2023.2.4 (土) 2月の室礼
本日は「汁飯香の店 隠居うわさわ」の2月の営業初日。正月から掛けてきた河井寛次郎の「喜者開扉」の軸は、次の何かに替える必要がある。きのうはそのことが頭から抜け落ちていた。
コンピュータに保管した「隠居床の間」のページを開き、その春のところを見る。諸星成章の「松上鶴図」は、もう遅い。というわけで、次の野村素軒による「筑後途上五絶」の箱を小脇に抱えて隠居へ行く。そして、これは菜の花を詠んだものと家内に説明すると、それはいかにも早すぎるという。
とすれば、残りは小杉放菴の「梅図」しかない。しかし庭には梅の花が咲き始めていて、なにやら季重なりのような気がする。それを指摘すると「梅はいまだ、数日をかけてようやく一輪が開くくらいなのだから、気にすることはない」と、家内は厨房から答えた。
よって母屋へ戻り、今度は「梅図」の小さな箱を抱えてふたたび隠居の座敷に上がる。
「梅図」の箱には掛け軸のほかに、面白いものが入っている。それは東京都杉並区のミズタニキヨシさんから栃木県今市市のカトーチュージローさんに宛てた、この軸は本物とするハガキである。カトーチュージローさんは、町内にあるオーツヤ質店の、当時のあるじに違いない。消印は昭和43年。切手は7円。買ったのは多分、僕のおじいちゃん。当時の年齢は60歳。
隠居の座敷は八畳と六畳の続き間になっている。一方「梅図」はせいぜい四畳半に似合いそうな趣ではあるけれど「まぁ、いいでしょう」ということで、本日最初のお客様がお見えになる前に隠居を去る。
朝飯 牛肉と舞茸のすき焼き風、筑前煮、煮奴、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、万能葱の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 らっきょうのたまり漬、ウォッカマーティニ、トマトとアスパラガスとエリンギとベーコンのスパゲティ、パン、TIO PEPE、チーズ、Old Parr(生)