2022.6.29 (水) 石垣紀行(3日目)
ダイビングショップに指定された迎えの時間は7時50分。家内はその5分前に部屋を去った。
この、繁華街からすこし距離のあるホテルを選んだ唯一の理由はプールがあったからだ。僕が旅においてもっとも大切にしたいのは「何もしない時間」である。「何もしない」とはいえ本当に何もしないわけではない。その最上は、プールサイドでの本読みである。しかし朝の小雨は強くなるばかり。一時は1キロ半ほど南のビル群さえ雨に煙って見えなくなった。
そういう次第にて、昼ちかくまでは部屋にいて、おとといの日記を公開したり、きのうの日記を書いたり、あるいは本を読んだりして過ごす。
昼がちかづくころ雨が上がる。ホテルと目の鼻の先に「八重山そば」と壁に書いた食堂がある。昼食はそこで摂ろうとして外へ出る。店の前まで来ると、今日は休みらしい。そのまま北へ歩き続けるも、店は居酒屋や焼き肉屋ばかりで戸は閉ざされている。道の向かい側に弁当屋を見つける。タクシーや軽トラックが停まっては出て行く。僕も彼らに倣って店に入り、もっとも小さなおむすび弁当を買う。ホテルへ戻ると途中、また雨が降ってくる。これはスコールだろうか。ポーチの屋根の下に駆け込んだときには、Tシャツはかなり濡れていた。
部屋でお茶を沸かしておむすびを食べ、ふと窓の外に目を遣ると雨はいつの間にか上がっていた。時刻は13時33分。「こんなことをしている場合ではない」と、ショートパンツの上に、ハンガーに掛けて乾かしていたTシャツを着る。そして本、iPhone、部屋のカードキーを小さな袋に入れてプールサイドに降りる。
管理人に手渡されたタオルを、いまだ濡れているデッキチェアに広げる。その寝椅子の背もたれの傾きを調整し、仰向けになる。そしていよいよ頭上に本を開く。至福の時間である。そのまま16時30分まで本を読む。
今夜の食事の席は、きのうの夕刻に電話で確保した。店から指定された時間は17時30分。予約したタクシーが我々を迎えに来るのは17時15分。なかなか戻らない家内に電話を入れると、ちょうどホテルに着いたところだった
南の国の、1日でもっとも良い時間は夕刻だと思う。港ちかくの街は、かなり賑やかだった。行き交う人たちの服装は、ほぼ半袖に半ズボンだ。風はいつまでも暖かい。
それはさておき、石垣島は既にして観光バブルではないか。夜の飲食店は居酒屋でさえ満席。タクシーの予約も取りづらい。ホテルの自動販売機は昨日からほとんどの品が売り切れで、僕はソーダ水を買うため外の自動販売機まで歩かざるを得なかった。今夜のステーキ屋も「17時か17時30分か20時」と、時間を指定されての入店である。
ホテルまでは歩いて帰ることとする。街のところどころには、いまだ古い家が残っている。その石垣にはめ込まれた「石敢當」とは何だろう。遠いとばかり考えていたホテルまでの道は、意外や近かった。外はいまだ明るい。そして20時前に就寝する。
朝飯 「アートホテル」のブッフェ
昼飯 「キッチンすなっち」のおむすび弁当
晩飯 「鉄板焼きすてーきIshida」のサラダ、石垣牛もも肉のステーキ、ガーリックライス、”Terranoble Cabernet Sauvignon Reserva”、“White Horse”(ソーダ割り)