2022.10.18 (火) 山越え谷越え
スマートフォンの天気予報によれば、本日の日光の最高気温は15℃、最低気温は9℃で、降水確率は60パーセント。対して東京のそれは18℃と14℃で、降水確率は80パーセント。テレビの気象予報士は「上着をご用意ください」と言っているが、これを真に受けると汗をかく。
子供のころアトピー性皮膚炎に悩まされたせいか、僕は汗を嫌う。「腑に落ちないのは酒を売る人々のこと」とオマル・ハイヤームは詠んだ。「汗をかくと気持ちが良い」という人々のことが、僕の腑には落ちない。
気温が18℃まで上がっても汗をかかないよう、麻の白いシャツに麻の薄いセーターを重ねる。ズボンは仕事着のまま。上から下までヤナイ社長の会社の品物である。そして下今市07:45発の上り特急に乗る。
仕事か趣味か判然としない用事を日本橋で済ます。そこから恵比寿へ出てタクシーに乗り「山種美術館まで」と運転手に告げる。
タクシーは、まるで凪の海を行くヨットのように進む。ただし山を越えたり谷を横断したりはする。中沢新一の「アースダイバー」ではないけれど、あるいはテレビ番組「ブラタモリ」ではないけれど、東京の地形は変化に富んで面白い。
「それにしても、ずいぶんと走るなー」と感じながら降ろされたところは根津美術館だった、仕方なく道の反対側へ回り、ふたたびタクシーを拾って来た道を戻る。
「いちばん可哀想なのは教養の無い人」と、自由学園の英語教師アカギヒデヤ先生はおっしゃった。その可哀想な傾向は僕にも無きにしも非ずだから要注意だ。山種美術館では竹内栖鳳の絵を観る。観たからといって教養がつくとも思われないけれど、とにかく観る。観ていさえすれば、そのうちどうにかなるのではないか、という気も、すこしはする。同時に、観ているだけではどうにもならない、という気もする。
燈刻よりすこし早いころ湯島に至る。小酌を為して北千住19時13分発の下り特急に乗る。持参した傘は、帰宅をするまで遂に使わなかった。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、柿と菠薐草の白和え、納豆、茄子とピーマンとパプリカの味噌炒り、蕪と胡瓜のぬか漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬、メシ、けんちん汁
昼飯 「こづち」のオムレツ定食
晩飯 「シンスケ」のあれや、これや、それや、タルヒヤ