トップへ戻る

MENU

お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

2023.1.10 (火) 喜者開扉

朝、販売係のサイトーミホコさんが事務室に僕を呼びに来る。外国のお客様なので助けて欲しいという。

欧米系の男性1名、女性3名のうち、もっとも積極的な女性は僕に、二つ折りにした紙を開いてみせた。そこには「奈良漬」の漢字があった。旅の途上で入った鮨屋の漬物に感動し、板前に頼んで書いてもらったのだという。

上澤梅太郎商店はたまり漬の店で、奈良漬けは扱っていない。東京の百貨店で求めるのが最上の方法とお答えをすると、自分たちはこれから千葉へまっすぐ帰るのだと、困惑の表情である。

彼らにはらっきょうのたまり漬の試食をお渡しし、お茶を飲んでお待ちいただくようお願いをする。そして事務室へ戻って家内にことの次第を話す。すると、奈良漬けなら数十年前に酒蔵の渡邉佐平商店で求め、これを好物とする母親に送ったという。即、電話をすると上手い具合に社長が出てくれた。果たして奈良漬けは、今も扱っているとのことだ。

給茶器のある客だまりへ速歩で戻り「この街でも奈良漬けは買えます」と、女性にお伝えをする。そして市中心部の地図の当該部分を赤いマジックインキで囲み、その脇に”WATANABE SAKE-BREWERY”と大きく書いてお渡しをした。一行はらっきょうのたまり漬、たまり「朝露」、そしてフリーズドライ味噌汁などをお求めになって後、成田ナンバーのレンタカーで日光街道を下っていかれた。

今度は10時に販売係のササキユータ君が呼びに来る。店の前の門松を片付ける、その手伝いを僕がするのだ。

「正月 飾り いつまで」と検索エンジンに入れると、それを下げる日についての解説がいくつも出てくる。僕は、それらの情報を参考にはしても、従うわけではない。地方によってまちまちなら、家によってまちまちでも構わないではないか。そして今年は今日をその日と定めた経緯があった。

店の次は隠居へ移動し、店のそれとは異なる小さな門松を庭へ引き入れる。後は隠居係のタカハシリツコさんがどうにかしてくれるだろう。店の裏手に戻ったササキ君は、そこで大きな方の門松の解体を始めた。

僕が不在にしているあいだにワタナベさんが下さった電話によれば、一行は奈良漬けと日本酒を手に入れ、お帰りになったという。マカオから来たという彼らは、今夜はらっきょうのたまり漬と奈良漬けで新酒を楽しむに違いない。まさに喜者開扉。記憶に残るのは、そういう旅だけ、である。


朝飯 筑前煮、菠薐草と榎茸のおひたし、納豆、紅白なます、しその実のたまり漬、らっきょうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、メシ、トマトとズッキーニと長葱の味噌汁
昼飯 2種のパン、ホットミルク
晩飯 刺身湯波、筑前煮、マカロニサラダ、切り昆布の炒り煮、らっきょうのたまり漬、キャベツの千切りを添えた豚の「しょうがのたまり漬」焼き、冷蔵庫にあった謎の日本酒(冷や)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2004

2003

2002

2001

2000