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清閑 PERSONAL DIARY

2023.4.19 (水) タイ日記(2日目)

起床は3時13分。旅の初日の日記は長くなる。早くに目が覚めて幸いだった。顔を洗い歯を磨き、机の脇では危ないからポットは洗面所に運んで湯を沸かす。その湯で日本から持参したフリーズドライのコンソメスープを飲む。

この街は昼こそ暑いが夜は推定で20℃台のなかばまで気温が下がる。冷房は昼に外から戻ったときにしか動かさない。にもかかわらず今朝は寒い。南の国の空気調整器には冷房しかないのが恨めしい。暖房を入れたい気分である。からだを温めるため、コンソメスープに続いて部屋に備えつけのインスタントコーヒーも飲む。

鶏の声に気づいて時計を見ると4時51分。外はいまだ暗い。空が明るみ始めるのは、その1時間後だ。それにしても寒い。廊下に出てみると、ここも寒い。11階の部屋からロビーへ降りる。冷房が効きすぎていて更に寒い。ロビーの先に喫煙者用のベランダがあることに気づき、その硝子戸を引く。ここではじめて暖かい空気に触れて人ごこちがつく。タバコを吸っていたオジサンが東の空を指す。ご来光を拝め、ということだろうか。タイの朝日は薄ぼんやりと上がる。その理由は何だろう

TikTokに上げている日本の朝食は、旅の最中には途切れてしまう。代わりにタイの朝食を上げることを、SEには提案してあった。その動画を撮るべく街に出る。店を選ぶ条件は、きのうの昼食と同じく「賑わっている店」だ。ホテルからほど近い辻に格好の店を見つけ、そこで粥を注文し、食べ、同時に動画も撮る。お粥の価格は豚の胃袋と肉団子、鶏卵1個を入れてもらって70バーツだった。

ようようからだも温まって部屋へ戻る。そして早朝からの、日記を書くことを再開する。それにしても、書いても書いても終わらない。しかしこれを完成させないことにはプールへ行けない。まるで夏休みの宿題である。それでも日記が趣味であれば苦痛でもない。タイに入って1日目、つまりきのうの日記は4,836文字を以てようやく完了した。

プールサイドの寝椅子はプラスティックの枠に網を張ったもので、とても寝心地が良い。しかしこのホテルを予約する際にウェブページで確かめたパラソルは無い。管理人の姿もないため、もっとも端にある寝椅子を建物の日陰に引き込んで横になる。そしてニール・シーハンの「輝ける嘘」の上巻を60ページまで読む。

昼食は摂らずに済むような気もしていたが、午後に至ると流石に空腹を覚えてきた。よって部屋に戻ってシャワーを浴び、Tシャツとタイパンツを身につけ外へ出る。そうしてまた賑わっている店を選んで入り、餡かけ麺を注文する。価格は60バーツ。

2016年6月にバンコクのチャルンクルン通りで汁麺を頼んだら50バーツと言われて「随分と高くなったな」と感じた。それがきのうの汁麺は80バーツ、今朝のお粥は70バーツ、そして昼の餡かけ麺は60バーツ。果たして首都の汁麺は、いくらくらいになっているだろう。

プールサイドでは日陰に居続けたにもかかわらず、脚も胸も顔も結構、焼けてしまった。よって午後は部屋の寝台で本を読む。やがて雷鳴が聞こえ始める。時刻は15時をまわったばかりだ。雷鳴は激しさを増すばかり。やがて雨は豪雨に変わる。

「参ったな」と思う。
「雷が聞こえ始めたときに行動を起こすべきだったな」とも思う。
きのうの日記に書いたマッサージの、今日の予約は16時だ。マッサージ屋は目と鼻の先。とはいえ外へ出れば一瞬で濡れ鼠になるだろう。

15時50分、飛行機の中の防寒用として持参したウインドブレーカーをTシャツに重ねる。ロビーに降りて、ベルボーイから傘を借りる。ベルボーイには20バーツのチップ。そして土砂降りの街へ出て行きながら「日本人ってのは大したもんだ」と、なかば自嘲を交えつつ感じる。

マッサージ屋に入ると、おばちゃんたちは僕が予約の客であることを認識していた。そして僕が予約をしたAoiさんは現在、接客中で、それが終わるのは17時を過ぎるという。しかし「タイ人って、やっぱりダメだな」とは思わない。これもまた「タイあるある」のひとつである。マネージャーらしいオニーチャンは脚マッサージ用の安楽椅子を壁から離し、背もたれを最大まで倒して、それを僕に勧めた。本読みも捗ろうというものだ。

19時をまわって雨はすっかり上がった。「タイの夜は、暗くなるほど明るくなる」と言った人がいる。詩人でもないのに上手いことを言うものだ。傘をホテルに返し、ウインドブレーカーは部屋に戻す。そして捲土重来、ふたたび街に出る。

今日の夕食に選んだ店は大繁盛。それは、店に入る時間がマッサージの遅れにより90分ほども後ろに倒れたこともあるだろう。オネーサンがごはんとお粥を盛った器をバットに載せて席の間を行き来しているのは、量を抑えた、味の濃いおかずでそれらを食べる店、ということだ。とすれば酒を飲むにも最適、ということになる。最初のおかずは豚の小腸の煮込み。次はタイの南に来たからには、ということで苦豆と烏賊の唐辛子炒め。

今夜の締めは青菜炒めでごはんを食べよう。そう決めて、遠くからでも大きな声で注文を通しているオジサンを呼ぶ。

「パッ(ト)パックブンファイデーン」
「パックブンファイデーン」
「ガッ(プ)カーオ」
「カップ」
一気に気分が良くなる。

夜の街はまだまだ賑やかではあるけれど、僕は早寝早起きが信条、というか、からだがそのようにできている。ホテルへ戻り、汗はまったくかいていないからシャワーは浴びず、すぐに就寝する。


朝飯 「楽龍福」の豚の胃袋と肉団子と鶏卵のお粥
昼飯  名前は分からない店のセンヤイラートナー
晩飯 「ナーイヤーオ」のサイパローサトーパップリックプラームックパットパックブンファイデーン、ごはん、ラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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