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清閑 PERSONAL DIARY

2022.2.4 (金) しばしお別れ

「ウワサワさんの日記は、たびたび時間を明確にしてありますね」と言われたことがある。日記が長大な歳月の日割りなら、それを更に時間割にしたがるクセが、僕にはあるのかも知れない。

旅行の記録は面白い。今はインターネットがあるから、素人のものも含めて膨大な数のそれを読むことができる。そのような中で僕を不満にするのは、時間の経過を明らかにしていないものだ。

おとといときのうは家内が日本橋高島屋に出張をしたことにより、夕食はひとりで摂った。ひとりなら飲酒活動をしながら活字を追える。おとといから読み始めた「三島由紀夫紀行文集」は、冒頭からいきり僕の興味を惹く。1951年12月25日、26歳の三島は横浜から船でサンフランシスコを目指す。以下は出発翌日の日記の抜粋。

……
千夜一夜物語の筆法によると、この船の生活は一行に尽きるはずである。
「それから私たちは、十四日の航海を経て、バグダッドに着きました」
それはバグダッドでも、われわれのように桑港でも、変りはない。船客としての航海日記はほとんど意味がない。ここには行為が欠けているから、書く価値がないのである。
……

千夜一夜物語からの引用は、正しく「時間の経過を明らかにしていないもの」だ。しかし「書く価値がない」はもちろん三島の修辞に過ぎない。紀行文「アポロの杯」はますます面白くなるはずだが、今夜の食卓は3日前に戻って賑やかだ。本読みとは、しばしお別れである。


朝飯 春菊のおひたし、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、納豆、じゃこ、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、若布と長葱の味噌汁
昼飯 モンドオルチーズと柚のジャムを載せたトースト、コーヒー
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、薩摩揚げの網焼き大根おろし添え、モツ煮、蕪と胡瓜の浅漬け、塩らっきょう、鯵の干物、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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