2022.9.24 (土) そう、これこそが…
朝、販売係のタカハシカナエさんとカワカミナオさんが外から事務室のドアを開け「隠居へご案内、よろしいですか」と声をかけてきた。「汁飯香の店 隠居うわさわ」には既に連絡済みで、席も確保したという。彼女たちの後ろには欧米系の大きな男の人がいた。即、席を立って靴を履く。
傘をお手渡しつつ「日本の料理はお好きですか」とお伺いすると「大好きです」と、そのお客様は破顔一笑された。
「このお店、有名みたいですね、すぐに検索できました」
「有り難うございます。実はこの店には庭がありまして」
「ほう」
「そこに小さな家が建っています。私の祖父と祖母も住んでいたところで、150年ほど経っています」
「おー、それはすごい」
などと会話を交わしつつ辰巳に面した門をくぐる。席が空いていたのは幸運だった。お客様はKEENのサンダルに素足でいらした。このような方には使い捨てのスリッパをお使いいただいている。スリッパからはみ出した左の小指を、僕は白いタオル地のスリッパに押し込んで差し上げた。
そのお客様は1時間とすこしの後にふたたび店にいらっしゃって、事務室を覗き込まれた。僕はまたまた即、立ち上がって外へ出た。「お楽しみ戴けましたか」とお伺いをすると「とても美味しかったし、とても静かで良かった」と、お客様はまたまた破顔一笑をされた。
「そう、これこそが旅、だよね」と、つくづく思う。「モノより思い出。」は、博報堂在籍時の小西利行によるコピーである。
朝飯 きのうの夜のカツ煮の玉子の部分、納豆、豚三枚肉と冬瓜の炊き合わせ、蓮根のきんぴら、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 素麺
晩飯 「魚登久」の胆焼き、鰻重、片山酒造の酒粕焼酎「粕華」(生)