2022.7.12 (火) ソウルフード
目を覚ましてしばらくのあいだ、からだを休める。「目を覚ましたなら、からだは充分に休まっているだろう」と問われれば、僕は朝、目覚めたときが一番、疲れを感じているのだ。そしてその疲れは起きてしまえば一掃される。この疲れとは一体全体、何だろう。
スマートフォンで時刻を確かめたりしては、ついウェブニュースなどに見入って時を無駄にする。よって今朝は枕の下のそれに手を触れないまま起床する。着替えて洗面を済ませて食堂に来ると、時刻は2時21分だった。「早すぎた」と気づいても、後もどりはできない。
「マイルス・デイビス自叙伝」は面白い。分厚い文庫本2冊と、文章の量もたっぷりあるから、その分、長く楽しめる。ここにはマイルス・デイビスの子供時代の思い出や、当時の黒人の食べものなどの記述もある。彼らは豚の周辺部をよく食べていた。周辺部とは肉や主だった内臓以外の部分である。
「肉や主だった内臓以外の部分」でもないけれど、豚の腸を煮たもつ煮は栃木県民のソウルフードだと思う。しかしウチではこれを作らないし食べない。食べたければ自分で作るのみだ。作り方は自己流である。
おととい買っておいた豚の腸1キロは、二度煮してある旨が袋に書いてある。よって煮こぼすことはせず、網のボウルに出して、大量の熱湯をかけてほぐす。それを大きめの鍋の、1.6リットルの水に入れる。
玉葱は1個まるごと、缶詰のトマトの水煮400グラム、北野谷商店のデコボコンニャク400グラム、松葉屋の木綿豆腐1丁は、適当な大きさに切って加える。ここまでの所要時間は30分。鍋が沸騰したら、火を弱くする。豚の腸からもトマトからもコンニャクからも盛んにアクが出る。それを何度もすくう。アクのあらかた無くなったところで日本酒1合を加える。
味付けは、大さじ2杯の塩と、直径8センチのお玉にすり切り1杯の味噌。味噌は、味噌汁に使う「日光味噌梅太郎白味噌」では勿体ない気がしたから「日光味噌粒味噌」にしておく。火を落として冷ました後は、家の中でも涼しい玄関の棚に夕刻まで置く。
もつ煮は、これから数日のあいだは食べ続けることができるだろう。
朝飯 茄子の揚げびたし、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、ミズの炒り煮、水茄子のぬか漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、茗荷の天ぷらと豆腐の味噌汁
昼飯 トースト、ミルク番茶
晩飯 もつ煮、長芋のたまり浅漬け、鶏そぼろと香り野菜の冷や素麺、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)