2023.1.12 (木) 伊豆治療紀行(11回目の2日目)
「宿の枕が低いと1日目の施術が無駄になる」と「伊豆高原痛みの専門整体院」のワタナベ先生には昨年の11月、12月と続けて注意を受けた。「お金をドブに捨てることになるからね」と先生は言う。それよりも僕は、患部の悪化による治療の痛みの方が怖い。そういう次第にて、昨夜は脱いだセーターを折りたたんで枕の下に入れた。その甲斐あってか、今日の施術も楽だった。
きのうとおなじく長い坂を下って城ヶ崎海岸の駅に至る。空も海も、おだやかに晴れている。きのう待合室の棚にあった司馬遼太郎の「殉死」は、今日は見あたらなかった。
熱海から乗った東海道新幹線を品川で降りる。新橋の大衆床屋で28日ぶりに散髪をする。「どうでも良い」と僕が考えている随一は髪型で、毎回、3ミリの丸刈りである。ところが隣の席の人は僕の上を行く、1ミリの丸刈りだった。
さて今日の銀座には特に用がある。行きつけの鮨屋がコロナ下を生き延び、更には8丁目から4丁目へと、地理的にも堂々の中央進出を果たしたのだ。
教えられた住所にはビルの名があった。ビルと聞けば大きな建物とばかり考えて、しばしレンガ通りを京橋方面へ往く。ところがそれらしい看板は見あたらない。松屋通りに右折をして、レンガ通りとガス灯通りのあいだに目を遣る。その、いかにも銀座らしい路地には白木と土壁による粋な建物があって、何年か前までは話題を呼んだラーメン屋が入っていた。「あそこだとすればカッコ良いな」と好奇心を覚えつつ近づく。2階は親子丼屋、1階は和菓子屋、そして地下へ伸びる階段を覗き込むと、白い蘭の鉢と共に、いまだ外へ出される前の行灯が見えた。
全6席のその店は、機能性としては潜水艦の幹部用食堂。しかし雰囲気は、深海に沈めた水槽のようだった。英語で言えば”the hidden jem”か。繁盛を祈って止まない。
朝飯 「杉国商店」の室鯵定食
昼飯 玉子焼きと明太子のサンドおむすび、お茶
晩飯 「鮨良希」のあれや、これや、それや、他あれこれ。「吉田酒造店」の「手取川冬純米」(冷や)、「荻野酒造」の「萩の鶴純米吟醸」(冷や)、「梅津酒造」の「冨玲生酛仕込純米」(常温)