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清閑 PERSONAL DIARY

2023.4.24 (月) タイ日記(7日目)

目を覚ましたのは2時28分。部屋は、湿度は感じないものの、暑い。冷房の電源を入れ、シャワーを浴び、以降は腰にバスタオルを巻いた姿できのうの日記に取りかかる。

「旅は準備をしているときが一番、楽しい。いざ始まったら、もう終わりだ」と家内は言う。「旅は、始まったときには、もう終わり」とは僕は考えない。しかしその半分も過ぎてみれば、旅に出る前に考えていたすべきことの「いつするか」を、そろそろ決めるべきだろう。

7時すぎに外の通りへ出て朝食を物色する。きのうは賑やかに見えた食べ物屋や屋台が、今日はより人を集めて行列ができている。そんな中に美味そうなオムレツを焼く小さな弁当屋を見つける。注文をすると、具は何にするかと身振りで訊かれ、豚の挽き肉とエノキダケとバジルを指定する。焼き上がりにはケチャップの要不要を訊かれてそれを断り、器に用意されたプリックナムプラーを自分でかける。ちかくの屋台で生搾りのオレンジジュースも手に入れ、部屋に戻る。オムレツ弁当は25バーツ、ジュースは20バーツだった。

今朝の朝食動画をSEはうまく編集することができるだろうか。僕は動画を撮ることにかまけて、日記用の静止画を撮ることを忘れた。

8時30分、「そろそろどうだろうか」と考え、溜まった洗濯物をプラスティック袋に入れる。そしておととい仕事を頼み、きのう引き取ってきた洗濯屋へ行ってみる。おとといとは異なるオバーサンは、鎧戸の奥から僕の姿を認めるとマスクをかけた。タイ人の、コロナに対する怖がりようには、いまだ強いものがある。

今日のオバーサンは、おとといより多い衣類に、おとといの半額の60バーツを示した。このオバーサンは英語を理解する。それで分かったことがある。アイロンをかけないなら1キロあたり60バーツで、できあがりは今日。アイロンを必要とするなら同120バーツで、できあがりは明朝。僕はアイロンありを選び、120バーツを払った。おとといのオバーサンが、できあがりの時間として僕の腕時計の9時のあたりを指したのは、21時ではなく9時、というわけだったのだ。

ホテルに戻って部屋経由で屋上のプールへ行く。田舎の、鳥の声の聞こえるプールも好きだが、都会の、建設現場のハンマーやドリルの音の聞こえる環境も、また嫌いではない。施設は古びてはいるけれど、ひっそりとした屋上のプール、朝食の便利さ、バス停の近さ、そして宿泊料の安さを考えれば、悪くないホテルだと思う。

雲行きの怪しくなってきた10時45分に階下の部屋へ戻る。11時に雷鳴が聞こえ、11時20分に雨が降ってくる。予報によれば、バンコクの今日の天気は以下らしい。
A morning thunderstorm; otherwise, very warm with some sun, then clouds.

外へ出る時機を逸して、金庫に仕舞ったばかりのコンピュータを出す。そして今日の日記を書き始める。ふと気づくと、青空に巨大な入道雲が立ちのぼっている。地上を見ると、人はもう傘を差していない。時刻は11時50分。意外や短い…気の乱れだった。

昼食は、朝とおなじ通り沿いのカオゲーン屋で摂ることにした。選んだおかずはパッガパオムーサップ。これをごはんにのせて目玉焼きを添えれば一瞬で、ガパオライスの完成である。

気楽なバンコク。とはいえ海外は海外だから、時間の余裕は充分にみる。そして11時30分にきのうとおなじバス停に立つ。今日は月曜日で、道の混み様はきのうの比ではない。サパーンタクシンまで直行する115番のバスは、30分だけ待ってみようと考える。先の天気予報によれば今日のバンコクの気温は38℃とのことだったが、雨上がりの街は、辛くなるほどは暑くない。

待ち始めて28分が経ったとき、遂に115番のバスが渋滞の向こうに見えた。ベンチから立ち上がり、車道に近づく。しかしなぜかそのバスは片側三車線の中央分離帯側にいて、歩道に近づく気配はない。そしてそのまま目の前を通り過ぎた。仕方なくMRTとBTSを乗り継いでサパーンタクシンへ移動する。

今日は14時10分の専用船でコモトリ君の家へ行く。気温はいまやとても高い。冷たい水で一服の後、駐車場へ降りてコモトリ君の専用車に乗る。運転手はハンドルを、一路南へ向けた。そして数十キロほども走ったところは、もうバンコクを抜けてサムットプラカーンに入っていただろうか。周囲には沼沢なのか入江なのか水が多く見え、その水の上に東屋を設けた料理屋の前でクルマはようやく駐まった。店の前には客を迎えるようにして大きなニワトリの像。一歩を踏み入れれば、生け簀には海老や蟹や魚が豊富だ。

今回の旅の大きな目的のひとつは土曜日の夕刻に果たした。もうひとつは、日光味噌のたまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」を具にしてタイ風炒飯カオパッを本職に作っててもらい、それを動画に撮る、ということだ。それがこれから始まろうとしている。

本職が英語を理解するかどうかは分からない。そして僕のタイ語では、僕の意図は伝えられない。というわけで、今回のこの目的を成就させるべく、コモトリ君は会社から、この手のことの得意そうなパンさんを連れてきてくれた。

動画は、先ずは僕が店の説明、次いで僕と通訳のパンさんが厨房に入り、パンさんが料理人に概要の説明、続いて僕が調理中の説明、更にそのカオパッを僕とパンさんが食べる、という大まかな段取りを決めた。その調理場の風景をどうにか撮り終え、東屋に席を占める。

カオパッが席に運ばれたところでふたたびiPhoneのスイッチを入れ、それをひとくち、ふたくち、みくち。とても美味い。思わず「アロイ マーク」である。iPhoneを床に置いて以降は海の幸を食べて、食べて、食べて、という至福のひとときを過ごした。なお動画の撮影ばかりに気を取られ、店の静止画を撮ることは忘れた。

ひと仕事はいまだ明るいうちに済み、数十キロを北上しても、ホテルには19時に着いてしまった。首都の夜はこれから、という時刻だが、運転手には100バーツのチップを手渡し、部屋へ戻り、すぐに寝る支度に入る。


朝飯 名前を知らない屋台のオムレツ弁当
昼飯 名前を知らないカオゲーン屋のカオガパオムーサップカイダーオドゥワイ
晩飯 「クルアトゥカターシーフード」の魚のスープ蒸した渡り蟹ソムタムプーたまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」のカオパップラムックパッポンカリーオースワン「片山酒造」の酒粕焼酎「粕華」(ソーダ割り)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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