしている。京橋を越えれば銀座。しかしその結界は超えず左手に折れる。
南天子画廊への階段を上がり、ガラス戸を押し、今日が初日の展覧会をぐるりと見る。そして6号ほどの絵を指し「これ、いただきます」と画廊の人に伝える。絵は来月17日の最終日まで会場に置いて後、僕に届けられるという。
「モツ焼きのタレなど垂らしてもいけない」と、服はユニクロの、3着1,000円のTシャツを着てきた。今日の東京の最高気温は29.5℃と伝えられていたものの、暑さはまったく感じない。結局のところモツ焼きではなく、おでんを肴に燗酒を飲む。そして浅草19:59発の下り特急に乗る。セキネさんからは「東京で飲むときは絶対に声かけてくださいよ!」という返信が入っていた。
22時前に帰宅をし、それほど遅くならないうちに就寝する。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、納豆、コールスロー、きのうのカツ煮の残り、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とブロッコリーの味噌汁
昼飯 「セブンイレブン」の2種のおむすび
晩飯 「一平日本橋店」の鰹の刺身、おでんあれこれ、「神戸酒心館」の「福寿」(燗)