2022.2.9 (水) 新世代らっきょう
「発酵デパートメントさんからメールが届いています」と、午後、事務係のカワタユキさんが教えてくれた。会社の代表アドレスに届くメールを、僕は普段は読まない。必要に際してのみ、係が知らせてくれることになっている。明日の昼のテレビで新世代らっきょうの紹介される旨が、そこには記してあった。
新世代らっきょうとは、嫁のモモ君が開発した、らっきょうのたまり漬だ。上澤梅太郎が第二次世界大戦後に創り出したそれとは異なる「山の登り方」により完成させたものだ。新世代らっきょうは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんが主催する下北沢の発酵デパートメントでのみ販売をされ、上澤梅太郎商店には置いていない。
昼のテレビ番組の中でもっとも視聴率が高いとされているところで紹介をされれば電話は殺到し、ウェブページへのアクセスも爆発的に増えるだろう。電話に対しては「発酵デパートメントにお問い合わせください」とお答えをし、ウェブショップではトップに「テレビでご紹介いただいた新世代らっきょうは、発酵デパートメントでのみお取り扱いしています」と表示するくらいが当方のできることだろうかと考え、お茶を飲むため4階へ上がった。
そこに、日本橋高島屋での1週間の仕事をきのう終え、今日は別の方面に回っている長男から電話が入った。方法はふたつ。ひとつは僕が考えた上記。もうひとつは上澤梅太郎商店でもそれを売ることとして、急遽、その販売ページを作ること。さてどちらを選ぶか、というのが会話の内容だった。そう言われれば、やるしかないではないか。
事務室に降りて、そのことをカワタさんに伝える。モモ君によれば、新世代らっきょうの次の蔵出しは3月末だという。予定は3月末でも、お客様には4月初めとお伝えをした方が無難と、カワタさんはこれまでの経験から意見を述べる。大枠は決まった。
出先で自由の利かない長男に代わって僕が、ことの次第と新設すべき商品ページについて、外注SEのカネヒラケンジさんにSlackを通じて連絡をする。緊急の用件にて、念のためそれを電話でも伝える。4月の蔵出し分が売り切れたときには即、切り替えられるよう、6月に蔵出しする分のページも作ることを、その電話の中で確認した。
ページは夕方までにできあがった。細かいところについては、明朝までに長男が修正することとした。「丸腰で放送に臨むようなことにならず一安心」と、長男はSlackでカネヒラさんに返信をした。
「今日も暑うなるぞ」と、笠智衆は「東京物語」で呟いた。今日は寒いけれど、雪の予報の出ている明日は、忙しくなるだろう、多分。
朝飯 ベーコンエッグ、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、沢庵、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、白菜の味噌汁
昼飯 「ふじや」の野菜麺
晩飯 トマトとレタスとベビーリーフのサラダ、コーンポタージュスープ、茹でたブロッコリーと蓮根のソテーを添えたチキンカントリー、“Chez Akabane”のチョコレートケーキ、チーズ、VOSNE ROMANEE Jean Gros 1985