2023.3.2 (木) 春一番
夕刻、店に立っていると、男性ふたり、女性ひとりのお客様が入っていらっしゃった。よってほとんどすべてのお客様にそうしているように、お盆に載せたらっきょうのたまり漬の試食をお勧めし、奥の、給茶器のある場所でお召し上がりいただくよう、ご案内をした。
そのお客様が試食を終えて冷蔵ショーケースの前にお戻りになったところではじめて、使われている言葉が広東語らしいことに気づく。英語が通じないこともないだろうけれど、隣の事務室まで長男を呼びに行く。お客様は少なくない買い物をしてくださって後、鬼怒川方面へと向かわれた。長男によれば、お客様は香港からの旅の途中、とのことだった。
直後にいらっしゃった男性ばかりの3名様にも、やはり試食とお茶をお勧めした。3名様は先ず、奥へお進みになり、上澤梅太郎商店の歴史を年代順に並べた掲示物を熱心にご覧になり始めた。あるいはそれらをスマートフォンのカメラに納めたりもしていらっしゃる。多分、食品関係の本職でいらっしゃるのだろう。
やがて3名様は奥からお戻りになり、あれこれ商品をお選びになり始めた。そこでようやく、このお客様も中国語をお話しになっていることに気づく。僕はまたまた事務室から長男を呼ぶ。こちらのお客様も、まとまった買い物をしてくださった。また「どちらからいらっしゃましたか」との長男の問いかけには「トーキョーから」とお答えになったという。
海外からのお客様の買い物のしかたには特徴がある。第一に意思決定が早い。第二は、たとえば味噌、たとえばらっきょうのたまり漬なら、その中でもっとも高いものをお取りになる。第三は客単価が高い。つまりバブル期の日本人に似ている。多いにありがたい。
もっとも僕としては、いつもひと袋だけ、いつもほんの少しだけお買い上げくださるお客様も、とても有り難く感じている。なぜならそのお客様は確実にご自分でお召し上がりになっているし、今後も何十年とお付き合いくださる可能性が高いからだ。
16時を過ぎてより、一段と風が強くなる。春一番、だろうか。
朝飯 しもつかり、蕪のぬか漬け、カリフラワーの酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、ベーコンと白菜の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 人参とカリフラワーの酢漬け、めかぶの酢の物、鰤大根の大根だけ、揚げ湯波と小松菜と椎茸の炊き合わせ、白菜漬け、昆布の佃煮、あれこれによる鍋、「末廣酒造」の「末廣」(燗j)