2022.3.5 (土) 梅一輪
隠居の梅が1輪のみ咲きそうだと隠居係のタカハシリツコさんから聞いたのは数日前のことだった。それを確かめるため、お客様がいまだいらっしゃらない時間に柴折り戸を押す。
箒目のある土に足跡を付けないよう、飛び石を踏んで裏手から庭へと出て行く。門から玄関に至る飛び石には水が打ってあった。もはや冬ではない、ということだ。
庭の隅にある梅の木はおしなべて小さい。そのうちの1本に、確かに紅い花が認められた。花は既に開いて黄色いおしべまで見える。さてふたつ目みっつ目の花は、いつほころぶだろう。
「昼は満席」との連絡が家内より電話で知らされる。いまだ10時を過ぎたばかりであれば、既にして複数のご予約をいただいていたところに、更に別のお客様からも予約が入ったに違いない。今しばらくすれば座敷にほど近い白梅も咲き、それが散らないうちに桜も芽を吹きそうだ。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の庭は、春がいちばんよろしいように感じられる。夏の緑も秋の紅葉も、そして冬の雪景色も捨てがたい。それでも春のそれがもっともよろしいように感じられるのは、人間の本能に拠るものかも知れない。床の間の梅の軸は、週明けにも外そうと思う。
朝飯 牡蠣の醤油煮、牛肉と牛蒡と「しいたけのたまり炊」のすき焼き風、納豆、生玉子、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、切り昆布の炒り煮、メシ、レタスの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 春子漬け、「両関酒造」の「翠玉特別純米」(冷や)、モッツァレラチーズのたまり浅漬け、ゴルゴンゾーラチーズのオムレツ、生のトマト、セロリとキャベツのたまり浅漬け、豆腐と炒め茄子の味噌汁、鶏つくね団子、「栗林酒造店」の「春霞純米吟醸」(冷や)、蒸しパン、Old Parr(生)