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清閑 PERSONAL DIARY

2022.3.29 (火) 古書の効用

春日町の交差点はす向かいでガソリンスタンドを営む同級生オーハシタダオ君の家には、勝海舟の見事な書がある。それが今年の正月にテレビで紹介をされた。細かいことは避けるが、日光は勝海舟に、隨分と世話になった。それを先日、あれこれ調べるうち、未知の人のウェブログに行き当たった。「勝海舟の氷川清話は必読の一冊」と、そこにはあった。

僕は歴史に弱い。NHKの大河ドラマは、ぼんやりと眺めているだけだ。「三国志」は登場人物の名を覚えることができず、すぐに読み進むことを諦めた。歴史に関するものはほどんとすべて、右から左へと抜けてしまう。それでも聞き書きなら読めるだろうと、amazonから「氷川清話」を取り寄せた。もちろん古書である。

届くなり荷をほどき、ページを繰るにつけ「これならオレにも読める」と感じた。難題は元号である。
……
これは安政三年のことだが、その秋はちやうど海軍伝習所の学年代りで、生徒も教師もたいてい代わつたけれど、おれはなほ残って居つたので、その際三日ばかり休日があった。
……
と言われても、その安政と文化、文政、嘉永、文久、元治などの関係が分からない。第一、勝はそのとき何歳だったのか。いちいち検索エンジンに当たっていては、頭が文章から離れてしまう。

そういう次第にてウェブ上に江戸末期から明治にかけての元号と西暦の対照表を探し、使い慣れたソフトに取り込んだ。そこに、各年における勝の満年齢を加え、更にそのとき将軍は誰だったかを添えた。そしてそれを印刷して講談社学芸文庫版の「氷川清話」の裏見返しに貼った。

以降は読む速度が格段に上がった。文章を早く読むことを戒めたオフクロも、このようなたぐいの速度向上であれば、反対はしなかっただろう。

それにしても、今回、僕がしたようなことは本来、編集者がしておくべきことではなかったか。なお、裏表紙を繰り返し圧して完全に開き、そこに自作の年表を貼るなどは、古書だからこそ、惜しげなくできたことだ。古書の効用とは、そのようなところにもあると思う。


朝飯 納豆、菜花のおひたし、刻みキャベツを添えたハムエッグ、しもつかり、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、胡瓜と蕪のぬか漬け、メシ、若布と長葱の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 蛸のマリネ、TIO PEPE、スパゲティナポリタン、Chablis Billaud Simon 2015、エクレア、Old Parr(生)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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