2017.4.16 (日) 「清楽亭寄席」
隠居の庭は、僕が子供ころにくらべれば、借地人が去ったお陰で広がり、一方、春日町の交差点から今市I.C.へのバイパスに削られ細長く形を変えた。ここに、明治43年つまり1910年生まれのおばあちゃんが大人になるまで暮らした建物がある。
こぢんまりとした、しかし材木屋などの本職によれば「今はもう手に入らない」という材料と技術をふんだんに使った古建築を、せいぜい私的な宴会くらいにしか使わないのは勿体ないと、ここで寄席をすることを長男が考えた。
「清楽亭寄席」の第1回目は昨年の5月に開かれた。ことしは桜の開花に合わせて、今日がその日に選ばれた。今回の落語は瀧川鯉白、色物は紙切りの林家花である。
僕の仕事は木戸番および、昼席と午後席の、それぞれの中入りに供するおむすびと味噌汁のうちの味噌汁つくりで、だしは今朝の3時30分から引き始めた。
隠居には10時より詰めた。昼席のお客様のご案内が済めば、後は台所に籠もり、時間割に従って味噌汁を作る。落語と紙切りは、客席と襖一枚を隔てた薄暗い四畳半、あるいは台所でその様子に聞き耳を立てるのみである。それでもときおりは、庭に面した客席を廊下から覗き込む。
「清楽亭寄席」は今年も無事、16時すぎにお開きになった。調理道具などを洗って母屋つまり現在の家に戻し、ひと息をつくと17時。17時30分から18時30分までは事務室で商談、そして19時からは春日町1丁目の会計係として町内の総会に臨む。
長男は来年も、この寄席を催すだろう。僕は粛々と、木戸番と味噌汁つくりを務めるばかりである。
朝飯 飛竜頭の淡味炊き、ほうれん草のソテー、胡瓜と蕪の浅漬け、刺身湯波、厚焼き玉子、ごぼうのたまり漬(試作品)、たけのこごはん、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 寄席のお客様とは異なる2種のおむすび、らっきょうのたまり漬、揚げ湯波とカキ菜の味噌汁
晩飯 “Parrot”からテイクアウトしたチキンカントリー、“Petit Chablis Billaud Simon 2015”