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清閑 PERSONAL DIARY

2022.6.30 (木) 石垣紀行(4日目)

ホテルのチェックアウトは11時と定められている。「だったらそれまではプールサイドで本を読んで過ごそうか」と考えても、明日からは9時に開くプールが、6月末日の今日までは、11時にならないと開かない。よって朝食の後は大風呂へ行ったり、荷物をまとめたり、あるいは部屋で本を読む。

僕は、アンコールワットのような超弩級を除いては、名所旧跡景勝地にはほとんど興味が無い。しかし時には、いくら小さくても観たくなるものがある。松江のラフカディオ・ハーンの家は観ておいて良かった。石垣島で行ってみたかった唯一の場所は川平湾ではなく、宮良殿内である。この、首里王府時代の八重山の行政長の家は、幸いなことにホテルと港ちかくの繁華街のあいだにあって、歩いて行けそうだ。

10時すぎにチェックアウトをし、荷物はフロントに預けて外へ出る。気温は高いものの、汗をかくほどではない。宮良殿内は、繁華街もちかくなるあたりに、ひっそりとあった。その石垣は、これまでこの島で目にした伝統家屋のそれとは異なり、石と石を隙間なく稠密に組んである。門を入ると、目の前には中国の屏風を連想させる石の壁が現れる。

券売係のオジサンにふたり分の見学料400円を支払う。パンフレットには「八重山地方の方言では宮良殿内はメーラドゥヌズと発音される」とあるものの、実際にはカタカナでは表記できない音だろう。東側から築山の方に回る。小さなオジサンが草むしりをしている。隣には幼稚園らしい施設があって、そこから賑やかな子供の声が聞こえ続けている。

見学をする者が屋内に入ることはできない。保存のことを考えれば、その方が良いと僕も思う。しかしその外側であっても、見学者が足を踏み入れることのできる範囲は、いかにも狭い。ほとんどのことは、オジサンに手渡された「敷地配置図」で想像をするしかない。重要文化財であれば、赤坂の乃木邸くらいは整備をしていただきたいところだが、訪れる人は日に10人にも満たない感じである。それでも来たいと願ったところに来られたことは良かった。パンフレットの内容も興味深い。

そのまま繁華街まで歩き続けて、先ずは公設市場に入る。羨ましいことに、皮付きの豚肉が売られている。魚も新鮮、かつ安い。しかし旅行者の身分であれば、生ものは買いづらい。そのまま外へ出て、浅草の新仲見世のようなところでお土産を買う。そこで店主らしい人にお薦めの八重山そばの店を教えてもらう。

いまだ11時30分より前にもかかわらず、そばの店は既にして営業をはじめていた。ここで未練たらしく、皮付きの豚三枚肉を載せた汁そばを食べる。炊き込みごはんジューシーも食べる。ホテルまではタクシーで戻った。

ホテルからは12時23分発のバスでホテルへ向かう。ホテルが路線バスの停留所になっているのは、とても便利だ。空の青、地上の緑の中をバスは通り抜けて、空港には12時57分に着いた。僕は南国の小さな空港が大好きだ。多くの空港と同じく、新石垣空港にも、たび重なる反対運動、調整、調査を経てようやく作られた歴史がある。しかしできてしまえば、人は徐々にその歴史を忘れるものだ

13:57 保安検査場を抜ける。
14:50 搭乗開始。

往路の羽田とは異なり、今日は国際線並みの時間の余裕をみた。そのことにより、忙しなさは一切、感じない。

15:25 “BOEING787″を機材とする”ANA92″は定刻に10分おくれて離陸。
18:05 同機は定刻に5分おくれて羽田空港に着陸。
18:32 羽田空港第1・第2ターミナルを京急空港線エアポート急行が発車。
19:37 人形町で日比谷線に乗り換えて北千住着。

折角の北千住ではあるけれど、先を急いで駅の外へは出ない。20時13分発の東武線下り特急に乗り、22時前に帰宅する。


朝飯 「アートホテル」のブッフェ、ごはん、なかみ汁なかみ汁(お代わり)
昼飯 「島そば一番地」の豚三枚肉そば、ジューシー
晩飯 新石垣空港で買ったコロッケサンド、「ドトールコーヒー」のカルツォーネ、Cono Sur Cabernet Sauvignon Bicicleta Reserva 2020


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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