2022.2.16 (水) 貧乏性
東京へ出かけるに際して服装を考える。いまだ寒ければ、セーターが必要だ。しかしクリーニング屋の袋からセーターを取りだしても、この冬に着る機会は今日の1回きりだろう。それをすぐまたクリーニングに出すのも業腹だ。とはいえそのまま次の冬まで置くのは不衛生だ。「だったら普段着のユニクロでいいじゃねぇか」と決める。貧乏性なのだ。
これまで納豆を食べるにおいては、2客の小鉢を使い回してきた。そのうちの片方が先日、欠けた。残る一方にも、ひびが入っている。いずれ長くは保たないだろう。
神宮前の器屋では、合わせて6客の皿と小鉢を選んだ。そこから新橋まで戻って大衆床屋にかかる。僕の禿げ頭には、安床屋で充分だ。銀座では、かねてより目を付けていた英国製の靴を試し履きする。見た目は最高でも、相当に硬い。試着を終え、愛用のトリッペンに足を戻して歩き始めると、こちらは天国の履き心地である。「オレにはやっぱりコレしかねぇな」と、先ほどの靴への物欲が落ち着く。
今朝まであったもうひとつの物欲も、地下鉄で行ったり来たりするうち綺麗さっぱり消えた。ふたつの物欲の消滅により、ちょっとした節約ができた。とはいえそれらと引き替えに別の物欲も勃興しているから、差し引きはゼロである。
文房具屋の、膨大な陳列品の中から自分の求めるものは見つけ出せない。よっていま使っているものを店員に見せ、それを数千本の中から抜き出してもらう。
日本橋では、昨年末に贈りものをしてくれた人に、お返しの品を手配する。熨斗は「御礼」。そこからすこし遠回りをして、浅草橋で蕎麦屋に入る。
貧乏性ではあるけれど、蕎麦屋では、あれこれ頼んで蕎麦に辿り着かない、おでん屋でも、あれこれ頼んでおでんに辿り着かない、そういう悪癖が僕にはある。しかし今夜はしっかり蕎麦まで食べて、浅草18時59分発の下り特急に乗る。
朝飯 挙げ湯波と蕪の葉の炒りつけ、納豆、菜花のおひたし、蓮根の梅肉和え、菜の花漬け、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、蕪と胡瓜のぬか漬け、メシ、トマトと揚げ湯波と若布の味噌汁
昼飯 「ドトール」のトースト、コーヒー
晩飯 「江戸蕎麦手打處あさだ」の刺身盛り合わせ、鳥肝の味噌漬け、牡蠣の天ぷら、大盛りせいろ蕎麦、「新亀酒造」の「新亀純米」(お燗)